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SS:幻想を知る者ができる、たった一つの冴えたやり方

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cielenica

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アースに帰還した後の雨宮蓮の話。

「俺は皆のことが好きだから。大好きで守りたいから。だから、皆の全部を掬い取るよ」
たとえそれが、君との約束を反故にするものだと分かっていても。
寂しそうに微笑んで、真昼間の月明かりに呑まれるように消えていく親友の姿に走り出した俺は手を伸ばして――届かないまま終わった。

長い悪夢は終わったのだと、気づいた。

「……」
気が付けばそこは、とてもよく見知った場所。朝日の差し込むやや青白い一室は自分が普段寝床にしているところで、布団の中で手足を軽く伸ばしてから起き上がる。
枕元に置いてあるスマートフォンを見れば、今日は休日で、時刻はAM07:23。休みの日はもう少し眠っている自分としては珍しいなと思いながら、ベッドから降りようとして、止まった。
「…………」
頬に触れる。濡れた感触が帰ってきて、これが違和感でなかったことを告げてくる。
寝起きで泣くだなんてことは初めてだ。そう笑い飛ばしてみたいのに、涙は次から次へと止めどなく溢れ、ポジティブな感情を押し流していく。ぼたぼたと掛け布団にシミをいくらか作ったところで俺は膝を立ててうずくまり、そのまま嗚咽を漏らして泣いた。
すがすがしい朝にまるで似つかわしくない、暗いとも明るいとも言えない――心にぽっかりと穴が空いてしまったかのようで、だから耐えられずに零していた。
「……セオ、ドア……」
なあ、なあ。あれから、どこに行ってしまったんだ?
呟いたそれを耳で受け止めてしまっては、認めるしかない。
俺は永く、長い悪夢を見ていた。もう一つの現実にいたのだ、と。
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