新富裕層がいるということは、旧富裕層もいるということです。旧富裕層は生まれ育った国に住み続け、所得が大きければもちろん高い税金を払います。しかし、これは必ずしも旧富裕層が愛国的であるようなことを意味するものではありません。
旧富裕層は、国家事業に絡んだ利権や、彼らだけに認められる特権を握ってきた人々です。所得税率が高いほど、利権も大きくなるのですから、高い所得税にも大きな不満はありません。特権があれば収益は安定します。株も長期で保有するのですから、キャピタルゲイン税を払うこともめったにありません。
一方、中間層から一躍で富を得た新富裕層は、実のところ収益がさほど安定しておらず、判断力を研ぎ澄ませて闘い続けなければならない人が多い。
新富裕層の典型的な一員である堀江貴文が、フジテレビを買収しようとしたのは、旧富裕層が持つ利権や特権を狙ったものでした。旧富裕層はこの動きを拒み、手厳しいしっぺ返しをしました。ライブドアは決算を不適切だとされて上場廃止になりました。意図的に粉飾を隠してきたオリンパスは今でも上場していることを考慮すれば、ライブドアの上場廃止は恣意的です。
同じようなことはアメリカにもあります。格付け会社は高い格付けを受けた会社が2週間で倒産しても、サブプライムローンで広範に間違えても、地位は安泰です。一方、新富裕層は格付け会社を作ることができません。会社を設立してオレオレ格付けをやるのは自由ですが、年金運用などに採用されなければ意味がありません。
旧富裕層の利権特権クラブを解体しなければ、新富裕層の国外流出は止まりません。