2013.08.15
株価が上がると、既に株を買い入れていた人は得をします。一方、その後に買い入れる人は、より高い価格で株を買うことになりますから、損をすることになります。また、売買には手数料など取引コストがかかります。
勝者の正の利益 + 敗者の負の利益 + 取引コスト = 0
勝者の正の利益 + 敗者の負の利益 < 0
キャピタルゲインを追求するゲームは、税引き前の状態でも、投資家総体とにとって、株価の変動にかかわらず、常にゼロサムより悪いゲームです。
株価が上がってもそのことによる投資家総体の可処分所得のゼロを下回るため、投資家による消費は増えません。逆に、株価がどんなに下がっても、投資家総体の可処分所得はそのことで減ることはありません。
投資家総体を既存投資家と新参投資家に分解して捉えますと、既存投資家があらかじめ買い入れておいた株を、より高い価格で新参投資家が買い入れると、既存投資家の平均利益はゼロを超えることになります。新参投資家が損をすることで、既存投資家が得をするのです。
株式市場そのものは全く富を作り出さず、富を移動させるだけです。ですから、株価が上がっても、それだけでは、景気が回復したりはしません。景気が良くなるという期待高まることや、実際に景気が良くなることで、株価が上昇するのです。
長い目で見ると、投資家総体の懐に入ってくる利益の大部分は市場の外からもたらされるもの、すなわち、配当です。