日本でもアメリカでも、選挙における有権者のほぼ全ては労働者とその家族です。アメリカのブッシュ当時政権とオバマ政権、日本の野田当時政権と安倍政権は、いずれも労働者階級により選出された政権です。
日本で社会民主党や日本共産党が人気を集めない理由の1つは、カール·マルクスら初期の社会主義勢力が掲げた政治目標の大半が、既に達成済みであるからです。
労働者階級に選出された政権が労働者を優遇しているようには見えないかもしれません。しかし、あなたが労働者ならば、勤め先の企業が倒産することは不幸なことですよね。多くの労働者がそう思うんですから、政権は企業のために便宜を図ろうとするのです。
政権の後押しを受けて企業は成長を続け、世界は資本主義によって統合されることになります。(その日が来るまで、資本主義は決して倒れません。資本主義の一時的不調は、おしなべて、株の買い時になります。名目GDPが5倍になったのに株価が同じ水準であるとか、名目GDPが同じ水準なのに、株価が1/5であるとか、そういうところは買いなのです。2012の日経平均なら8,973.99円、2013年なら9,094.83円あたりでしょう。)
マルクスのこの世界統合シナリオを覆すのはとても難しくあります。TPPへの参加なども、結局、日本の政権は拒めないと思われます。
フリードマンは恒常所得仮説と負の所得税制度を唱えました。企業の命運と労働者の生活をある程度切り離すこうした政策のみが、世界統合を阻止できる政策なのでしょうが、実現に向けた歩みは困難を極めそうです。