双眸 ~紺碧の哀? > 紅蓮の愛~過去ログ Ⅳ

― 寄宿舎 ―


ヴォイド「……(冷房の効いたロビーで、テレビの特番を眺めている)……旅行か……(旅に長らく行っていない事を改めて感じ、少し項垂れ)どっかのタイミングで行きてぇな。一人でもいいが、二人旅も悪かねェ……いや、まず休暇の取り方が―― 」

×××「(ザク…ザク…ザク…)――――― あァ…ここッスかね。(夜風の切る音が心地良い日。薄明かりの寄宿舎前に、一人の訪問者が現れる) …ちーッス!(ずかずかと屋内へ踏み込む) 」

ヴォイド「――いらっしゃい。宿泊希望者か?(「しぃ―っ」とジェスチャーをして、訪問者の対応をするために目の前のテレビの電源をリモコンで消す) 」

×××「あー!どーもどーも!!(耳障りなほどきんきんと響く大きな声で挨拶をしてきたのは、銀髪に黒いバンダナを巻いた青い肌身を持つ青年… その奇抜な外見は、人間ではないがそれに似た種族であることがひと目でわかった) やァーさー!実は俺、人を探しているんスよー!この辺にィ…『ヴォイド』?って奴がいるって聞いたんスけど~。あんた、ご存知無いスか??(ヴォイドのジェスチャーになど目もくれず、人差し指で顎を掻きながら辺りをキョロキョロ見渡している) 」

ヴォイド「静かにしてくれ、この時間になると俺に苦情が来ちまう……(ため息混じりに立ち上がり、来客対応用の椅子へと移動)『ヴォイド』って呼ばれているのは俺だ。ここの準管理人をやっている。 」

×××「あっ!!マジッスか!!!?(ウヒョーとコミカルなリアクションを取って、初めてヴォイドと目を合わせる)やったッス!いきなりお求めの方と出会えたッス!!!(パンパンと手を叩いてはしゃぐ)…じゃあ、早速なんスけど―――――― 」

×××「―――――― "あんたの首、貰っていくッス"!!(刹那―― ヴォイドが振り返るとそこには低空跳躍から居合の態勢に入った、狂気を孕んだ表情へ豹変した青年―――) 」

ヴォイド「――ここで抜いても意味がねェ。今すぐその口閉じて悪ふざけはやめろ。(今まで寄宿舎の刺客など、巡り会うこともなかったというのに、驚愕をくれもせず、硬直もせず、その青年を見据え)ゴトゴト(座ろうとしていた椅子から離れ、元の位置に戻す)騒ぎで山羊を起こすわけにはいかねェんだ 」

×××「   ニ    ィ    ッ    !    !   (ヴォイドの忠告が耳に入っているのかどうかは分からない。しかし青年は「赤い眼」は一直線にヴォイドの首を狙い――――)――――   ズ   ァ   ッ   !  (凶刃を振り抜いた) 」


BGM♪



ヴォイド「(視線はその狂気を視野に収めたまま)……(振り抜かれた時、「ソレ」は空振りに終わっていた)ドッ!!(狂気を振り抜いた青年に対し、その硬直を狙い足元の椅子を蹴り上げて胴体へと遠投すると)バッ!(幸い、管理室の真横に立て掛けていた鞘に対して大きくローリングし、手に取り立ち上がる) 」

×××→シド「―― げぶッ!?(蹴り上げれた椅子が直撃。そのまま宙で一回転し、ヴォイドと距離を保ったまま対峙する)……ッッッッハァ!!!(わなわなと身体を震わせ、愉快に満ちた満面の嗤い顔を晒す)初見でかわされたのは初めてッス!(刀で虚空を裂きながら一旦納刀) やっぱクドゥエラの言ってた通り… こいつぁ上質なもんが"採れ"そうッスわ!……んッ、決めたッス!俺の名は『 シド 』。その首取れるまで、ちぃ~~~っと遊んでくれッス! 」



――― Vs 【 赤い泪 】 シド ―――


ヴォイド「諦めてさっさと静かにしろ。その剣は俺に届かねェ(ツカツカと玄関へと歩き、靴のつま先を叩くと寄宿舎の外へと出る) 」

シド「くぅ~~~~~ッ!!(ヴォイドの行動から「相手をしてくれる」と察した青年は両腕でガッツポーズ。彼に続き寄宿を出る)んじゃま、遠慮なくいくッスよ!( フ ォ ン ッ )(暗夜を疾る無音の影―――)―――― ッ シ ェ ア ッ ! ! (懐に現れるや否や閃光が瞬き、虚空が切り裂かれる) 」

ヴォイド「(ダイニングテーブルや掲示板は壊したくねェ、住民を起こしたくはねェが……)バ チ 、 ヴ ァ リ リ ッ (闇夜に煌く閃光が、鞘の間から漏れる)ヴ ァ リ リ リ ッ ! ! (シドを『視野』に捉えており、その零距離からの攻撃に対して即座に抜き取った雷神剣が、シドの攻撃を防ぐ)ギ チ ッ …(片手で持った雷神剣に、もう片方の手を添え、鍔迫り合いに持ち込む) 」

シド「(   ガ   キ   イ   ィ   ン   ッ   !   !   !   ) ニ ィ ィ ィ イ イ ッ ♪ ( ギギッ…ギジッ…バジバジィッ… ! ! )(拮抗した鍔迫り合い状態の中、彼は依然ヴォイドを直視している)ギギギィ…ギジィッ…ジギギッ… ! ! (受け止めたまま前方へ圧倒し)――― ギ ャ ア ァ ン ッ ! ! ! (両断する勢いでヴォイドを吹き飛ばした) 」

ヴォイド「( ズ ズ ズ サ ァ ァ  ― ッ !)(吹き飛ばされると、両足で地面をえぐり、シドとの距離を隔離させないよう、踏みとどまる)……(俺の体重と雷神剣の重量……優に110kgを超え、俺の圧力も加えた。それをこいつは――)やってくれるぜ、ったく(バツが悪そうに、口を曲げて雷神剣を一振り)(カ チ ッ …)(ただ構えるだけでも、雷神剣の機械音は響き、光を灯す)”風は風に”(中距離のシドに対し、小竜巻を発生させ牽制を行う) 」

シド「ほわッ!!?(目前より草葉を巻き込み迫る小さな竜巻に驚嘆)剣で起こすなんてマジパネッスねぇ!!(そう言うと回避するかと思われたが、自ら飛びこむ様に直進) ブ   ワ   ァ   ン   ッ   !   !   !  (何を行ったのかは不明だが、可視できぬほどの高速剣技で竜巻を相殺)―――― イヤッフウウウゥゥゥゥウウウウ ! ! ! (剣士の稚拙な行動理念と相反するように、無駄なく洗練された幾重の剣閃がヴォイドをジリジリと圧倒し始める) 」

ヴォイド「――(”風は風に”は相殺されたか、誘いには使えねぇ……)チッ…!(防戦一方で、シドの攻撃をひたすらに剣の筋で当てていく)―ーッ!(ガードから反撃に転じようと、半ば無理やりに彼の攻撃を雷撃で弾く) 」

シド「(―――!)っととォ…!(微弱な静電気から雷撃を予知。明らかに人間離れした感知能力で雷撃を受け止め後退する)…んへェ…!ヤベェ…スゲェ…!!!んな"重い"剣で、風を起こし、雷を起こし…ただの剣士ってわけでもなさそうッスね!じゃ~…俺も少し見せてやるッスかー!!(人差し指と中指を合わせ刀に沿わす)―――― 哭け、『 禍 津 』。(口上と共に黒い瘴気が刀を包み込む)  ブ  ワ  ァ  ッ  !  !  (瘴気が散乱すると、銀色の刀身が黒く変色。その峰部分に、赤く不気味な一閃が描かれている)……(刀を肩に掛け、もう片方の手で来いよと挑発) 」

ヴォイド「ヴ ァ リ リ ッ(雷鳴で返事をすると、両手ではなく片手で雷神剣を持ち下げる)――(機敏に距離を詰め)ギャインッ!(剣の間合いで階段の段差、一段程度跳躍した上空からの振り下げ)ヴォンッ!(上空攻撃を意識させて、着地と同時にしゃがみ姿勢に移行し、下段斬り払い)飛んでけッ!(右に振り終えた雷神剣を、弧を描くようにシドの真下から振り上げ) ッ セ イ リ ャ ァ ! ! (ガードされる前提の振り上げの連携として、華麗に見えるほど垂直に出された前蹴りでシドの腹部を突く) 」

シド「(接近するヴォイドをまだかまだかと待ち構え) ガ キ ィ ン ッ ! ! (振り下げを水平に構えた刀身で防御) フ ォ ン ッ (続く下段斬りを低跳躍で回避)――――ッ!(ちょ―――)  ガ  キ  ャ  ア  ァ  ン ッ  ! ! ! (ヴォイドの読み通り、低空で縦に構えた黒刀で重い斬撃を防御。しかし…)ぐぶ…ッ…!(蹴りが見事に腹部にクリーンヒット。「く」の字に吹き飛びゴロゴロと地面へ転がり倒れるが) ズ ザ ザ ザ ァ ー ッ … ! ! ! (態勢を整え直し着地) 」

シド「……ッ…ッ…ッ……!!(込み上げてくる亢奮にその身が震え出す)――― 楽しいっスねぇ!!!(がばっと顔を上げ、その不敵な笑みでヴォイドと向き合う)そうッス…!そうこなくちゃ…面白くないッスよ!!!…ハアアァァァァアアイッ――― ザ グ ン ッ (刀を地面に突き刺し)―――― ヤ ァ ッ ! ! 」


――― ズ  ギ  ャ  ァ  ッ  !   ズ  ギ  ャ  ア  ッ  !  !   ズ  ギ  ャ  ア  ァ  ッ  !  !  ! (シドの突き刺し後、地面から巨大な刀身が幾重にも突出し続け、距離が縮まる度に刃も増え、ヴォイドに串刺しにせんと襲いかかった)


ヴォイド「(蹴りから体勢を整え、目の前から迫り来る数多の刃を認識すると)”守護雷神”(自身の真下に、魔法陣を生成)ボッゴォッ!!(魔法陣ごと、真下から強烈な衝撃で吹き飛ばされ、宙を舞うも体制を崩さず)スタッ(上手く後方に着地し、再び雷神剣の側面を構える)こっからだろう 」

シド「(自分の刃の餌食にならなかったヴォイドを、そう期待していたかのように青年の笑みは崩れることを知らなかった)ああ…ッ!まだまだ遊び足りねえッス!もっと俺を楽しませてくれるんスよねぇ!!?(黒刀で虚空を薙ぎ、無音移動―――) ――― ィ ェ ェ ェ エ エ エ エ ! ! (嶄然と輝く刃を振り抜こうとした、次の瞬間―――) 」


ズ ズ ズ ズ … ―――――――  ガ   キ   ャ   ア   ァ   ン   ッ   !   !  (闇夜から剥がれ落ちた何かがシドの刃を受け止める)


シド「――――!……何やってんスか…(自らの刃を受けたその『影』を見やり、落胆したように目を細める) 」

ネロ「(ズズズズ…)(影はみるみると人の形を成していく。少女の背から生えた黒翼が彼の刃を受け止めていた)……( 『 招集 』 )(スマホに打ち込んだ文字がホログラムとしてシドに伝わる) 」

シド「今いいとこなんスよ。もーちょっと待ってもらえねえスか。 」

ネロ「……( 『 教祖様が呼んでる 』 )…… ズ ズ ズ ズ … (ヴォイドに一瞥を与えた後、少女は再び影となる) 」

シド「……チッ… (柄に添えた手と、刀を握ったもう片方を後頭部へ回し) ちぇ…なら戻るッスよ。(不満足そうに唇を尖らす)…"次"は死線を越えるまで殺り合いたいッスね。(ヴォイドに不敵な笑みを浮かべると、その影に包みこまれ、闇夜へ溶け込む様に消え去った) 」

ヴォイド「…(刃を交えたシドではなく、ネロの姿を最後まで直視する)――(姿は覚えた。この因縁のつけられ方は、あの時代を思い出す……)……(寄宿舎には戻らず、雷神剣の雷鳴を圧え、その場から重い足取りで離れる)……赤い眼の奴らか…… 」



――― 走行中のカオストレイン ―――


ガタンゴトン… ガタンゴトン… ! (列車の窓の外には、綺麗な夜の街並みが広がっている)


謎のヒロインK「んしょ…(空席にちょこんと座りこむ) ふぅ… (キュウカの言うとおり 隣の国まで行かないと この列車に乗れば 大丈夫 かな…)(みすぼらしいローブ服に身を包んだ少女が列車に揺らされる)コク…コク…(その揺れがあまりに心地よいのか、うとうとする) 」

エディ「 ゴトン ゴトン (なだらかに流れる夜景を収めた車窓を傍らに窓に頭をつけ、殆ど街明かりが星々を散りばめた地上の夜空の様にしか見えないそれに視線を落とす)––––––スゥゥ……(ふと腕時計に視線を落とす、指し示す時刻からして長い間寝ていないことを思い出すと疲労感が襲いかかり瞼を重くして吐息をこぼしながら背もたれに体重をかけるまどろみに溶けようとしたところ、間際に他の乗客とは風貌が若干異なる謎のヒロインKが視界の端に収まり片目を開け銀の瞳を向けた) 」

エディ「(旅行者……には見えないな、不自然だ。何より”楽しい日曜日”って雰囲気でもない。じゃあ仕事帰り……でもないな、あれでやる仕事が想像つかない。ジプシー……いや、それもない。なりの割には小綺麗にしている) 」

セールスマンの男「コツ…コツ…(アタッシュケースを片手に先頭車両へ踏み込み、運転士の真横へ移動する)……(何も言わず、ただただじっと運転士を見つめる) 」

運転士「……?お客さん。両替でしたら、車掌の方へお声掛けください。(セールスマンの視線に気づいたのか、彼の方へは振り返らず運転に集中している) 」

セールスマンの男「…… ス ッ ――――(ロングマガジンを装備したグロック18Cを懐から取り出し、運転士の脳天に銃口を突きつけ) 」


―――  パ  ァ  ン  ッ  !  !  ―――


運転士「 ド ッ … ! (操縦台にぐったりと倒れ込む) グ イ ッ … (その拍子で加速レバーを最大まで押し込んでしまう) 」


――――   グ     ォ     ン     ッ     !     !  ――――― (途端、列車が急加速する)


な、なんだ…!?急にスゲェ音がしたぞ…? おわっ!? きゃっ!? なんだなんだ…っ!?(発砲音と列車の急加速による突然の事態に全車両がその異変に気づく)


謎のヒロインK「(はぅ… なんだか ねむくなって…)……!!?(突然の揺れにそのまま横席へ倒れ込む)うっ… な なんだろ…?(ゆっくりと身を起して静かに辺りを見渡してみる) 」

セールスマンの男「 ガ シ ャ ァ ン ッ ! ! (急激な加速で揺れ始める車内で悠然と佇み、操縦席のブレーキレバーを破壊する) ス ッ ―――― ズ ダ ダ ダ ダ ダ ッ ! ! ! (その後銃を構え、目の前にいる乗客に無差別発砲を始める) 」


はぎゃぁッ!! ぐぁぁああッ!!! ぎゃあああぁぁッ!!! (突然の発砲の餌食となった乗客たち。彼らの血飛沫が先頭車両を赤く染めていく)


逃げろォッ!! 馬鹿!押すな! 邪魔だッ!! あっち(隣車両)へ逃げろって!!早く!!(発砲音に怖れ慄く生存者たちが逃げまどい、一部車両で大混乱が起こる)


プリム「 うわああぁぁー!(車内で乗客たちに吹き飛ばされる) 」

エディ「––––––!! (一定のリズムで響く列車の走行音に混じって微かに響く甲高い破裂音、直後の急加速。一瞬目を丸くするが足を組んで座したまま肩を竦め)オーケー牧場の決闘だ……冗談よしてくれ、今日日曜だよな……!(逃げ惑う乗客達が彼の座席の側を濁流が如く流れてゆく。眼に映るは恐怖に歪めた何お落ち度もない乗客の顔顔顔、当然視界が悪く襲撃者の姿は見えない) ヒュオッ トンッ……  (そこで彼は楽器ケースを天井ぎりぎりまで放り投げ、目前のシートに手をかけそれを軸に腕力で宙空へ飛翔) 」

エディ「––––––––伏せろッ!!(乱暴に乗客達へ怒鳴りつけると同時に、足をコンパスのように広げ、下半身を捻り遠心力の乗せ蒼炎を灯した蹴りを楽器ケースの先端に叩きつけ、 セールスマンの男へ蹴投した) 」

謎のヒロインK「……! 嫌な音 聞こえる…(遠くの車両から聞こえた叫び声や発砲音に気づいて立ち上がる) わっ …!(こちら側へなだれ込んできた乗客たちの波を潜り抜け、彼らとは正反対に突き進む) 」

セールスマンの男「 ド ド ッ ド ド ド ッ … ! (乱射しながら後方車両へとどんどん歩みを進めていく)……!( ド ゥ ン ッ ! ! ! )(乗客の波から飛んできたその蒼い"火矢"を咄嗟にアタッシュケースで受け止める)……へぇ…(まるで商品を吟味するかのような目つきでエディの全身をまじまじと見つめる) 」

謎のヒロインK「わっ…!(乗客たちの中から飛び出したエディを見上げ驚く) 銃… あの人 主犯 (セールスマンの男と彼が持つ武器を見て、エディと並び身構える) 」

エディ「–––––––ガゴォンッ!! キ ィ ン…… (アタッシュケースの衝突で火矢と化した楽器ケースが潰した空き缶のようにひしゃげ蓋が開き、中から装飾一つない片刃剣が直線状の青い奇跡を描いて飛び、エディの手元に収まる)––––––("利"のある品物を見据える男の視線とは対象的に、廃すべき害を見据える冷淡な眼光を尖らせ黙して退治した)–––––車掌まで日曜日って訳じゃないだろ。あんたと一緒で仕事熱心な筈だ 」

セールスマンの男→グラムバッハ「よもやこのようなところで珍しいお方に出会えるとは。光栄ですよ―――『エドガー・アルクイン』さん。(初対面の名を口にした男はハットを目深にかぶり直し、不気味なまでに口角を上げる)自己紹介から始めましょう。私は『グラムバッハ・ノーベル』。武器商売を営んでおります。以後、お見知りおきを―――― パ ァ ン ッ ! ! (挨拶を終えるや否や、エディたちに向け発砲する) 」

ヒロ「(寄宿舎内ロビー)…へぇ、ヒースが初勝利ねぇ…よくあそこで逆転したたn…緊急ニュース……え、何?カオストレインが暴走?超高速で突っ込んだ?おいおいただ事じゃねーだろこれ……… 」




――― Vs 【 赤い泪 】 グラムバッハ ―――


エディ「 チュインッ!!(片刃剣を左手に持ち替え並び立つ謎のヒロインKの前にスライド移動し、剣をX字に軽く振るって弾丸を難なく弾き落とし)人違いだ、それにあんたとは今後一切、縁もゆかりもない。お友達はブタ箱で作るんだな ––––––避難口はあっちだ。こう言う状況で『身を守る』に撤するを徹底できない点については後できっちり説教するからな、柄じゃないが(グラムバッハを注視したまま背越しにヒロインKへ囁き)–––––名前は? 」

謎のヒロインK「グラム…バッハ… 何が 目的… きゃっ…!(飛んでくる銃弾に思わず身を屈めるが、庇うように現れたエディに救われ、恐る恐る彼の背を見上げる)ありがとう… ―――――『     』。(エディに、その名を伝える) 」

グラムバッハ「 ゴ ト … ―――― コツ……コツ…コツ…コツ、コツ、コツ、タン、タン、タン…ッ… ! (銃を捨て、足早とエディたちのもとへ詰め寄っていく) グ ォ ン ッ … ! (エディの目前まで迫り、大きく振り被ったケースを彼の脳天を穿つ勢いで叩きつけようとする) 」

エディ「よし『   』。悪いが今車掌はバカンスに出かけたらしい、列車が夢の山に仲間入りになるまで帰ってこないだろ(砕けた口調とは裏腹に真剣な眼差しを『   』へ向け、接近してくるグラムバッハの気配を察知すると、とっさに彼女の踵に足を引っ掛け体を浮かせ) 」

エディ「––––っつァ!(抱きかかえると同時にスライディングするようにしてグラムバッハのギロチンが如く振るうケースの殴打をくぐり抜け、『   』を無駄なく最低限床への衝突による痛みがないよう加減を加えつつ彼女を床に放り)っシャァァァッ!!(同時に防御される前提で屈んだ状態をバネに飛翔しアーチを描くようにして回し蹴りをグラムバッハ目掛け振り落とす)行け!君が止めろ!! 」

謎のヒロインK「う、うん…? ふぇ―――――(スローモーションの世界で宙に浮かされる)――― わっ…わ…っ…!ひゃん…っ…(思わず目を瞑り、自分が抱きかかえられたことを認識する間もなく床へ放り出される)……ぅ、うん…っ…!(エディの気迫の籠る声音から自分に託されたことを汲み取り、強く揺れる列車の中を覚束ない足取りで進んでいく) 」

グラムバッハ「 ガ ツ ァ ン ッ ! ! (空ぶったケースが床を強く打ちつける) ド ゴ ゥ ッ ! ! (前かがみのまま振り返る最中、わきの中から覗きこんだエディの蹴りを片腕で受け止めた)…無駄ですよ。あの幼子に止められるものですか。(腕を払いエディを退かせる) 」

ヒロ「……運転手がなんか企んでるか、乗客か……どっちにしろ目的はわからんがテロ目的っぽいなこれ…え、乗客が撃たれた?(テレビにかじりつくように見ながら) 」

エディ「クルンッ トツ(腕で足を払われるとその勢いのままバク宙し着地)––––止めるさ、だから行かせた(根拠一つ提示せず、それが当然とでも言うように短く返し)–––––ああ、思い出した……グラムバッハ・ノーベル……【死の商人】。で、そんな有名人が何の用だよ。大方新作のプレゼンか……それとも(『   』が駆けて行った方向を一瞥し)–––––探し物か 」

グラムバッハ「おや、私の名をご存知でしたか。まあ、札付きで名が通っている様なものなんでしょうけど。フフフ…そうですねぇ。ただいま新しいビジネスに向けて準備に忙しいんですよ。できれば邪魔しないでいただきたいのですが…(帽子の陰から覗く『赤い眼』が鋭く輝く) 」

グラムバッハ「“剃”(ソル)――― シ ュ ン ッ (1秒間に地面を何十回も蹴り上げ瞬間的に消える) シ ュ ド ン ッ、 ド ゥ ッ、 ド ゥ ア ッ ! ! ! (不可視の高速移動が空間を駆け廻る) シ ュ ン ッ ―――(片手でハットを抑えたままエディの背後へ旋回) “嵐脚”(ランキャク)――― ズ ッ バ ア ァ ン ッ ! ! (強く振り上げた脚から巻き起こされた鋭い鎌鼬が斜め45度に飛んでいく) 」

謎のヒロインK「はぁ…はぁ… 止めないと これ以上 犠牲者 増やさないため …きゃっ…!(暴走列車の強い揺れに前方に転倒する)…いたぃ… でも (よろよろと立ち上がる)絶対 止める (再び先頭車両へ向け歩みを進める) 」

エディ「(防げないか……)ヒュオッ ザシャッ(片手剣を背後へ捨てるようにして宙空へ放り、振り向き側に足を広げつま先で半円を描き前進しつつ 地に伏せ、飛ぶ斬撃が頭上を通過)ッ  ガァンッッ!! (伏せた状態から立ち上がると同時に座椅子を思い切り蹴り上げ砲弾よろしくグラムバッハへ飛ばす) 」


―――― パ リ ィ ィ ィ イ イ イ ン ッ ! ! ! (エディを吹き抜けた鎌鼬はそのまま後方車両の窓を断裂。ガラス破片が一辺に砕け散った)


グラムバッハ「……!(砲弾の如く蹴り飛ばされた座椅子を交差した腕で防ごうと試みるが、その勢いに圧倒され後方へ吹き飛ばされる)グルン…ダンッ… ! (一回転した後態勢を整え直し着地)ガ シ ャ ア ァ ン ッ ! ! ガ シ ッ ! (その後、偶然真横にあった非常口ドアの窓ガラスに片手で突っ込み、ドアを鷲掴む)グ ォ ン ―――― ド ゥ ァ ッ ! ! (強引に引き抜いたドアを軽々と持ち上げ、エディ目がけ水平に勢い良よく投げ飛ばす) ダ ッ … ――― ズ ダ ン ッ ! ! (その後剥きだされた非常口から飛び出し、車両の上へ移動した) 」

謎のヒロインK「もう少し かな… はぁ…はぁ…(肩で息をしながらひたすら直進、ついに先頭車両へ到着する) 」


地獄絵図と化した先頭車両。そこには数えきれないほどの死体が転がり、血と肉の醜悪な臭いが充満していた。


謎のヒロインK「うっ… (ひどい… 人が こんなに…)(遅い来る醜悪な光景に思わず目を伏せる)…だめ 任されたんだ …止める …行かなきゃ (口元を手で抑え込みながら死体の山を潜り抜けていく) 」

エディ「 ゴォンッツ!!(鉛の塊を殴りつけるようなおよそ人体からはありえない音を立ててドアを片腕で受け止めるが)  フォ……   ガ ツ ドッ  ズシャァァ(宙に浮いたまま想定外の圧で吹っ飛ばされ両足を地につけてもなお押されグラムバッハとの距離を離される)チッ……(無表情を守り一つ舌打ちしドアを押しのけると既にグラムバッハの姿はなく上へ向かったたと察し)––––––("罠"……いや、車掌室か) 」

エディ「(傍にある乗り入れ口に横目を向け)ゴォンッ!(蒼炎を灯した”銀の腕”で”強めにノック”し、彼方へひしゃげたドアが葬られる)元から趣味の悪いデザインだと思ってた(ひとりごちるとドア枠を鉄棒の要領で両手で掴み、そのまま両足を前に繰り出して車外へ身を投げ、逆上がりの要領で身を逆さにするとドア枠から手を離し、きりもみ回転をし、風圧で先に逝ったドアの後を追いそうになりながらも天井へ着地。既に待ち構えていると判断しノールックて剣を抜き放つ) 」

グラムバッハ「バサバサ…(スーツが強く靡く中、後を追ってきたエディを不敵な笑みで迎える) 間もなく列車は終点へ辿り着く。このまま進めば駅に大衝突――― 全乗客は"死亡"。バ ッ ――― ズ ギ ュ グ グ グ … (片手を広げると手中から黒い靄が噴出。靄は細長い形を成していき、やがてそれは黒刀となる) シ ャ キ ン ッ (手首を軽くひねり黒い刃をエディへ向ける)貴方がたを始末すれば、私の「任務」は果たされる!(黒刀を振り抜き、駆け出した後に斬りかかる) 」

謎のヒロインK「んしょ…っ… ……ッ…(操縦席のもとへ辿り着き、そこで絶命した運転士の姿が視界に入り、列車暴走の発生原因に気づく)…ごめんなさい(ぐったりと倒れ込んだ運転士の遺体を壁に寄せ、操縦台を見る)停止は…どれだろう……あ…っ…!(その時、一部だけ不自然に破壊されたものが停止レバーだと気付き、表情が青ざめる) 」

ヒロ「………や、やばいな…これ止まんねえと列車が突っ込みそうだ…!(テレビを見ながら) 」

エディ「そーかい、上手くいくといい……なッ!(腕をくの字に降り刃を体と水平になるよう構えて一閃を受け止め)ザシャァッ……ツ(車上の上を滑走するようにして鍔迫り合いになったまま押され)フッ!!(余った腕でグラムバッハの胴体に肘打ちし牽制→距離を僅かに離すと小ぶりなアッパーの要領で切り上げ→振り上げた剣に両手を添え袈裟斬りを振り下ろす) 」

グラムバッハ「ぐッ…!(肘打ちが腹部に炸裂、僅かにひるみながら後退する) ッ……!( ギャキィンッ、ガギャアァンッ ! ! )(切り上げられた刃を黒刀でいなし、続く袈裟斬りをも片方に握ったケースで防御するが軽く宙へ浮かされ後退する)やれやれ…困ったものだ―――― ヒ ュ ン ッ ! (瞬間的にエディの懐へ) ガキィンッ、キャギィンッ ! ! キィンッ、カキャァンッ、ギャキャンッ ! ! (片手の黒刀だけで斬撃を繰り出し圧倒) ヒュンッ――――(繰り出される斬撃の死角からケースを振り上げ殴り飛ばそうとする) 」

謎のヒロインK「どうしよう このままじゃ……!(ふと視線を落とした先に、施錠された両開きの蓋を発見)そうだ……!(運転士の腰元にぶら下がっている、幾つもの鍵が付いたキーチェーンを取る)この中のどれかに… …… …… ……やった…(鍵を何本か差し込んで施錠を解除) 」


蓋を開くと、そこには謎のメーターや剥き出された何本ものチューブが並んでいた。


謎のヒロインK「この内のどれかが きっと… そう信じる(懐からナイフを取り出し、目の前のチューブ一本切り落とす)……これ ちがう … ぜんぶ きらないと (そうして一本ずつ切り落としていく) 」

エディ「ギィンッ キィン!! ガンッッ キィンツ ガァンッ!!(正面からグラムバッハの姿が消えるとノールックで刃を背の鞘に収めるような動作で回し斬撃を防御、目の前に向かって振るうようにしてそれを弾く→ 振り向き側に柄の先端を二度目の斬撃にぶつけつつ一瞬の隙を作り態勢を立て直す→その後は左手に刃を持ち替え、片手で繰り出す小ぶりな斬撃で”凌ぎ”、グラムバッハの左手側へ回り込むようにしながら剣閃が、軌跡が、火花が、幾度となく疾走する車上の上に咲き)––––– ┣¨ゴォッ!!(一切の無駄なく斬撃の合間に放たれたアタッシュケースの打撃に対し直撃を避けようと回避を試みるが、剣を握る左手にそれは衝突し––– 」

エディ「ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッ ギィンッ!!(無数の円を宙に描いて剣は吹っ飛ばされ車上に突き刺さり)ザシャァッ(その反動で押され後退し、丸腰、素手の状態でグラムバッハと対峙すこととなるが、以前としてその無表情を崩さずただ目前の敵を注視したまま、銀の瞳に眼光は冷たく横たわる) 」

グラムバッハ「 ニ タ ァ ――― (不気味に口角を上げ、ケースを背後へ放り投げる) ガ シ ッ ――――― ズ ダ ァ ン ッ (その隙を突くかのごとく“剃”で一気に距離を詰め、エディの首を掴みそのまま馬乗りになる)これにて、さようなら――――(黒刀の切っ先がエディの眼球に差し迫ろうとし―――) 」

謎のヒロインK「これも これも 違う… (チューブを切り落とす度、ナイフを握る手が次第に震え出す)――――― お願い…!!(そして、最後に残った一本に希望を賭けるように、切り落とす) 」


ガ  ゴ  ォ  ン  ッ  !  !  ! (彼女が最後の一本を切り落としてしばらくした後、列車に異変が発生) ギ ャ リ ギ ャ リ ギ ャ リ ギ ャ リ ィ ッ !  !  !  ! (急激に速度を落とした列車が線路と強く擦れ火花が飛び散る)


グラムバッハ「―――――!!?(エディの眼球を突き刺そうとしたその時、激しく揺れる列車によって転倒。エディの身体から離れてしまう) 」

エディ「キュィッ––––––– (グラムバッハに首根っこを掴まれる刹那、銀の腕から駆動音が脈動し、"自身"ごと焼こうと熱を収束させるが) ガ  ゴ  ォ  ン  ッ  !  !  !  (瞬間、果敢に脇目も振らず立ち向かって逝った少女の姿がフラッシュバックし、気づけば自身の体は宙に浮き、『納得』を得ると口角を釣り上げた) ガンッ (車上に着し、突き刺さった剣を拾い上げ首の掴まれた部位に手を添えコキコキと鳴らす)–––––よく頑張ったな(届くはずのない感謝を口にし、薄く笑む) 」


ギ  ギ  ギ  ギ  ギ  ギ  ギ  ィ  ィ  ィ  ィ  …  ッ  …  !  !  !  ! (暴走列車は徐々にその速度を落とし、終点へ辿り着く間際には、完全に停止したのだった…)


謎のヒロインK「……とまった…?……やった……!(揺れが収まったのを確認した後窓から外の景色を覗きこみ、安堵したようにほっと息をする) 」

グラムバッハ「グゥ……!よもや、こんなことに…(ハットを押さえつけ揺れに耐えようと強く踏み込む。列車が完全に停止したのを確認すると驚愕の眼差しで足元を俯瞰する)……やはりあの娘を警戒しておくべきでしたか。我々を"二度"も出し抜くとは、思ってもいませんでしたよ。(やれやれと溜息を吐き捨てる) 」

グラムバッハ「 ポ イ (黒刀を投げ捨て、傍らにあるケースを拾い上げる)とにかく「任務」は失敗。私はここらで撤退いたしますか。…では、またいつの日か。御機嫌よう ――― (帽子のトップに手を添え、天井からエディの方へ向いたまま飛び降りる。宙へ浮いた彼の身体は黒い靄となって散乱し、夜の中へ溶け込む様に消え去った) 」

エディ「チャキ……ッ(手にした剣を投擲しようと身構えるが、周囲が駅であり、大勢の民間人が事を確認しようとか混み始めていることを認識すると、ため息を零し伏して首を横に振り納刀)–––––(『二度』……ビジネスとは言っていたがあの娘の確保も目的だったのか……いや、それならここで退くだろうか……)…………。カツン…カツン…(踵を返し車上を沿うように歩き出す。駅員他数名が既に車両に集まり始めているのを確認すると、それから逃れるように駅から飛び降り)–––––報告書書かされるのは御免だ(さっさとさっきの娘の無事を確認したらどこかに預けて帰ろう……厄日だ……) 」

謎のヒロインK「ふぅ…(車両からぴょんと飛び降りる)…列車 無事止まった …よかった……あ (その後、エディと遭遇) 」

エディ「––––––ん(ヒロインKと鉢合わせになり無意識に何度したのか口元が綻ぶ)無事だったか、何よりだ(成果よりもまず先に率直に『最優先事項』の結果に対する喜びを告げると片膝をついて目線を合わせ、靴底に血痕がこびりついていることを確認すると決して小さくない背徳が胸に刺さり歯噛みし……)–––––––君のおかげだ、誰も死なないというわけにはいかなかったけれど……少なくとも(くいと首を捻り視線を背後へ誘導する) 」

鉄道警備兵「誰かいますかー!」「押さないで、順番に……お年寄りや子供、体の不自由な方を優先してください」(彼の示す先では確かに今ある命、グラムバッハの任務において当然のように死して然るべき人々が、鉄道警備兵の懐中電灯に照らされながら線路上に降り、誘導され歩き、中には生存を喜び合い、抱き合う家族の姿もあった) 」

謎のヒロインK「あの… あの時 助けてくれて ありがとう(ぺこりとエディに頭を下げる)…うん……(エディの視線に釣られる様に、駆けつけて来た駅員や消防士、そして彼等に運ばれていく遺体に思わず目を伏せる) 」

エディ「–––––あれだけの数の人達を君は救えた。 安い文句で申し訳ないけれど……心から感謝するよ、ありがとう(救えなかったものよりも、救った数を数えられるようにそっと彼女の頭を髪をとかすように撫でめいいっぱいの感謝を伝える。保身を顧みず、果敢に立ち向かった少女だからこそ、失ったものに心を痛めることがないように)……(ありがとうに対し『大したことじゃない』と首を横に振って伝え)–––––あれだけの数の人達を君は救えた。 安い文句で申し訳ないけれど……心から感謝するよ、ありがとう(救えなかったものよりも、救った数を数えられるようにそっと彼女の頭を髪をとかすように撫でめいいっぱいの感謝を伝える。保身を顧みず、果敢に立ち向かった少女だからこそ、失ったものに心を痛めることがないように) 」 」

謎のヒロインK「ぁ……(この事件 たくさんの人 亡くなった… でも 生きている人も いる…)(生存者たちの素顔に一瞥を与え、自分の小さな手のひらに視線を落とす) 」

エディ「(ありがとうに対し『大したことじゃない』と首を横に振って伝え)–––––あれだけの数の人達を君は救えた。 安い文句で申し訳ないけれど……心から感謝するよ、ありがとう(救えなかったものよりも、救った数を数えられるようにそっと彼女の頭を髪をとかすように撫でめいいっぱいの感謝を伝える。保身を顧みず、果敢に立ち向かった少女だからこそ、失ったものに心を痛めることがないように) 」 」
謎のヒロインK「あぅぅ… うん… (優しく撫でられ目を瞑るが、その表情に陰りはなく、安らぎに満ちていた) 」

エディ「–––––––– (『"結果論"だが……この子がある種平凡ならざる精神を持っていたからこそ最小限に留められた……けど––––––– たったのこれだけだ。今回もまた、たったのこれだけしか俺は救えなかった……』)……(グラムバッハの姿がまぶたの裏でで幾度となくちらつき、人知れず強く、口内で鉄の味がするほどに強く歯噛みし自己の無力に対する呪詛を噛み締めた)––––––さて……と。どうするんだ、このままここに残れば事情聴取なりなんなりがうるさくなる。ともすれば君が列車の暴走を止めたことが明るみになって忽ちヒーローになるわけだけど……"今"は不味いんじゃないか、悪目立ちするのは 」

ヒロ「……ん、続報……電車は無事に事故らず停止、乗客もほとんどが無事生存、か…はぁ良かった……(テレビを見ながら) 」

謎のヒロインK「う、うん…… ……?あの ちょっと 待って… …… …… ……(エディにそう言うと急にしゃがみ込み小言を呟く。明らかに不自然なその行動には眉を潜めるものがあったが、しばらくして立ち上がる)……あの お願いが あります …あなたの傍に しばらく居させてほしい です…(少し気恥ずかしそうにお願いし) 」

エディ「(え、なにそれ困る)(と無表情を装っているが目がそう告げている)–––––もしもし110番案件って知ってるか……まあいいや。一応理由聞こうか。こっちにも事情があるしさ 」

謎のヒロインK「…わかった でも その前に… 「会わせたい人」 いる… きて…(そう言うと小さな手でエディの手を掴み、人気のない場所へ誘導。そこで物語はフェードアウト―――) 」



― ルサーナシティ ―




――― ズ ガ ァ ァ ア ア ア ン ッ … ! ! ズ ガ ァ ァ ア ア ア ン ッ … ! !


都会に鳴り響く喧騒。
しかし、その騒音は日常生活では決して耳にすることのない夥しさを帯びている。
爆音、悲鳴… 痛々しい生音が、街中の至る箇所から沸き起こっているのだった。

政府軍衛兵A「こちら第16小隊!ゲート8も突破されてしまった!!至急本部からの応援を要請する!!」

政府軍衛兵B「敵機体、ゲート9へ進行中!このままでは、ゲート10の避難シェルターまで突破されるのも時間の問題だ…ッ!!なんとしてもあの敵機体を食い止めろッ!!」

政府軍衛兵C「ハッ、ハッ、ハァッ…!(現場へ駆け出してくる)本部より連絡!!こちらの要請に、『ガーディアン』と『フェニックス』が現場へ急行中!間もなく到着するとのこと!!彼らが到着するまで、なんとしてもゲート10を死守するのだッ!!」


その頃、ゲート9と呼ばれる区域では、巨大な蠍型の起動兵器がゆっくりと真っすぐに進行していた。
迎撃しようと立ち塞がる、政府保有の獣型兵器をその大きな腕鋏で鋏掴み、無慈悲にも握りつぶす勢いで真っ二つに切断。
両断された兵器群は虚しい爆発音を上げて塵と消えていくのだった――――――




クドゥエラ「キヒ、キヒヒッ…忌避避避避避避避避避ッ…!!!(巨大蠍型兵器の操縦席にて不気味に嗤う真っ白な肌を持つ男。無謀にも立ち向かい、儚く散っていく兵器群を嘲笑っているかのようであった)」

クドゥエラ「どうしたんだい世界政府ゥ!?この程度の戦力で、この『クドゥエラ』様を止められると思っているのかなァ???笑わせないでくれたまえよ、キヒッ、忌避ッ、忌避避避避避ッ!!さァ…もうすぐだよォ…待ってるんだねェ、アタシの可愛いモルモットちゃんたちィ……!!(目元まで裂けるほどに口角を歪にあげる。その血走った眼の先には、自身が目的としている避難シェルターがあった)」

政府軍衛兵D「駄目だ!我々の戦力では、奴の起動兵器に傷一つ付けることも叶わない!いったい何なのだあれは!?見たこともない造形だが…なんと悍ましい破壊力と殺傷能力を持っていることか…ッ!!」

政府軍衛兵E「今や世界政府本部隊は、先だってのデッドエンドの包囲網作戦にその戦力を結集させている!更には脱獄犯が出たというインフェルノの調査及び防衛の強化、更には同時期に起きたコスモスでの首脳会議襲撃事件…!主にこの三ヵ所に戦力を裂いている今、こんなところに将校が出向くことも難しいとされている…!!」

政府軍衛兵F「ということは…頼れるのは「ガーディアン」と「フェニックス」のみ…!早く、早く来てくれ…!!」



―航空戦艦「スカイベース」―




ジョージ・狩崎「―――――以上が、現在ルサーナシティで起きている状況だ。(モニターに映る惨劇を目にしながら)」

門田ヒロミ「敵は大型起動兵器一機のみ…しかし、それだけで政府軍の防壁をいとも容易く突破し続けているのか…末恐ろしいな…」

五十嵐大二「……もう一度作戦を確認します。俺たち『フェニックス』と、『ガーディアン』のみなさんの共同でこの敵機体の進撃を阻止…そして、破壊すること。メンバーは、フェニックスからは俺とヒロミさんが、ガーディアンからはカイさん、シグマさん、タウさん…計5名で現場へ急行。狩崎さんはスカイベースでバックアップということで、間違いないですね?」

ジョージ・狩崎「That's right!敵機体の解析は、この私に任せたまえ!その間、君たちは敵機体の進行を妨害し、ゲート10に到達されないようなんとか時間を稼いでほしい。無論、やれるのならとっととやっちゃってもいい…だが、あの起動兵器の潜在的パワーは侮れない…私自身も目を見張るものがある。出来れば慎重に事を運びたい。Mr.カイ!ヘッドガーディアンとして、君の意見も聞きたい!」

カイ「……そうだな……(モニターに映る敵機体の姿をじっと目に焼き付けながら)ぶっ潰すとなると少々骨は折れるだろうが、時間稼ぎならまぁ……余裕だろう。(デザートイーグルに、自作の特殊弾丸を装填したマガジンを挿入し)……まずは一度、俺のコアの力で制御出来るか試してみよう。制御出来れば万々歳だが、見たところ奴はほぼ間違いなく俺たちの知らねぇ技術によって作り出されたものだ…… コアの力が通用しない可能性も十分にあるから、あまり期待はしないで欲しいがな。」

シグマ「問題ない…… その時は、我らの力で真っ向からねじ伏せるのみ……」

タウ「はぁ~、面倒なくらい硬そうな野郎だが……あの細ぇ脚の関節辺り狙えば、多少はいけんじゃねぇのかねぇ……わしのパルスで柔らかくすりゃぁ、攻撃もよりスムーズに………  Σあっ、いや、待てよ………もしコアの力が効かねぇんなら……わしのパルスもほぼ意味ねぇじゃねぇよなぁ……… うっわ~、やっぱ面倒くせぇわあのサソリ~………。」

ジョージ・狩崎「OK!ガーディアンの実力は折り紙付きと聞く。期待しているよ。フェニックスの二人も負けず劣らず、任務に当たってくれたまえ。」

フェニックス隊員「まもなくルサーナシティ領空圏内に突入!」

ジョージ・狩崎「いよいよか…諸君、降下準備に入るんだ!Hurry up !」



五十嵐大二「はっ、はっ、はっ―――――!(スカイベース着陸後、すぐにゲート9へと急行する)見つけた…!あれが、敵機体!!」



門田ヒロミ「実際に目撃すると…なんと巨大な…!ガーディアンとの共闘でなければ骨折りどころではなかった!総員、戦闘態勢だ!!行くぞ、大二!カ シ ャ ァ ン ッ ――― \ デモンズドライバー ! / (デモンズドライバーを装着し、スパイダーバイスタンプを取り出す)」

五十嵐大二「はいッ!!カ シ ャ ァ ン ッ ――― \ ツーサイドライバー ! / (ヒロミに合わせてツーサイドライバーを装着し、バットバイスタンプを構える)」

門田ヒロミ「我が命を賭けて…―――― 世界を守るッ!!! \ スパイダー ! / \ Deal… /(バイスタンプをドライバーの天面へ押印) 変 身 ッ ! ! ! (その後、バイスタンプをドライバー中央部に押印)」

五十嵐大二「白黒つけようぜ…!\ バット ! / \ confirmed ! /(バイスタンプをドライバーへ押印) 変 身 ! !  (バイスタンプを装填)\ Eeny, meeny, miny, moe♪/ \ Eeny, meeny, miny, moe♪/ (待機音が鳴る中、ガンモードに切り替えると…)――― バキュンッ !(ドライバー本体を抜き取り、トリガーを引いた)」

門田ヒロミ→仮面ライダーデモンズ「 \ Decide Up ! / \ Deep. / \ Drop. / \ Danger. / \ (Kamen) Rider. Demons !! /(悪魔の力を宿す蜘蛛の仮面ライダー「デモンズ」へ変身を遂げる)」

五十嵐大二→仮面ライダーライブ「 \ Versus Up ! / \ Precious ! / \ Trust us ! / \ Justis ! / \ バット ! / \ カメンライダー ラ・イ・ブ ! / (正義の力を宿した蝙蝠の仮面ライダー「ライブ」へと変身)」

カイ「良いねぇ…… いつの時代も最高にイカしてるもんだな、ヒーローの「変身」ってのは。(後ろから2人の変身を眺めて)……さて、お前らも準備は良いな?」




シグマ「……あぁ…… いつでも、斬れる……(並々ならぬ闘気を発しながら、眼前の敵機体を睨み付け)」

タウ「へいへい、出来てるっつの…… 面倒くせぇけどよぉ………(一見やる気のない言葉を発しながらも、その体からはシグマと同等レベルの強い闘気を発して)とーりあーえずー…… まずは隊長さん、お願いしやすわい………。」

カイ「よぅし…… そんじゃぁ、始めますか!(強い闘気を発しながら、隊の最前線に躍り出て)」


ヴ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ン ッ ッ ッ ・ ・ ・(コアエネルギーの解放と共に、カイの左手の文字が強く輝きを放つ)


政府軍衛兵G「……!あれは…!!「フェニックス」と「ガーディアン」の増援部隊だ!!よかった、間に合ったぞ…!!」

クドゥエラ「んぃ~~~~~?(レーダーが背後に捉えた増援部隊に気が付き、機体ごと踵を返すことで彼らと対峙する形となる) ……おっほ…こ、これは……!!(彼らの素性を知っているのだろう。男は、不気味に口角を上げて「待ってました」と言いたげそうに舌なめずり)」

クドゥエラ「キヒッ、、キヒヒッ…忌避、忌避避避避避避避避ッ!!!
世界政府が新たに導入した戦力…ライダーシステムに、旧カオス文明の遺産である古代兵器ガーディアン…!!
まさかこの二つを私に差し向けてくるとは…奴らの判断はまさしく正しい!
そう…そうなのだ…!貴様等こそ、この数奇の天才科学者『 クドゥエラ・ラトヒム 』の相手に相応しいんだよ!!
忌ィーーーーー避避避避避避ッ!!!さあ、その力を存分に見せろ!!そのデータを…貰ってやるぞォ!!!」



――― Vs 【 赤い泪 】 クドゥエラ ―――




デススティンガー「ガシャン、ガシャン…――――!!(クドゥエラが操る巨大蠍型起動兵器が、対峙する五人へゆっくりと侵攻し始める)」

ジョージ・狩崎「……『クドゥエラ・ラトヒム』…―――!(スカイベースの司令塔室にて。デススティンガーのスピーカー音から漏れたクドゥエラ本人の声に顔をしかめ、もしやと身を乗り出すようにコンソールを叩き、何かを調べる)」

ジョージ・狩崎「……Wow…Oh, no…そういうことか……!諸君、敵の正体が判明した。奴の名は「クドゥエラ・ラトヒム」!特S級犯罪者に指定された、19億の賞金首がかけられた極悪人だ…!彼はケイオスにおいても絶滅危惧種とされている、数少ない「光族」にして、科学者だったらしい。だが、その狂気的な研究意欲が種族を根絶やしにする災害を齎し、結果…奴は『邪童』として闇の世界へと追放された…!以降は行方を眩ませていたようだが、何故か今、この最悪なタイミングで世界に再び顔を出したことになる…!」

仮面ライダーデモンズ「光に、闇…私の知らない種族が、まだこの世界には多く存在しているのか…いや、肝心なのはそこじゃない。奴が極悪犯罪者だというのならば、この手で必ず制裁を加えなければならない!!二度と奴の思い通りにしてはならんッ!!(果敢にもデススティンガーへと駆け出していく)」

仮面ライダーライブ「ヒロミさん!闇雲に突っ込んでは……ああ、聞いてない!くっ…!バキュン、バキュン!!(ツーサイドライバー・ガンモードを構え、突撃するヒロミの後方支援として射撃を行う)」

シグマ「特S級…… 荒れ狂う者の中でも、飛びぬけて救えない愚者共の一人か……(狩崎の情報を聞き、鋭い眼光をデススティンガーに向け)ならば、早急に斬り捨てる他無いな………。」

タウ「ん~……何かごちゃごちゃしててよう分からんが、超絶に面倒な野郎って事だけはなんとなく……… Σあっ?(情報に耳を傾けている最中、デススティンガーに単身向かっていくデモンズを見て)おいおい……最初は隊長がかますって言ったろう……ったく、血の気の多い若造だぜ……あー、面倒くせぇー……。」

カイ「まぁまぁ、良いじゃねぇの……俺は嫌いじゃないぜ、ああいう奴はよ。(青く光り輝く手にデザートイーグルを持ち、デススティンガーに狙いを定める)そんじゃぁサソリちゃん、ちょっとの間おねんねしてもらうぜ――――――  眠り弾〈ヒプノ・スフェラ〉!!!」


ド ゥ ッ ッ (カイのコアエネルギーを纏った弾丸が、デススティンガー目掛けて一直線に撃ち放たれる)


デススティンガー「グゥンッ―――― ズ シ ャ ア ァ ァ ア ア ン ッ ! ! (大きな右腕。それを大きく振り抜き、突撃してくるデモンズをはじめライブの銃弾を薙ぎ払う)」

仮面ライダーデモンズ「なっ―――ごはああぁっ!!(薙ぎ払われ、建物の壁へめり込む勢いで叩きつけられる)」

クドゥエラ「忌避避避避…ッ!単身で突っ込んでくるとは愚か者め――――!?」

デススティンガー「 ズ ッ ガ ア ア ア ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! (カイが解き放つ鋭い弾丸が顔面部に炸裂。小さな弾丸とは言えど、それは大型起動兵器を一歩でも退かせる大打撃を与えることとなった)」

クドゥエラ「ヒヒヒッ…!たった一発でこのダメージ量…良いッ、良いぞ…!!(インターフェースを介してダメージ算出を行い、カイの攻撃力に不敵な笑みを浮かべ始める)
古代兵器は、その強大な力を抑制できるトリガーが備わっていない。いわば、奴ら自身の意思でのみ力の抑揚をコントロールできる…!故に、純粋な戦闘能力を図りやすい…!さァ、今度はこちらから行くぞォヒヒヒヒヒッ!!!」

デススティンガー「 ズ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ッ ! ! ! (八本足を巧みに動かし、怒涛の勢いで彼らに迫っていく)」


仮面ライダーライブ「来た…ッ!!(デススティンガーの進撃に合わせて後退することは叶わないため、高台となる建物の上へ飛び移り避難)はっ!!(上空から射撃を行い牽制していく)」

カイ「チッ…… 想定はしていたが、やっぱ止まらねぇか……(そう呟いた後、カイの左手の文字から放たれるコアエネルギーの光が、燃えるような赤色に変わる)――――こっからは実力行使だ、行くぞ!シグマ!!タウ!!」

シグマ「承知した――――(そう呟くと、左手に仕込まれた禍々しい形状の剣『Σ・ブレード』を抜刀し、デススティンガーに狙いを定め)――――荒れ狂う者よ、貴様の思い通りにはさせん!!」


ダンッッ――――  ビュバババババババッッ!!!!(次の瞬間、土煙を巻き上げる勢いのスタートダッシュと共に、凄まじい速度の剣撃がデススティンガー目掛けて放たれる)


タウ「うわぁ、結局こうなるんだよなぁ…… あぁ面倒くせぇ…… 面倒くせぇけどやんなきゃ更に面倒くせぇし………(そう言って、両手の拳にコアエネルギーを集中させると、大きな拳骨状の鉄球のように拳を変形させ)……ああもう、面倒くせぇからとっととくたばれやぁ!!!(両腕を鞭のように伸縮させ、鉄球に変えた拳をデススティンガーの脚の関節部目がけて飛ばす)」

デススティンガー「ギッ――ザンッ―――ギギィンッ――――ガギィンッ――――!!(紫電一閃の如き五百井で放たれるシグマの剣戟。その後を次々と装甲に刻まれていく中――――)――― メ ゴ ォ ッ ! ! (チュドガアアアアァァァアアアアンッ!!!)(タウによる鉄球の鉄槌が四本の左脚のうち二本を破壊したのだった)」

ジョージ・狩崎「OK!!それでいい!敵の足を何本か落とせばそれだけで機能停止するはずだ!!そのまま脚部を狙うんだ!!」

仮面ライダーデモンズ「了解した!!(瓦礫を押しのけ、デススティンガーを見据えるとバイスタンプを取り出す)\Add… / \ モグラ ! / (モグラバイスタンプをドライバーへ押印)\ Dominate Up! / \ ゲノミクス !! / (すると、両腕がドリルとして変形する) \ More… / (ドライバー左右のボタンを同時二度押印)  \ モグラ ! / \ デモンズ レクイエム !! /  っはあぁぁああああーーーッ!!!(駆け抜け、デススティンガーの後右脚部を抉るようにドリルによる回転攻撃を浴びせていく)」

仮面ライダーライブ「はいッ!!はああぁぁあーーー!!(デモンズに合わせて右脚部に集中砲火)」

デススティンガー「ギャリギャリギャリィ――――チュボガアアァァアアンッ!!!(デモンズトライブのコンビネーションアタックに、後右脚部が損傷。徐々にその機体のバランスが崩れかけていく)」

クドゥエラ「ヒヒヒッ…!考えたか…だがそう上手くいくかなァ!?」

デススティンガー「ズゥォンッ―――― ズ シ ャ ア ア ア ア ア ァ ァ ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! (左腕を高く振り上げ、地面へと叩きつける勢いでそれを振り下ろす。アスファルトは一瞬で真っ二つに裂け、地割れがガーディアンに襲い掛かる)」

デススティンガー「グルンッ―――― ド シ ャ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! (身を翻したと思えば、今度はその象徴的な大きな尾を振り回し、ライブとデモンズを薙ぎ払おうとする)」

タウ「おおぅ、マジかい…… わしが言った通りだっt――――  のわぁっ!?(地響きでよろめいた隙に、襲い来る地割れに飲まれかけて)おいおいおいおい…… やめろって、面倒くせぇから………!(咄嗟に地割れの範囲外にあった大きい瓦礫に摑まり、難を逃れ)」

シグマ「シュバッッ―――(高く跳躍し、地割れを回避して)何をしている…… 速やかに体勢を立て直し、攻撃を続行しろ。(タウにそう言って、再び攻撃態勢に入り)――――――Σ・ストライク!!(デススティンガーに猛スピードで特攻し、左足に向けて『Σ』状の高速斬撃を繰り出す)」

カイ「シグマの言う通りだ、止まってる暇はないぜ!!(襲い来る地割れを軽やかにかわした後、デススティンガーの尾に狙いを定め)やらせるかよ――――  爆炎弾(フローガ・スフェラ)!!!(真っ赤な炎のようなコアエネルギーを纏った高威力の弾丸を撃ち放つ)」

仮面ライダーライブ「ヒロミさん、俺たちも!!(デモンズに呼びかけながら薙ぎ払いを跳躍回避し、天高く跳びあがった)」

仮面ライダーデモンズ「ああッ!!(ライブと共に跳躍したことで薙ぎ払いを回避。そのまま二人同時に蹴りの構えをしだし…)

仮面ライダーライブ&デモンズ『―――――たぁぁああああーーーーーーッ!!!(ダブルライダーキックで右脚部に繰り出し、そのまま貫通する勢いで着地する)』

デススティンガー「ズギャアアァァアアンッ――――ボグゥォオオオオオンッ―――― ド ッ ギ ャ ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! (ガーディアンとふぇニックス、双方の攻撃を左右より同時に受けたことで、胴体を抑えていた脚部へが崩れ落ち、地響くような音を立ててアスファルトへ沈む)」

クドゥエラ「キヒッ、キヒッ…忌避避避避避避避ッ!!!機動力をそぎ落とされたかァ!!(身動きを封じられたにもかかわらず、男はただ不敵に嗤い続けている)だが、デススティンガーのメインウェポンはその圧倒的な破壊力!!とくとお見せしようじゃないかァッ!!!」

デススティンガー「 ガ ギ ョ ン ッ (地面と密着した機体…すると、蠍を象徴するその長い尾が動き出し、先端部が花開くように展開)ギュオンギュオンギュオン…ッ…ーーーー(先端より伸びる砲口に、粒子エネルギーが集束し始める)」

ジョージ・狩崎「――――!?敵機体に高エネルギー反応を感知!何やらBADな予感がする……総員、早急に距離を取るんだ!!」

デススティンガー「―――― バ シ ュ ゥ ゥ ゥ ゥ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ン ッ ! ! ! ! 」


デススティンガーの尻尾より放たれたのは破滅の閃光。
それは弧を描くように彼らに迫りつつ、アスファルトを瞬く間に溶かし尽くすように抉り、瞬く間に火柱が上がっていく。
閃光は勢いを止めることなく放たれ続け、街灯や建物を切断するように呑み込み、最後に空へと向けられた時には雲さえも裂いてしまうほどであった――――


カイ「!!(あのデケェ尾、まだ動いて……てか、ほとんど傷がねぇだと…… いや、それよりも、あれは―――――)――――全員退避だぁぁっ!!あれは防げねぇぇっ!!!(そう叫び、超高速移動で閃光から距離を取っていき)」

タウ「ぐおおおおおおおっ…… あのクソッたれ……… なんて……… 面倒な事しやがんだああぁぁぁぁぁ…………!!!(いつの間にかカイの腕を掴んでおり、彼に引っ張られる形で閃光から離れていく)」

シグマ「くっ……… こんな、ふざけた隠し弾を……… 荒れ狂う者め………!!(降り注ぐ瓦礫の間を縫って、迫りくる閃光から遠ざかっていき)」

仮面ライダーデモンズ「なんだと――――ぐわああああああああぁぁぁああああーーーッ!!!(閃光の直撃こそは免れたか、その衝撃の余波に吹き飛ばされてしまう)」

仮面ライダーライブ「ヒロミさn―――――くあああぁぁあッ!!(同じく直撃は逃れたものの、雪崩れる瓦礫に押し潰される)」

クドゥエラ「忌避避避避避避ッ!!どうだァ…これがデススティンガーが誇る最強兵器「荷電粒子砲」!!この勢いを止められるものなら止めてみるといいッ!!ヒィヒヒヒヒッ!!!」

デススティンガー「ギュオンギュオンギュオン…ッ…ーーーー(先端に、再度粒子エネルギーが収束されはじめる――――)」

ジョージ・狩崎「Damn!!あの強力な荷電粒子砲が放たれる前に仕留めないと…第二波でゲート9は完全壊滅してしまう…ッ!!(頭を抱える)」

カイ「……! クソ……残念だが、こりゃぁもう慎重になんてやってられそうにないぜ、狩崎さん………(そう言って、エネルギーを収束させているデススティンガーに目を向け)早いとこ潰さねぇと、大勢の命が危険にさらされる……それだけは、何としても阻止しなきゃな――――(左手の手袋を外し、全部の指が銃口になっている金属質の左手を露出させ)――――こっからは、マジ中のマジで行かせてもらうぜ、サソリさんよぉ!!」


ゴ ォ ッ ッ (コアエネルギーの光が、多彩な色を放ちながらカイの全身を覆っていく)


タウ「おぁ……… 隊長さん、限界突破する気だなぁ……… 面倒くせぇが、わしらもそうするしかねぇみてぇだな……… あーあ、てめぇがさっさとくたばりさえしてくりゃぁ、こんな面倒くせぇ事にはならなかったのになぁ………(カイから手を離し、デススティンガーを恨みがましく睨んで)……おーい、生きてるかァ?生きてるならとっとと起きて手伝ってくれよ…… わしらだけじゃ、も~~~~ぉ面倒でかなわねぇからよぉ………。(そう言って、衝撃で飛ばされてきたデモンズに目を向けて)」

シグマ「(デススティンガーを鋭い眼光で睨み付け)………奴の強さは、よく分かった……… こうなれば、我も使う他あるまい………死肢の太刀(ししのたち) を――――――――  ビュンッッッ ズバババババババッッ!!!!(ライブが瓦礫に埋もれた場所まで猛スピードで直行し、ライブの上に積もった瓦礫を瞬く間に切り刻み)………若き戦士よ、まだ立てるか? 立てるのなら、速やかに立ち上がり…… 我らと共に、敵を討つのだ――――――――」

仮面ライダーデモンズ「くゥ…まだだッ!!まだ私は、やられんッ…!(吹き飛ばされている最中、両手から蜘蛛の糸を吐き出して街灯に巻き付くことで建造物への激突を逃れ、そのまま回転を利かせて再び戦地へと舞い戻るように飛び出した)」

仮面ライダーライブ「――――!?(瓦礫に埋もれそうになるその直前、シグマの介入を得て事なきを得る)ありがとうございます!…はいッ!!やりましょう…ッ!!(シグマと共に並び立つと…)\ 必殺承認! /(装填されたスタンプのボタンを押し、チャージ)」

仮面ライダーデモンズ「我が命を賭けて…――― 貴様を潰すッ!!! \ チャージ ! / (ドライバー左右のボタンを同時押印) っはああああぁぁぁぁーーッ!!!( \ デモンズフィニッシュ !! / )(蜘蛛の糸を右足に纏い繰り出すライダーキックで跳び出し、デススティンガーの尾を切断する勢いで突き抜けていく)」

仮面ライダーライブ「―――― 大事に、決めようか…!! \ バット ! / \ ジャスティスフィニッシュ !! / はっ――――(天高く飛び上がると)―――っはああああああっぁぁぁああああーーーー!!!(巨大な蝙蝠型のエネルギーを纏ったライダーキックをデススティンガーへと繰り出し、そのまま貫ける)」

シグマ「フッ…… その意気だ、若き戦士よ――――  死肢の太刀(ししのたち)、開放!!」


ギュオワァンッ―――――!!!(紫色に輝いていたΣ・ブレードの刀身が、異音と共に紅色に変色する)


シグマ「加減はしない…… 全身全霊を持って、貴様を仕留める!!(先程とは比べ物にならないほどの気迫と速度で、デススティンガーに突撃し)―――“ 死 愚 魔 ・ 舞 愚 楽 ”( シ グ マ ・ マ グ ラ )―――!!!!(空間を縦横無尽に斬り裂く程の最強の斬撃を繰り出す)」

タウ「ぶちかますぞ…… クソサソリがぁ!!!(デススティンガーの真上まで跳躍し)数百年に一度の超・高出力――――― エレクトロ・ウィップ――――――!!!!(高電圧を纏った両腕を、鞭のようにしならせて高速の連撃を繰り出す)」

カイ「ある程度の残骸くらいなら残してやるよ、狩崎さんへの手土産にな――――――!!(左手の銃口をデススティンガーに向け)―――“ Χ(カイ) ・ バ ス タ ー ”―――!!!!(虹色に輝く極太レーザーを撃ち放つ)」

デススティンガー「ギュオンギュオン…ッ…ーーーー ズ ギ ャ ァ ァ ア ア ア ア ア ン ン ッ ! ! ! (今まさに荷電粒子砲が解き放たれようとした次の瞬間、二人の仮面ライダーのライダキックがその尻尾を断つように貫き、破壊されてしまったことで不発に終わる)」

クドゥエラ「ヒッ―――――――――――!!?」

デススティンガー「―――― ズ オ オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ ォ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ン ッ ! ! ! (主兵装である荷電粒子砲を失った上に機動力が亡くなった巨大兵器は、三体の古代兵器が成す合体奥義に呑まれ、激しい爆発を遂げて無残にも破裂。跡形もなく消し飛ぶのだった)」

ジョージ・狩崎「YES!!!!!!!!!!!!!!(デススティンガーが討ち取られたのを見て渾身のガッツポーズ)」

仮面ライダーデモンズ「はぁ…はぁ……やったな……!!」


――――――――― 忌 避 避 避 避 避 避 避 ッ ! ! ! (立ち込める黒煙の中から聞こえる、耳を劈く嗤い声。巨大兵器は姿を失ったが、その中に潜んでいた巨悪は今もその姿を保っていた)


クドゥエラ「――――デススティンガーを屠るとは、なかなかじゃあないかァ…!!お陰で上質なデータが採れたよ。(黒煙からその姿を一同の前に現す)それに…――――機体を破壊される直前に迫った死期を境に、私の『{[[赤い眼』が完全に馴染んだ…!(真っ白な肌を持つ素顔の中で、ひときわ目立つ真っ赤な瞳…それは、ただの充血した目に非ず。それ自体がまるで別物として移植されたかのような不気味さを帯びていた)」




仮面ライダーライブ「なッ――――あの状況で生きていたのか…!?それに、なんだあの真っ赤な眼……!?(まるで、本人の意思とは関係なく動いているかのような…気持ち悪い…!)(現れたクドゥエラ本人、その赤い眼に強い警戒心を剥きだす)」

クドゥエラ「私が『教祖様』から授かったこの『眼』は大変素晴らしいものでね… あの死に悶えるような痛々しい『裁判』の末に生き延びた私のみに与えられた、"神の目"と呼ぶに相応しい…!!」

仮面ライダーデモンズ「……貴様…何を訳の分からぬことを――――!(クドゥエラへ殴りかかろうとするが―――)」

ジョージ・狩崎「待て、ヒロミ!相手さんはどうやらお喋り好きなようだ……ここは、相手の情報を聞き出すために、穏便に対話を続けたまえ。」


仮面ライダーデモンズ「……!……了解…(耳元に手を当て、小声で狩崎に応える)一体、何なのだ…お前のその「眼」は…?」

クドゥエラ「気になるだろう…?いいだろう、教えてやる。あの爆発の中から無事脱出できたのも…すべてはこの『眼』の力のお陰だよ!」

クドゥエラ「『これ』はこの世界の人類共が本来持つ目の機能を遥かに超越している…!『{[[赤い眼』を介して見た現象はすべてスローモーションに捉えられ、どんなに圧倒的な速度で動く対象も止まって見えるのだよ…!
百里を見通すこの『眼』があれば、目眩ましや暗闇など、視認不可な状況下においても物体を見通せる…!」

クドゥエラ「わたしはこの『眼』を得て時間も浅かったが…機体を破壊される寸前に完全に馴染んだようでね…!流石に今のは死ぬかと思ったが、攻撃に呑まれるその直前に機体から脱出し、五体満足で生き延びることができたということだよ…!この『眼』を持つ私こそ、『教祖様』が求めている『新人類』の先駆者なのだよ…!ヒィヒヒヒヒヒッ!!」

カイ「ザッ――――(デモンズとライブの元へ合流し)やれやれ…… せっかく苦労してデカブツを倒したかと思えば、まさか操縦者までとんでもねぇバケモンとはな……(クドゥエラに視線を向け)赤い眼、教祖、新人類……これらのワードだけでもテメェが…… いや、テメェ“ら”が相当にヤベェって事は何となく分かるぜ…… こりゃぁ、何としてでも対処しねぇとな………。」

タウ「どんな速度でも、止まって見えるだとォ………? それじゃぁ、『フィー』の全力スピードでも見切れちまうってのかぁ………? ふざけんなよ…… これだけでもどれだけ面倒だったと思ってんだよ……… 冗談じゃねぇっつーんだよぉ…………(その場に崩れ落ちて)」

シグマ「狼狽えるな…… 例え相手がどれほどの力を有していようと、関係ない…… 我は…… 我ら『ガーディアン』は、荒れ狂う者に屈したりはしない………!(『死肢の太刀』の発動を終え、疲労状態の肉体を奮い立たせながら、クドゥエラに鋭い視線を向けて)」

クドゥエラ「この『眼』に恐れ慄くか、それも仕方ないだろう。だが案ずるな。いずれこの世界に住まう人類の多くが『裁判』にかけられ、『眼』の適合者となった者は『新人類』として『教祖様』に迎え入れられる…!お前たちガーディアンズも仮面ライダーも例外ではない!生きとし生けるものすべてに等しく、チャンスがあるということさァ!」

クドゥエラ「神のような『眼』を手にし、『教祖様』が創り出す新たなる世界に導かれる。これほど理想的な人生はあるまいよ。
残念ながら適合者に選ばれなかった者たちは『旧人類』としてそこで忌避されるが、ネ…!キヒッ、忌避避避避避避ッ…!!」

クドゥエラ「それこそが『教祖様』が掲げる大いなる計画…『赤眼計画』なのだよ!!私たち『信者』は、そんな崇高な計画の為に『新人類』の候補となる、『裁判』にかけられても死に悶えることのない屈強な精神と身体を持つ強者を探し求めている…!お前たちも、信者にならないか?この喜びを共に分かち合おうじゃないかァ!忌避避避避避ッ!!!」

仮面ライダーデモンズ「ふざけるなッ…!!大人しく聞いていれば貴様…!」

仮面ライダーライブ「ヒロミさん落ち着いて…! だが、そういうことか…その『赤い眼』で人類を選別することが、お前たちの言う計画…!この先にあるシェルター…いや、その中に避難している住民たちを狙っていたのも、そのためだったのか…!」

カイ「――――何?(クドゥエラの発言を聞いた瞬間、先程まで至って冷静だった表情が曇り始め)………随分、聞き捨てならねぇ事言いやがるじゃねぇかよ……… おい?(デモンズを宥めるライブのすぐ隣まで歩みを進め、再び眼前のクドゥエラに向けたその瞳には、とても機械とは思えないほどはっきりとした『怒り』と『殺意』が籠っていた)」

タウ「! ………おい、落ち着けよ隊長さん……… あの野郎は、『アイツ』とは違うんだからよ……… 面倒な事、すんなよな………?(カイを宥めるように話しかけるが、そんな彼自身の表情にもまた、強い動揺と怒りの感情が滲み出ていた)」

シグマ「―――ギリッッ(大技を出した直後で疲弊しているはずの拳を、力強く握りしめて)………あぁ……確かに、違う……… だが、奴のやろうとしている事は……… 『あの女』が我らにした事と…………っ(今にも溢れんばかりの激情を必死で抑え込んでいるかのように、絞り出すような声でタウに返す)」

クドゥエラ「忌避避避ッ…おーおー、随分と物騒な表情(かお)をするもんだ。しかし、この崇高な計画を拒むというのなら是非もなし。だぁがお前たち政府に何ができるというのかね?『デッドエンド』は我々の手によって陥落し、首脳会議襲撃時に拉致した二名の王女を人質に取られたのでは、下手に動くこともできまい…忌避ッ、忌避避避避避避ッ!!」

ジョージ・狩崎「Wiat…!「デッドエンド」の陥落を何故知って――――!No way…ひょっとするとこいつは…今、世間で大賑わせしている最悪のテロリスト集団『赤い泪』の連中じゃないのかね!?」

仮面ライダーデモンズ「『赤い泪』だとッ…!?まさか、我らの目の前にいるこいつが…!!」

クドゥエラ「今、政府も世界中の人間も、誰もが「我々」に注目している。
そのまま目を離すなよ。『教祖様』が掲げる崇高な理念によって、この古き世界が変わり果てていく瞬間を。
我等『赤い泪』が、新たな世界を導いていくその姿を――――(懐より取り出した謎のスイッチを押すと、その姿が透明になっていく)」

仮面ライダーライブ「―――――!!待てッ!!」

クドゥエラ「計画は失敗したが、良いデータが採れた。このデータを参考に、デススティンガーを越える素晴らしい殺戮兵器の製造入るとしよう。感謝するよ、ガーディアン、仮面ライダー諸君。また会える日を楽しみにしているよ…忌避、忌避避避…――――」


――――― 忌 避 避 避 避 避 避 避 避 ッ ! ! ! (白い肌の男は消え、耳を劈く狂気の笑い声だけが空に残響するのだった――――)


カイ「!! 野郎……!!(咄嗟にクドゥエラに向けて銃口を向けるが、既に透明になり始めていた彼に対しては一切の抑止力にならないであろう事を悟り、引き金を引こうとしていた指を止め)………っ クソォッッ!!!!(行き場の無い感情をぶつけるように、近くに転がっていた瓦礫を蹴り上げて)」

シグマ「…………(サーチアイを起動し、クドゥエラの気配を探るが)………逃したか……… ……何たる、不覚………っ(Σ・ブレイドを再び左腕に収めながら、口惜しげに呟く)」

タウ「マジかよ…… アイツ、あのクソテロリストの仲間かよ……… 通りで、面倒くせぇ強さしてると思ったわ……… 最悪だ…… 本当、最悪だ……… さっきのでさえやっとの思いで倒したのに、それを超えるモンをこれから作るってか?ふざけんなよ…… 面倒くせぇことしねぇで、とっととくたばってくれよ……… クソが………っ!(普段の彼からは想像できないほど、感情の高ぶった口調でぶつぶつと呟き)」

ジョージ・狩崎「Damn…!逃げられてしまったか…だが、なんとか有益な情報は得られた。
敵の正体は『赤い泪』…恐らくだが、懸賞金の高さやあの実力から見ても幹部クラスであることに間違いないだろう。
政府より共有された情報によれば、奴以外にも名前が判明している幹部はそこそこいる。
奴らの計画、そしてそのために成そうとしていること…それらが分かれば、こちらとしては対策の取りようがある。」

ジョージ・狩崎「敵が我々のデータを収集したように、我々もまた奴らのデータを得てしまえばいい。
総員、ご苦労だった。一度スカイベースへ戻り、これから世界政府本部へと帰還。
事件の報告・共有…そして今現在『赤い泪』の支配下に置かれている『デッドエンド』の状況を鑑みながら、奴らへの対策を講じるとしよう。」

仮面ライダーデモンズ→門田ヒロミ「(変身解除する)……了解した。現場(ここ)は防衛隊に任せ、我々は直ちに本部へ帰還する!事態は一刻を争う…早急な対策を考えなければ…!」

仮面ライダーライブ→五十嵐大二「はい…!(同様に変身解除し、燃え盛るデススティンガーの残骸を睨むように見据える)………『赤い泪』…あの『眼』…まるで悪魔のようだ………」

カイ「……了解した。(煮えたぎった感情を一旦抑え、帰還命令に冷静な口調で返し)「よう」じゃねぇ、あれは正真正銘の悪魔だ…… 一刻も早く潰しておかないと、この先どれだけの罪なき命を好き勝手に使い潰されるか…… そうなる前に、何としても止めてやろうぜ。(大二の発言に対して重々しい口調で返した後、帰還の準備を始める)」

タウ「はぁ…… もう、面倒事は次で最後にしてくれよな…… わしらからデータでも何でも抜いていいからよ……(ヨロヨロと立ち上がって)……次で、絶対野郎を潰せる方法…… 考えようや………。」

シグマ「……あぁ、その通りだ…… この怪物の力でさえ、想像を絶する物だった…… 次で奴を仕留めなければ…… 更に、更に強力な怪物が生み出され…… そうなれば、我らの力を以てしても何1つ守り抜けなくなるだろう…… そのような事は、あってはならない……(そう言って、燃え盛るデススティンガーの残骸に背を向けて)必ず、勝つ…… 勝って、守り抜く……!(確固たる決意を胸に、スカイベースへと向けて歩いていく)」


― 深夜・某村 ―




ヒ ギ ャ ア゛ ァ゛ … ッ゛ … ! ! ! 


草木も眠る丑三つ時
そこに残響するは生々しい悲痛な叫び
まだ、生を渇望する人の悲鳴、しかし、その声音は徐々に弱まり…黄泉の国へと誘われていく

燃え盛る残骸がミシミシと軋みを上げて倒壊していく
その被害は少しずつ、確かに拡散し…今まさにこの村は灰燼に消えようとしている

ただ一人の、最恐最悪の「死神」によって―――――


バゼル「ポタ、ポタ、ポタ…―――――(死骸と残骸が転がり、火花が包み込む村の通り道の真ん中を、死神は歩む。肩に担いだ大鎌――先端より鮮血を垂れ流しながら――を歪に光らせながら)」

幼女「おかぁさん……お母さん……!!(今はもう物言わぬ遺体を揺さぶりなgら、大粒の涙を流して呼び覚まそうとする。だが、空しくも返ってくるのは無言。唯一の肉親を失った悲しみで、周りが見えていない)」

バゼル「…ツ ァ リ リ リ リ リ ィ … ―――― (焼け焦げた地面に大鎌を引きずらせて幼子のもとへと詰め寄っていく。髑髏(しゃれこうべ)を被った頭部から僅かに露出した赤い片目は、眼前の獲物を見据える。それが人間であろうが獣であろうが、大人であろうが子どもであろうが、ただの「獲物」としか見ていない冷淡な瞳で―――)」

バゼル「 フ ォ ン … ッ … ――――― ! (そして、その獰猛な鎌を振り上げ、幼子に向けて一寸の躊躇いもなく振り抜こうとした、次の瞬間――――)」

プルスト「バ サ ァ ッ ッ ――――(美しい銀髪と水色のローブを靡かせながら、何処からともなくバゼルの後方に降り立ち)ディスパトラ式冥闘術・弐ノ型―――――――  『氷縛葬盾(ブリニクルウォール)』!!!!」

ピ キ ッ ッ ッ ………   パキパキパキパキパキパキィンッッッ!!!!(プルストが勢いよく地面に手をついた瞬間、幼女の目の前の地面から無数の氷柱のような物が出現し、まるで彼女を守る防壁のごとくバゼルの前に立ちはだかる)

バゼル「――――――!(鎌を振り抜くその間際、視界を覆い尽くす氷壁に対し、静かに瞳孔が開く。だが、振り抜いた刃の勢いは止まらず、そのまま氷柱を―――死角となった幼女すら――断裂する)」


ザ キ ィ ィ ィ イ イ イ イ イ ―――― ン … ッ … ! ! ! (小さな死神が展開した氷壁が獰猛な刃によって切断される。だが、そこにあの幼女の姿は、ない)


幼女「――――――……!(気が付けば、母親の遺体ごとプルストの背後に移動されており、自身の身に起きた事態に理解できず困惑していた)」

バゼル「………(氷塊の残滓が緩慢と散乱する中で踵を返す)…………「死神」か。(第一声、それはドス黒い声音。地獄から轟く怨嗟にも近い声。人ならざる者、そう誰でも認識できるほどの。その黒い声と共に、自身を妨害したプルストを、曝け出されている片目で鋭く睨みつける)」

プルスト「………カレン、その子は無事ですか?(バゼルの鋭い殺気に臆することなく、冷静な面持ちで自身の背後に向けて声をかける)」

カレン「は、はい!とってもギリギリでしたけど、なんとか間に合いました……!(プルストの後ろで、息を切らしながら幼女の側についており)しかし…… お母様の方は、もう………。(幼女の母親の遺体を見て、悲し気な表情を浮かべながら)」

プルスト「………そうですか………(そう一言呟くと、眼前のバゼルに視線を戻し)神界からの報告を受けて来てみれば、とんでもない奴がいたものですね……… 僕が「死神」であることを見抜き、氷縛葬盾(ブリニクルウォール)を真正面から一撃で粉砕し、尚且つ無事とは……… 貴方、一体何者なんですか?そしてこれは一体―――――  何の真似ですか?(凄まじい殺気と共に怒りに満ちた瞳でバゼルを睨み付け)」

バゼル「 ォ ォ ォ ォ ォ ォ … ッ … … ―――――― (対峙し合う二人の死神。冷徹な眼差しが錯綜し合う中で、プルストの問いかけに顎を突きつけるようにその顔を上げる)」

バゼル「 殺戮だ――――それだけが、俺を俺たらしめる。その行為を正当化してくれる奴に出会い、俺はその名の下で思うように殺しを続ける。(背に担いだ大鎌。そこに付着した血液が垂れることなく、一瞬で刃の中へ溶け込むように消失する)」

バゼル「大量の血を欲している。血を流すには、殺戮があってこそ。故に俺は殺し続ける。閻魔に封じられた殺戮を、地上(ここ)でなら正当化される。それを是とする者がいる。俺を止めることはできない。」

バゼル「同じ死神でありながら、俺のこの意思を理解できぬというのか。笑わせるな、小僧。死神は、命を刈り取る者。その宿命を背負うことの何が間違っている?」

バゼル「俺の愉悦を阻むのなら…その魂魄も俺の手で殺める。『 バゼル・ヴィオ・グランツ 』の名において―――!」



――― Vs 【 赤い泪 】 バゼル ―――



カレン「……そんな…… そんな理由で、この村の人たちを……… ひどすぎる………!(バゼルの語る異常な動機に、怒りと恐怖で体を震わせながら)」

プルスト「………カレン、その子を連れて下がりなさい。 カチャッッ―――  ヴ ォ ン ッ ッ  (そう言って、ポケットから取り出した冥界の鍵で頭上に空間の裂け目を作り出し)」


シ ュ バ ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ッ ッ ッ ―――――― (空間の裂け目から、鮮血のような赤を基調とした、禍々しいデザインの大鎌が出現する)


カレン「!(プルスト様、「あれ」を………!)……ここは危険です、すぐに安全な場所に行きましょう!(速やかに幼女の手を取り、走り出す)」

プルスト「……確かに、死神は命を"回収"する事を生業としています…… しかし、それはあくまで魂の循環を促し、輪廻の輪を正しく回し続けていくため…… そうして、この世のありとあらゆる生命を等しく救済する事が死神の使命だと、僕は師匠から教わりました…… 他の死神たちも、同じ志を持ってその鎌を振るっているんです、それを――――――  パシッッ…  ブ ゥ ン ッ ッ (大鎌を手に取ると、小さな体からは想像も出来ない力で軽々と振り抜き、強烈な風を起こす)―――――――お前のような快楽殺人鬼と、一緒にするな!!!!(大鎌を携え、勢いよくバゼルに斬りかかる)」

バゼル「――――――――!( ブ ゥ オ ォ ォ ン ッ ! ! ! )(プルストが振るうその瞬間を垣間見、自身もまた大鎌を振り抜きだす―――)」


ガ ッ ギ ィ゛ ィ゛ イ゛ イ゛ イ゛ イ゛ イ゛ イ゛ ン゛ ッ゛ ! ! ! !  


バゼル「 ギチッ…ギャリ、ギリ、ギ…ッ……!! (互いの凶刃がガチガチと激しい鋼の音色を響かせ、その度に小さな火花を散らす)
そうだ、すべては輪廻の基にある。生まれては死に、また蘇り、そうして生死を繰り返す。
だが、誰も覚えてなどいない。生前の生き様など、死に様など、いずれは忘却の彼方に消える。
「自分が殺された」という事実など忘れて、そして何も思い出せないまま新たな命を吹き込まれる。
実に、無為無聊…―――― そんな徒然なるままの輪廻に、何の意味がある?」


ギ ィ ィ イ イ ン ッ ! ! (鍔迫り合う両者が切り離される)


バゼル「生と死を強く実感できる"殺戮"。その一瞬に、刹那に感じる現実にこそ、生まれてきた意味がある。
俺たち『死神』は、その愉悦の伝道者であれば ―――― いい。( ガ ァ ン ッ ! ! )(鎌の持ち手先端部を地面に突き落とす)」

バゼル「――――――――― “掬拓(ムスンデヒライテ)” ―――――――――」


グジュリ…ジュリィ……ボゴンッ、ボォゴッ…!(大地が津波のように上下にうねり出す。するとその直後、気色の悪い異音と共に地面の随所が弾け、地中から赤い煙が吹きつける。そこから漂うのは、腐臭。)


ボ ゴ ボ ゴ ボ ゴ ボ ゴ ボ ゴ ォ … ッ … ! ! ! (バゼルを中心に、大地が腐敗していく。その影響を受けた残骸や遺体が赤く浸食し、無残にも溶けだしていく。触れればひとたまりもない禁断の術が、プルストにもじわじわと牙を向きだすのだった――――)


プルスト「……っ 寝言は寝て言えよクソ野郎が――――  !?(再び斬りかかろうと構えた瞬間、大地のうねりに足を取られ)……い、一体、何が………  !?(悪臭と共に徐々に腐敗していく大地と、それが自身の方へと向かって近づいてきているのを見て)………!!(この技は、一体……… 少なくとも、あのエリアに触れたら間違いなくただでは済まない……… 空中に避けるか……? いや、まだカレンが生き残りの子と逃げているし、もしかしたらまだ生き残っている人が周囲のどこかにいるかもしれない………… あのエリアが広がる範囲が分からない以上、このままにしておいたらどれだけの被害が………!)」


ボ ゴ ボ ゴ ボ ゴ ボ ゴ ボ ゴ―――――――(プルストが思考しているその僅かな間にも、腐敗した"領域"はもう目の前まで迫ってこようとしていた――――)


プルスト「(……これはもう、やるしかない……… "この技"で、一気に片を付ける………!!)チ ャ キ ッ ッ … (大鎌を後ろへ振りかぶって、眼前に迫りくる"領域"に狙いを定め)――――――ディスパトラ式冥闘術・陸ノ型――――――  『絶 滅 波 動 斬(コラプス・エッジ)』!!!!(暗紫色のオーラを纏った大鎌を、渾身の力で振り抜き、横一直線の巨大な斬撃を放つ)」


バ シ ュ ウ ッ ッ ッ――――――    ビュゴゴゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ォ ォ ォ ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! !(放たれた凄まじい斬撃は、大地を腐らせる"領域"の力を一片の欠片もなく吹き飛ばしながら、バゼルを目掛け真っすぐに飛んでいく)


バゼル「ッ―――――!(腐敗する大地を叩き割り、更には自身に届かせんと迫るその強靭な刃を前に――――)


――― ズ ガ ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! ! (―――直撃。プルストが放った渾身の斬撃が、最悪の死神にへとダイレクトに炸裂したのだ)


シ ュ ゥ ゥ ゥ ゥ ウ ウ ウ ウ … ッ … … ! (静寂の中を砂塵が吹きつける中――――)


バゼル「――――― オ ゥ ン ッ (そこに、真っ赤な眼光が一つ露わとなる)」

バゼル「………眠気覚ましにはちょうどよかったが――― (晴れ渡る硝煙の中でついに現れる全身。だがそこに、一つだけ違和感があった)」

バゼル「――――― まだ、俺には届かない ( キ ュ オ ゥ ン ッ )(ずっと歪に輝きを放つ赤い一つの目。そう…衝撃によって明かされた彼の素顔。頭部に被っていた骸骨の破片が抜け落ちて明かされたのは、隻眼。自身の眼は最初から片方しか存在しない。だが、その片眼が、異常なほどの醜悪なオーラを放ち続けている。死神すらも恐怖や殺気を感じる程の禍々しい邪眼――――)」

バゼル「貴様は俺には勝てない。『 死神の眼 』を持つ俺には、決してな――――― オ ゥ ン ッ (渦を巻く様に蠢く瞳孔が、不気味に赤い輝きを放ち続けている)」

プルスト「な―――――(バゼルの隻眼を目の当たりにした途端、身の毛もよだつ様な悍ましい感覚に襲われ)………っ ……はぁ……… はぁ………っ………!!(何だ…… あの目は……… 見ただけで…… 体の震えが……… 何だ、何なんだ、あれは――――)――――― カ ラ ン ッ ッ (持っていた大鎌を手から離し、その場に跪く)」

カレン「プルスト様!!(プルストの後方の茂みから現れ)さっきの子は無事に安全な場所に――――  !! プルスト様…… どうしたんですか!?(プルストの異常を察知し、駆け寄ろうとする)」

プルスト「!! カレ……… (後方より聞こえるカレンの声に、思わず我に返って)……来るな………  カレン!!こっちに来ちゃダメだ!!!」

バゼル「当然だ。この「眼」を前にすれば人間は愚か、同族すら正気は保てまい。
選ばれた死神だけが持つことを許された禁断の「眼」…それこそが『 死神の眼 』なのだから。(朴念仁な表情をひとつ崩さず、一歩ずつ踏み出していく)」


コ ツ リ ――― ジ ュ ワ ァ … ッ … コ ツ リ ――― ジ ュ ワ ァ … ッ … (バゼルの足跡、その軌跡が、腐食していく―――) 


バゼル「神さえも殺す役目を担う存在(もの)、それが「死神」。俺の前ではあらゆる種族は等しく、殺される定めにある。この「眼」で捉えた者は――――― 死より免れない! (ガバァッと、武器を手にしていない片腕を水平に広げた)」

バゼル「――――――――― “雪魂孤霰魂孤(ユキヤコンコアラレヤコンコ)” ―――――――――」


ズ ボ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ オ オ オ オ オ オ ン ッ ! ! ! ! (バゼルの背後より赤黒い瘴気が雪崩の如く押し寄せてくる。雪崩は瓦礫を物の一瞬で呑み込み、一瞬で腐敗蒸発させ、そのままプルストたちに向かって雪崩れ込んでいく)


バゼル「 キ ィ ィ ィ ィ ィ イ イ ン … ッ … ――――― ! (この間際、自身の「死神の眼」が強く発光する)」


バ シ ュ ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ア ア ア ア ッ ! ! ! ! (雪崩がプルストたちに迫ろうとするその瞬間、まるで彼らを避けるように雪崩が二対の方向に枝分かれしていく。どういうわけか、間一髪助かったと思われたのも束の間――――――紅い雪崩は彼らの周囲を完全に取り囲み、逃げ場を崩したのだ。やがて、四方八方よりじわじわと腐食を齎す雪崩が押し寄せてくる――――)


カレン「え―――――(プルストの警告を聞き足を止めるも既に遅く、自分たちをあっという間に取り囲んだ紅い雪崩を見て)…………そんな………… ぁ………あぁ…………(四方八方を完全に取り囲み、触れたもの全てを腐らせながら迫ってくる雪崩を見て、その場に崩れ落ち)」

プルスト「カレン……… 待ってろ、すぐに………っ  ………!?(再び冥界の鍵を手に取ろうとするが、体が思うように動かなくなり、その場に倒れこむ)…………っ(マズい……… さっきの大技の反動に加えて、あいつの"眼"に中てられたせいで………っ 早く……… 早く冥界の扉を開いて、ここから逃げないと…………! こんな所で……… こんな形で……… 師匠から受け継いだ全てを……… こんな僕を慕って、ここまで付いて来てくれた弟子を……… 失うわけには―――――!!)………ご………け………っ ………動 け え え え え ぇ ぇ ぇ ぇ っ…………!!!」

バゼル「朽ち果てていけ、この腐敗した大地と共に―――――!」


ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ォ … ッ … ! ! ! (触れるものすべてを蝕む紅い雪崩が無慈悲にも彼らを覆う。四面楚歌となった彼らに逃げ場などない。もはやこれまでと思われた、その瞬間―――――)


ザ  ッ  パ  ァ  ァ  ア  ア  ア  ァ  ァ  ア  ア  ア  ア  ン  ッ  !  !  !  !  


雪崩がすべてを呑み切る。
プルストたちの姿は、跡形もない。完全に呑み込まれてしまったのか…否――――――


バゼル「―――――――――――――― "逃げられたか"…(赤い渦に呑み込まれ全壊した村の中で、虚構を睨みつけるのだった――――)」




場面移り変わり―――――――


ギ ュ オ オ ォ ォ ン ッ ――――― ! ! (腐敗した村とは異なる場所―――どこかの荒野に突如として開かれた異次元の穴。そこから、プルストと可憐、彼女たちが匿っていた幼女――気を失っているが――とその母親の遺体、その四人が投げ出された。奇しくも、彼らはあの脱出不可能な状況から逃れたのだ)


エクロシア「 ブ ワ サ ァ … ッ … ――――― ! (その穴より、最後の人物が現れ出でる)
間一髪でしたね…危うく抹消されるところでしたよ。いくら死神の貴方がたといえども、ね…――――」

プルスト「………? あれ……… ここは、一体………  !!(突然変わった周囲の景色に戸惑っていた最中、エクロシアの姿が目に入り)貴方は……! どうして、ここに………  !………まさか………(何となくだが状況を理解し、驚いたような様子でエクロシアを見て)貴方が……… 僕たちを………?」

カレン「ぎゃっ!!(投げ出された後、盛大に地面に転がって)痛ったぁ………  あ、あれ?ここ、どこ……?さっきまで、私……… !! ま、まさか、私、死んで………!? 嘘……… そんな……… いやだ……… プルスト様……… どこ? どこにいるの………!?(状況が呑み込めず、パニックに陥りかけ)」

プルスト「! カレン………!(カレンの方へ駆け寄り、彼女の肩を掴んで)落ち着け!僕はここにいる!!君も、僕も、誰も死んでない!助かったんだ!ほら…… そこにいる「仲間」が間一髪で助けてくれたんだ!!(エクロシアの方にカレンの視線を向けさせ)だから………!  ………もう、怖がらなくて良いんですよ、カレン…… 大丈夫ですから………  本当に、無事でよかった………(安堵からか、泣きそうになるのを堪えた笑顔で優しく語り掛ける)」

カレン「ぁ………(プルストの声と、肩に触れる手の温度を感じ、一気に安心感が押し寄せてきて)………ぅ……… ぅああああああああああん!!!わああああああああああああああああん………!!!(プルストにしがみつき、大声で泣き叫ぶ)」

エクロシア「………(泣き叫ぶカレンを宥めるプルストを静かに見下ろし、彼女が落ち着いた頃合いに口を開きはじめる)……ひとまず、ご無事で何より。村の人々は…残念ながら、ですが。彼らの魂は私の方で連れて行きます。」

エクロシア「それはそれとして、プルストさん。本当によくご無事で。死神とはいえ、『奴』に標的にされてしまえばどうなっていたか…」

エクロシア「――――『バゼル・ヴィオ・グランツ』。恐らくあなたはご存じなかったかもしれません。無理もないです。
彼は大昔…まだ貴方が死神になる前から存在し、そして幽閉された、冥界において史上最悪の死神。閻魔様により、フロア7永久地獄に投獄された経緯を持っている。」

エクロシア「彼の異常な殺戮衝動を抑えることはできない。たとえ閻魔様をもってしても。だが、彼がその本性を曝け出す前に、彼の手腕を評価した閻魔様に、ある物が授けられた。」

エクロシア「 それこそが…――――――『 死神の眼 』 」

エクロシア「閻魔に選ばれた特別な死神だけが持つことを許された眼。あらゆる生命の寿命を看破し、その行く末を、そこから遥か未来まで見通すことだって容易い。かつて私が仕えていた女神様が持つ「千里眼」にさえも匹敵する程の、"神の眼"…!」

エクロシア「あの眼を見た時、感じたでしょう。神さえも殺しかねない気迫、殺意…それがあの眼の力です。
己が潜在能力を飛躍的に上げるだけでなく、対立する者の戦意を瞬く間に喪失させる。まさに、死神の名に恥じない、死神に相応しい眼。」

エクロシア「ですが、そのあまりにも強大な力を持つ目の力を取り入れることは、神ですら困難を極める。実際、死神の眼に適応できたものは数少ない。たとえ順応できたとしても、目に生命力や魂魄を吸い取られ、一度死した者でさえも蒸発してしまうのです。」

エクロシア「奴…バゼルは、その眼に完璧に順応した、歴史上唯一の死神。そんな彼は、今、眼の"片割れ"を持っている。「眼」とは本来、二つ存在するものですからね。」

エクロシア「もう一つの「眼」ですか?閻魔様により、地獄の奥底に管理されています。あのバゼルが目を両方揃えられないように、奴ですら居所を掴めない奥底に。」

エクロシア「プルストさん。貴方のことです。きっとバゼルを止めようというのでしょう。そんな貴方を止める資格は、私にはありません。ですが、推奨はしません。私ですらバゼルには到底及ばない。彼は現時点において、死神の頂点に立つ存在… その暴走を食い止めるのは困難でしょう。」

エクロシア「ですが―――――不可能ではない。
プルストさん。貴方の強い正義感は神界でも、地獄においても誰もが高く評価している。故に私でも理解しています。
貴方は決して、バゼルを野放しにはしない。その魂を失ってでも食らいつこうとするでしょう。」

エクロシア「そんな貴方に、方法を教えます。ですが、これも推奨はしません。バゼルを止める、唯一の方法を――――」

プルスト「(時間と共に落ち着きを取り戻しつつあるカレンを傍らに置きながら、エクロシアの話を黙って聞き続け)………通りで、あっさりとボロ負けしたわけですね……… そんな次元を超えた化け物が相手では、悔しいですが認めざるを得ません……… ですが、貴方の言う通り、そんな事で諦める僕ではありませんよ。(立ち上がり、エクロシアの方を真っすぐ見て)聞かせてもらいましょう、その方法とやらを。例えそれがどれだけ過酷なものだとしても、僕は構いませんから――――」


ギュッッ……(その時、何かがプルストのローブの裾を引っ張る。まるで、再び戦地に向かわんとする彼を止めようとするかのように――――)


プルスト「………?(ローブが引っ張られているのを感じ、その力が働いている方向へと目を向ける)」

カレン「………っ(プルストのローブの裾を右手で掴み)ぐすっ……… プルスト……さま……… 待って………くだ……さい………っ(涙で濡れた、不安そうな瞳でプルストを見つめ)」

プルスト「カレン………  …………(カレンの表情から、彼女の不安や恐怖などの重々しい心情を読み取って)………大丈夫ですよ、僕は君を置いてどこかに行ったりしませんから………彼(エクロシア)の言う方法を元に、必ず奴に勝ってみせます。(膝をついて、カレンの目を真っすぐ見ながら、優しげな声で言い聞かせる)」

カレン「……でも………相手は、史上最悪の死神だって………閻魔様でも、止められないくらい……… 強くて、強くて……… 止められる方法はあっても、推奨できないって……… 負けたら、今度こそ死んじゃうかもしれないし……… 勝っても、どうなるか分からないんでしょう………? ……そんなの、嫌です……… ようやく、プルスト様から褒められることが多くなって…… 一人前の弟子に近づいて来たって、思えて来たのに……… もっと、もっと……… 一緒に……… 教えて欲しい事がいっぱいあるのに………(涙を流しながら、プルストに縋りつき)」

プルスト「………分かってます。(縋りつくカレンをそっと抱き寄せ)だとしても、やらなくてはいけません…… 閻魔様の思いを裏切り、魂の循環を守る死神の名に泥を塗り、多くの罪なき命を踏みにじる奴の蛮行…… 冥界神の名に懸けて、止めないわけにはいきません……… 安心してください、僕もまだまだ君に教えたい事がたくさんあります。だから絶対、死ぬつもりはありません。何があっても戻って来ると、約束します。 ……というか、もう約束させられてますけどね?「仲間たち」から、きつーく――――(今この場にはいない、惑星神の仲間たちの事を思い浮かべながら)」

エクロシア「……――――(プルストとカレンのやり取りを静観し、そこから彼の決意が本物だと察して静かに目を瞑る。そして、再び開き、改まった顔で彼と向き合う)」

エクロシア「バゼルを倒せる方法はたった一つ。目には目を…"死神の眼には、同じ死神の眼を"、です。
閻魔様が管理している死神の眼の"片割れ"を、貴方が受け継ぐのです。
ですが、先程も申したように決して推奨できるものではない。
「死神の眼」を受け継ぐということは、"死"さえも超越する程の並々ならぬ精神を、その「魂」を持つことです。
さもなくば…眼を移植した時点で、命を落とすこととなる。」

エクロシア「ですがもし……もしも、本当にもしも、貴方が「死神の眼」に適応したならば、あのバゼルと互角に渡り合えるほどの力を手にすることは保証しましょう。それだけあの眼が齎す力は禁断なのですから。」

エクロシア「いついかなる時代において、大いなる力には相応の代償がつきものです。その覚悟がおありですか?」

プルスト「………やっぱり。 もう一つの「眼」というワードが出た時点で、薄々そうなんじゃないかと思ってましたよ………  ……覚悟? そんなの、もう聞かなくても分かってるでしょう?(エクロシアにそう返し、再びカレンの方へと向き合い)カレン…… どうか、僕を信じて行かせてくれますか?」

カレン「………っ(再び、泣きだしそうになるのをぐっと堪えながら、目の前にいる師の覚悟をしっかりと感じ取り)………約束です…… 絶対、生きて……… あいつに、勝って……… 帰ってきてください……… じゃないと…… 師匠といえど、許しませんから………!!」

プルスト「………ありがとう、カレン……… 約束します、僕は絶対死にません。(決意のこもった表情でそう言った後、立ち上がって)………案内してください、エクロシアさん……… もう一つの「眼」の元へ――――」

エクロシア「……無用な質問でしたね。ええ、行きましょう―――――『 地獄 』へ


エクロシアにより切り裂かれた空間の裂け目。その先へと通じる「地獄」へ、彼らは堕ちていく――――――


― 地獄 ―


エクロシア「――――――とのことで、彼に『死神の眼』の"片割"を授けたいと考えています。本人は、覚悟を決めています。」

ディガロ「―――――――(エクロシアの報告を受けるは、彼らよりも何十倍もの体躯を誇る巨人。地獄を統べる者、"閻魔"であった―――)―――よかろう… 元はと言えば、あのバゼルに『死神の眼』を与えてしまったのは私の罪だ。今更止める権利などありはしない。」

ディガロ「だがよりもよって…若き死神のプルストを選んだことには、あまりにも心苦しいものだ。「死神の眼」の代償は計り知れん。将来有望な死神を失いかねん。だが……――――私は君を信じよう。そして賭けてみる。歴代の死神共が成し得なかったことを、君に。」

ディガロ「――――――『 フロア8 』へ行け。エレベーターで降りられるよう、専用のカギをエクロシアに預けておく。」

エクロシア「……『 フロア8 』…幻の階層… 私も踏み入れるのは初めてですね。そんなものが実在していたとは…」

ディガロ「当然だ。『死神の眼』は地獄が誇る禁断の眼だ。囚人共はおろか、看守や死神共にさえ手の届かない絶対領域に保管する必要がある。到達したら、そこで眼の移植を行うといい。だが、それは痛みすら生易しく感じるものだ。眼を取り込もうとすれば、自我も理性も彼方に吹き飛ぶほどの責苦が待ち構えている。魂魄がその意地を見せなければ、死神の眼に打ち勝つことはできん。君の真の意地を見せる時だ、プルストよ。」

プルスト「ありがとうございます、ディガロ様…… 必ずや、その期待に応えて見せます。(ディガロに深く頭を下げ)………それではエクロシアさん、引き続き案内をお願いいたします。」


そう言って、エクロシアの方へ悠然と歩み寄っていくプルストだったが、
長いローブの袖に隠れたその手は秘かに震えていた。
冥界神として多くの「死」と向き合い、自らも「死」の淵を何度も彷徨い、
子供とは思えぬ強靭な精神力を身につけた彼であっても、今回のこの状況には内心堪えている様だった。
しかし―――――


プルスト「………頼むまでも、ないと思いますけど―――――(これまでになく毅然とした態度と表情で、エクロシアに目を向けて)―――――この先何があっても、手助けは不要ですからね。」


師から受け継いだ「誇り」と、自分の帰りを待つ弟子や仲間たちへの強い思いが、
膨れ上がる恐怖心を押さえつけ、彼の決意を支えていた―――――


エクロシア「プルストさん………―――(彼のその決意で固まる眼差しから意を汲み取った)」

エクロシア「―――――――わかりました。行きましょう、『フロア8』へ―――――


そして彼らは落ちていく。奈落の底のように暗く深い、幻の地底へと――――――


― フロア8 ―


看守用巨大エレベーターを通じて長い時間かけて降りた二人の死神
彼らが到達したそこには、光もささず、闇よりも暗い深淵の層
ただ虚無のみが広がる絶対空間であった―――――――


エクロシア「――――――ここが、隠された幻の階層…「フロア8」。囚人も看守も踏み込めない絶対領域…。」

エクロシア「……さて、プルストさん。私はここで待っています。この暗がりの先に『死神の眼』はあるはずです。
それを探し出し、『眼』との適合を成し遂げてください。私は、ここで見守ることしかできませんからね…」


プルスト「ありがとうございます、エクロシアさん……(頭を下げ、礼を告げた後)………では、行ってきます。」

そして、彼は闇より暗い深淵へと消えて行った。
その中はただひたすらに暗く、何処に何があるかも分からない。歩いても足音1つ響かない。踏み入ったその瞬間から、もう抜け出すことは出来ないのではないかと思うほどの"虚無"が広がっていた――――――

プルスト「………うわぁ………(周囲を見渡して)………とりあえず、真っすぐ進んでみますか………。(フロアの奥へと真っすぐに進んでいく)」

歩き始めてから数分――しかしプルストにとっては数時間も過る感覚――が経ち、そこに流れる異様な空気に感覚が薄れかけていく
地獄よりも深く暗い深淵、そこは生ける者も死ねる者もみなひとしく、その魂が抜け落ちていくようなおぞましさが漂う
どこまで進んでも変わらぬ景色…だが、その前方に小さな赤い光球が瞬き始めた
その光の正体こそ―――――――――――


――――――――『 死神の眼 』


その眼は、光の膜のようなものに覆われたまま浮遊していた
永い長い時の中を、永遠と眠り続けていたかのように――――――


プルスト「! ……あれは………(赤い光球の方へと駆け寄り、その光が「死神の眼」であることを確認して)………! 見つけた……… これが、「死神の眼」の"片割れ"――――――(光の膜のようなものに覆われた「眼」を、そっと手に取って)」

フ ワ ッ ッ ・ ・ ・ (ようやく見つかったその「眼」は、プルストの掌の上で静かにその輝きを強めていく)

プルスト「………(「死神の眼」を間近で見つめて)……あの時は、見ただけで体が動かなくなったのに…… もしかして、この膜が「眼」の力を抑えているのか………?  ……………(………この「眼」を、これから移植するんだよね……… でも、どうやって………? 手術をするような器具も無いし…… 一旦、持ち帰るか……? いや、エクロシアさんはここで適合しろと言った……… 移植するのは、今この場で無ければならないのだろう……… だとしたら――――――)(「眼」の移植方法についてあれこれ考えを巡らせながら、ふと手に持った「眼」を自身の左目に近づけてみる)」


―――― キ ュ ガ ア ア ア ァ ァ ァ ア ア … ッ … … ! ! (近づけられた死神の目がプルストの存在を察知したのだろう、眼は光瞬く。そして―――――)


ド ッ ッ ッ ッ ッ ッ ッ ッ グ ン ! ! ! ! 


プルストの全身が、心臓が、びくりと脈打つ。
それは一瞬にして彼に襲い掛かった計り知れない"憎悪"――――
かつて対峙した、同じ「死神の目」を持つバゼルが放った邪悪な覇気とまったく同じ衝撃がその身に襲い掛かるのだった


プルスト「――――!!!!(突如襲い掛かった衝撃に、思わず「眼」を放り投げそうになるが)――――ガシッッ――――(間一髪のところで放り投げようとした手を押さえ、踏みとどまり)………ハァ………ハァ……… 危な…かった……… せっかく、見つけたってのに……… 冗談じゃ…… ねぇっての………!(震える手を強く押さえつけながら、掌の中の「眼」に強い眼差しを向け)…………よく聞け……『死神の眼』よ……… 僕は冥界神、『プルスト・レイ・カローネ』……… お前を受け継ぐ、もう1人の"神"だ………!!(そう言って、自身の左目に『死神の眼』を再び近づけ)来いよ……… この左目をお前にくれてやる……… 代わりに、その力を………  奴を打ち倒し、大切な命たちを守り抜ける力を……… 僕にくれ………!!!」


意を決した少年は、その邪眼を再び握りしめて自らに取り込もうと近づける
そこから先は、想像遥かを絶する地獄のような苦痛が彼のすべてを蝕んでいく
彼の悲痛な断末魔が虚空に無限に残響するのだった――――――――



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最終更新:2024年07月07日 19:20