「…ウリ坊。美代ちゃん……鈴鬼くん」
ギュッと支給されたランドセルを強く抱きしめる。
押し潰されそうな恐怖に必死に耐えきれるように。
自分を支えてきてくれた友達の名を紡ぐ。
そうしないと死の恐怖に溺れてしまいそうだから。
押し潰されそうな恐怖に必死に耐えきれるように。
自分を支えてきてくれた友達の名を紡ぐ。
そうしないと死の恐怖に溺れてしまいそうだから。
着物を着た少女……関織子は一人佇む。
「殺し合いだなんて……どうしてこんなことに巻き込まれちゃったの!?」
織子は祖母が女将として働く旅館である「春の屋」の若女将として、いつものように宿泊客に対応していた。
そのはずが、海馬乃亜なる少年による殺し合いを命じられることになってしまった。
そのはずが、海馬乃亜なる少年による殺し合いを命じられることになってしまった。
「……」
あの場に集められていた周囲の人だかりは皆、自分と同じかほんの少し年上。それと年下らしき子ばかりだった。
織子も小学生。同級生と喧嘩したことはある。しかし、当然ながら殺し合いにまで相手を憎んだことも傷つけたことはない。
織子も小学生。同級生と喧嘩したことはある。しかし、当然ながら殺し合いにまで相手を憎んだことも傷つけたことはない。
「あの兄弟のお父さんとお母さんが可哀想だわ……」
今でも鮮明に浮かび上がる兄弟の死。
ルフィとエースの兄弟。
やんちゃそうに見える弟ルフィとそれを見守り導く兄のエース。仲が良い兄弟。
当然、二人の両親はそんな兄弟を愛していたはずだ。
織子は顔知らぬ二人の両親を気の毒に思う。
厳密にはルフィとエースは実の兄弟ではないのだが、織子には実の兄弟にしか見えない関係の絆の深さが、あの短い合間に見えた。
ルフィとエースの兄弟。
やんちゃそうに見える弟ルフィとそれを見守り導く兄のエース。仲が良い兄弟。
当然、二人の両親はそんな兄弟を愛していたはずだ。
織子は顔知らぬ二人の両親を気の毒に思う。
厳密にはルフィとエースは実の兄弟ではないのだが、織子には実の兄弟にしか見えない関係の絆の深さが、あの短い合間に見えた。
「ここで、あたしも死ぬのかな?」
人を殺すという選択肢は当然ない。
人の命を奪って、人を笑顔にさせられるはずがないのだから。
だからといって、ただの若女将でしかない小学生が生き残れるとは思えない。
織子の顔つきはどんどん暗くなるばかり。
人の命を奪って、人を笑顔にさせられるはずがないのだから。
だからといって、ただの若女将でしかない小学生が生き残れるとは思えない。
織子の顔つきはどんどん暗くなるばかり。
―――そのとき
おっこ。待っといてな。必ずまたおっこに会いに行くわ。
ええ。私も必ずおっこの旅館へ行くわ
ええ。私も必ずおっこの旅館へ行くわ
それは、今も追い求めている友達の声。
もう出会うこともない友達の声。
しかし、それらは織子の脳内にきちんと記憶されている。
もう出会うこともない友達の声。
しかし、それらは織子の脳内にきちんと記憶されている。
「そうよ……ここであたしが死んだらウリ坊と美代ちゃんとの約束を守れなくなっちゃうわ!」
梅の香神社の神楽の日。
2人と約束をした。
転生した2人がお客さんとして来るから。それまでに女将として立派に成長すると。
約束を破る事。
織子にとってそれは死よりも受け入れがたい。
必ず、女将として生まれ変わった2人と再会しなくてはならない。
織子は両手でほっぺを叩き、気合を込める。
2人と約束をした。
転生した2人がお客さんとして来るから。それまでに女将として立派に成長すると。
約束を破る事。
織子にとってそれは死よりも受け入れがたい。
必ず、女将として生まれ変わった2人と再会しなくてはならない。
織子は両手でほっぺを叩き、気合を込める。
「よし!くよくよするのはお終い!」
自分の取り柄は元気。
落ち込んではいられないといわんばかりに織子は立ち上がる。
落ち込んではいられないといわんばかりに織子は立ち上がる。
「そういえば……」
元気を取り戻した織子は思い出す。
「あの乃亜って子……何だかあかねさんのような眼をしていたわ」
神田あかね。
織子が若女将として初めて接待した親子の子。
母を亡くしひねくれて塞ぎ込んでいた。母の愛に飢えていた男の子。
知的そうに見えるところも同じだ。
織子が若女将として初めて接待した親子の子。
母を亡くしひねくれて塞ぎ込んでいた。母の愛に飢えていた男の子。
知的そうに見えるところも同じだ。
集めた参加者を見下ろす眼。
自分を神だと豪語する眼。
自分を神だと豪語する眼。
だけど、その眼は……
「そうだねえ……せっかくだ。キミたちの兄弟愛に題名でも付けてあげようか。
『無様な敗北者達』キミたちにぴったりの名前じゃないか! 無駄死にご苦労様、せいぜいあの世で海賊ごっこに励んでいてくれたまえ!
アッハハハハハハハハハハハハハ!!!」
『無様な敗北者達』キミたちにぴったりの名前じゃないか! 無駄死にご苦労様、せいぜいあの世で海賊ごっこに励んでいてくれたまえ!
アッハハハハハハハハハハハハハ!!!」
兄弟愛を蔑む言葉。
それは、一見残虐な振る舞いにしか見えない。
しかし、その眼には愛に飢えている。愛を求めている。
求めすぎた故に愛が愛憎へと変容してしまった悲しき哀の眼。
乃亜が追い求めているのが、兄弟愛かはまだ分からない。
だが、織子は確信した。乃亜の心の奥に潜む傷に。
若女将として数多くのお客さんに真摯に向き合ってきたからこそ。
細い細い一本の孤独の糸に気づいたのだ。
それは、一見残虐な振る舞いにしか見えない。
しかし、その眼には愛に飢えている。愛を求めている。
求めすぎた故に愛が愛憎へと変容してしまった悲しき哀の眼。
乃亜が追い求めているのが、兄弟愛かはまだ分からない。
だが、織子は確信した。乃亜の心の奥に潜む傷に。
若女将として数多くのお客さんに真摯に向き合ってきたからこそ。
細い細い一本の孤独の糸に気づいたのだ。
「うん。決めたわ。乃亜……くんに会って、話をしたい」
両親を事故で失い、自分の取り巻く世界は大きく変わった。
件の交通事故を起こした木瀬さんの家族が泊まりに来たあの夜。
両親の幻に別れを告げられ、どうしたらいいのか頭の中がくるくるくるりんと転がった。
困惑に押し潰されそうになった自分をグローリーさんが抱きしめてくれた。
春の屋の若女将として成長できた。
乃亜くんにだってできるはず。
心の傷を乗り越えた故に織子は、海馬乃亜にも心の傷を乗り越えてもらいたいと願った。
そして、出来るのならあの兄弟の命を元に戻してほしいし、巻き込まれた皆を無事に帰らせてほしい。
それが、若女将としての自分の願い。
ならば、このバトルロワイアルを何とかして乃亜に会わないといけない。
件の交通事故を起こした木瀬さんの家族が泊まりに来たあの夜。
両親の幻に別れを告げられ、どうしたらいいのか頭の中がくるくるくるりんと転がった。
困惑に押し潰されそうになった自分をグローリーさんが抱きしめてくれた。
春の屋の若女将として成長できた。
乃亜くんにだってできるはず。
心の傷を乗り越えた故に織子は、海馬乃亜にも心の傷を乗り越えてもらいたいと願った。
そして、出来るのならあの兄弟の命を元に戻してほしいし、巻き込まれた皆を無事に帰らせてほしい。
それが、若女将としての自分の願い。
ならば、このバトルロワイアルを何とかして乃亜に会わないといけない。
「まずは、他の参加者と協力してこの首輪をどうにかしなくちゃ!」
佇む時間は終わった。
今は動くべき時間。
今は動くべき時間。
若女将、動きます。
【関織子@若おかみは小学生!(映画版)】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:生きて帰る。乃亜に会って乃亜の心の傷をどうにかしたい。
1:他の参加者と協力してバトルロワイアルを止める
2:知り合いがいないといいのだけど……
[備考]
映画終了後からの参戦です。
乃亜を自分よりも年下だと思っています。
乃亜が愛に飢えているのではないかと推測しています。
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:生きて帰る。乃亜に会って乃亜の心の傷をどうにかしたい。
1:他の参加者と協力してバトルロワイアルを止める
2:知り合いがいないといいのだけど……
[備考]
映画終了後からの参戦です。
乃亜を自分よりも年下だと思っています。
乃亜が愛に飢えているのではないかと推測しています。