リアムズ・ホールドはトレード・ウェイ大街道沿いにダガーフォードから1日ほどの距離にある人口80人程度の小村である。その最も注目すべき特徴は、この地域一帯を見下ろす幅2エーカーもある平らな頂上を持つ岩山である。集落全体がこの岩山の上にあり、低い石垣と金属の門に囲まれた砦となっており、明るい色の花々が飾られて、門の近くの看板には「リアムズ・ホールドへようこそ!」と陽気な歓迎の言葉が書かれている。
防柵の中には天守たる崩れかけた塔、それに併設された宿屋兼居酒屋“おさえの要”亭、何軒かの農民の家がある。村の東には耕作地と放牧地があり、南にはキャラバンのための馬車の駐車と荷積みのためのかなり広い空間が設けられている。このキャラバンのための野営地に1ダースほどの放浪の民が野営をしている。
防柵の中には天守たる崩れかけた塔、それに併設された宿屋兼居酒屋“おさえの要”亭、何軒かの農民の家がある。村の東には耕作地と放牧地があり、南にはキャラバンのための馬車の駐車と荷積みのためのかなり広い空間が設けられている。このキャラバンのための野営地に1ダースほどの放浪の民が野営をしている。
政治
町の指導者はトレード・ウェイ大街道沿いのいくつかの小集落の住民から選ばれる村長である。村長はこの地域での交易と交通がスムーズにいくようにし、住民から徴税して支配者であるダガーフォード公爵に税を納めることが仕事である。
経済
リアムズ・ホールドの経済はトレード・ウェイ大街道沿いに旅をする旅行者とキャラバンに食料を調達することによって支えられている。リアムズ・ホールドから輸出される主たる商品は織物で、村の多くの農家の内職産業となっている。
歴史と伝説
この小村はサンダー・ハンドリアムという名のウォリアー・ウィザードによって設立され、彼の塔の周囲に集落が形成されている。サンダー・ハンドリアムの名前は、長年の間にこの地ではリアムと短縮されて呼ばれるようになった。集落の名前は彼にちなんで名づけられている。その理由の1つは、冷たい刃を手にした彼の物言わぬ鎧を着た幽鬼(レイス)が、侵入者から塔を守っていると言われていることにある。夜中に塔から落下した6人の泥棒がこの塔の足元で死んでいるのが発見されたことがある。
リアムは塔の奥深くにある呪文で守られた地下室に埋葬されているという。彼はすべての呪文書、魔法のスタッフ、魔法の件、そして魔法の指輪を持った状態で棺桶の中に横たわっていると言われているが、これまでのところ誰一人彼の遺物を略奪することに成功していない。彼の墓を守る他の次元界出身のクリーチャーと、地下室への侵入を猛烈に拒絶する地元住民によってそうした試みはことごとく挫かれてきた。彼らは塔が魔法の力で立っているので、リアムが魔法を解除すれば塔が倒れ、集落は押しつぶされてしまうという伝説を信じているのだ。
リアムは塔の奥深くにある呪文で守られた地下室に埋葬されているという。彼はすべての呪文書、魔法のスタッフ、魔法の件、そして魔法の指輪を持った状態で棺桶の中に横たわっていると言われているが、これまでのところ誰一人彼の遺物を略奪することに成功していない。彼の墓を守る他の次元界出身のクリーチャーと、地下室への侵入を猛烈に拒絶する地元住民によってそうした試みはことごとく挫かれてきた。彼らは塔が魔法の力で立っているので、リアムが魔法を解除すれば塔が倒れ、集落は押しつぶされてしまうという伝説を信じているのだ。
リアムズ・ホールドの施設
“おさえの要”亭
低い石垣に囲まれ、南端には崩れかけた砦の塔が建っている。これがリアムの塔である。その1階には石造りの宿屋”おさえの要”亭が作られている。建て付けが悪くて風が吹き抜けるために寒いが、気配りの行き届いた従業員が快適で居心地の良さを実現するために多大な努力を払っている宿屋である。この宿屋は華やかな彫刻が施された石の階段とアーチ型の窓がいっぱいあるリアムの塔を利用して営まれている。塔には2階建ての高さの翼が3つ伸びており、2つは城壁に沿って立ち、3つ目は背後の厩舎に繋がっていて、宿屋の中庭を囲んでいる。すべてが石造りである。防寒のために廊下には毛皮と絨毯が敷かれており、寝室の床には毛皮、窓には風を塞ぐタペストリ、カーテンと天蓋付きのベッドが備え付けてある。
“おさえの要”亭でのサービスは行き届いており、寒い夜にはベッドに湯たんぽが置かれ、ベッドサイドには無料のカクテル・ドリンク、たっぷりの入浴用の水とタオル、温かいゲスト用ローブ、そしてお腹にいっぱいになる食べ物がある。”おさえの要”亭での宿泊は誰もが憧れる体験のひとつであり、旅の商人などはそれを楽しみにしている。
この宿屋の現在の経営者はその設立者の孫イヴス・バーバラク3世である。イヴスは“おさえの要”亭の顔である。彼はこの商売の接客を担当し、彼の最愛の妻ロヴィが台所とバックエンドを担当している。
“おさえの要”亭の食堂には奇妙なオウムガイの貝殻が飾ってある。これはイヴス1世の従兄弟のアルダナーから100年前に贈られたものである。アルダナーはオームー海軍の一員であり、ムーンシェイ諸島産の珍しい代物だといって宿屋の開業祝いに贈ってきたのだが、生前、イヴス1世はアルダナーがアスカトラのワウキーン・プロムナードで購入した安価な小物ではないかとずっと疑っていたという。
“おさえの要”亭での宿泊は1人1泊1gpで、全員が鍵を掛けられる個室を得る。食事は1食5spで、提供される酒は良質なワインで、ボトルで10gpである。
“おさえの要”亭でのサービスは行き届いており、寒い夜にはベッドに湯たんぽが置かれ、ベッドサイドには無料のカクテル・ドリンク、たっぷりの入浴用の水とタオル、温かいゲスト用ローブ、そしてお腹にいっぱいになる食べ物がある。”おさえの要”亭での宿泊は誰もが憧れる体験のひとつであり、旅の商人などはそれを楽しみにしている。
この宿屋の現在の経営者はその設立者の孫イヴス・バーバラク3世である。イヴスは“おさえの要”亭の顔である。彼はこの商売の接客を担当し、彼の最愛の妻ロヴィが台所とバックエンドを担当している。
“おさえの要”亭の食堂には奇妙なオウムガイの貝殻が飾ってある。これはイヴス1世の従兄弟のアルダナーから100年前に贈られたものである。アルダナーはオームー海軍の一員であり、ムーンシェイ諸島産の珍しい代物だといって宿屋の開業祝いに贈ってきたのだが、生前、イヴス1世はアルダナーがアスカトラのワウキーン・プロムナードで購入した安価な小物ではないかとずっと疑っていたという。
“おさえの要”亭での宿泊は1人1泊1gpで、全員が鍵を掛けられる個室を得る。食事は1食5spで、提供される酒は良質なワインで、ボトルで10gpである。
オーダのパイの店
オーダの店は小さく質素な建物で、リアムズ・ホールドの中の他の家屋とほとんど変わらない。
100年前にオーダの祖母ネルが始めたパイの店をオーダが継続している。
オーダは若いころ、パイの味をおいしくするためにノームの魔術師ラブの下に通って魔法を習った。
いつも家の前に常設された屋台でパイを販売している。
人気のパイは特製チキン・パイ
パイは1個5cp~5spまでさまざまである。
人気の特製チキン・パイは1個5spである。
100年前にオーダの祖母ネルが始めたパイの店をオーダが継続している。
オーダは若いころ、パイの味をおいしくするためにノームの魔術師ラブの下に通って魔法を習った。
いつも家の前に常設された屋台でパイを販売している。
人気のパイは特製チキン・パイ
パイは1個5cp~5spまでさまざまである。
人気の特製チキン・パイは1個5spである。
ラブ・ビトネッツの魔法菜園
ノームの魔術師ラブ・ビトネッツはニンニクが好きで好きでたまらなく、自宅をニンニクの研究所に変えている。
彼は品種改良してニンニクによく似た果実を付けるつる植物を作り上げ、魔法で育てている。
彼は品種改良してニンニクによく似た果実を付けるつる植物を作り上げ、魔法で育てている。
リアムズ・ホールドの住民
アルマド
アルマド(男性の箆鹿族のウスガート族の人間、部族の戦士)は出奔したウスガート族の戦士で、5年前にリアムズ・ホールドの女性メグと結婚してこの村で暮らし始めた。妻のメグは小作をしながら織物の内職をし、アルマドは狩人として霧森で獲物を獲っていた。最近、メグが第1子を妊娠し、非常な難産だったが何とか持ちこたえて2日前に元気な男の子が生まれた。その後、アルマドは妻と生まれたばかりの子を置いて行方をくらましている。
イヴス・バーバラク3世
イヴス・バーバラク3世(男性のテシア人の人間、一般人)は“おさえの要”亭の現在の経営者である。彼は入念に手入れされた髭を持つカリスマ的な男である。彼は身振り手振りを交え、豊かな表情で会話を行なう。彼は愛想のよい性格をしており、駄洒落が大好きである。彼の祖母ヌリによれば彼の祖父のイヴス1世とうり二つだと言う。
イヴ
本名はイヴス・バーバラク4世(男性のテシア人の人間、非戦闘員)。彼は“おさえの要”亭の現在の経営者イヴス3世とロヴィの7歳の息子である。高祖父のドワーフ(ヌリの父)の血筋のためか、すでにうっすらと髭が生えている。ケレンとは幼馴染の友人である。
オーダ・キルシュトルテ
オーダ(女性のテシア人の人間、見習いウィザード)はパイ焼き職人である。100年前に祖母のネルが始めたパイの店を継承している。彼女はいつも小麦粉で覆われた栗色の髪をした50代後半の女性である。彼女は仕事のときには祖母から伝わる水色のローブを着る。若いころ、彼女はパイの味をおいしくするためにノームの魔術師ラブの下に通って魔法を習った。キャラミップは彼女にとっては娘のような存在である。
キャラミップ・ビトネッツ
ニンニク好きな魔術師ラブの孫娘のキャラミップ(女性のノーム、見習いウィザード;小型サイズ;60フィートの暗視、“ノームの機転”の特徴を有する;移動速度25フィート)は祖父ラブの魔術師としての弟子でもある。彼女は向学心があり背伸びをしたい年ごろだが実力はまだまだである。
ケレン・ヨルヴィ
ケレン(男性のテシア人の人間、非戦闘員)は7歳の少年で、テリマの年の離れた弟である。幼い頃に両親を失い、姉のテリマが母親代わりになって彼を育てている。
シビル・オヴァナ
シビル(女性のテシア人の人間、一般人;メッセージ呪文を回数無制限で発動できる)は痩せており、艶やかな鴉の濡れ羽色の長い髪と蒼白な肌、そして特徴的な目を持った30歳の女性である。その虹彩は黒色だが、瞳孔が金色という特徴的な目を持つ。10年に渡ってテリマの家に居候している。
テリマ・ヨルヴィ
テリマ・ヨルヴィ(女性のテシア人の人間、一般人)は蒼白な肌、悲しげな瞳、白い筋が目立つ茶色の髪をした30歳の女性である。ケレンの姉であり、シビルの友人である。
ツウィンキン
ツウィンキン(女性のハーフリング、一般人;小型サイズ;ハーフリングの種族特徴を有する)は白髪の多い赤毛のヒンの女性である。彼女は紺色の美しい衣類と同じ色の三角巾を身に着けており、代々の村長の秘書を務めてきた生き字引である。すでに100歳を超えた高齢であるにも関わらず、仕事には精力的かつ実務的であり、優れた組織力を持っているが、明るい性格で人々から信頼されている。
ヌリ・バーバラク
ヌリ・バーバラク(女性のハーフ・ドワーフ、一般人)は“おさえの要”亭の現在の所有者である。彼女は70年前に夫のイヴスを亡くしてから1人でこの宿屋を経営してきている。彼女は普通の人間よりも背の低かった人間の母親とドワーフの父親の間に生まれており、彼女自身ドワーフと同じくらいの背の高さである。幼い頃、ヌリの父親は子供と母親を残して仕事にでかけていた。ドワーフは家族との生活よりも宝石を探す生活を好んでいたのだ。彼女はひとり親との厳しい幼年時代を過ごした。そして成人となってからもしばしば父親のことを考えていたが、そうした考えはいつも彼女を不快な気分にさせた。ヌリがイヴス・バーバラクと結婚した後、夫婦はリアムズ・ホールドで人気の宿屋を経営することとなった。ヌリは台所に立ち、夫のイヴスが接客を担当した。40年近く2人で宿屋を経営してきたが70年前、寿命の短い人間の夫は先立ち、現在は孫のイヴス3世とその妻ロヴィに宿屋を譲って引退している。
ミリネ
ミリネ(女性のテシア人の人間、一般人)はリアムズ・ホールドおよび周辺集落の選挙で選ばれた現在の村長である。50代でありながら真っ白になった髪をひっつめのお団子にしており、日焼けして精力的な女性である。彼女は村と通過するキャラバンの安全と繁栄の責任を負っており、ツウィンキンの助けを得てその仕事にまじめに取り組んでいる。モーウェン女公爵に支援を要請したのも彼女である。
メグ
メグ(女性のテシア人の人間、一般人)はアルマドの妻である、2日前に難産の末に第1子を出産したばかりである。現在、彼女は生まれたばかりの息子と共に“おさえの要”亭で手厚く看護を受けている。
ラブ・ビトネッツ
ラブ・ビトネッツ(男性のノーム、魔道士;小型サイズ;60フィートの暗視、“ノームの機転”の特徴を有する;移動速度25フィート)はニンニクが好きで好きでたまらない魔術師であり、『ニンニク料理101選』の著者である。黒髪で長年に及ぶ野外での活動でよく日に焼けている。彼は自分の家を研究室にしてニンニクについて長年に渡る研究をしている。彼はニンニクによく似た果実を付けるつる植物を品種改良して作り上げたことで名高い。彼は100年ほど前にリアムズ・ホールドを悩ませていたヴァンパイアのシエロニウス・デシックに襲われたが生き延びた経験がある。それ以来ラブは極めて神経質で偏執的になってしまった。
ロヴィ・バーバラク
ロヴィ・バーバラク(女性のイラスク人の人間、一般人)は“おさえの要”亭の経営者イヴスの妻である。ヌリから仕込まれた料理の腕前はこの宿屋の名高い評判を維持するのに大いに役立っている。