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  • チェンジ・ロワイアル@ ウィキ
  • Last Surprise①~ガチャは悪い文明~

チェンジ・ロワイアル@ ウィキ

Last Surprise①~ガチャは悪い文明~

最終更新:2024年07月09日 20:59

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だれでも歓迎! 編集
「ん……あれ?」
「起きたか、甜花ちゃん」

大崎甜花が目を覚まして真っ先に視界に入ったのは、札幌ビール宣伝カー内の天井だった。
そして戦兎は、車の外の方から甜花に話しかけてきた。
彼はそこでしゃがみこんで、手元で何かをいじくっているようだった。
同時に、どこか浮かない顔をしているようにも見えた。

「えっと…確か……あっ………」

目を覚ました甜花は自分が気絶するまでに何があったかを思い出そうとする。

「そうだ…燃堂さんが……!」

悲惨な記憶が甦る。
燃堂力は、柊ナナを突如として現れた怪物から庇って死んだ。

「それで、その後は…」

甜花はその後の戦いで、敵の技を受けて吹っ飛ばされ、気を失ってしまった。
そこから先のことは覚えてない。
あれから皆、どうしたのか。
敵…戦兎と同じベルトの色違いを持っていた奴もどうなったのか。
ここは一体どこなのか。
当然、甜花の中でそういった疑問が生じる。

「…敵は倒せなかった。俺たちは何とか逃げることはできた。だが、柊や杉元、我妻達とははぐれてしまった」
「ここは網走監獄。俺たち以外にここにいるのは、エボルトと雨宮だ」

戦兎はそう、現状を甜花に伝える。
それを聞いて、甜花は一つ思い出す。

「網走監獄…?それって、確か…」
「ああ、放送でモノモノマシーンとやらがあるとか言われてた場所だ。エボルトと雨宮は今、それを探しに行っている」

甜花が車内で目を覚ました時、近くには戦兎以外は誰もいなかった。
何故そうなっていたのかの理由が今、判明した。

「えっと…それは…大丈夫、なの…?」

甜花に少し心配な気持ちが現れる。
エボルトから目を離して良いのか、そんな風な考えが出てきていた。

「……俺だって本当は心配だ。雨宮も着いているとはいえ、な」
「だが…いつ何が起こるか分からないとかで、手分けして出来ることをした方が良いとか言われて、押しきられてしまった」
「俺に、今のうちに首輪の解析をやってみろとと言い残してな」

戦兎はばつが悪そうにそう話す。


「首輪…」

甜花は自分に付けられている首輪に触れながらそう呟く。
自分達の行動を縛っているこの首輪は、確かに外さなければならないもの。
そして戦兎はこの殺し合いが始まってから、一度も他参加者を殺害してないため、モノモノマシーンは首輪無しでは使えない。
戦兎の持つ首輪は、モノモノマシーンに使うくらいなら自分達に付けられているものの解除のために解析するのに消費した方が確かに良いだろう。
気絶している甜花の近くにも誰かがいてやらなくてはならない。
気絶した甜花を連れて、モノモノマシーン捜索を行うのも難しいだろう。
今この場にいるメンバーの中でそれをやるとしたら、所持している首輪をモノモノマシーンに使うわけにはいかない戦兎が適している。
そしてエボルト達がモノモノマシーンを探している間、戦兎は手が空く。
だから今この空いた時間で首輪の解析ができるかもしれないと、戦兎もエボルトも判断したのだろう。

「それで……どうだったの?」

自分が気絶していた間に行われたらしい首輪解析の結果を、甜花は尋ねる。
その言葉を聞いた戦兎の表情は、先と変わらず怪訝そうなものに見えた。


「………先に結果だけを言っておくと、俺は死体から外された首輪を一つ、安全に解体することに成功した」
「えっ!?」

それは、朗報と言えるものだった。
首輪の解析・解体は、甜花の意識の無い内だったが、戦兎は確かにできたと言った。
それが本当なら、自分達に付けられている首輪も、外すことが可能になったということだ。


しかし、戦兎はまだどこか浮かない顔をしていた。

「……?戦兎さん、どうしたの……?」
「………いや、実はな…」

戦兎の様子が少し変なことに甜花も気付く。
それに対し、戦兎も答えようとする。

しかし、話は遮られることになる。


「よお!待たせたな」

エボルトと雨宮蓮が、帰ってきた。

◆

「ん?………おいおい。戦兎お前、まさかいきなり首輪の解体に成功したってのか!?」

エボルトが戦兎の手元を見て気付く。
そこにあったのはまず、特に何も手の付けられてない首輪が一つ。
そしてもう一つは、バラバラに解体された首輪だったと思われる部品群だ。

戦兎が持っていた首輪は、胡蝶しのぶと神楽に付けられていたものの2つだった。
念のための予備も含めてのものとして、解析用の首輪として戦兎がそれら2つを所持していた。
しかし見たところ、解析に必要だったのはどうやら一つで済んだようだった。
ついでに言っておくと、ここでバラバラにされたのは神楽に付けられていたものだった。
どちらも見た目は同じため、自分がどっちに付けられていたものを解体したのかは戦兎は分かっているわけではなかったが。


「……何だ戦兎?お前よくやったじゃねえか。流石天才物理学者様ってところだな。なのにどうしてお前、そんな顔をしてるんだ?」

戦兎の様子が少しおかしいことにエボルトも気付く。
パッと見た感じ、首輪は完全にバラバラにされている。
中に入っていたらしい爆発物についても、安全に取り外せたみたいだった。
正直なところ、ここまで解析が進むとは思ってなかった。
あくまでも、時間が少し空いたからやるように言ってみただけで、この短時間で完了までするとは全く思っていなかった。
そこまでできているのなら、よくやったと本心から褒めてやりたいところでもある。

これでようやく、自分への制限を無くせる見通しも立つはずだった。
しかし桐生戦兎は、何か想定外の事態があったかのような顔をしていた。


「………簡単だったんだよ。何か、不自然な程にな」
「は?」
「何?」
「えっと……それって…どういうこと?」

簡単だったが、不自然。
戦兎のその言葉にこの場にいた全員が反応する。

「簡単だったてのはどういうことだ?前に俺達と一緒にいた奴…アルフォンスは、自分の錬金術とやらをそいつに使おうとしても弾かれたとか言っていた」
「アルフォンスの錬金術は少々特殊な力だったからってのはあるかもしれないが…例え純粋に物理的な技術力だけでも、そう簡単に行くとは思えないんだがな」

戦兎の発言に対し次々と疑問の言葉をエボルトはぶつける。
戦兎の技術力は評価している。
だが予想に反して首輪の解体が簡単だったと言われれば、納得はそう直ぐにはできない。

「だから言っているだろ、その辺が不自然だったって。それに…何か、足りない気がするんだ」
「足りない?」
「………首輪の中身についてだ」

戦兎が言うのは、首輪の中身を構成する部品についてだった。

「爆弾とそれを起爆するための発火装置、それを動かす指令を受け取る受信機らしきものはあった」
「おそらく、禁止エリア内に入った時に警告音を出すためだろう小さなスピーカーらしきものも入っていた」
「けれども、こちらの位置を伝えるための発信器といったものは見つからなかった」
「……」
「盗聴機らしきものもなかった。これについては、無い方がこちらにとっては都合が良いが…やはり、無いのは不自然に感じる」
「それと……この首輪には、身に付けている者の生死を判定するためのものも、無いみたいだった」

位置情報を伝えるための機器が無い。
周囲の音声を拾うための盗聴機も無い。
装着者の生死を判定する機能も無い。
これが意味するのはつまり、主催陣営は首輪から参加者達の情報を得ることは全くできないということだった。
これはどう考えても、とてもおかしなことだった。
これまでの放送での様子からして、主催陣営は明らかに参加者達の状態を常に把握していた。
そもそも参加者達の死亡状況が分からなければ、放送で死亡者発表だなんてことはできない。
主催陣営が参加者達に渡した・付けたものの中で、生死を判定できそうなものなど、首輪の他には考えられなかった。
全員の肉体に触れているものであり、何かしらの機械であり、共通しているものもこれだけだった。
しかし戦兎は確かに、首輪にはそんな機能が無いという解析結果を述べていた。

「それと…この殺し合いではこの首輪が爆発すればどんな奴でも死ぬって話だったが…それを可能にしそうな物も何も見当たらなかった」
「首輪の中身を構成しているのは、遠隔で爆破できる最低限の部品、そんなものだけだった」

それが、この場における戦兎の解析結果の全てだった。
首輪は、最低限爆弾として機能する以上の用途は無いようだった。
普通の人間の肉体相手だったら、それでもそこまでの問題は無いかもしれない。
けれどもこの殺し合いにおいては、人智を超えた肉体を持たされた者達も存在していた。
ちょっとした爆弾首輪で爆破した程度では、再生するような肉体を持たされた者達は確かにいた。
けれども、今ここで戦兎が調べた限りでは、そんな者達を殺す力が首輪にあるとは、あまり考えられなかった。

「……どんな奴でも殺すって機能があるのは、爆薬の方だったりするんじゃねえか?」
「その可能性も考えられるかもしれないが、そこまでは流石にここで調べることはできない。もっと専用の設備が整ったところじゃないと…」

他に何かしらの特殊な機能がありそうなものな無いのなら、唯一残る怪しいものは爆弾を構成する爆薬のみとなる。
爆弾の中を少し調べた感じだと、爆薬は固体のものが使われているようだ。
これの種類がもし、未知の物質で無いとしたら、爆薬もどんな者でも殺害するための手段とは違うことになる。
…正直なところ、その可能性の方が高いと戦兎は感じている。
ここまで首輪の中のものが大きく特別感のあるものが無いと、爆薬の方もそうじゃないかみたいな考えも浮かぶ。

そもそも第一のこととしてやはり、何故だか急に首輪を簡単に解体できてしまったこともおかしなこととして上げられる。
もう少し手こずり、時間がかかる可能性の方が高いと考えていた。
甜花が目覚めるまでにも、外側のカバーを外すことまで進むようなものでは無いと思っていた。

にも関わらず、首輪はこうも簡単に戦兎の目の前でバラバラになった。
首輪の解析を試みようとした時、何故か解体のための手順が頭の中に思い浮かんだような感覚があった気もする。
何かとても、不気味な感じがあった。
まるで、何かに自分が操られるがままに先ほどのことを行っていたかのような感じがあった。
だとしたら、それは一体何なのか、戦兎には検討がつかなかった。


(首輪の中身が最低限のものしか無いってことは、アルフォンスが錬金術で調べられなかったのは精神の方への細工の可能性が高いってことか…?)

戦兎から今聞いた話から、エボルトはそんなことを考える。
首輪の中に、何かしらの特殊な力に影響を与えることができそうな物が見つからないとなると、その可能性の方が高くなる。
しかしそれは、エボルトが望んでいた結果だとは少々言い難かった。
首輪の中に何か仕掛けられていた方が、まだ話は早くてマシだったかもしれないからだ。
それならば、首輪の解除だけで、自分の力を取り戻せる可能性があったかもしれないからだ。
しかし今回判明したことで、その道に行ける可能性は低くなった。
それどころか、余計な謎が増えてしまった。

不安感――本来感情の無いはずのエボルトに、それが芽生え始めていた。
それはまるで、『桑山千雪』の感情が伝わっているかのようで――

(……話題を変えてみるか)

これ以上悩んでいても埒が明かない。
エボルトは次の行動に出る。

◆

「あー…戦兎、首輪が何かおかしいのは分かった。だが、今はこのまま考え続けても納得のいく答えは出ねえんじゃねえか?それより先に、俺達が見つけたもんについて話させてくれ」
「モノモノマシーンのことか」

エボルトの話題変えに、雨宮蓮がそれに合わせた言葉を続ける。

「モノモノマシーン…そうか、見つけたのか」

戦兎もその話題に乗る。
今これ以上首輪の話をしても、進展が無いだろうと彼も判断した。

「俺達がモノモノマシーンを見つけたのは向こうにあった穴だらけでボロボロの建物だ。右から読みで『教誨堂』と書いてある看板もあったな」
「明らかに誰かと誰かがやり合った跡があり、足跡も複数種類残っていた。こんなに人が集まるようならもしやと思い中を調べてみれば…ビンゴだ。地下室の中に件のマシーンがあったってわけだ」

蓮とエボルトがモノモノマシーンを見つけた経緯を説明する。
色々と痕跡が多く残っていたために、彼らが発見するのにそこまで苦労はなかった。
地下室という分かりにくい場所にあったことについとも、足跡を辿っていけば問題はなかった。

「で、俺達は一回だけならマシーンを使えた。それで得られたものも見せてやる」

モノモノマシーンは、他参加者の誰かを殺害していたら一回だけ首輪を入れなくとも使用可能。
エボルトも雨宮蓮もその条件を満たしている。
そうだという話は一応前に竈門家にいた時に少し聞いていた。
この事実を今も何気ない顔で語るエボルトに対し、戦兎も甜花も少し表情が険しくなるが、そこに一々突っかかっていたら話が進まないことくらい分かっている。

「俺が持っている首輪1つは一応まだ使ってない。もし、戦兎さんが持っていた2つだけで解析が足りない時のためにまだとっておいた」

雨宮蓮は産屋敷輝哉に付けられていた分の首輪を持っている。
それがまだ使われていないため、今ここでエボルトと蓮が新たに得たアイテムは計2種だった。



「そんでもって、俺がモノモノマシーンを引いてみて出てきたのはこいつなんだが……戦兎、これか何だか分かるか?」
「………そいつは…!」

エボルトが少し顔をにやけさせながら見せびらかすように新たなアイテムを一つ片手に持つ。
戦兎はそれに対し、見覚えがあるような反応を示す。
なお、桐生戦兎自身はそのアイテムの実物を視界に入れたことはあれど、よく見たことはなかった。
しかし実はそのアイテムは、本来の戦兎の肉体が使ったことのあるものだった。
けれどもその時、桐生戦兎の意識はなかった。
だから直接見たことがあるのは、エボルトがそのアイテムを武器に装填して使っていた時のみだ。

だが戦兎はそのアイテムを見た時、驚愕の反応を示してしまった。
忌まわしき記憶が、呼び起こされてしまったからだ。

エボルトがモノモノマシーンから新たに得たそのアイテムの名は「ラビットエボルボトル」。
本来の仮面ライダービルドの歴史において、エボルトが桐生戦兎に憑依した際に生み出したボトルであった。

◇

(この反応…戦兎はこいつのことは知っているみたいだな。ということは、こいつの説明書に書いてあったことも本当ってことか?)

エボルトが引いたラビットエボルボトルには、説明書が同封されていた。
その説明書によると、このボトルはエボルト…自分自身が桐生戦兎の肉体から作り出したらしかった。
そんなことをした記憶は、このエボルトには全く無い。
そもそもそんなことをする理由も無いはずだ。
しかしそれは、現在のエボルトにとってはの話だ。
もしかしたら未来の自分は、何らかの理由で戦兎からこのボトルを作る必要性が出ることがあるのかもしれない。
こんなアイテムを作ることになる状況…思い付くとしたら、何らかの理由で戦兎の肉体に憑依しなくてはならなくなった時だろうか。
その何らかの理由に当てはまりそうなのは……例えば、戦兎を完全復活のためのエネルギーとして取り込もうとしたら、戦兎が自分もろとも自爆しようとしただとか……。

(…こいつの知っている未来の俺は、結構苦労させられたみてえだな。ま、その甲斐あってこいつは今俺の手にあるわけだが)

ラビットエボルボトルは、エボルトが今持つエボルドライバーに装填しての使用は可能なものだ。
これを使えば、エボルトは仮面ライダーエボルとしての新たなフォーム…ラビットフォームに変身できるようになる。
フェーズ3とも呼ばれるそのフォームは、ドラゴンフォームよりは攻撃力等は僅かに下がるが、スピードやジャンプ力等については上昇することになる。
これがあれば、何故だかスピードが大きく上がっていたディケイドに対しある程度はより対抗できるかもしれない。

「ま、お前がこいつのことをどう思っているかは今はどうでもいいだろ。それよりも、こいつを使うことも含めてどうやってしんのすけの奴を取り戻すか、そういったこととかを考えた方が有意義じゃねえか?」
「………」

エボルトの言葉に対し、戦兎の表情は相変わらず険しめだ。
けれども、その言葉の正しいことについてもまた、理解はしていた。
エボルトの手にある赤いボトルに対し苦い思い出はあるが、それもまた飲み込まなくてはならない。
さっきから最っ悪な気分はずっと続いているが、それも乗り越えなくてはならない。

「そんじゃ、今夜からはお前と俺でダブルビルドだな」
「……それを使ってもお前のはビルドとは言えないだろ」

ラビットフォームのエボルは、顔がビルドのものとそっくりになることをエボルトは察しがついていた。
その点からの思い付きで言われた冗談に対し、戦兎はため息をつきながら辛辣めな突っ込みを返す。

「ああ、でも葛城先生を入れれば3人か。これは粋な計らいだな」
「だからそれは違うだろうが…」

エボルトは面白くない冗談を続けようとする。
こちらへの鎌かけのつもりなのか、その真意を計り知れないまま、戦兎は呆れることしかできなかった。

◇

「それじゃあ次は蓮の引いたものだな。おい甜花、お前あのメロンがどうだとか言っていたベルトはまだ付けているよな?」
「え…?うん…」

ラビットエボルボトルの話を終えた後、雨宮蓮がモノモノマシーンから得たものについて話は移る。
そうなってすぐに、エボルトから声をかけられて甜花は少し驚く。
戦極ドライバーを付けているかどうかについて聞かれたことには、戸惑いながらも肯定の返事をする。

「そうか、じゃあこいつを持ってみろ」
「えっ?……おい、待て!」
「きゃっ!?」

エボルトはまだ宣伝車の中にいた甜花に対し何かを投げ渡そうとする。
それに対し雨宮蓮が少し慌てたような様子で待ったをかけようとする。
けれども彼はそれを止めれず、エボルトが投げたものは甜花の方に向かって飛んでいく。
甜花は突然何かが飛び込んできたことに驚きの声を上げる。
けれども、確かにそれをキャッチした。

「えっと…何これ?……実?」

甜花が受け取ったのは、毒々しい赤と紫の色合いをした果実だった。
大きさは手の平大程で、南京錠のU字部分のような形をしたヘタが付いている。

甜花はその果実の表面の皮を一枚少し剥いてみる。
気味の悪い色の皮の下には、寒天のような見た目の果肉が詰まっている。

「……美味しそう」

白っぽい果肉を見た甜花は果実に対しそんな印象を受ける。
何故だか、光輝いているように見える気もする。
未知の果物であるのに、食べてみたいという気持ちが出てくる。

「おっと、そいつを食うんじゃねえぞ。人間じゃなくなってしまうからな」
「え?」

果実を見ていたことで少し惚け気味だった甜花の意識が、エボルトのその言葉で覚醒する。

「そいつはヘルヘイムの森の実っつうものだ。そいつを食うと、インベスっていう理性の無いバケモンになっちまうんだとよ。もしそんなのになってしまって、俺や戦兎に退治されても良いって言うのなら…」
「イヤッ!!」

エボルトの脅すような口調の言葉が言い切られる前に、甜花は慌てて果実を車の外のどこか遠くへと投げた。

「あーあ、もったいねえ…」
「な、何を言っているの!?何であんなのを甜花に渡してきたのっ!?」

当然の如く、甜花はかなりの剣幕でエボルトに対し非難の言葉を浴びせる。

「いやさ…どうもあの果実は、お前の持っているベルトを付けたまま持てば、新たなアイテムに変化させるなんてことが本当なら出来るんだとよ」

本来、ヘルヘイムの森の実は、戦極ドライバーを身に付けた者が持てば、ロックシードと呼ばれるアイテムに変化する。

「けども、さっきのは所謂新種って奴らしくてな…そう簡単には変化させることが出来ないらしい」

しかし、近年…だいたい2020年頃に出現した新種は、戦極ドライバーを介してもロックシードにすることが不可能だ。
この場に在ったのは、その新種であった。

「な、何も起きないのが分かっているなら、何で渡してきたの…!?」
「そんな深い理由は無いさ。絶対に変化させることが出来ないって訳でも無いらしいからな…モノは試しに持たせてみただけのことだ」

エボルトは悪びれる様子もなく軽い口調のままそう言う。
本当にただ試しに渡してみただけのようだった。

「おいエボルト…お前流石にいい加減にしろよ!?」

戦兎も流石に怒りの声を上げる。

「蓮も何で自分が引いたのにエボルトに持たせてたんだ」
「………すまない。俺には扱えない代物ということで、預けていた。説明は後からしようということにはなっていた」

預かるように言ったのはエボルトからだったが、蓮はそこは伏せる。
この件についてこれ以上険悪な雰囲気にする訳にもいかなかった。

「まあ、食べたら人間じゃなくなるってことについては、絶対に完全に理性が無くなるって訳でもないらしいけどな。条件を満たすか、運が良ければ、より強力な力を得られる可能性だって…」
「待て、それ以上喋るな。甜花ちゃんはもう捨てたんだ。話はもう終わりだ」
「……はいはい。分かりましたよ」

ほんの一部の者に限ったことではあれど、ヘルヘイムの森の実に新たな力を得る可能性があることは事実だ。
けれども、戦兎からしてはそれが本当かどうかは分からなくとも、どっちにしても容認するわけにはいかない。
リスクとリターンのつり合いも取れてない。
というか、ネビュラガスとほとんど変わりないようなものの気もする。
それと同じように危険なものを甜花ちゃんにこれ以上関心を持たせるわけにはいかない。
本来こういったこととは全くの無関係であった彼女には、最後には元の女子高校生とアイドルとしての生活に戻ってもらわなくてはならない。
そんな彼女相手には人体実験のような真似はさせられない。
人間を止めるような選択肢を、彼女に与えてはならない。

◆

「とりあえず俺達が新しく手にれられたのはさっきので全部だ。……あの実はまあ、ハズレと呼ぶしかねえだろうな」

今回モノモノマシーンで得られたアイテムの内、役立つと言えるものはエボルトの引いたラビットエボルボトルのみ。

「さて…これだけであいつからしんのすけを取り戻せるかねえ?」
「「「………」」」

先の戦いでは野原しんのすけが大首領JUDOにより何らかのアイテムの中に封印される形で攫われた。
エボルトの推測では、しんのすけは自分達をおびき寄せるための人質にされるだろうということだった。
そしていつかは、奴から取り戻さなくてはならない。

だが前回は杉元達も含めて応戦したが、苦戦させられた。
これからしんのすけを取り戻すために奴の所へ向かおうとしたとしても、途中で杉元達と合流できるとは限らない。
ここにいる4人だけで戦わなくてはならないかもしれないのだ。
しかし新たな戦力がラビットエボルボトルだけでは、あのディケイドに勝てるとは…勝利まではいかずにしんのすけを取り戻すことだけにしても、正直難しいんじゃないかということはここにいる全員の脳裏に浮かんでいた。

「一応、もう一度モノモノマシーンに賭けてみるって手はあるが…首輪も2つは残っているだろ?」
「……だが、首輪についてはまだもう少し…」

現在彼らが持つ首輪は、鬼舞辻無惨の肉体だった産屋敷輝哉に付けれられていたものと、アリーナの肉体だった胡蝶しのぶに付けられていたものの2つだ。
なお、蓮が持っている輝哉の首輪については、誰に付けられていたものかはここにいる者達は把握できていない。
一応首輪の解体方法が分かっているのなら、これらももうモノモノマシーンに使っても良いのではとエボルトは言う。
しかし戦兎はまだ思うところがあるのか、これらの首輪ももう少し調べたいという旨のことを言う。

「それじゃあ…1つだけ使うってのはどうだ?もう少し調べるにしたって、ここまで出来ているのなら1つだけでも十分じゃねえか?」

エボルトがバラバラになった首輪を指差しながらそんな提案をする。
確かにまだ怪しいところがあるから首輪をもう少し調査したいという気持ちは分かる。
人によって首輪の中身が実は違ってた、なんてことももしかしたらあるかもしれない。
けれどもそれをやるならば、ここにおいては1つでも十分かもしれないと考えていた。
もし中身の違う首輪があるとするならば…本来なら首輪の爆破程度じゃ死なない奴らのものだけかもしれない。
そしてここにある首輪は、1つは確実に上記のことに該当しない。
もう1つは実は該当しているが、ここにいる者達はそれが分かっているわけじゃない。
確実にそういった者達に付けられていたものだと分かる首輪があるのなら、話は少し変わってくるが。

「……まあ確かに、1回くらいは賭けてみるべきか?」

戦兎が1回だけモノモノマシーンを回すことについて納得を示す反応を見せる。
やはり今のままでは先のディケイドと戦うには足りないかもしれない。
首輪の再解析も、1回で十分…かどうかはまだ少し不安ではあるが、状況的には仕方がないのかもしれない。

「だが今度は俺達も一緒に連れていけ。さっきみたいなことが無いようにな」

先ほどエボルトはヘルヘイムの森の実という危険物を唐突に渡してきた。
あんな悪趣味なサプライズはもうごめんだ。
それに、モノモノマシーンの現物は自分もこの目で確認しておきたいということもある。

「分かったよ。それじゃあ全員で向かおうか」


エボルトを先頭に4人は教誨堂を目指す。
それまで甜花が中にいた宣伝車は再び戦兎のデイパック内に仕舞われる。
エボルトは相変わらずの人を小馬鹿にしたような表情をとっている。
戦兎と蓮は決意を持った表情をしている。
そして甜花は、不安を隠し切れない表情になっている。


◆


少し時間が経った。
やがて、ボロボロの教誨堂から4人の人影が現れる。
その内3人は、沈痛な面持ちをしていた。

「いやー、ものの見事に外れちまったなあ!」

4人の内1人、エボルトだけが意気揚々と声高らかに叫ぶ。

「こんな役立たずが出るくらいなら、さっきの実の方がマシだったかもな」
「いや、それだけは絶対に違うだろ…」

エボルトの言葉に戦兎がツッコミを入れる。
その両手には、白い煙のようなものを吐き出す箱が抱えられている。
白い煙のようなものの正体は、ただのドライアイスから発生している冷気だ。
ドライアイスが入っているのは、食料品の保存というとても単純な目的のためだ。
そう、今回モノモノマシーンから出てきたのは、何の特殊な効果も無いただの食品だった。

「しかしこんな高いもの、殺し合いの最中じゃなければ当たりだったかもなあ」

箱の中の食品は高級品であった。
ちなみにそれは、『スイーツ』であった。

今回の首輪使用でモノモノマシーンから引き当てたのは、『最高級コーヒーゼリー3点セット』だった。
ちなみにこのコーヒーゼリーは1つ2950円、3つなら合計8850円ということになる品であった。
それとコーヒーゼリー1つあたりの内容量は55gである。
これは確かに、殺し合いや戦闘で役立てる方法の無い品であった。
商店街やデパート等の福引の景品だったら大当たりだっかもしれないが、ここはそんな場ではない。
ディケイドと再び戦う時のためにと思って首輪を1つ消費したのに、それが全くの無駄になってしまった。

「どうする?やっぱ戻ってもう1つの首輪も使うか?」
「……いや、それもまた外したら流石にマズいだろ」

元々残っていた2つの首輪の内1つは再解析に回すという話だった。
しかし、マシーン使用の結果が悪かったからと言って、予定を変えるのも問題かもしれない。
やっぱもう1つもマシーンに使うとしても、もしその結果も良くなかったら、空気が余計に居た堪れないことになるだろう。

ちなみに、今回使わずに残してある首輪は蓮の荷物の中にあったものの方だ。
戦兎が持っていた2つは、どちらとも着けられていた肉体に特に不死性等があるものではなかった。
だが、蓮の持っていた方はそういったことが特に分かっていない。
それはつまり逆に言えば、その首輪が着けられていた者の肉体に上記のような特殊性があった可能性も僅かに考えられる。
だからもしかしたら、首輪の中身も他の者達と違う可能性が残っているかもしれないのだ。

「じゃあ…とりあえずこのコーヒーゼリーでも食いながら今後のことでも話し合うか?」

コーヒーゼリーの使い道は、ただ食べることだけ。
少なくとも、ここにいる彼らにとってはそうであった。
それをしながら、今あるものだけでディケイド相手にどう対策するかの作戦会議等を行おうとエボルトは言った。

「でも…3つしか無いよ…?」
「…じゃんけんするか?」

甜花と蓮も会話に参加する。
彼らの指摘する通り、コーヒーゼリーは3つだけ、4人の内1人分足りないのだ。
ついでに言っておくと、食べるためのスプーンはコーヒーゼリーの数と同じだけサービスで付いていた。

「…いや、俺はいいよ。みんなが食べている間に、首輪のことをもう一度調べてみたい」

戦兎がそう言ってコーヒーゼリーのことについて断る。

「時間が惜しい。平衡して出来そうなことはそうしていかないと」

この網走監獄に来てからの時間はそれなりに経っている。
こうしている間にも、しんのすけや他の者達が危険な目に会っているかもしれない。
コーヒーゼリーを食べながらの話し合いと、首輪の再解析、これらを同時進行で行おうと戦兎は言っていた。

「分かったよ戦兎。そんじゃあお前の分まで美味しくいただくとしますかねえ」
「ゼリーとはいえ、少なくとも、お前の淹れるコーヒーよりは何万倍も美味いだろうな。高級品だしな」
「おいおい何だよ、何故今そんな話をする?」
「………」

【そんなことない】
→【うん、まあ…うん】
【確かに】

「おいおい!相棒までそんな微妙そうな反応をするんじゃねえよ!あのコーヒーは千雪の体で淹れたせいだっての!」
「蓮お前…アレを飲まされていたのか」
「何で千雪さんのせいにするの…?それは絶対に違う…!」
「(私のせいにしないでください。それだけは絶対に違います) うるせえな!」

エボルトの淹れるコーヒーはクソマズい。
景品がコーヒーゼリーだったこともあり、落ち着いて食べれる場所への移動中にそんな話題が出る。
以前蓮が飲まされたコーヒーについては、エボルトが肉体のせいにしようとするが周りは全く信じていない。
彼の脳内の『桑山千雪』も反論を入れる。
それに対するエボルトの反応は、周囲からの言葉への反応にも合致していたため、特に怪しまれることはなかった。

◇

そんなこんなで、彼らはやがて近くの適当な建物中に入る。
そこは網走監獄内において、所謂事務所の役割を果たす、庁舎と呼ばれる建物だった。
この建物は、前にギニューが監獄敷地内に居た時も祈手達に力試しの標的にさせていなかったためにまだ無傷であった。

4人は建物内にあった適当なテーブルに備え付けられた椅子に座る。
なお、戦兎は1人だけ他3人とは別のテーブルの席の方につく。
首輪の再解析のためにそうしていた。

他3人がついているテーブルには、既に最高級コーヒーゼリーがそれぞれ並べられている。

「……少ないけど、美味しそう」

甜花がそうポツリと呟く。
前にヘルヘイムの森の実を見た時のように特殊な力で魅了されているわけではない。
黒い表面に室内の照明が反射されて現る輝く光沢と、周囲にデコレーションされた生クリーム、そういったものらが純粋にそんな風に見せていた。
…いや、1個2950円の高級品という情報もそんな風に見せるフィルターをかけているかもしれない。

「それじゃあ早速、いただこうかねえ」
「……いただきまーす…」
「…いただきます」

3人はスプーンを手に取り、プルプルと柔らかいコーヒーゼリーを救い取ろうとする。





その時だった。

「えっ?」
「は?」
「何っ!?」

黒かったコーヒーゼリーが突如、灰色となった。

「!?っおい、どうした!?」

3人の声で戦兎も異常を察知し、彼らの方に顔を向ける。

「な、何これ…!?」
「ゼリーが突然、灰に…!?」

灰色と化したゼリーをスプーンで突いてみると、それこそまるで灰のように崩れ去る。
灰色となっているのはゼリーだけではない、その周囲に盛り付けられたクリームも同じようになっていた。


「!!…おいお前ら、どうやらもうゆっくりしている暇はねえぞ。構えろ!!」

エボルトがいつになく真剣そうな声で呼びかける。
彼が真っ先に、この場に現れた新たな存在の気配に気付いた。
そんな彼が向き直った方向に他の者達も顔を向ける。


「そんな…俺達を誘き出すつもりじゃなかったってことか…!?」
「―――確かにそのつもりもあったがな。少々、事情が変わった」

そいつがいたのは、庁舎の入口近く。
彼ら4人がここに来ることになった原因。
―――門矢士の肉体の中にいる大首領JUDOが変身するディケイド激情態が、そこにいた。


「「「――変身!!!」」」
「蒸血!!」
『KAMEN RIDE BUILD 鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!』
『ソイヤッ!ミックス!メロンアームズ!天下御免!ジンバーメロン!ハハーッ!』
『JOKER!』
『ミストマッチ!コブラ…コ・コブラ…ファイヤー!』

相手が既に臨戦態勢にあることを察知した4人は、急いでそれぞれがなることのできる戦闘形態へと移行する。
なお、エボルトはまだ最後にエボルへの変身を解除してから2時間経っていないため、ブラッドスタークの方になっていた。
一応、あともう少しでその変身への制限は解除される状態ではあったが。

『…全く、そっちもまだ疲れているだろうにもう来たのかい?せっかちなもんだねえ』

ブラッドスタークへの蒸血が完了したエボルトが、先とは打って変わって軽めの口調でJUDOにそんなことを言う。
実際、JUDOにはまだ疲労もダメージも残っているはずだった。
だからこそエボルトは向こうの方から攻めて来る可能性は低いと考えていた。

「先も言ったが、事情が変わった。――どれ、面白いものを見せてやろう」

エボルトの煽りを軽く受け流し、JUDOは次の行動に出る。

『…?何だそれは?』

JUDOは先ほどから片手にカードを何枚か持っていた。
しかしそれは、ディケイドライバーに装填して使うための、ライダーカードではなかった。
薄暗い紫の下地の上に赤い丸、その丸の更に上に黒い星が描かれたカードであった。

JUDOのもう片方の手には別のアイテムが握りしめられている。
それはまるで、懐中時計のように見えるものであった。
JUDOはまず、その懐中時計のようなアイテムを目の前に勢いよく突き出し、それの上部に付いたボタンを押した。

『ビルド!』
「なっ!?」
『何だと!?』

そのアイテムから鳴り響いた音声に戦兎とエボルトが驚きの声を上げる。
それと同時に見えたアイテムの表面には、怪人の顔が描かれているのも見えた。
――それはまるで、仮面ライダービルドを歪めたような顔をした怪人だった。

アイテムの形状だけなら戦兎に見覚えはあった。
かつて新世界を作り出した時、目を覚ました時に持っていたアイテムがそうだった。
そのアイテムには仮面ライダークローズの顔が描かれていたことを覚えている。
けれども、その時のアイテムよりは今目の前にあるものはとても禍々しく見えた。

JUDOが持つアイテムの名は『アナザービルドウォッチ』。
描かれているのは、仮面ライダービルドの力を持つアナザーライダーという種の怪人『アナザービルド』だ。


JUDOはウォッチのボタンを押した後、そのウォッチともう片方の手に持った何枚かのカードを自分の上に向かって投げ放った。
同時に、こう叫んだ。

「ノワール・ミロワール!!」

その言葉と同時に、『闇』が周囲を渦巻いた。
『闇』を纏ったカード群がアナザービルドウォッチの周囲を回る。
それらのカードはやがて自分達の中央にあったウォッチの方に向かって行き、貼り付く。
すると、黒いクリームのようなものがウォッチとカードの周囲に出現し、膨れ上がっていく。
膨れた黒いクリームはやがて破裂し、1体の「モンスター」をその場に産み落とした。
モンスターは2本足でJUDOのやや前辺りの方に着地する。


『――――ノワーーール!!!』

降り立ったモンスターが大口を開けてそう叫ぶ。
モンスターは人型だったが、その体は人の倍くらいには大きかった。
それは、そのモンスター…いや、怪人の本来の大きさとは違っていた。

「何だよ、こいつ…」

モンスターを見た戦兎は呆然となってそいつを見上げる。
その姿は彼のよく知るもの…というよりは、今丁度彼がなっているものの姿にそっくりなものだった。
しかし、完全に一緒という訳ではない。
一言で言えば、前述したように、「歪められた」姿であった。

仮面ライダービルドのアナザーライダー、アナザービルドの姿に、モンスターはなっていた。
けれどもその姿は、本来のアナザービルドとも違っていた。
まず前述したように本来のアナザービルドよりも体が大きい。
次に、腕や足に沿って、黒いゼリー…コーヒーゼリーとクリームのようなものがその体から生えていた。
また、本来のビルドにもある頭部の2本のアンテナの先端にも、それぞれコーヒーゼリーがちょこんと乗っている。
胸には大きく、赤い丸の上に黒い星が描かれているマークがあった。
これにより、本来のアナザービルドの右胸の方に斜めに書かれている「BUILD」の文字が一部隠れてしまい「BU」までしか見えないようになっていた。
腰につけられたベルト…ビルドドライバーに形の似ているベルトの、ビルドドライバーで言うところのレバーを回すことで同時に回転する機構、ボルテックチャージャーに似ている部分にも、同じようなマークがあった。
これらは、先ほどJUDOが持っていたカードに描かれていたものと同じものだった。
…そしてこれは、正面から対峙している戦兎達には見えないものだが、背中にも本来のアナザービルドと少し違うように見える部分があった。
実の事を言うと、ここにあったアナザービルドウォッチを使って変身した場合のアナザービルドの背中には、「2019」の年号が刻まれるはずだった。
これが歴史改変を目的として生み出されたアナザービルドであれば、「2017」が刻まれていたが、ここにあるアナザービルドにその役割は無く、その年号になるはずがなかった。
けれどもここにいるモンスターの背中にある「2019」には、「9」の部分が一部コーヒーゼリーで隠され、足りない角は白いクリームで補われ、「2017」に見えなくもないようになっていた。

ここでJUDOが使用したカードは、エリシオのカードという。
エリシオとはこのカードの本来の持ち主であり、ノワールという存在を主とした闇の勢力のしもべであった存在だ。
このカードは、何かしらの物体に貼り付けることでカードモンスターと呼ばれる怪物を作り出すことができる。
ただし、カードを使うには条件があった。
それは、何かしらの『スイーツ』に含まれる『キラキラル』というエネルギーを吸収することだ。
そうして生まれたカードモンスターは、吸収したキラキラルの元となったスイーツと素体にした物体の意匠を持つ巨大な怪物となる。
JUDOはスイーツを持っていなかったため、これまではこのカードを使うことができなかった。
けれども今回、戦兎達4人がモノモノマシーンからスイーツを引き当てた。
JUDOは網走監獄の近く外から、4人の様子を把握していた。
毎度お馴染み、クウガ・ペガサスフォームの力で4人の会話を盗み聞きしていた。
そもそも4人が今網走監獄にいることを把握するためにも、ペガサスフォームの力を利用した。
前の話でも書かれていたが、ディケイド激情態が使う場合のペガサスフォームでは、本来のクウガよりも使用の際のデメリットは少ない。
そうして耳を研ぎ澄ませ、『スイーツ』に関する単語が出てくるかどうかを待っていた。
出てこなければ、前から考えていた通り誘き寄せる方向するはずだった。
しかし運の良いことに…戦兎達にとっては悪いことに、スイーツが出てきてしまった。
だからJUDOは予定変更して彼らに近付き、カードの力でスイーツから『キラキラル』を抜き取った。
キラキラルを抜き取られたスイーツは、灰のようになる。
そして抜き取られたキラキラルは、カードの力で『闇』に染められる。
この闇の力で、カードはモンスターを作り出す。
このカードを、JUDOはアナザービルドウォッチに向かって使用した。

カードも、アナザービルドウォッチも、どちらとも以前JUDOがモノモノマシーンから手に入れた景品だ。
カードが使えなかったため、前回の戦いでは今回のような戦法はとらなかった。
そして更に、今回のことにもう少し付け加えて言うことがある。
JUDOは、アナザービルドウォッチも、カードに対して使用していたと言えるかもしれないのだ。

本来のアナザーライドウォッチは人、もしくはそれに準ずる存在にを素体にして使用するものである。
変身者のいないアナザーライダーは、一部の例外しかいない。
けれどもここにおいては、エリシオのカードから生まれるカードモンスターが、アナザービルドの素体になっているようなものであった。
逆に、カードモンスターの素体としても、アナザービルドがそれになっているような状態でもあった。
アナザービルドウォッチ内の仮面ライダービルドの力と、カードの中の闇の力が混ざり合い、今回出現した怪物の姿を形作っていた。
互いが互いを素体にすることで、この巨大なアナザービルドのようなモンスターが生み出された。
カードモンスターでありながら、アナザーライダーでもある。
それが、この怪物という存在であった。

「行け、ノワールビルド。奴らを叩き潰せ」
『ノワアアアアァァァーーールッ!!!』

怪物…JUDOからノワールビルドと名付けられたそいつは、雄叫びを上げながら目の前の仮面ライダー達に襲いかかった。

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