イギリス議会がシリアでの参戦を拒みました。長らくアメリカの朝貢国に堕していたイギリスは、今、重大な岐路に立たされています。
国力の大きさの割に、イギリスはユーロ圏の外交で踏み込みが足りないところが目立っています。通貨統合を主導したのはドイツとフランスでした。
君主制であるイギリスには、大統領制あるいはそれに類するもののの経験がほとんどありません。ヨーロッパの広域統合が政治面でも進み、その代表が大統領になれば、君主制のイギリスにとっては不利です。イギリスには大統領制に類するものの経験がほとんどありません。また、仮にイギリス人がヨーロッパの大統領になるとすれば、イギリス国王より上位の存在になります。これがすんなりと通るかどうかは怪しいところです。同様の事情はヨーロッパの他の君主制の国にもありますが、いずれも小国であり、あきらめもつくのでしょう。ルクセンブルクやモナコは自前の軍隊すら持っていません。
国連の総代表は事務総長であり、位置づけとして国連は参加国全員で共有されている官僚組織です。イギリスにとって理想的な広域統合は、国連のような事務統合です。ヨーロッパ統合を事務統合の方向に誘導するには、アメリカの朝貢国であり続けてはなりません。また、イギリスはヨーロッパが大統領制で統合される場合にも備えてか、ブレア政権時に貴族院の世襲議員の数を1/10くらいにまで減らし、王室の外堀を埋め、いざとなったら共和制化に踏み切れるように身構えています。
東アジアを見ますと、中国が共産党独裁の国であり、日本が君主制の国であることで、広域統合の機運が全くありません。天皇制が最終語彙である人々にとって、中国の現状はむしろ僥倖でしょう。
2013.09.03