唐突に届いた、一通のメール。それを読んだ瞬間、チンクは目の前が真っ暗になっていくのを感じた。
死者として記された、18人もの名前。そこには彼女の大切な家族である、スバルとドラスの名前が記されていたのだ。
死者として記された、18人もの名前。そこには彼女の大切な家族である、スバルとドラスの名前が記されていたのだ。
信じられない。信じたくない。信じるわけにはいかない。
だって信じてしまったら、自分は、自分は、自分は……
だって信じてしまったら、自分は、自分は、自分は……
「おい……」
隣にいる茂の呼びかけにも、チンクはまったく反応を見せない。ただ虚ろな目で、ガタガタと震えているだけだ。
「おい!」
今度は、より強い口調で茂が呼びかける。それに対しようやく反応を見せたチンクは、ゆっくりと顔を茂に向けた。
「どうした、茂。そんなに大きな声を出して……。いちおう年上に話しかけているのだから、もう少し礼儀というものをだな……」
「年上だの礼儀だの言ってる場合じゃねえだろ! なんだその面は!
死人みてえな顔してるんじゃねえ!」
「年上だの礼儀だの言ってる場合じゃねえだろ! なんだその面は!
死人みてえな顔してるんじゃねえ!」
チンクの胸ぐらをつかみ、茂は叫ぶ。だがそこまでやられても、チンクの反応は薄い。
「死人か……。言い得て妙かもしれんな。弟と妹を守れぬ駄目な姉など、生きていても死んでいても同じ……」
「ふざけるな! そんなふぬけた態度で、死んだ奴らに面目が立つと思ってるのかよ!」
「ふざけるな! そんなふぬけた態度で、死んだ奴らに面目が立つと思ってるのかよ!」
茂はチンクをつかんだ手を乱暴に振るい、彼女の体を地面に叩きつける。
この行為には、さすがにチンクも憮然とした表情を浮かべた。
この行為には、さすがにチンクも憮然とした表情を浮かべた。
「貴様に……貴様に何がわかる! 大切な……大切な存在を失った者の気持ちなどわかるはずが……!」
どもりながらも、絞り出すような声でチンクは言う。それを聞いた茂は溜め息をひとつ付くと、唐突に語り始めた。
「俺には、親友がいた」
「は?」
「沼田五郎って男だ。いつか二人でどでかいことをやってやろうと、そう誓った仲だった。
だが、五郎は死んだ。二年前、このプログラムに参加させられてな」
「何だと……?」
「は?」
「沼田五郎って男だ。いつか二人でどでかいことをやってやろうと、そう誓った仲だった。
だが、五郎は死んだ。二年前、このプログラムに参加させられてな」
「何だと……?」
驚愕を隠せないチンクにかまわず、茂はなおも語る。
「今回俺たちはイレギュラー的なケースとして学校丸ごと参加させられてるが……。
本来プログラムに参加させられるのは1クラスだ。
俺とあいつはクラスが違った。だから俺がプログラムに参加させられることはなかった。
けど俺には、それが幸運なんて思うことはできなかったよ。
こいつとなら一生つるんでいけると思ってた相棒を失ったんだからな」
本来プログラムに参加させられるのは1クラスだ。
俺とあいつはクラスが違った。だから俺がプログラムに参加させられることはなかった。
けど俺には、それが幸運なんて思うことはできなかったよ。
こいつとなら一生つるんでいけると思ってた相棒を失ったんだからな」
知らず知らずのうちに、茂は拳を握りしめていた。すでにこれ以上握りようがないというのに、彼はなおも手に力を込める。
「俺はあの日誓った! いつか、あいつを殺した政府をぶっ倒すと!
あいつはプログラムというシステムに勝てなかった! だが、俺はまだ負けてねえ!
俺がこのプログラムをぶっ潰せば、それは『俺たち』の勝ちだ!
俺は勝つ! 俺のためと、五郎のためにだ!」
あいつはプログラムというシステムに勝てなかった! だが、俺はまだ負けてねえ!
俺がこのプログラムをぶっ潰せば、それは『俺たち』の勝ちだ!
俺は勝つ! 俺のためと、五郎のためにだ!」
熱のこもった声で、茂は叫ぶ。チンクはただ、そんな彼の様子を呆然とした顔立ちで見つめていた。
「あんたがもう生きる意味を失ったって言うなら、俺はこれ以上付き合うつもりはねえ。
ここでお別れだ。じゃあな」
「ま、待て!」
ここでお別れだ。じゃあな」
「ま、待て!」
チンクは、立ち去ろうとする茂を呼び止める。
「確かにさっきまでの私は腑抜けていた……。だが……お前の話を聞いて少しだけ熱いものがこみ上げてきた気がする。
私も勝ちたくなってきた……。スバルの分まで、ドラスの分まで、そして風見の分まで!
頼む、茂! 私も、お前と共に戦わせてくれ!」
「……いいぜ」
私も勝ちたくなってきた……。スバルの分まで、ドラスの分まで、そして風見の分まで!
頼む、茂! 私も、お前と共に戦わせてくれ!」
「……いいぜ」
チンクの申し出を、茂は笑いながら了承した。
「じゃあ、まずは中心部に行ってみるか。どうやら、光太郎がそこにいるみたいだからな」
「わかった」
「わかった」
茂とチンクは、並んで歩き出す。その胸に、熱い決意を秘めて。
(五郎……。それに風見先輩……。俺は必ず勝つ! 勝ってみせるぜ!)
(ドラス、スバル……。ふがいない姉を許してくれ……。
とても償いにはならんだろうが、私は必ずこのプログラムを破壊してやる。
そして、お前たちも勝者にしてやるぞ!)
(ドラス、スバル……。ふがいない姉を許してくれ……。
とても償いにはならんだろうが、私は必ずこのプログラムを破壊してやる。
そして、お前たちも勝者にしてやるぞ!)
【16番 城茂】
【学年】高2
【状態】健康
【所持品】アサルトライフル
【能力】知力:C 体力:S 電撃耐性:S
【学年】高2
【状態】健康
【所持品】アサルトライフル
【能力】知力:C 体力:S 電撃耐性:S
【23番 チンク】
【学年】高3
【状態】健康
【所持品】スタンガン
【能力】知力:B 体力:C 兄弟愛:S
【学年】高3
【状態】健康
【所持品】スタンガン
【能力】知力:B 体力:C 兄弟愛:S