みんなで無念まとめ wiki

屋上物語

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

屋上物語 ◆NIKUcB1AGw


夢を見る島DXは、市街地を慎重に移動していた。
先ほどの放送では、彼の想像を大幅に上回る本数のゲームが死者として名前を告げられていた。
ここまでさほど多くの参加者と遭遇しなかったが、どうやら積極的に他のゲームの命を奪っている参加者が大多数のようだ。
他者を殺す前に自分が殺されたのでは、洒落にならない。
ゆえに彼は、移動しながらも警戒を怠らなかった。
だが、それでも彼にはまだ隙があった。
次の瞬間、予期せぬ方向からの攻撃が夢を見る島DXを襲った。

「ぐがっ!」

その方向は、上。自分に向かってきた何かに激突された夢を見る島DXは、うめき声を上げて膝をついた。

「くっ!」

すぐに体勢を立て直した夢を見る島DXは、視線を上に向ける。
彼の目に映ったのは、すぐ横のビルの屋上に立つ人影であった。
位置関係の問題で顔は確認できなかったが、腕に銃器らしき筒がはめられているのが確認できた。
その筒から、第二撃が放たれる。
しかしすでに存在に気づいている夢の島DXは、それを回避することに成功。
狙いがあまり正確でないため、避けること自体は難しくなかった。
だがこのままでは、一方的に攻撃を受けるだけだ。
彼が本物のリンクであるならば、飛び道具で反撃することもできる。
だが彼はあくまで夢を見る島DXであり、持っている武器は主催者から支給されたラミアスの剣だけだ。
現状では、襲撃者に対し何もできない。
選択肢は二つ。襲撃者に接近するか、逃走するか。
夢を見る島DXは、前者を選んだ。

「はあっ!」

夢を見る島DXはビルの壁に剣を叩きつけ、穴を開ける。
そして素早く、屋内へ飛び込んだ。
そのまま彼は、階段を駆け上がっていく。
襲撃者が降りてくる気配はない。おそらく、屋上で待ち構えるつもりなのだろう。
階段を昇りきった夢を見る島DXは、一度足を止める。
そして屋上へ出るための扉を突きで破壊し、そのまま扉を盾にして突進した。

直後に、炸裂音。
金属製の扉が、みるみる破壊されていく。
だがそれでも、完全に破壊される頃には夢を見る島DXは充分に間合いを詰めていた。

「やあっ!」

襲撃者に向かって、剣を薙ぐ。襲撃者はそれを横っ飛びで回避し、柵の上に着地した。

「その姿、ゼルダの伝説だな……。さすがに任天堂の看板タイトル、なかなかやる……」

夢を見る島DXをまじまじと見つめながら、襲撃者……すなわちがんばれゴエモンは呟く。

「そういう君は、がんばれゴエモンか」
「ああ、そうだ。それがどうかしたか?」
「いや。誰であろうと、敵は葬り去るのみだ」

今一度、夢を見る島DXが剣を振るう。がんばれゴエモンは、大きく跳躍してそれを回避。そのまま、夢を見る島DXの背後に着地する。

「ちいっ!」

相手に攻撃する隙を与えず、振り向きながら斬撃を放つ夢を見る島DX。
だが遠心力を乗せたその一撃も、やはりがんばれゴエモンには届かない。

「がむしゃらだな。そんな戦い方では、最後まで保たないぞ」

わずかに嘲笑を浮かべながら、がんばれゴエモンは距離を取る。
そして、小判を夢を見る島DXに向かって投擲した。
現状防御手段を持たない夢を見る島DXは、ラミアスの剣でそれを斬り落とす。
だが、それで終わりではない。がんばれゴエモンは、次から次へと小判を投げつけてくる。

「くっ……!」

全ての小判を迎撃しつつも、夢を見る島DXは焦りを隠せない。
このままでは、じり貧なのは明らか。なんとか突破口を見いださなければならない。
そう考えるのは当然のこと。だがその些細な思考のノイズが、彼にミスを犯させる。

「っ!!」

ふいに、小判の嵐の中に異物が混ざる。接近するそれが小判でないことに気づいた夢を見る島DXであったが、もう剣を振る腕を止められない。
ラミアスの剣が異物を切り裂き、その次の瞬間には炸裂する液体が夢を見る島DXの顔面を襲っていた。

「ぐあっ!」

顔を襲った予想外の刺激に、夢を見る島DXはたまらずバランスを崩す。
液体の正体は、サイコソーダ。
ジャスコの屋上で地道に自販機へ小判を入れ続けたがんばれゴエモンは、傷を完全に癒やしていた。
さらに今後に備え、大量のサイコソーダを確保していたのだ。
がんばれゴエモンはその中の1本をよく振り、小判に紛れさせて投げつけたのである。

「終わりだ」

無防備になった夢を見る島DXに対し、がんばれゴエモンは満を持して空気砲の一撃を叩き込む。
直撃を受けた夢を見る島DXは柵ごと吹き飛び、足場のない空間に放り出された。

(しまった……。このままでは、死ぬ……!)

自由落下に体を支配されながら、夢を見る島DXはこれ以上無く焦る。
ゲームの中ならまだしも、ここは現実世界。
この高さから落下したのでは、死は免れない。
何か手を打たなければ、彼の冒険はここで終わってしまう。
だが先ほども触れたように、彼の持ち物は剣1本。
都合よく空を飛べるようなアイテムは、持ち合わせていない。
もはや打つ手なし。客観的には、そう見えた。
だが夢を見る島DXは、まだ諦めてはいなかった。

(まだ死ねない……! あの子のために、まだ俺は死ねないんだぁぁぁぁぁ!!)

決して譲れぬ信念を胸に、夢を見る島DXは虚空に向かって剣を振る。
それは一見、無意味な行為。だがそれが、奇跡を起こした。

「しゃあああああ!!」

夢を見る島DXが繰り出したのはリンクの代名詞とも言える技、回転斬り。
回転する彼の体は下降から上昇に転じ、道路を挟んだ隣のビルの屋上まで移動する。
そして回転が終わると同時に、夢を見る島DXの手が屋上の縁にかけられた。

「なんと……!」

一部始終を見ていたがんばれゴエモンは、驚愕に目を見開く。
回転斬りに上昇の効果があるのは、ゼルダシリーズではない。「スマブラ」での仕様だ。

(生への執念が、違う作品での能力を引き出したというのか……!)

あり得ない話ではない。
彼らはゲームソフトのデータから作り出された存在だ。
だが彼らにこうして人格を与え、人間そっくりの肉体を与えたのは3DS、もしくはその協力者であろう。
ならば彼らの中にあった関連作品のイメージが混入する可能性も、否定できないのではないだろうか。

(忌々しい……!)

戦う相手が、関連作品に助けられたという事実。それが、シリーズの途絶えたがんばれゴエモンの劣等感を刺激する。
苛立ちを込め、彼は隣のビルに向かって空気砲を連射する。
だがその攻撃は、夢を見る島DXを捉えることはできなかった。

「がんばれゴエモン!」

砲撃を避けながら、夢を見る島DXは叫ぶ。

「この場は俺の負けだ! だが、いずれ借りは返す!
 また会おう!」

再戦を誓う捨て台詞を残すと、夢を見る島DXはその場から逃げ出し階下へと消えていった。

「ちっ……!」

残されたがんばれゴエモンは、苛立ちをあらわに舌打ちをする。
今からビルを降りて夢を見る島DXを追ったところで、とうてい追いつけないだろう。

「いいだろう……。次に会った時こそ、必ず殺す!」


◇ ◇ ◇


(やつは手強い……。今のままもう一度戦ったところで、同じ結果を繰り返すだけだろう)

市街地を全力で駆けながら、夢を見る島DXは考える。

(剣だけで戦うのは限界がある。武器を揃えよう。
 多種多様なアイテムが使えるのが、ゼルダシリーズの魅力でもあるんだからな)

次の勝利をつかむために、夢を見る島DXは走る。決して醒めぬ夢を叶えるために。


【D-4 市街地】

【ゼルダの伝説 夢を見る島DX】
【状態】ダメージ(大)
【装備】ラミアスの剣@DQ6
【道具】支給品一式
【思考】
1:夢を終わらせる
2:装備を充実させる
3:とっとこハム太郎2に対する動揺
4:次にシムシティに会ったら話を聞きたい
※外見はゼルダの伝説 夢を見る島DXのリンクです


【がんばれゴエモン~ゆき姫救出絵巻~】
【状態 健康
【装備】ナイフ@サバイバルキッズ、空気砲@ドラえもん のび太と妖精の国
【道具】支給品一式×2、サイコソーダ@ポケットモンスター×29
【思考】
1:優勝する
2:次に夢を見る島DXにあったら、必ず殺す

※外見は般若の面を被ったゴエモンです。
※支給品とは別に、小判を投げる能力を持っています。


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー