エスペラント語には助動詞がありません。もちろん、英語の"can"や"should"に相当する意味を持つ単語はありますが、これらは動詞です。いいかえると、エスペラント語では、動詞と助動詞の区別がありません。そして、これはエスペラント語のとてもとてもとても良いところです。
まずは英語の単純な文を挙げ、少しずつ複雑にしてみます。
He obtained a driver's license. (彼は運転免許を取得した。)
He could obtain a driver's license. (彼は運転免許を取得することができた。)
He thought that he could obtain a driver's license. (彼は運転免許を取得 することができると思った。)
3番目の文は急に複雑になっています。英語では助動詞 + 動詞という順に単語を並べることができますが、動詞 + 助動詞という順序は禁止されています。
エスペラント語では、それぞれ、次のような形になります。
Li akiris kondukpermisilon.
Li povis akiri kondukpermisilon.
Li pensis povi akiri kondukpermisilon.
動詞 + 動詞という語順が許され、動詞と助動詞の区別がないので、いくらでもつなげることができます。3番目の文は、英語よりずっと簡潔で分かりやすい表現ですね。
もちろん、英語風に、
Li pensis ke li povos akiri kondukpermisilon.
と云うこともできます。英語やドイツ語に慣れた人ならそういう表現を使ってもいい。
日本人は多くの時間を英語の学習に充てています。エスペラント語が国際社会に普及すれば、その時間のほとんどを別のことを学ぶために使うことができるようになりましょう。
akiris: akiri(取得する)の過去形
povis: povi(できる)の過去形
pensis: pensi(思う)の過去形
kondukpermisilo: konduk- (運転-) + permis- (許可-) + -ilo (-手段) つまり、運転免許
povos: poviの未来形。エスペラント語では相対時制を使う