殺し合いの会場に広がる草原のどこかで、八個の影が疾走している。
これだと一つの群れが走っているかに思えるが、実際は違う。
正しくはこうだ。
これだと一つの群れが走っているかに思えるが、実際は違う。
正しくはこうだ。
一人の少女を、七匹のゴブリンが追い回している。
「だ、誰か助けて下さ――――――い!!」
少女は助けを求めながら必死にゴブリンから逃げる。
彼女の名前は吉田優子。現在はシャドウミストレス優子、通称シャミ子である。
高校一年生にもかかわらず小学生程の体格と身体能力、更に頭に生えた角と腰から生えた尻尾が特徴のまぞくだ。
そんな彼女はへそ出しを中心に露出度の高い服装、正式名称危機管理フォームで全力疾走していた。
断っておくが、この服装は彼女の趣味ではない。
最近羞恥心が少し麻痺しているが、それでもこの露出度はどうかと思っている。
にも関わらずこんな服装をしているのは、危機管理フォームになると身体能力が上がるのだ。
五十メートル走のタイムが十一秒のシャミ子にとって、もはや羞恥心など大した問題ではない。
捕まれば何をされるか分からないゴブリン相手から逃げる方が遥かに重大である。
彼女の名前は吉田優子。現在はシャドウミストレス優子、通称シャミ子である。
高校一年生にもかかわらず小学生程の体格と身体能力、更に頭に生えた角と腰から生えた尻尾が特徴のまぞくだ。
そんな彼女はへそ出しを中心に露出度の高い服装、正式名称危機管理フォームで全力疾走していた。
断っておくが、この服装は彼女の趣味ではない。
最近羞恥心が少し麻痺しているが、それでもこの露出度はどうかと思っている。
にも関わらずこんな服装をしているのは、危機管理フォームになると身体能力が上がるのだ。
五十メートル走のタイムが十一秒のシャミ子にとって、もはや羞恥心など大した問題ではない。
捕まれば何をされるか分からないゴブリン相手から逃げる方が遥かに重大である。
なお、シャミ子が危機管理フォームになった瞬間、ゴブリン達は一斉に舌なめずりしたがこれは余談である。
そうやって火事場の馬鹿力で過去最高級の速度と持久力を見せたシャミ子だが、いよいよ限界が訪れる。
足がもつれ転んだのだ。
足がもつれ転んだのだ。
「へぶっ!?」
受け身を取ることもできず、顔を地面に叩きつけてしまうシャミ子。
すぐに起き上がろうとするも、追いついてきたゴブリンの一匹に腹を蹴られ、思わず蹲る。
そんな彼女をゴブリン達は地面に仰向けで押さえ込み、下卑た笑みを浮かべながら服を引き剥がそうとする。
ここで何をされるか理解したシャミ子は必死にもがくが、数の差で抵抗できない。
すぐに起き上がろうとするも、追いついてきたゴブリンの一匹に腹を蹴られ、思わず蹲る。
そんな彼女をゴブリン達は地面に仰向けで押さえ込み、下卑た笑みを浮かべながら服を引き剥がそうとする。
ここで何をされるか理解したシャミ子は必死にもがくが、数の差で抵抗できない。
「い、いや……やめてください……!」
もはや無為と理解しつつも懇願するしかない、と思われたその時。
「あいや待たれい!!」
一つの声がゴブリン達の享楽を止めた。
ゴブリン達が声のした方を見ると、そこにはどこかの部族の民族衣装みたいな服を着たリザードマンがいた。
彼は蜥蜴僧侶。
ゴブリン達と同じ世界の住人にして、ゴブリンを狩り続ける小鬼殺しの冒険者パーティの一人だ。
故にゴブリン達がシャミ子を押さえつけているのを見つけた瞬間、何をするか察した彼は声をあげることでそれを止めたのだ。
そのまま彼は呪文を唱えながらゴブリンへ走る。
ゴブリン達が声のした方を見ると、そこにはどこかの部族の民族衣装みたいな服を着たリザードマンがいた。
彼は蜥蜴僧侶。
ゴブリン達と同じ世界の住人にして、ゴブリンを狩り続ける小鬼殺しの冒険者パーティの一人だ。
故にゴブリン達がシャミ子を押さえつけているのを見つけた瞬間、何をするか察した彼は声をあげることでそれを止めたのだ。
そのまま彼は呪文を唱えながらゴブリンへ走る。
「《伶盗龍(リンタオロン)の鈎たる翼よ 斬り裂き 空飛び 狩りを為せ》」
呪文を唱え終わると、彼の手に奇跡で生まれた骨刀が現れた。
一方、ゴブリン達は目の前の蜥蜴僧侶にどう対処するかで揉めていた。
ゴブリンが七匹全員で掛かれば、相手が何者でもたった一人くらいどうとでもなるだろう。
しかしここに押さえている孕み袋を放置する選択肢はない。
故に一匹か二匹はそのまま押さえつけ、残りで戦うというのが最良だろう。
じゃあ誰が行くんだ、という話になると全員がこう思った。
ゴブリンが七匹全員で掛かれば、相手が何者でもたった一人くらいどうとでもなるだろう。
しかしここに押さえている孕み袋を放置する選択肢はない。
故に一匹か二匹はそのまま押さえつけ、残りで戦うというのが最良だろう。
じゃあ誰が行くんだ、という話になると全員がこう思った。
――俺がこの孕み袋を押さえつけておくから、お前らが戦ってこいよ。
ゴブリンは基本的に自分こそが至上で、他など同族含めてもどうでもいい生き物だ。
群れで行動するのは、単に都合がいいからに他ならない。
群れで行動するのは、単に都合がいいからに他ならない。
だがそんな隙をさらしていいほど蜥蜴僧侶は甘い相手ではない。
あっという間にゴブリン達に近づき、一番近かった一匹を斬り地面に倒れ伏させる。
そのまま二匹、三匹と続けて斬り、残りは四匹。
しかしここでゴブリンは、どこに持っていたのかナイフを取り出しシャミ子に突き付けた。
火を見るよりも明らかな、所謂人質である。
あっという間にゴブリン達に近づき、一番近かった一匹を斬り地面に倒れ伏させる。
そのまま二匹、三匹と続けて斬り、残りは四匹。
しかしここでゴブリンは、どこに持っていたのかナイフを取り出しシャミ子に突き付けた。
火を見るよりも明らかな、所謂人質である。
分かりやすい戦法だが、蜥蜴僧侶は一気に動けなくなった。
いくらここで蜥蜴僧侶が無抵抗を貫こうとも、彼が死ねばゴブリンはシャミ子を孕み袋にする。それでもだ。
冒険者とは人質を見捨てぬものである。見捨てたらそれは最早ただの臆病者(チキン)、冒険者ではない。
もうこのリザードマンには何もできないと、醜い嘲笑を浮かべるゴブリン達。
いくらここで蜥蜴僧侶が無抵抗を貫こうとも、彼が死ねばゴブリンはシャミ子を孕み袋にする。それでもだ。
冒険者とは人質を見捨てぬものである。見捨てたらそれは最早ただの臆病者(チキン)、冒険者ではない。
もうこのリザードマンには何もできないと、醜い嘲笑を浮かべるゴブリン達。
だがゴブリンはもう少し考えるべきだった。
この作戦は人質が要であることを。
そしてここはゴブリンのホームグラウンドである巣穴ではなく、草原であることを。
この作戦は人質が要であることを。
そしてここはゴブリンのホームグラウンドである巣穴ではなく、草原であることを。
新手が後ろから現れ、人質を取っているゴブリンが殺される可能性を。
「Huu……」
白と黒の模様が絶えず動くも、しかし決して交わらない不可思議な覆面をかぶり、コートを纏った男はシャミ子を人質に取っていたゴブリンの頭を持っている刀でかち割る。
そのまま近くのもう一匹も頭をかち割る。
そして蜥蜴僧侶も負けじと残りのゴブリンを斬り、決着は着いた。
そのまま近くのもう一匹も頭をかち割る。
そして蜥蜴僧侶も負けじと残りのゴブリンを斬り、決着は着いた。
「あ、あわわわわわ……」
しかし目の前で怪物とはいえ死体をモロに見てしまったシャミ子のキャパシティは限界に近かった。
にも関わらず蜥蜴僧侶は倒れ伏したゴブリンに刀を刺していく。
ゴブリンは死んだふりをすることもあるので、確実にトドメを刺しているのだが、シャミ子には刺激が強いのか
にも関わらず蜥蜴僧侶は倒れ伏したゴブリンに刀を刺していく。
ゴブリンは死んだふりをすることもあるので、確実にトドメを刺しているのだが、シャミ子には刺激が強いのか
「……きゅう」
その場でバタンと倒れ、気絶してしまった。
これを見た二人はどちらともなく顔を見合わせる。
シャミ子が気絶した理由を頭では理解できるが、共感するには二人のいた世界は殺伐としすぎていた。
どうしたものか、と蜥蜴僧侶は悩むが覆面の男の行動は早い。
そそくさとシャミ子を背負い、蜥蜴僧侶に対し一方的にこう言った。
これを見た二人はどちらともなく顔を見合わせる。
シャミ子が気絶した理由を頭では理解できるが、共感するには二人のいた世界は殺伐としすぎていた。
どうしたものか、と蜥蜴僧侶は悩むが覆面の男の行動は早い。
そそくさとシャミ子を背負い、蜥蜴僧侶に対し一方的にこう言った。
「まずはこの少女を安全な場所へ運ぶ。情報交換は歩きながらするぞ」
それだけ言って歩き始める覆面の男。
普通なら怒りすら覚えそうな程相手の了承を取っていないが、蜥蜴僧侶はどこか仲間では小鬼殺しを思い起こさせた。
普通なら怒りすら覚えそうな程相手の了承を取っていないが、蜥蜴僧侶はどこか仲間では小鬼殺しを思い起こさせた。
そんな覆面の男の名前はロールシャッハ。
彼が何を思い戦い、何を目指すのか蜥蜴僧侶が知るのは、もう少しだけ後の話。
彼が何を思い戦い、何を目指すのか蜥蜴僧侶が知るのは、もう少しだけ後の話。
【ロールシャッハ@ウォッチメン】
[状態]:健康、シャミ子を背負っている
[装備]:ちゅんちゅん丸@この素晴らしい世界に祝福を!
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いを打破し、主催者を裁く
1:少女(シャミ子)を安全な場所へ運ぶ
[備考]
参戦時期は本編開始前
[状態]:健康、シャミ子を背負っている
[装備]:ちゅんちゅん丸@この素晴らしい世界に祝福を!
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いを打破し、主催者を裁く
1:少女(シャミ子)を安全な場所へ運ぶ
[備考]
参戦時期は本編開始前
【蜥蜴僧侶@ゴブリンスレイヤー】
[状態]:健康、奇跡を一回使用
[装備]:竜牙刀(シャープクロー)@ゴブリンスレイヤー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いを打破する
1:ひとまず彼(ロールシャッハ)と行動を共にする
2:少女(シャミ子)が心配
3:この方はどこか小鬼殺し殿に似ている
[備考]
参戦時期は三巻終了以降
[状態]:健康、奇跡を一回使用
[装備]:竜牙刀(シャープクロー)@ゴブリンスレイヤー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いを打破する
1:ひとまず彼(ロールシャッハ)と行動を共にする
2:少女(シャミ子)が心配
3:この方はどこか小鬼殺し殿に似ている
[備考]
参戦時期は三巻終了以降
【吉田優子(シャミ子)@まちカドまぞく】
[状態]:疲労(中)、気絶、ロールシャッハに背負われている
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いには乗らない
1:……
[備考]
参戦時期は四巻終了後
[状態]:疲労(中)、気絶、ロールシャッハに背負われている
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いには乗らない
1:……
[備考]
参戦時期は四巻終了後
【ちゅんちゅん丸@この素晴らしい世界に祝福を!】
ロールシャッハに支給。
カズマが日本刀を模して鍛冶屋に作らせた刀。
だが雑な伝聞で作らせたせいか切れ味はぶっちゃけ普通の剣である。
名付け親はめぐみん。この為持ち主当人から名前への不満が結構ある。
ロールシャッハに支給。
カズマが日本刀を模して鍛冶屋に作らせた刀。
だが雑な伝聞で作らせたせいか切れ味はぶっちゃけ普通の剣である。
名付け親はめぐみん。この為持ち主当人から名前への不満が結構ある。
【竜牙刀(シャープクロー)@ゴブリンスレイヤー】
蜥蜴僧侶が奇跡で作り出した、決して切れ味が落ちない骨刀。
支給品ではない。
蜥蜴僧侶が奇跡で作り出した、決して切れ味が落ちない骨刀。
支給品ではない。
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