英語の時制システムは絶対時制システムと相対時制システムが混ざったものです。エスペラント語の時制システムは相対時制システムです。
I know that he is ill. Mi scias, ke li estas malsana.
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I knew that he was ill. (いわゆる時制の一致があります) Mi sciis, ke li estas malsana.
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I had known that he was ill. (何とここでは従属節の時制に変化がありませ ん) Mi estis sciinta, ke li estas malsana. (実際にはこういう表現を使うエス ペランティストはもうほとんどいませんけどね)
英語で主節が過去完了時制、従属節が過去時制であれば、従属節の過去時制は大過去時間を意味します。とても複雑ですね。一方、エスペラント語の従属節の現在時制は、一貫して、主節と相対的に同じ時間であることを意味しています。
今後は、従属節が主節より前の過去の時間を持つ場合についても考えてみましょう。
I know that he was ill. Mi scias, ke li estis malsana.
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I knew that he had been ill. Mi sciis, ke li estis malsana.
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I had know that he had been ill. Mi estis sciinta, ke li estis malsana.
エスペラント語の従属節の過去時制は、一貫して、主節よりさらに過去の時間を表わしています。
エスペラント語は強力で合理的な時制システムを持つ言語です。残念ながら、時制表現の多くは廃れつつありますが、まぁ、それについてはまた別の機会にぼやくことにいたしましょう。
2003.08.27