ED(+ネクストプロローグ?)
絶望と困惑に満たされた空間。
誰もが目の前の事態を受け入れられず、平等に凍り付いていた。
そんな空気を打ち破ったのは、ある元アサシンの一声。
誰もが目の前の事態を受け入れられず、平等に凍り付いていた。
そんな空気を打ち破ったのは、ある元アサシンの一声。
「いやだ!俺はそんな邪悪な誘いには勧誘禁止だぜ!!!」
……カルマだ。
その言葉に少年は僅かばかり眉を潜め、他の面々は多種多様な表情でカルマに視線を移す。
一拍間隙を置いた後、カルマは続けた。
「何をしたいかは知らないが、俺達を甘くみるなよ! そう簡単にお前のいいなりなんかにはならない!
俺は決めたんだ。人を殺す生活よりがんものある生活ん選ぶって!」
それが皮切りになったかのように、今の今まで黙っていた者も抗議を開始した。
「がんもがこげちゃう!」
「まあ、はやく逝けよ」
「きゅ、9999ゴールド慰謝料として請求させてもらうよ?」
「ウガーーーーーーーーー!」
「せっかく生き返ったのにこんな目に会うのはあんまりだ!」
「アサシンマスターとして、男として……お前を許すわけにはいかん!」
「ふん……あまり認めたくはないが、今回ばかりは私も同意見だな」
「悪は滅びるさだめにあるのよ」
一部意味不明なものを除けば、総意は一つに違いない。
ひどく醒めた目で9人の参加者を見つめ、
けれど少年は、リリイの部屋に余裕綽々の声を響かせた。
「粋がるのは構わないけど、その前に自分達の首を見てごらん?」
言われ、それぞれが己の首へと手を伸ばし――程無く、硬質的な感触に当たった。
反転しかけていた空気が、再び寒々しい畏れへと塗り替えられていく。
「その首輪はね、特殊な、到底君たちでは及びもつかないような力で構成されていて、まず壊せない。
しかも俺が望むか、三つの国から外にでたら首輪が爆発して『たかまさになってしまう』魔法が同時発動する」
たかまさになる。その部分が彼らに与えた衝撃は如何ほどのものだったろうか。
ある意味死んだほうがマシとさえ言える、最高最悪の屈辱。
経験値も金も落とさない、低次元なイキモノへと変えられてしまうなど、考えただけで恐ろしい。
どん底にまで叩き落された彼らの表情を、ニヤニヤしながら少年は愉しんでいた。
故に。
首輪についての説明、特にその終わり際のある瞬間。
カルマ、アルエ、ダンデ、リリイ――――この四名の眼に希望の光が点ったのに、遂には気付かなかったのである。
その言葉に少年は僅かばかり眉を潜め、他の面々は多種多様な表情でカルマに視線を移す。
一拍間隙を置いた後、カルマは続けた。
「何をしたいかは知らないが、俺達を甘くみるなよ! そう簡単にお前のいいなりなんかにはならない!
俺は決めたんだ。人を殺す生活よりがんものある生活ん選ぶって!」
それが皮切りになったかのように、今の今まで黙っていた者も抗議を開始した。
「がんもがこげちゃう!」
「まあ、はやく逝けよ」
「きゅ、9999ゴールド慰謝料として請求させてもらうよ?」
「ウガーーーーーーーーー!」
「せっかく生き返ったのにこんな目に会うのはあんまりだ!」
「アサシンマスターとして、男として……お前を許すわけにはいかん!」
「ふん……あまり認めたくはないが、今回ばかりは私も同意見だな」
「悪は滅びるさだめにあるのよ」
一部意味不明なものを除けば、総意は一つに違いない。
ひどく醒めた目で9人の参加者を見つめ、
けれど少年は、リリイの部屋に余裕綽々の声を響かせた。
「粋がるのは構わないけど、その前に自分達の首を見てごらん?」
言われ、それぞれが己の首へと手を伸ばし――程無く、硬質的な感触に当たった。
反転しかけていた空気が、再び寒々しい畏れへと塗り替えられていく。
「その首輪はね、特殊な、到底君たちでは及びもつかないような力で構成されていて、まず壊せない。
しかも俺が望むか、三つの国から外にでたら首輪が爆発して『たかまさになってしまう』魔法が同時発動する」
たかまさになる。その部分が彼らに与えた衝撃は如何ほどのものだったろうか。
ある意味死んだほうがマシとさえ言える、最高最悪の屈辱。
経験値も金も落とさない、低次元なイキモノへと変えられてしまうなど、考えただけで恐ろしい。
どん底にまで叩き落された彼らの表情を、ニヤニヤしながら少年は愉しんでいた。
故に。
首輪についての説明、特にその終わり際のある瞬間。
カルマ、アルエ、ダンデ、リリイ――――この四名の眼に希望の光が点ったのに、遂には気付かなかったのである。
「それで話は終わりか?」
「……は?」
少年は、
(こいつらやっぱバカだなぁ)
と半ば呆れながら、思わず声を出してしまっていた。
無理もないだろう。何せ、たった今「逆らったらどうなるか」説明したばかりなのだから。
しかし、カルマが次に発した言葉は、僅かながらも少年を同様させることとなる。
「今の説明で確信した。お前は俺達に勝てない!」
「まったくだな」
「おでんがこげちゃう!」
「そういうことよ」
言うな否や、四人は素手のままファイティングポーズを取り、戦闘態勢に入る。
何の迷いもないその様子に、少年の精神を多少迷いを呈し始めた。
「は、は……何考えてるのさ。僕がちょっと手を下すだけで、君たちたかまさになっちゃうんだよ?
君たちが近づくよりも早く、俺が呪文を唱え終わって首輪が
「……は?」
少年は、
(こいつらやっぱバカだなぁ)
と半ば呆れながら、思わず声を出してしまっていた。
無理もないだろう。何せ、たった今「逆らったらどうなるか」説明したばかりなのだから。
しかし、カルマが次に発した言葉は、僅かながらも少年を同様させることとなる。
「今の説明で確信した。お前は俺達に勝てない!」
「まったくだな」
「おでんがこげちゃう!」
「そういうことよ」
言うな否や、四人は素手のままファイティングポーズを取り、戦闘態勢に入る。
何の迷いもないその様子に、少年の精神を多少迷いを呈し始めた。
「は、は……何考えてるのさ。僕がちょっと手を下すだけで、君たちたかまさになっちゃうんだよ?
君たちが近づくよりも早く、俺が呪文を唱え終わって首輪が
「――そこからしてお前は間違っている」
え? と。
少年の頭に、唐突な空白が生じた。
カルマは少年の言葉に割り込んだ勢いを緩めずに、宣言する。
、 、 、 、 、 、 、、 、、 、、 、 、、 、 、
「いつ俺達がたかまさになると決まった?」
「な……何を、言って」
「まだわからないのか。
、 、 、、 、 、 、 、 、、 、 、 、、 、、 、 、、 、 、、 、、 、 、、
俺達には首輪の力でたかまさにされるのを防ぐことができる。
そう言ってるんだよ」
理解できない。理解できるはずもない。
少年は必死に頭を巡らせる。
カルマ、アサシン。使える魔法はリトルブレイバーのみ。
アルエ、おでんバカ。回復が得意。
ダンデ、アサシンマスター。設定は特に考えていない。
ノヴァ、国王。設定は特に考えていない。
どうあがいても、こんな奴らが首輪を解除できるはずもない……はずだ。
「何なら試しに、あたしの首輪を作動させてみなさいよ!」
黙れおでん電波女。
いや……待てよ?
「――そうだね。ならお前の首輪から見せしめに起動させてやる!」
流石にバカどもでも、実際に知り合いがたかまさにされるのを見れば理解が及ぶだろう。
そう考えた少年は、一人の人間を変質させる、滅びの呪文を唱えた。
頭にアルエの顔を思い浮かべ、歌うように詠唱を終え――
少年の頭に、唐突な空白が生じた。
カルマは少年の言葉に割り込んだ勢いを緩めずに、宣言する。
、 、 、 、 、 、 、、 、、 、、 、 、、 、 、
「いつ俺達がたかまさになると決まった?」
「な……何を、言って」
「まだわからないのか。
、 、 、、 、 、 、 、 、、 、 、 、、 、、 、 、、 、 、、 、、 、 、、
俺達には首輪の力でたかまさにされるのを防ぐことができる。
そう言ってるんだよ」
理解できない。理解できるはずもない。
少年は必死に頭を巡らせる。
カルマ、アサシン。使える魔法はリトルブレイバーのみ。
アルエ、おでんバカ。回復が得意。
ダンデ、アサシンマスター。設定は特に考えていない。
ノヴァ、国王。設定は特に考えていない。
どうあがいても、こんな奴らが首輪を解除できるはずもない……はずだ。
「何なら試しに、あたしの首輪を作動させてみなさいよ!」
黙れおでん電波女。
いや……待てよ?
「――そうだね。ならお前の首輪から見せしめに起動させてやる!」
流石にバカどもでも、実際に知り合いがたかまさにされるのを見れば理解が及ぶだろう。
そう考えた少年は、一人の人間を変質させる、滅びの呪文を唱えた。
頭にアルエの顔を思い浮かべ、歌うように詠唱を終え――
「ディアボリック・デス・バースト!!!!」
閃光がアルエの首から、放射状に広がり……辺り一面を純白に染め上げる。
完全に網膜が白で埋め尽くされる直前、少年は視界の端に、ノヴァが何事かをしようとしているのを見た。
しかしそれも刹那の間、あっというまに白が全てを塗り潰し、何も見えなくなり――
完全に網膜が白で埋め尽くされる直前、少年は視界の端に、ノヴァが何事かをしようとしているのを見た。
しかしそれも刹那の間、あっというまに白が全てを塗り潰し、何も見えなくなり――
ありえない。
「ど、」
ありえない。
「どうして……」
ありえてはいけない。
「どうして……お前……!」
否、ありえるはずがない!
「ど、」
ありえない。
「どうして……」
ありえてはいけない。
「どうして……お前……!」
否、ありえるはずがない!
「どうしてお前は、たかまさになっていない!?」
アルエは首輪を作動させる前と、寸分違わぬ姿でそこにいた。
いや、一つだけ異なる点を挙げるとすれば、首に嵌められた輪が消失しているということだろうか。
即ち……首輪は発動したが、結果としてアルエをたかまさにすることができなかった、その証明に他ならない。
「それだけじゃないわ……まだ気付かないの?」
先刻、不穏な動きを見せていたノヴァが、静かに少年へと告げる。
「……? 何だ? 俺がどうしたっていうんだ?」
少年は、自分に何かが起こる……という可能性を初めから考慮していなかった。
故に、気付くのに若干の時間を必要とした。
まじまじと、自分の体に視線を落として、
「!!!」
ソレを、見た。
受け入れがたい現実を、目の当たりにした。
「な――何だ、これは」
呻く様に、かろうじて少年は言葉を搾り出す。
「お前もよくしっているだろ? そいつの姿は。つまり――」
現実を思い知らせるように、カルマは欠片も躊躇せず、言い切った。
いや、一つだけ異なる点を挙げるとすれば、首に嵌められた輪が消失しているということだろうか。
即ち……首輪は発動したが、結果としてアルエをたかまさにすることができなかった、その証明に他ならない。
「それだけじゃないわ……まだ気付かないの?」
先刻、不穏な動きを見せていたノヴァが、静かに少年へと告げる。
「……? 何だ? 俺がどうしたっていうんだ?」
少年は、自分に何かが起こる……という可能性を初めから考慮していなかった。
故に、気付くのに若干の時間を必要とした。
まじまじと、自分の体に視線を落として、
「!!!」
ソレを、見た。
受け入れがたい現実を、目の当たりにした。
「な――何だ、これは」
呻く様に、かろうじて少年は言葉を搾り出す。
「お前もよくしっているだろ? そいつの姿は。つまり――」
現実を思い知らせるように、カルマは欠片も躊躇せず、言い切った。
「たかまさだよ」
「嘘だ! 間違ってる、こんなの間違ってる!」
「いいえ、間違ってはいないわ。これが現実よ。
あ、どうしてこんなことになっているかって? それはね……」
混乱する少年を宥めるように、ノヴァの口から真相が紡がれゆく。
「私の魔法『とっておきの唄』。これはほんの少しの間だけ、味方全員をあらゆる攻撃から守るの。
そして、それが魔法であったなら、敵に対しそっくりそのまま跳ね返すことができる」
「し、知らないぞ、そんな魔法! 俺は作った覚えが――――」
そこまで口に出して、少年は一つの違和感に気づく。
(こいつら……俺の設定と、キャラが違いすぎる!? まさか……)
自分は、空想上に作り上げた『弟の作ったRPG』からこいつらを呼び出した。そう思っていた。
しかし、実際はそうでなかったとしたら?
例えば。
例えば――あのスレで釣られた連中の作った再現RPG……『カルマはだれキュラ』から呼び出されたのだとしたら。
「――――ち、く、しょう」
ありったけの負の感情を込めて、少年はそれだけを言い残す。
何故その言葉に「言い残す」という表現を用いる必要性があったのか――
次の瞬間、カルマら9名の総攻撃を受け、たかまさの形状をした生物が消滅してしまったからに他ならない。
「いいえ、間違ってはいないわ。これが現実よ。
あ、どうしてこんなことになっているかって? それはね……」
混乱する少年を宥めるように、ノヴァの口から真相が紡がれゆく。
「私の魔法『とっておきの唄』。これはほんの少しの間だけ、味方全員をあらゆる攻撃から守るの。
そして、それが魔法であったなら、敵に対しそっくりそのまま跳ね返すことができる」
「し、知らないぞ、そんな魔法! 俺は作った覚えが――――」
そこまで口に出して、少年は一つの違和感に気づく。
(こいつら……俺の設定と、キャラが違いすぎる!? まさか……)
自分は、空想上に作り上げた『弟の作ったRPG』からこいつらを呼び出した。そう思っていた。
しかし、実際はそうでなかったとしたら?
例えば。
例えば――あのスレで釣られた連中の作った再現RPG……『カルマはだれキュラ』から呼び出されたのだとしたら。
「――――ち、く、しょう」
ありったけの負の感情を込めて、少年はそれだけを言い残す。
何故その言葉に「言い残す」という表現を用いる必要性があったのか――
次の瞬間、カルマら9名の総攻撃を受け、たかまさの形状をした生物が消滅してしまったからに他ならない。
次元が歪み、元の世界へ回帰を果たしていく彼らを、どこか遠くから眺める者達が存在した。
『きゅう、きゅう、きゅう、きゅう。(どうやら ここまでのようだな。つまらん……)』
『ふん。グランドソードの力を多少与えてやったはいいが、所詮そこまでの輩だったか』
『もう彼らのことはいいでしょ? 終わったことだから。どうせまた参加してもらうし。
それより次は何処で始めるの? 私の学校でもいいけど、少し殺し合いには狭すぎるわ』
『いや、まずは参加者の選定と能力制限から――』
『きゅう、きゅう、きゅう、きゅう。(どうやら ここまでのようだな。つまらん……)』
『ふん。グランドソードの力を多少与えてやったはいいが、所詮そこまでの輩だったか』
『もう彼らのことはいいでしょ? 終わったことだから。どうせまた参加してもらうし。
それより次は何処で始めるの? 私の学校でもいいけど、少し殺し合いには狭すぎるわ』
『いや、まずは参加者の選定と能力制限から――』
かくして、一つの物語が幕を下ろす。
『弟が作ったRPGでバトルロワイアル』――――完