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クロス第15話

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匿名ユーザー

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会場中心部の住宅地。城茂はその中を、身を隠すでもなく堂々と歩いていた。

「おい」

黙々と歩いていた茂だが、ある地点にさしかかったところでふいに口を開く。

「そこに誰かいるんだろ? 出てこいよ。出てこないなら、銃弾叩き込むぜ?」

手にしたライフルを振り回しながら、茂は物陰に向かって呼びかける。
するとすぐに、銀髪の少女が両手を挙げながら茂の前に姿を現した。

「チンク先輩か」
「こちらに抵抗の意志はない。銃を降ろしてほしい」
「わかった」

チンクの言葉を素直に受け入れ、茂はライフルを地面に落とす。

「自分で頼んでおいてこう言うのも何だが……。ずいぶんあっさりと武器を手放したな」
「あんたが俺を殺そうと考えていたとして、あんたは不意打ちなんかしてくる人間じゃねえ。
 見つかった時点で攻撃してこなかったってことは、俺を襲うつもりはないってことだ。
 それに、本気でやりあうとなれば使い慣れない銃なんかより拳の方が強い」
「納得できる理由だ」

微笑を浮かべながら、チンクは茂に歩み寄る。

「そちらも私に対する敵意はないようだな。ならば、聞きたいことがある」
「何だ?」
「私の兄弟を見ていないか?」
「スバルとドラスか? いや、会ってないな。というか、プログラムが始まってから会ったのはあんたが最初だ」
「そうか」

チンクの顔に、わずかながら失望の色が浮かぶ。

「守りたいのか?」
「当然だ。血はつながっていないとはいえ、あいつらは紛れもなく私の妹と弟だ。姉が守ってやるのは義務だろう」

茂のシンプルな質問に、チンクは若干の熱を帯びた声で答えた。

「他の参加者を守るってことは、このプログラムの目的に逆らうってことだ。
 並大抵の覚悟じゃできないぞ」
「承知の上だ。たとえ政府を敵に回そうと、姉は妹と弟を守る」
「その言葉、嘘はないな?」
「くどい」

チンクの振る舞いに、ブレはない。

「……わかった。そこまで決意が固いなら言うことはない。俺も、あんたの兄弟を守るのに協力しよう」
「本当か?」
「ああ、どのみち殺し合いまともにやるなんて願い下げだからな」
「感謝する」

チンクはわずかに興奮した面持ちで、茂の手を握った。

「いいってことよ。だいたい、風見先輩の彼女を邪険に熱かったんじゃあの人に怒られちまうからな」
「なっ!」

茂の思いがけない言葉に、チンクの表情は一気に乱れる。

「何を馬鹿なことを言っている! 私と風見はあくまで友人だ! 恋愛関係ではない!」
「……そうなのか?」
「心底意外そうに言うな!」
「じゃあまあ、そういうことにしておきますか」

飄々とした口調で言いながら、茂は地面に落としたライフルを拾い上げる。そして、そのまま歩き始めた。

「ほら、ぼさっとしてると置いていくぜ、先輩」
「何か納得がいかないが……。まあいい。一刻も早くスバルたちを見つけるには、無駄な時間を使うわけにはいかないからな」
「そうそう、その意気。根性見せてくれよ」

明るく言いながら、歩き続ける茂。彼を背後から追いかけるチンクは、気づいていなかった。
茂の目が、笑っていないことに。

「大切な人間を失うなんて経験は、俺以外にさせたくねえからな……」

茂のその言葉が、チンクの耳に届くことはなかった。

【16番 城茂】
【学年】高2
【状態】健康
【所持品】アサルトライフル
【能力】知力:C 体力:S 電撃耐性:S

【23番 チンク】
【学年】高3
【状態】健康
【所持品】スタンガン
【能力】知力:B 体力:C 兄弟愛:S



【16番 城茂】

Former

初登場!

Next




【23番 チンク】

Former

初登場!

Next


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