東京、サハラ砂漠!
謎の男から呼び出され面白い戦いをする会場に向かっていた壁マンことこの俺は、サハラ砂漠駅構内で絶賛途方に暮れていた。
「な、なにい~!コロナウイルスのせいで……山手線が全面運行停止だと~!?これでは会場に行くには……この砂漠地帯を徒歩で越えていくしか無いではないか!」
大変困った!サハラ砂漠は砂漠なので大変熱く、いくら壁とは言え横断するのは命の危険がある。
だがそれでも電話で呼ばれた以上は(やっぱりDiscordでで声を聞くとメールとかDMだけ寄越されるより心に残るよね)
約束を破る訳には行かない!壁マンはサハラ砂漠横断を決意した。
謎の男から呼び出され面白い戦いをする会場に向かっていた壁マンことこの俺は、サハラ砂漠駅構内で絶賛途方に暮れていた。
「な、なにい~!コロナウイルスのせいで……山手線が全面運行停止だと~!?これでは会場に行くには……この砂漠地帯を徒歩で越えていくしか無いではないか!」
大変困った!サハラ砂漠は砂漠なので大変熱く、いくら壁とは言え横断するのは命の危険がある。
だがそれでも電話で呼ばれた以上は(やっぱりDiscordでで声を聞くとメールとかDMだけ寄越されるより心に残るよね)
約束を破る訳には行かない!壁マンはサハラ砂漠横断を決意した。
「オアシスだ!オアシスを探さなくては!この熱帯を休息無しで突破するのはいくら壁とは言え不可能!
距離を稼ぐだけではない!休息と水分が取れるオアシスを発見しなくては!勝機はない!」
距離を稼ぐだけではない!休息と水分が取れるオアシスを発見しなくては!勝機はない!」
しかし……10時間後!そこにはオアシスのオの字も見つけられず、砂漠の中で倒れ伏す壁マンの姿があった!
「ち、地球温暖化だ……っ!東京では年々CO2排出力が増えつつある!その影響で砂漠も温暖化が進み、残った数少ないオアシスが蒸発してしまったんだ……!
や、やはり山手線が止まっている時点で引き返すべきだった……!そもそもこの戦いに星側で出るメリットは殆どない……!
既に主催が予選参加者を壁打ちのための壁とかバカにしたせいで、星に対する読者感情は悪化しているのだ!
普通に戦っても票は向こうに傾きやすいというのに、締切45分前から作成しているこのようなプロローグを見せたら……読者の感情はさらに壁側に傾くのは明白!
ちょっとちやほやされたくらいで戦いに参加しようと思った事自体が間違いだったのだ……!
そうだ……俺は十分頑張ったさ……このままおとなしく……ただの壁として砂漠の片隅に埋もれるとしよう……」
や、やはり山手線が止まっている時点で引き返すべきだった……!そもそもこの戦いに星側で出るメリットは殆どない……!
既に主催が予選参加者を壁打ちのための壁とかバカにしたせいで、星に対する読者感情は悪化しているのだ!
普通に戦っても票は向こうに傾きやすいというのに、締切45分前から作成しているこのようなプロローグを見せたら……読者の感情はさらに壁側に傾くのは明白!
ちょっとちやほやされたくらいで戦いに参加しようと思った事自体が間違いだったのだ……!
そうだ……俺は十分頑張ったさ……このままおとなしく……ただの壁として砂漠の片隅に埋もれるとしよう……」
命を投げ捨てようとする壁マン。そんな壁マンに「だめだ!諦めるな!おまえは壁マンだ!ただの壁になっていいはずがない!」
と声をかけるかのように、その脳裏にかつての記憶が走馬灯のように蘇り始めた。
と声をかけるかのように、その脳裏にかつての記憶が走馬灯のように蘇り始めた。
それは……壁マンがマンになる前、集合住宅でただの壁をやっていた時の記憶。
かつての主人が壁マンの部屋に引っ越してきたときの記憶だった。
かつての主人が壁マンの部屋に引っ越してきたときの記憶だった。
「よう!俺は壁マン!見ての通り集合住宅の壁をやっているないす壁さ!はじめましてだなお嬢ちゃん、名前を聞かせてもらってもいいかな?」
「あらあら……最近の壁は随分おしゃべりなのね。私はヒロ子よ。このプロローグのヒロインを務めて死ぬ予定の女の子よ。よろしくね」
「おう、よろしくヒロ子!って言ってもまあ、ここに越してくるやつは大体、俺を気味悪がってすぐ出てっちゃうんだけどな。あんたはそうじゃないことを祈ってるぜ!一人でいるの寂しいし」
「そうねえ。確かに気味悪いけど、出ていく程じゃないかしら。ここの家賃、貴方のおかげで物凄く安いし。何よりお喋りの相手がいたほうが暇潰しができていいわ。私、友達少ないから」
「あらあら……最近の壁は随分おしゃべりなのね。私はヒロ子よ。このプロローグのヒロインを務めて死ぬ予定の女の子よ。よろしくね」
「おう、よろしくヒロ子!って言ってもまあ、ここに越してくるやつは大体、俺を気味悪がってすぐ出てっちゃうんだけどな。あんたはそうじゃないことを祈ってるぜ!一人でいるの寂しいし」
「そうねえ。確かに気味悪いけど、出ていく程じゃないかしら。ここの家賃、貴方のおかげで物凄く安いし。何よりお喋りの相手がいたほうが暇潰しができていいわ。私、友達少ないから」
そんなこんなで二人は出会った。
その後、でも男の人に生活を見られるのは嫌だから、ということで壁マンに大量のガムテープを貼り付けたり、
ストレス解消と称して壁マンをガスバーナーで炙り危うく火事を起こしそうになったが、概ね二人は仲良く過ごしていた。
壁マンにとっても久しぶりに孤独を紛らわせる、楽しい時間が続いた。
その後、でも男の人に生活を見られるのは嫌だから、ということで壁マンに大量のガムテープを貼り付けたり、
ストレス解消と称して壁マンをガスバーナーで炙り危うく火事を起こしそうになったが、概ね二人は仲良く過ごしていた。
壁マンにとっても久しぶりに孤独を紛らわせる、楽しい時間が続いた。
だが……そんな生活も長くは続かなかった。
それは吹雪の夜だった。その夜、ヒロ子は運悪く流行病にかかり、大変な高熱を出していた。そんな中、床に伏せたヒロ子が壁マンにこんな事を言った。
それは吹雪の夜だった。その夜、ヒロ子は運悪く流行病にかかり、大変な高熱を出していた。そんな中、床に伏せたヒロ子が壁マンにこんな事を言った。
「あーあ、こういう時、貴方に手足が生えてれば、代わりに買い物に行ってもらったり、料理を作ったりしてもらえるのに。ねえ、喋れるんだから手足くらいはやせないの?」
「そうは言ってもなあ。しゃべるだけで気持ち悪いのに、手足まで生えちゃったらもう壁じゃなくなっちゃうもん。オーケーグーグル!って言ってレシピくらいは調べてあげるから、我儘言わんでくれよなあ」
「何言ってるの。手足が生えた壁なんてそこらへんにいるわよ。ほら、鬼太郎のぬりかべとかもそうだし。何なら今ここで壁からぬりかべにランクアップすればいいじゃない。貴方ならできるわよ!ほら一揆!一揆!」
「う~ん……確かに!言われてみればできる気がしてきたぞ!いっちょやってみっか!よっこらせ、ほっ!」
「そうは言ってもなあ。しゃべるだけで気持ち悪いのに、手足まで生えちゃったらもう壁じゃなくなっちゃうもん。オーケーグーグル!って言ってレシピくらいは調べてあげるから、我儘言わんでくれよなあ」
「何言ってるの。手足が生えた壁なんてそこらへんにいるわよ。ほら、鬼太郎のぬりかべとかもそうだし。何なら今ここで壁からぬりかべにランクアップすればいいじゃない。貴方ならできるわよ!ほら一揆!一揆!」
「う~ん……確かに!言われてみればできる気がしてきたぞ!いっちょやってみっか!よっこらせ、ほっ!」
その瞬間、壁マンは魔人に覚醒した。だがそれが間違いだったのだ……!
ボゴン!という音とともに壁マンの横としたから手足が生え、同時に天井と床から外れた。
凄まじい勢いで吹雪が部屋の中に吹き込み、病床に伏すヒロ子を襲ったのだ!
ボゴン!という音とともに壁マンの横としたから手足が生え、同時に天井と床から外れた。
凄まじい勢いで吹雪が部屋の中に吹き込み、病床に伏すヒロ子を襲ったのだ!
「で、できた!本当にできたぞ!ってうわー!メッチャ寒い!壁が……壁が無くなったせいで一気に気温が!大丈夫かヒロ子ー!」
「うぎゃああああ!やばいわ!この熱にこの寒さは人死に物よ!は、早くもとに戻って壁マン!」
「だ、だめだ!できない!生やした手足がじゃまになって……元の場所に戻れない!一度はやした手足は無くせないんだ!うわー!」
「うぎゃああああ!やばいわ!この熱にこの寒さは人死に物よ!は、早くもとに戻って壁マン!」
「だ、だめだ!できない!生やした手足がじゃまになって……元の場所に戻れない!一度はやした手足は無くせないんだ!うわー!」
ガコンガコン!何度ぶつかっても壁マンは元の場所に戻れなかった
「そうだ……確かヒロ子が拷問用に使っていたノコギリがあったはず……!あれデ手足を切り落せば元の場所に戻れるかもしれない!うおおー!」
ギコギコギコ!手足を落とそうとする壁マン!だが……彼は破壊不能オブジェクトだったのだ。
いくらノコギリで攻撃しても、その手足は傷一つつかなかった……。
「そうだ……確かヒロ子が拷問用に使っていたノコギリがあったはず……!あれデ手足を切り落せば元の場所に戻れるかもしれない!うおおー!」
ギコギコギコ!手足を落とそうとする壁マン!だが……彼は破壊不能オブジェクトだったのだ。
いくらノコギリで攻撃しても、その手足は傷一つつかなかった……。
この部屋を治すのは無理だ!せめてヒロ子だけでも、他の部屋で暖を取らせてやらねば……!
壁マンはヒロ子を抱えて集合住宅を駆け回った。彼女を助けてくれと。だが……
壁マンはヒロ子を抱えて集合住宅を駆け回った。彼女を助けてくれと。だが……
「う、うわああ~!ぬりかべだ!来るな妖怪!悪霊退散!今すぐここから消え去るがよい!」
「ち、ちがう!俺はぬりかべじゃない!彼女を助けてほしいだけなんだ!頼む、話を……話を聞いて……」
「うわああああー!壁がしゃべったー!助けておまわりさん!この怪物を殺してくれー!」
「ち、ちがう!俺はぬりかべじゃない!彼女を助けてほしいだけなんだ!頼む、話を……話を聞いて……」
「うわああああー!壁がしゃべったー!助けておまわりさん!この怪物を殺してくれー!」
誰も彼を受け入れるものはいなかった……そう、しゃべるだけで気持ち悪いのに、手足が生えた壁など、人間から見たらただの化け物でしかなかったのだ……!
そんなこんなで、壁マンのせいでヒロ子は死んだ。
もしも……もしもあの時ヒロ子の言葉を真に受けなければ……自分に手足が生えていなければ……いや!意思すら持たないただの壁だったなら!
彼女は死なずに済んだのだ。そして……そのもしもを叶える事ができる能力の持ち主を、壁マンは知っている!
彼女は死なずに済んだのだ。そして……そのもしもを叶える事ができる能力の持ち主を、壁マンは知っている!
「そうだ……あの時の間違いを正すために、俺は……こんな砂漠で死ぬわけには行かない!そもそも壁だぞ!気温とか関係ねえよ!」
壁マンは……再び立ち上がった!戦いに参加しようとした過去の自分を消し去り、面白おかしくイカをするために……頑張れ壁マン!負けるなかべマン!
おわり