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2308●ジャニーズ性加害問題

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2308●ジャニーズ性加害問題
 ジャニーズ事務所は、多くの人気タレント、グループを擁し日本の芸能界に大きな力を持っていた。それを創業し、2019年に死去するまで実質的に率いてきたのがジャニー喜多川であるが、彼による所属タレントに対する性加害があいまいなまま一部では認識されていた。99年から2000年にかけては週刊文春が事務所のほかの不祥事と合わせてジャニーの「ホモセクハラ」を報じた。事務所側は名誉毀損で文春を提訴したが、二審で「セクハラ」については事実と認定され、判決は04年に最高裁で確定した。だが他のメディアはそれを大きく報じず、ジャニーの性加害は事件化も社会問題化もされなかった。
 23年3月、英の公共放送BBCが、ジャニーに関するドキュメンタリー番組を放送し、メディアを含む日本社会の「沈黙」を問題視した。それがきっかけとなり、4月に事務所出身のミュージシャンが記者会見し、ジャニーによる性被害を実名で告白した。これはテレビ・新聞に大きく取り上げられ、複数の事務所出身者が相次いで被害経験を語るようになり、彼らによって「ジャニーズ性加害問題当事者の会」も発足した。8月、来日して聞き取り調査した国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会のメンバーが、被害者の実効的救済などを求める声明を出した。
 その後ジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」(座長・元検事総長の林眞琴弁護士)が調査報告書を公表、ジャニーの性加害を明確に事実認定した。報告書によると、性加害は1950年代から行われ、62年に創業した事務所の所属タレントに対して70年代前半から晩年の2010年代半ばまで繰り返された。ジャニーの姉で副社長のメリー喜多川が性加害を知りながら放置し隠蔽したとも指摘。過去に週刊誌の特集記事や裁判、英BBCからの取材要請などがありながら、姉弟が事務所経営の全権を掌握していたため、調査などを誰もしなかった不作為が続き、その権力構造が被害の潜在化を招いたとした。そして、事務所の体制を正すため、メリーの娘で現社長・藤島ジュリー景子が辞任すること、事務所が性加害を事実と認め謝罪した上で被害者と対話をして賠償金の支払いなどの救済措置制度を構築すること強く求めた。
 ジャニーズ事務所は9月7日記者会見を開き、藤島社長は、性加害の事実を初めて認めて謝罪し、自らは引責辞任し、新社長には所属タレントの東山紀之が就任すると発表した。しかし、「ジャニーズ」の社名を維持し、藤島が全株式の保有を続けるなどとした会見の内容に、世間の批判は続き、会見の翌日にはアサヒグループHDが、ジャニーズ事務所のスターを起用したテレビとネットの広告を取りやめると発表、さらにその後も、キリンHD、日産自動車、日本生命保険、アフラック生命保険など複数の大手企業がジャニーズ事務所の所属タレントの広告契約を新規に結ばない方針や、契約終了の方針を示した。
 ジャニーズ事務所は10月はじめに再度の会見を開き、社名を変更すること、同社は被害者への補償が終われば廃業すること、タレントのマネジメント業務を引き継ぐ新会社を設立することを発表した。
 ジャニーズ問題は、上司、指導者、教師など強い立場を利用した性加害に対して被害者は黙っていないと主張しはじめた「#MeToo」運動の流れを受けて社会問題化したものといえる。長年沈黙していた日本の大手ジャーナリズム、人気タレント事務所とのもたれ合いの構図にあるテレビ業界の問題も浮き彫りにされた。
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