「……」
唐突に届いたメールを読み、キョンは絶句していた。そこには、死亡者として彼の双子の妹であるキョン子の名前が記されていたのだ。
(嘘だろ……? 信じられねえよ……。俺とあいつは、生まれてからずっと一緒だったんだぞ?
あいつは今朝まで、俺の隣にいたんだぞ? それなのに、もう会えないって言うのか?
なあ、誰か悪い冗談だって言ってくれよ……)
あいつは今朝まで、俺の隣にいたんだぞ? それなのに、もう会えないって言うのか?
なあ、誰か悪い冗談だって言ってくれよ……)
うつろな目で携帯電話を見つめたまま、キョンは動こうとしない。
同行者であるヒナギクは、そんな彼の傍らにいることしかできなかった。
同行者であるヒナギクは、そんな彼の傍らにいることしかできなかった。
(どうしよう、キョンくんのこんなに落ち込んだ様子初めて見た……。
何か元気づけてあげられるようなことを言ってあげたいのに……。
あーもう! どうして何も思い浮かばないのよ!)
何か元気づけてあげられるようなことを言ってあげたいのに……。
あーもう! どうして何も思い浮かばないのよ!)
苦悶するヒナギク。それでも黙っているよりは何かを言った方がまだましだと判断し、彼女は口を開く。
だがその直後、彼女の視界にあるものがよぎった。
だがその直後、彼女の視界にあるものがよぎった。
「ちょ、ちょっと! キョンくん、あれ!」
「なんだよ、桂……」
「なんだよじゃないわよ! あれ、涼宮さんじゃないの?」
「何!? ハルヒだと!」
「なんだよ、桂……」
「なんだよじゃないわよ! あれ、涼宮さんじゃないの?」
「何!? ハルヒだと!」
その名前を耳にし、キョンの顔が瞬く間に生気を取り戻す。
慌てて彼が周囲を見渡すと、確かに見覚えのある顔がフラフラと歩いているのが目に入った。
紛れもなく、それは涼宮ハルヒそのものだった。
慌てて彼が周囲を見渡すと、確かに見覚えのある顔がフラフラと歩いているのが目に入った。
紛れもなく、それは涼宮ハルヒそのものだった。
「しかし、なんだって探知機に反応が……。あ、そうか。メール見る時に探知機の方は切ってたのか……」
「どうでもいいでしょ、そんなこと! それより、早く行くわよ!
あの様子だと、涼宮さんどこか怪我してるかもしれないし!」
「お、おう!」
「どうでもいいでしょ、そんなこと! それより、早く行くわよ!
あの様子だと、涼宮さんどこか怪我してるかもしれないし!」
「お、おう!」
ヒナギクに促され、キョンは彼女と共にハルヒに向かって走り出す。
最初はキョンたちに気づいていなかったハルヒだが、ある程度接近したところで存在に気づき、彼女の側からも走り寄った。
最初はキョンたちに気づいていなかったハルヒだが、ある程度接近したところで存在に気づき、彼女の側からも走り寄った。
「ハルヒ!」
「キョン……」
「キョン……」
やがて、キョンとハルヒの距離がゼロになる。ハルヒは倒れ込むようにして、キョンに体を預けた。
「おいハルヒ、お前怪我して……」
「平気よ、これくらい。あたしを誰だと思ってるわけ?」
「平気よ、これくらい。あたしを誰だと思ってるわけ?」
強がるハルヒだが、それでキョンが納得するはずもない。
「くそっ、ちゃんと治療してやりたいが、俺に医療知識なんてないし……。
とにかく、どこかで休ませよう。桂……」
とにかく、どこかで休ませよう。桂……」
キョンがヒナギクに話しかけようとした刹那、銃声が響く。それとほぼ同時に、ハルヒの背中から鮮血が吹き出した。
「ハル……!」
キョンの叫びが放たれきる前に、もう一度銃声が轟いた。今度は、キョンの脇腹から血が噴き出す。
「ちょっと!」
顔面蒼白のヒナギクが叫んだ直後に、三発目の銃声。だが今度の弾丸は、血しぶきを上げることなくヒナギクの脇をすり抜けていった。
「クッ……!」
弾丸の飛んできた方向に駆け出そうとするヒナギクだが、すぐにその足を止める。
まさか、銃で撃たれた二人を放っておくわけにもいかない。
きびすを返しキョンたちの元に赴こうとするヒナギクだが、キョンはそれを止めるかのように携帯電話を投げつけた。
まさか、銃で撃たれた二人を放っておくわけにもいかない。
きびすを返しキョンたちの元に赴こうとするヒナギクだが、キョンはそれを止めるかのように携帯電話を投げつけた。
「なんのつもりよ……」
「探知機があれば、俺たちを撃ったやつも見つかるだろ。行け。俺たちはいい」
「ちょっと、何言ってるの! そんな状態のあんた達を置いていくなんて……」
「非常に遺憾だが、俺もハルヒももう助かりそうにない。かまうだけ時間の無駄だ」
「でも!」
「いいから行け! ぼさっと立ってるとまた撃たれるぞ!」
「……ごめん!」
「探知機があれば、俺たちを撃ったやつも見つかるだろ。行け。俺たちはいい」
「ちょっと、何言ってるの! そんな状態のあんた達を置いていくなんて……」
「非常に遺憾だが、俺もハルヒももう助かりそうにない。かまうだけ時間の無駄だ」
「でも!」
「いいから行け! ぼさっと立ってるとまた撃たれるぞ!」
「……ごめん!」
溢れる涙をこらえながら、ヒナギクは走り去る。それを見届け安堵の表情を浮かべるキョンの耳に、ハルヒの声が届く。
「キョ……ン……」
「なんだ、ハルヒ」
「もしも生まれ変わったらさあ……また私と一緒にいてくれる?」
「お前が望むならな」
「なんだ、ハルヒ」
「もしも生まれ変わったらさあ……また私と一緒にいてくれる?」
「お前が望むならな」
柔らかな笑みを浮かべて、キョンはゆっくりと地面に崩れ落ちる。
それを最後に、二人は二度と動くことはなかった。
それを最後に、二人は二度と動くことはなかった。
◇ ◇ ◇
「さすがに素人では、全弾命中とはいかないか……。まあ、三発中二発が当たったのなら御の字……。
十分すぎる幸運と言えるだろうな……」
十分すぎる幸運と言えるだろうな……」
一方、彼らを狙撃した張本人である赤木しげるは、冷静に状況を分析し独り言を漏らしていた。
「だが、よりによって一番の強敵である桂を残してしまうとは……。
今はまだ早い……。あいつと正面からやり合うべきではない。ここは逃げを打っておくべきだな……」
今はまだ早い……。あいつと正面からやり合うべきではない。ここは逃げを打っておくべきだな……」
そう呟いて、アカギはそれが自分らしくない思考であることに気づく。
「俺が、死ぬのを恐れている……? ククク、勝ちが続きすぎて負けるのが恐ろしくなったか……。
俺も案外流されやすいな……。駄目だ、それでは駄目……! 貪欲に勝ちを求めぬようでは、真の勝負師とは言えない……!」
俺も案外流されやすいな……。駄目だ、それでは駄目……! 貪欲に勝ちを求めぬようでは、真の勝負師とは言えない……!」
一人笑いながら、アカギはスナイパーライフルをサブマシンガンへと持ち替えた。
「来い、桂……! 俺は逃げない……! お前をねじ伏せてやろう……!」
【12番 キョン 死亡】
【17番 涼宮ハルヒ 死亡】
【17番 涼宮ハルヒ 死亡】
【2番 赤木しげる】
【学年】中1
【状態】健康
【所持品】サイレンサー付き拳銃、手榴弾×4、サブマシンガン、フルフェイスヘルメット、スナイパーライフル
【能力】知力:S 体力:B 狂気:S
【学年】中1
【状態】健康
【所持品】サイレンサー付き拳銃、手榴弾×4、サブマシンガン、フルフェイスヘルメット、スナイパーライフル
【能力】知力:S 体力:B 狂気:S
【9番 桂ヒナギク】
【学年】高1
【状態】額負傷
【所持品】日本刀、首輪探知機
【能力】知力:A 体力:A 時の運:E
【学年】高1
【状態】額負傷
【所持品】日本刀、首輪探知機
【能力】知力:A 体力:A 時の運:E
【12番 キョン】
Former
Next
死亡
【17番 涼宮ハルヒ】
Former
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死亡