ALONE IN THE DARK
カルロス・オリヴェイラはアサルトライフルを構えたまま、周囲を見渡した。銃口の先に、動く影は無い。閉店時間にはまだ早い刻限だが、ほとんどの店のシャッターは降りてしまっていた。
天井が三階まで吹き抜けになっているためか、屋内だと言うのに閉塞感はあまり感じない。其処彼処に設置された電灯の幾つかは切れているようだが、行動に差し障りはない程度だ。管理が行き届いていないが、未曾有の生物災害の最中だ。それも致し方あるまいと納得する。
ホール中央にある噴水は涸れ果てている。以前は待ち合わせ場所として多くの人々で賑わっていたのだろうが、今はどこか物寂しげに佇んでいるだけだ。
ブーツの床を叩く音が大きく響く。
広大なショッピングセンターの中にも腐った人間たちが溢れていることを覚悟していたため、実のところ彼はあまりの静けさに拍子抜けしていた。ただし、この静寂は安堵よりも焦燥を覚えてしまう代物だ。一応の安全は確保できたが、その場しのぎに過ぎない。
このラクーン・シティに、安心できる場所など一つもない。それは身をもってよく分かっている。
カルロスたちが侵入したためか、屋内にもうっすらと霧が漂っている。そもそもが完全な密閉空間ではないので、どこからか入ってきているのかもしれない。
ここに来て霧まで出てくるとは、今回の任務はとことん運に見放されているようだ。これでは方角の判断すら覚束なくなる。
ショッピングモールは大通り沿いだから、迷いさえしなければ時計塔まで然程時間もかけずに到着できるだろうが。
「はぅ……。魅ぃちゃん。ここ、すごく大きいね。入ってるお店も一杯……全部閉まってるけど」
「まぁだ日が暮れて、大して経ってないってのにね。全っ然商売する気ないみたい。駄菓子屋の方が、まだ商人魂ってもんがあるよ」
「でも、何で入口は開いていたのかな。かな? 電気も点いてるし」
「おじさんに訊かれてもねえ……まだ人がいるんじゃないの?」
後ろを歩く二人が暢気な会話を交わしている。内容に多少違和感を覚えるが、汚染者に溢れた町を抜けてきているのに大した肝っ玉だ。十代前半という年齢も関係しているだろうか。その頃の自分がどうであったか、思い出したくもないが。
違和感といえば、年齢の割に、服装が少し古めかしい印象を受けるのが奇妙だった。オールド・ファッションというものなのかもしれない。
現在、左右の通路はシャッターが降りてしまっている。正面のシャッターだけ、半分ほどで止まっている状態だ。ほかの出入り口への最短ルートは使えないということになる。
シャッター程度なら破ることは出来るが、時間を取られることには変わりない。先の黒服の大男を誘い込むにしても、下手に時間を消費したくはない。
なにしろ顔面にグレネートを撃ち込まれて、ただ蹲ませることしか出来なかった相手だ。他の汚染者とは、頑強さが段違いだ。兵舎で受けたブリーフィングでも、あんな怪物の話はなかった。
仕留めきれると確信できる材料が手元にないのなら、逃げ切るしかない。
「お嬢さん方。一旦そこで待機だ。まず、シャッターの向こうの安全を確認してくっから」
振り返って言うと、ポニーテールの少女が愛嬌のある瞳で見上げてくる。彼女はぴっと親指を立てて見せた。
「はいよー。あ、そだ。お兄さんに"お嬢さん"って言われるのも悪くはないんですけど、名前で呼んでください。わたしは園崎魅音です。この娘は竜宮レナ」
ミオンの紹介に、隣のレナという娘がぺこりと頭を下げた。
「ミオンに、レナか。オーケイ。俺もカルロスでいい。ただ、救いのヒーロー・オリヴェイラとか、天下無敵の伍長殿とか呼んでくれると、ちょっと嬉しい」
おどけて敬礼して見せると、ミオンとレナが敬礼を返してきた。ミオンのそれはどうに入っているが、レナの方は少し気恥ずかしそうだ。
「了解しました。救いのヒーロー・オリヴェイラ」
「合点承知であります。ところで、天下無敵の伍長殿。自分たちはほいほい付いて来てしまいましたが、これからどうするつもりなのでありますか? てかさ、見てわかると思うけど、逃げ道、あんまりないよ」
「デカブツを誘いこんでから、この先の出入り口から出るのさ。それから町ン中に入っちまえば、撒くのは簡単だろ。ヘリコプターの着地地点までは俺がエスコートしてやるから、安心しろって」
「了解しました! 本官は伍長殿に従うであります」
「で、あります!」
ノリのいい二人に、カルロスは大雑把なプランを告げた。正直なところかなり恥ずかしかったのだが、それをどうにか顔には出さずに済んだはずだ。もっとも、ミオンはにやにやとしていたが。
シャッターの手前で二人を制止し、しゃがみこんでシャッターの向こうを確認する。
がらんとした、似たような通路が奥に広がっている。すぐ左手にあるのはマリンスポーツの専門店らしい。今まで縁のなかった店舗の一つだ。そこから目を外し、注意深く辺りを観察する。
右手は婦人服のテナントだ。奥に向かって、他にも見覚えのある名前が軒を連ねている。
問題ない――そう判断を下そうとして、カルロスは小さく息をのんだ。
男が一人、壁に背を預けたまま、身じろぎ一つすらせずに座り込んでいる。明かりが弱いために詳しい容姿までは分からないが、野戦服らしきものを着込んでいるのがわかる。"U.B.C.S."の隊員かもしれない。
「どうしたんですか? 魅ぃちゃん、何かあったのかな?」
「そこで止まってられたら、邪魔でありますよ伍長殿」
そう言って脇から潜ろうとするミオンを手で制止する。
「……男が座り込んでる。死んでるかもしれねえ。君らは右は絶対見ずに潜ってくれ。その後は、俺が許可を出すまでウィンドウショッピングでも楽しんでて欲しい。ただ、出来るだけ周囲には気を配っといてくれよ」
「死んでるって……」
「……その人がシャッターを持ち上げたのかな?」
「かもな」
人の死体があるかもしれない。そのことで、二人が息を呑んだのが分かる。死体など腐るほど見てきたはずだが、そうそう慣れるものでもないらしい。
どちらにせよ、子供の目に晒していいものではないが。
もっとも、死体そのものへの恐怖だけではないかもしれない。なにしろ、ラクーンシティでの死体は、ただの"死体"ではない。動かないはずのそれが動き、生者を襲う。
平時であれば死体ほど安全な代物ないのだが、ここでは脅威の象徴だ。慣れるものではないだろう。
肩越しに見た二人の顔が強張っているので、カルロスは軽口をたたいて緊張を解してやろうと思ったが、その寸前でやめた。このぐらいの緊張感ならば、むしろ持っていた方が生き残れる。
ただ、彼女たちの反応は、カルロスにこれが救助活動であることをより深く刻み込ませた。少女たちは此方ではなく、彼方の存在だと痛感する。だからこそ、守る意義があるというものだ。
シャッターを潜り、カルロスは慎重に男へと近づいていった。背後のミオンたちがこちらの言葉に従っていることを音と声で確認する。とはいえ、不安からか、ずっと喋っているので、歩哨としての期待は出来ないだろう。少女たちの会話に気が逸れそうになるが、しばし我慢する。
男はまだ動く気配はない。それどころか、既に死臭漂ってきていた。腹部に巻かれた包帯が、血でどす黒く染まっている。身に付けたポーチの幾つかには膨らみがあり、傍らにはM4A1を狙撃仕様にした代物が横たえられていた。
男は細身の長身で――見覚えのあるニット帽を被っていた。
「おめえかよ……畜生」
小さく毒づく。男は、アルファ小隊のマーフィー・シーカーだった。狙撃の名手の瞳は半ば開かれ、床をじっと見つめている。もう、彼がスコープから世界を見ることはないだろう。
カルロスは銃口を、友人の死体に向けた。照星越しに彼の頭を見やる。
マーフィーは死んだ。もう空っぽだ。しかし、この糞のような生物災害は死者の尊厳を軽く踏みにじっていく。それから友人を救ってやるには――頭を撃つしかない。
呼吸が荒くなる。これまで山ほど生きた人間を撃ってきた。今度は死体だ。道端に落ちた空き缶よりも容易い標的ではないか。しかし、引き金は鉛のように重かった。
友人の形をした標的など、撃った経験がない。指が震えそうになる。
このまま踵を返して、二人を連れて出ていく。その考えは実に魅惑的だった。ゾンビになろうとなるまいと、自分が見ることはない――。
と、マーフィーの身体が動いた。彼の顔がゆっくりとあげられる。カルロスを見定めたマーフィーの瞳には、以前の温和で親しげな光はなく、虚ろに白濁していた。低い呻き声が、マーフィーの喉から漏れる。
カルロスは深く、大きく息を吐いた。見てしまった。知ってしまった。ならば、もう覚悟を決めるしかない。
マーフィーは、もう死んだ。こいつはもう、あのマーフィーではない。そう言い聞かせる。
それでも、カルロスは悲しげに笑みを刻んだ。
「……もう休んでいいんだぜ、相棒」
今度はゆっくり兄弟と話してこいよ――。
銃声が響き、壁に血と脳漿が飛び散った。排出された薬莢の残響が通路を転がっていく。少女二人が驚きの声を上げたのが聞こえたが、カルロスは無視した。反応するのも億劫だった。
撃ち殺した友人の死体に片膝をつき、そっとポーチを外す。弾倉はなかったが、未使用のウエポンライトが入っていた。使えることを確認して、手早くグレネードランチャーからそれに付け替える。
すぐ背後で足音がした。ミオンとレナだ。こちらが無視しているので、腹に据えかねたのだろう。
カルロスは顔を動かさず、ただ、なんだ。とだけ訊いた。
「……ねえ、なんで撃ったの? その人、死んでたんじゃないの?」
「死んでたよ。だが、ゾンビになっちまった。だから、撃った。明快だろ……」
「いや、ゾンビって――」
「悪ぃが、ちったぁ黙ってらんねえのか?」
問いを重ねようとしたミオンに、刺すように答える。直後に後悔が襲ってきたが、それも無視した。
もう一つのポーチからは赤色の塗装が施された焼夷手榴弾が三個出てきた。テルミット反応によって、鉄骨すら融解させる熱量を生み出す代物だ。本来はバリケード等を除去するために使う道具だが、それ以外に使い道がないわけではない。
押し黙ってしまったミオンに代わり、遠慮がちなレナの声がかかる。
「……お知り合いだったんですか? カルロスさんの声……聞こえちゃったから」
「ダチさ。君にしてみれば、ミオンが死んだみたいなもんだ」
「………………。ごめんなさい」
尻すぼみに小さくなっていくレナの声を背中で聞く。小さいが、その響きは耳朶に痛いほどに響いた。
カルロスは自分の顔を殴りつけたい衝動に駆られた。まただ。ここまで余裕がないとは、怒りを通り越して笑えてくる。
胸中で己を呪いつつも、手はやるべき事柄を黙々とこなしていく。
マーフィーのライフルに弾は残っていなかった。しかし、ホルスターに入っていた拳銃には充分に残っていた。手に付いた血をシャツで拭ってから、それを引き抜いた。
立ち上がり、少女たちを振り返る。ミオンはカルロスから顔を背け、レナは俯いている。
ばつが悪く、カルロスは鼻を掻いた。マーフィーの死体を一瞥し、進むべき方向へと銃を構えた。
行くぞと出発を告げてから、彼は一度大きく息を吸った。戦闘とは違った意味で勇気がいる。
「ミオン、ごめんな。レナも、気を使わせちまってすまねえ。調子乗って景気のいいこと言ったが、実のところ、俺もテンパってんだ」
前方を向いたまま、謝罪を告げる。
一拍置いて、さらと衣擦れの音がした。肩でも竦めたのだろう。
「謝らなくていいよ。わたしも配慮が足らなかったし。おあいこってことで」
「……それに、カルロスさんはちゃんとヒーローですよ。レナたちにとっては」
「ありがとうな、おまえら」
「まあ、どこかで仕返しするかもしれないけどさ」
「……あいよ。どうにでもしてくれ」
そう呻くと、ふっとミオンが噴き出した。これで仲直りだと、胸を撫で下ろす。ミオンはカルロスの前に回り込むと、ホールドオープンしたままの拳銃を弄びながら口をとがらせた。
「だけど、状況は説明してほしいな。一体、どうなってるのさ?」
「状況、ねえ……」
状況を説明すると言っても困るものだ。ラクーン・シティ壊滅の経緯など、彼女たちにとっては今更だろう。
ゾンビが、アンブレラの研究所で起きた事故に起因するらしいことか。それとも、救助部隊がものの数時間で壊滅したことか。
もしくは、カルロス自身が抗ウィルス剤を打ってあるので、多少噛まれたぐらいではゾンビ化の心配はないことを告げるか。もっとも、マーフィーの件から、その効果は怪しいところだが。
どれも話したところで、彼女たちが得られるものは少ないだろう。それどころか、ただ徒に不安を煽るぐらいの意味しかない。
実のところ、状況を説明してほしいのは彼も同じだった。
ミオンに、使えるよな。と目で訊きつつ、カルロスは自分の拳銃を差し出す。
「多少話せることはあるだろうが、根本的なもんは俺もさっぱり分からねえからなあ。俺、下っ端も下っ端だし」
左手の通路は、奥で管理シャッターが降りてしまっている。右手の通路から出るしかなさそうだ。
受け取った拳銃を眺めまわしつつ、ミオンが半眼でカルロスを見やる。
「ヒーローなのに下っ端なんだ……」
「下っ端でなきゃ、困る人が一杯出てきちまう。だから、ヒーローなんて成るもんじゃあねえんだ」
自嘲に肩を揺らして、カルロスはミオンを追い抜いた。
"U.B.C.S."はある意味、ヒーローの集まりだ。
兄弟の仇打ちのため、ギャングに単身で戦いを挑んだ男――。
少数民族独立のために、全てを投げ打って奮闘した男――。
政府を倒し、より良い国を作るために戦った男――。
物語の中でこそ彼らはヒーローとして輝くが、現実においては異分子でしかない。一時持て囃されても、やがては排除される。
社会は、異端を囲ってくれるようには出来ていない。ヒーローから大義や名誉を削ぎ落としていけば、最後に残るのは殺人者の称号だけだ。
祖国や思想のために殉じ、そして切り捨てられた英雄たちの辿り着く最後の戦地が"U.B.C.S."だった。もっとも、ただの犯罪者も多いのだが。
動くものがないことを確認して、右の通路に足を踏み入れる。靴屋の真新しいゴムの匂いが鼻孔をくすぐっていく。
「魅ぃちゃん。まず、ここが何処だか訊いた方がいいんじゃないのかな? 雛見沢じゃないのは確かだけど……ここまでずっと、看板とかの文字は英語ばっかりだよ? だよ?」
「そうそう。それだ。ここって興宮市……でもないよね?」
「何言ってんだお前ら……?」
あまりに頓珍漢な言葉に思わず振り返る。そのとき、後方でガラスが砕け散る音が響いた。そして、不明瞭な唸り声――。
「やっと来なすった。後回しだ! 逃げんぞ!」
通路を駆け抜ける。抜け出ようとしていた扉はシャッターが降りている。銃で破壊するか。それとも、マーフィーの手榴弾を使うか。
その手段を頭に残しつつ、カルロスはもう一つの角を曲がった。当初利用しようとしていたものとは反対の出入り口につながるルートだ。
実質、大男との距離が近くなるが、駆け抜ければ時間は取られなくて済む。この出入り口はエントランスホールから直線的に繋がっているから、撒くという当初の目的にはあまりそぐわないが――。
「くっそ……!」
目に入ったのは、非情にも通路を塞いでいるシャッターだった。時間を無駄にした。
すぐに来た道をとって返す。急な方向転換に、ブーツの底がきゅきゅと声を上げた。ポーチに手をやり、焼夷手榴弾を掴む。と、ミオンたちの姿がない。
「カルロスさん、こっち! 二階から外に出る階段があったの、覚えてる!?」
エスカレーターの角からレナの声が飛んだ。彼女もまた、入口の案内図を確認していたようだ。
確かに、二階から直接外へ出る階段はあった。そこから脱出すれば、大男の裏をかいたことになるだろう。
だが、すんなりと行くとは限らない。二階の管理シャッターが降りている可能性は充分にある。
とはいえ、レナは既にエスカレーターを駆け上がってしまっている。この様子では、ミオンは二階にいるのだろう。呼び戻している時間はない。地鳴りのような足音が聞こえている。
カルロスはエスカレーターを駆け上がった。登り切ったところで、階下に手榴弾を放り投げる。これで三秒は稼げるはずだ。それに、防火シャッターも作動するだろう。
首を巡らすと、レナとミオンが右手の通路先で待っていた。合流し、また走り出す。
通路は吹き抜けの回廊へと出た。パン屋やコスメショックの電飾が、空々しく回廊の床を照らしている。
背後から怒号ともとれる叫びが聞こえてきた。そして、シャッターを殴りつける音も耳が拾う。上手く妨害出来たようだ。
息を切らしながら、ミオンが叫んだ。
「なんであいつ追いかけてくるのさ!? しつこいにも程度ってもんがあると思うよ!」
「怨みでもあるんじゃねえか? 心当たりはあるかい? 胸に手を当てて訊いてみようぜ」
「レナはスコップでお腹刺しました」
「おじさんは拳銃で何回も撃ったよ」
「おお。心当たりの見本市だな。ついでに俺のグレネードが加わるわけだ」
「でも、まったく効果なかったよ。何も影響ないなら、何もしなかったことと同じじゃないか。まったく、器の小さい男だね」
「図体の方に栄養まわしすぎたんだな、きっと」
「何食べたら、あんな風になるのかな……?」
「いや、真面目に受け取らないでくれ。返答に困るから」
左右に扉が見える。階段へと繋がる道だが、遠回りだ。カルロスは正面の喫茶店のガラスに向かって引き金を引いた。鍵がかかっているかどうか、それを確認する暇も惜しかった。
目映い閃光の中でガラスが飴細工のように崩れ落ちていく。
「あー! 犯罪!」
「知るか! 足元、気ぃつけろよ」
床に散らばったガラスは明かりを受けて、恨めしそうに煌めいていた。それを踏み砕き、コーヒーの香りすら漂う店内を走り抜ける。
カウンター奥の扉の内鍵を外し、手早く外の周囲の安全を確認する。
何も問題はない。控え目な照明の中で蠢く物は何もなかった。従業員用の狭い通路がただ薄闇の中に伸びているだけだ。
すぐ正面に扉がある。ドアノブを銃底で破壊してこじ開けると、香水の匂いが鼻についた。女性服のブティックのようだ。若い娘向きの服飾が品よく並べられた店内に、少女たちが歓声に近い声を上げた。
妙だと、試着室の中を確かめながらカルロスは口を曲げた。あまりに整然としている。いや、それはこの店舗だけではない。このショッピングモール自体、まったくと言っていいほど災害の爪痕が残っていないのだ。
この店でもハンガーラックは乱れることなく整然と並んでおり、掛けられた品物もまったく荒らされた形跡はない。ほんのつい数時間まで、通常の営業を行っていたような具合だ。
戒厳令が下って早数日が経っている。もっと店内に死体が溢れていているはずだ。映画のように立て篭もったのならば、今度はバリケードを築いた形跡ぐらいは残っていていい。
カルロスは小さく舌打ちした。ここを抜ければ出口なのだ。些細な疑問は、少女たちを脱出させてから一人で考えれば済むことだ。
そのとき、宵闇を劈くようにして重苦しいサイレンの音が鳴り響いた。ラクーン市警察の生き残りによるものだろうか。心が漫ろ立っていくような不快感が身体中に広がっていく。
サイレンの音色というものは元々気持いいものではないが、しかし、これはまるで――。
そこでカルロスの思考は中断された。
「何なのさ、これ!?」
「変だよ!? どうしちゃったのかな!? かな!?」
ミオンとレナの悲鳴が響いた。何事かと、カルロスは彼女たちの方を振り返らなかった。おそらく、彼女たちと同じものを彼も見ていたからだ。
周囲の風景が、サイレンの音にはぎ取られていくように変貌していく。
磨かれたような床は汚泥がこびりつき、白亜の壁には無残な黒染みが広がっていく。試着室のカーテンは風化してぼろぼろとなり、並べられていた服は返り血のようなもので汚されていった。
たちまちの内に、ブティックは廃墟のような佇まいに姿を変えた。
目の前で起きた出来事がまったく信じられない。
集団幻覚の類なのか。それとも、白昼夢でも見ているのか。
はたまた、もう三人とも死んでしまっていて、これは地獄か煉獄の風景なのかもしれない。そんな映画か何かのような妄想までが頭をめぐっていく。
カルロスが悲鳴を上げなかったのは、単に少女たちに先を越されただけに過ぎない。
やがて照明が弱まっていき、暗闇が辺りを包んでいった。
銃身に装着したライトのスイッチを入れる。入口に駆け寄って確かめると、入口のドアの鍵は――開いている。
「――とにかく、出るぞ!」
形振り構わず飛び出そうとする衝動を懸命に堪え、外をチェックする。それを終え、カルロスは扉を抑えながら――離したら永遠に開かないような気がしたのだ――店内にライトを向ける。少女たちの方は堪りかねたように外に飛び出した。
左手の闇にブラウン管が不気味に浮き上がっている。画面には砂嵐が流れ、無数の虫の羽音のような不協和音を奏でていた。
ライトがエスカレーターの手すりを映し出す。光の輪の中でミオンとレナが駆け寄る――。
と、二人が急停止した。
「来るときはあったのに――!」
レナの悲鳴が奔る。
追いついたカルロスも思わず呻いた。階段が途中で崩落してしまっている。その先に広がるのは無明の闇だ。ライトの光すら通さない。
銃口を階下に向けてみるも、本来であれば見えるはずの一階の床が見えない。せいぜい十七フィートぐらいの高さしかないはずなのにだ。それどころか、壁や看板すらライトは照らし出さない。まるで、闇が質量を伴って階下に沈澱しているようだ。
右後方で、轟くような大声が上がった。大男は近くまで来ているらしい。
「もう、飛び降りよう! 上手くいけば――」
「足折るのが関の山だろう! 三階だ!」
自棄になって叫んだミオンを制止し、ブティックの横から続く階段へライトを向ける。三階へと伸びる階段は、しっかりと途切れることなく続いている。
カルロスが最初に三階まで上がり、階上から階段を照らした。ミオンたちが少しぎこちなく足早に駆け上がってくる。
息が上がっているが、それを整えさせるだけの時間は与えてやれない。可哀想だとは思うも、カルロスは次の指示を飛ばした。
「これからエスカレーターで一気に下まで降りるぞ」
二人は不満げな顔もせずに頷いた。
ミオンたちを先に行かせ、カルロスは背後から彼女たちの道を照らした。正面に小さな扉があり、それをレナが開ける。大男には酷く窮屈な大きさだ。これならば、また少し時間が稼げる。
扉の向こうは二階のそれと同じような吹き抜けのある区画だった。しかし、鉄柵は赤錆で覆われ、それは周囲の店舗にまで浸食している。なんの店だったのか、まったく判別できないほどだ。吹き抜けから大きな足音と、壁が砕け散ったらしい物音が聞こえた。
大男は邪魔な壁をぶち抜きながら追って来ているようだ。大男にとって、壁は大した障害にはなりえないということだろう。誘い込むなど、悠長な考えは最初から無意味だったらしい。
吹き抜けを走り抜け、突き当たりの壁を左に折れる。背後で壁が軋りを上げた。硬く尖った物でコンクリートを穿つような音だ。大男は――すぐそこまで来ている。
「急げ!」
最後尾につき、少女たちの足元を照らしてやる。彼女らは意外と健脚で、カルロス自身も半ば走るような形になった。最後は中段から床へと飛び降りた。
暗闇を切り裂く一条の明かりを頼りに、床を蹴る。ライトが一瞬だけ、マーフィーの姿を照らした。変わり果てた世界の中で、親友は変わらぬ姿で座り込んでいた。
顔がくしゃりと歪みそうになる。周囲の暗闇を、カルロスは初めて感謝した。
彼らが潜りぬけてきたシャッターは大きくひしゃげ、無残な姿を晒していた。明かりが一部だけ生きているらしく、シャッターの向こうに出たミオンとレナの影が見える。
涼やかな風がカルロスの頬を撫でた。出入り口の方からだ。この通路は、しっかりと外に繋がっている。その事実に、歓喜が身体を満たしていくのが分かった。
「カルロスさん、はやく!」
やはり、どこか安堵したようなレナの声が飛ぶ。
カルロスのライトは、眩しいほどの笑顔を浮かべるレナを照らし出した。
刹那――その笑顔が、漆黒のコートに身を包んだ大男の顔に入れ替わった。地響きを立てて降り立った大男がゆっくりと立ち上がる。
ミオンが引き攣った声を上げた。
大男の足元から赤い池が広がっていく。そこには、複雑に潰れた肉塊が転がっていた。そこから飛び出した白い骨が、悪趣味なオブジェのようにそそり立っている。
先ほどまで、目映く純真な笑顔を浮かべていた少女の成れの果てだ。
大男は、おそらくは三階から飛び降り、真下に居たレナを頭から押し潰したのだろう。傍に落ちている白い帽子が朱に浸食されていく。
ミオンがレナの名前を叫ぶのと、大男が不明瞭な吼え声を上げるのは同時だった。声に反応し、大男がミオンに向き直る――。
「逃げろ! ミオン!」
カルロスはアサルトライフルをセミオートからフルオートに変更し、大男の背中に向けて引き金を引いた。閃光の中で、銃弾の雨が大男の背に踊る。浮き上がりそうになる銃身を、身体を落として押さえつけた。
逃げろ、か。カルロスは自嘲気味に笑った。
逃げ出したいのは自分自身の方だ。この救助活動を投げ出したところで咎める者などいない。作戦はとうに失敗している。どうせ、隊員の生死を確かめることすらされないだろう。所詮、消耗品だ。
死亡は容易に偽装できる。そうしたら、また顔を変えればいい。絶対に捕まらない。自信はある。自分ならやれる。
そう思いはするが、そのプランを彼はあっさりと切り捨てた。
なぜ己は"U.B.C.S."との契約を結んだのか。それを反芻する。
新しく人生をやり直したかったからだ。それまでの過去を捨て、生まれ変わりたかった。
ゲリラに属していた時と違い、この任務には仰々しい大義も厳かな使命も与えられていない。だが、自分が見出した意味はある。
か弱い女の子たちのエスコートだ。感謝以外に得るものはないが、命を懸けるに全く値しないかというと――そうでもない。
それに――と、カルロスは大男を睨みつけた。
事はもっとシンプルだ。大事なことは、いつでも単純なものだ。
――こいつは、純朴な女の子を躊躇うことなく殺した下衆野郎だ。それを生かしておく道理があるか。
大男が踏鞴を踏んだところで、弾が切れた。空弾倉を捨て、予備の弾倉に交換して初弾を装填する。
「でも、こいつは――!」
「行け! 絶対戻ってくるんじゃねえぞ!」
「だけど! それじゃあんたが!」
「……子供がね、大人を気遣うんじゃないよ」
尚も粘るミオンに、カルロスは笑みを浮かべた。彼女は本気で心配しているのだろう。
二十歳にも満たない子供が、歴戦の兵士を気遣っている。場違いで、正しい判断ではないが心地いい。
いい娘だ。彼にとっての最後の救助になるとしても、まったくもって悪くない。
――カルロスさんはちゃんとヒーローですよ。
レナの言葉が耳に蘇る。
あれは嘘だ。結局、あの娘を守ることは出来なかった。けれども――。
「ああは言ったけどな。やっぱり男の子の憧れなんだよ。ヒーローって奴はさ!」
再び引き金を引く。体勢を立て直し、掴みかかってきた大男の腕を掻い潜り、脇腹に一発撃ち込む。効果のほどは見えないが、蚊に刺されたぐらいの煩わしさは感じてくれたらしい。
大男の殺意が、完全に己へと向けられたことを感じた。その巨体から発せられる死のイメージに、情けないほど肌が粟立っていく。
「……了解しました、伍長殿!」
ミオンが走り去っていく音を耳が拾う。納得したかどうかは別として、少なくとも覚悟のほどは感じ取ってくれたらしい。
小刻みに床を蹴って、大男の背中へと回り込む。がら空きの胴体に向けて、銃口から閃光が迸った。
「時計塔だ! 時計塔を目指せ!」
己の銃声に負けぬよう、大声で叫ぶ。ミオンに届いたことをカルロスは願った。
これで彼女が生還できれば、自分は格好いい兵隊さんであり続けるわけだ。なるほど、充分な報酬じゃないか。
「お姫様が逃げる時間を稼がなきゃな」
大男は跳躍すると、勢いに任せて腕を振り上げた。足を踏み変えて半身を入れ替える。怖気をふるうほどの圧力が髪を撫でる。
空を切った拳は床に叩きつけられた。敷かれた床板が砕け飛び、粉じんがライトの中できらきらと舞った。
側頭部にも一発お見舞いし、転がって一度間合いを取った。大男の首が大きく横に弾けた。空弾倉を捨て、最後の弾倉を嵌め込む。
しかし、大男の回復は存外に素早く、稼いだ距離は一呼吸もしない内に無とされた。
砲弾のような拳が、颶風を纏って繰り出される。それを目算で半歩に満たない動作で避ける。力を加減して至近距離で三発、コートに覆われていない右肩に叩き込む。肉が爆ぜ、血が撥ねる。
それに怯んだ様子もなく、大男は大きく踏み込むと腕をなぎ払った。後ろに跳んで直撃は避けたものの、拳が左腕を掠めた。バランスを崩し、カルロスは床に転がった。
受け身を取って立ち上がるも、大男は目と鼻の先にまで接近していた。銃ごと押しつぶすように、拳がカルロスに向けて振り抜かれる。身体は為す術もなく壁へと叩きつけられた。胸部と背部からの衝撃に息が詰まる。鼻孔に血の臭いが広がった。
懸命にライフルを構えようとするが、大男に銃身を払われて手から弾け飛んだ。指先から激痛が走る。折れたかもしれない。からからと音を立てて、ライフルは床の上を滑って行った。光の輪は目まぐるしく位置を変え、最後に大男を中に捉えた。
立ち上がる猶予もなく、カルロスは大男に顔面を掴まれた。寸前、大男に踏みにじられたレナの死体が見えた。抵抗するが、相手は意にも解さなかった。そのまま身体を片手で持ちあげられる。首の筋肉が悲鳴を上げた。
万事休すだ。しかし、カルロスの頭は対抗手段をまだ探っていた。
カルロスの手が腰のポーチに触れた。その中の手榴弾をどうにか掴み取る。差し出すようにそれを持ち、ピンに指を通す。
顔を掴む指の間から、大男の白濁した目が見えた。何ら感情が宿ることのない、白蝋のような瞳。マーフィーのものと同じそれが、まっすぐにカルロスに注がれている。
「ガン、飛ばしてんじゃねえよ……」
顔面に尖った何かがめり込むのを感じた時、カルロスの指は手榴弾のピンを引き抜いた――。
魅音は暗闇の中をひたすらに走っていた。何度も躓きながらも、奇跡的に転ぶことはなかった。転べば、多分立ち上がることすらできないだろう。そう確信する。
随分走った様な気がするが、この暗闇だ。実は大した距離は動いていないのかもしれない。ただ、疲労だけは重なっていく。
全身を撫でていく風が、ショッピングモールから脱出できたことを教えてくれた。カルロスは時計塔に行けと言っていたが、これでは無理な話だ。
星一つ見えない夜闇は、纏わりつくように魅音の周囲を包みこんでいる。その闇から、うっすらとだけ建物や電柱の影らしきものが現れては消えていく。
一瞬、背後で光が生まれた。路上に魅音の影が伸びる。しかし、それはほんの二秒かそこらで消え、また暗闇が戻った。音も何もしなかったが、ショッピングモールの方からだろう。
カルロスが何かしたのだ。彼は勝ったのだろうか。しかし、魅音の足は止まらなかった。ここで戻っても、彼は怒るだろうから。
魅音は唸るように息を吐いた。レナが殺された。一番の親友が、あんな死体とも分からないような塊にされてしまった。無残に潰された彼女の姿が、目から焼き付いて離れない。
視界がほとんど効かないせいで、それは鮮明に脳裏に居座り続けていた。ふとすると、実際に目の前にあるような錯覚すら覚えるほどだ。
悲しさと悔しさと虚しさとが合わさり、外気よりも冷たい風が胸の内で吹いている。
響く足音はたった一つだ。一人ぼっちで走る暗闇は、酷く心細かった。
「ちくしょう……。絶対仇取ってやるからね。絶対だよ……!」
言葉に出したが、これでは負け犬の台詞のようだ。とても惨めで、涙が頬を伝った。
もう、レナの声は聞けない。彼女と部活で勝負もできないし、一緒に買い物に行くこともできない。
彼女は永遠に失われてしまった。悟史のときと同じように――。やはり、自分は何も出来なかった。
圭一の見舞いに行くだけだったのに、どうしてこんなことになったんだろう。どうしてここは雛見沢じゃないんだろう。ここは一体――どこなんだろう。
雛見沢に漂う土と木々の匂いが酷く懐かしかった。
右手で頬の涙を拭う。右手は、拳銃を握ったままだった。カルロスが渡してくれた拳銃だ。
いつも持ち歩いているモデルガンとは違う、本物の銃――それはとても重く腕に負担をかけている。けれども、魅音はそれから手を離すことはしたくなかった。
無手が怖いということもある。しかし、それとは別に、拳銃が勇気を与えてくれているような気もしていた。
最後の彼の表情を、魅音は見ていない。彼女の瞳に映っていたのは、カルロスの背中と、彼のライトが照らす黒ずくめの大男だ。
彼は怯えていたか。いや違う。多分、陽気な笑みを浮かべていたのだろう。怖くないはずはない。それでも、魅音を元気づけようと――。
この拳銃は、その勇敢な兵士が使っていたものだ。それだけで何か特別な力が宿っているのではないか。それは絶対にない話ではないと、半ば信じてすらいた。
眼前に街の明かりが見えた。ぽつぽつと弱々しい物だが、それは暗闇に慣れた目には染みるようだった。足の回転が力強いものに変わる。まるで、そこに辿り着けば全部解決すると身体が感じているようだ。
前方で、小さな炎が瞬いた。たんと破裂するような音とともに、腹部を衝撃が突き抜けた。何か鋭く熱いものが肉に抉り込み、身体の中で弾ける。
またちかちかと炎が闇の中で瞬く。その数と同じだけ。胸や肩へ似たような衝撃が突き刺さっていく。魅音の右手から落ちた拳銃がアスファルトの上でがちゃりと音を立てた。
魅音の足は止まっていた。そのまま前に踏み出すことなく、身体はアスファルトの上へと倒れこむ。身体中が熱く、それでいてとても寒かった。倒れこんだ身体の下から、生温かい液体が毀れだしていく。
撃たれたのだと、漸く魅音は気づいた。
足音が近づいた。声が聞こえる。
「――くしょう。ふざけんな。何が"S.T.a.R.s."だ。あの脳筋の低能ども、ずっと俺を馬鹿にしや、がって……怖ぇもんは怖いんだ、くそったれめが」
不明瞭な声で何かを罵りつつ、男は魅音の横を通り過ぎていった。誰かに向けられているようで、誰にも向けられていない。他人の感情を読み上げているような、そんな空虚な響きがあった。
聞き覚えのある声だが、それが誰だったか思い出せない。
喉が酸素を求めて喘ぐが、抜けるような喘鳴が漏れるばかりだ。意識が周囲の闇に蝕まれ、希薄になっていく。
黒ずくめの大男の声が遠くで聞こえた。
呼ばれし者どもめ――。起伏のない声音で、そう叫んでいる。
やがて、それも聞こえなくなった。もう、何も聞こえることはなかった。
【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に 死亡】
【カルロス・オリヴェイラ@バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ 死亡】
【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に 死亡】
【E-2/一日目/夜】
【タイラント NEMESIS-T型(追跡者)第一形態】
[状態]:上半身に複数の銃創、重度の火傷(回復中)
[装備]:耐弾耐爆コート(損傷率60%)
[道具]:無し
[思考・状況]
基本行動方針:「呼ばれし者」の皆殺し
1:「呼ばれし者」を捜索し、その場で殺害する。
【備考】
※耐弾耐爆コートが完全損傷した段階で、本個体が完全破壊されて無い場合、第二形態へと移行する。
※E-2のショッピングモール一階奥の店舗「ブルーベル」の近くにマーフィー・シーカーの死体とSPR‐Mk12(0/30)が落ちてます。
※裏世界のショッピングモールは、二階から一階エントランスへと続く階段が崩落しています。またSH3本編で三階の吹き抜けを塞いでいた壁はありません。
※通常出入り口を西と見たときの南側の一階階段と吹き抜けエリアにTH3焼夷手榴弾による破壊跡、カルロスとレナの焼け焦げた残骸、コルトM4A1(27/30 ウエポンライト装着)があります。コルトM4A1は壊れてる可能性があります。カルロスの所持していた他の装備はすべて焼失しました。
※E-2路上の魅音の死体の傍にSIG-P226(残弾15/15)が落ちています。
※ブラッドの死体は闇人化しました。殻がT-ウィルスに汚染されているため、常とは違う変化や状態になるかもしれません。