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2412●日本被団協にノーベル平和賞
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2412●日本被団協にノーベル平和賞
24年のノーベル平和賞は、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与された。被団協は、1956年、「核兵器の廃絶と原爆被害に対する国の保障」を求めて結成された。94年の「原子爆弾被爆者援護法」制度など成果を上げるとともに、核軍縮に関する国連などの国際会議にも被爆者を派遣し、核廃絶を訴えてきた。
12月10日、オスロで開かれた授賞式で、ノーベル委員会のフリードネス委員長は、「核兵器のない世界の実現に向けた努力、特に核兵器が二度と使われてはならない理由を身をもって立証してきた」と被団協の功績を紹介した。
代表委員の田中熙巳は受賞講演で、「核兵器は一発たりとも持ってはいけないというのが被爆者の心からの願いだ」と訴えるとともに、核兵器を取り巻く世界情勢について、「直ちに発射できる核弾頭が4000発もあり、広島・長崎の数百倍、数千倍の被害が直ちに出ることがある」と危機感を表明した。また、「原爆で亡くなった死者に対する償いは、日本政府は全くしていない」と強調した。講演の終盤では、「核兵器国とそれらの同盟国の市民の中にしっかりと核兵器は人類と共存できない、共存させてはならないという信念が根づき、自国の政府の核政策を変えさせる力になるように願っています」と訴えた。
17年に核兵器の保有や禁止、威嚇を禁じた核兵器禁止条約が採択され、署名国は100カ国近くになったにもかかわらず、すべての核保有国、そして日本を含む「核の傘」に依存する同盟国が参加を拒んできた。その間、核兵器をめぐる国際情勢は厳しさを増した。ウクライナ戦争でロシアは露骨に核による威嚇を行ったし、米国との新戦略兵器削減条約(新START)の履行停止を決めた。オバマ大統領が「核なき世界」を提唱した米国もトランプ政権1期目の「核態勢見直し(NPR)」で通常兵器での攻撃に核兵器で反撃する可能性を明記し、米ロ間の中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱した。中国も不透明な形で各軍拡を続けているし、北朝鮮の核開発もとどまるところをしらない。こうした情勢への危機感が、被団協へのノーベル賞授賞を後押ししたし、田中の講演にも表れていた。
しかし、日本政府の反応は、冷淡であった。石破首相は、授賞式の日に国会で「本当にご苦労さまでした」と被団協の活動を称えながら、「拡大抑止を否定するという考え方を私は持っていない」とし、核禁条約の署名・批准に改めて否定的な考えを示した。「拡大抑止」とは、核を含む米国の戦力で日本への攻撃を思いとどまらせる、という考え方である。そして、まさにこの授賞式の当日、日米の外務・防衛当局担当者は「拡大抑止」をめぐる協議を開始していた。
★2024年
24年のノーベル平和賞は、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与された。被団協は、1956年、「核兵器の廃絶と原爆被害に対する国の保障」を求めて結成された。94年の「原子爆弾被爆者援護法」制度など成果を上げるとともに、核軍縮に関する国連などの国際会議にも被爆者を派遣し、核廃絶を訴えてきた。
12月10日、オスロで開かれた授賞式で、ノーベル委員会のフリードネス委員長は、「核兵器のない世界の実現に向けた努力、特に核兵器が二度と使われてはならない理由を身をもって立証してきた」と被団協の功績を紹介した。
代表委員の田中熙巳は受賞講演で、「核兵器は一発たりとも持ってはいけないというのが被爆者の心からの願いだ」と訴えるとともに、核兵器を取り巻く世界情勢について、「直ちに発射できる核弾頭が4000発もあり、広島・長崎の数百倍、数千倍の被害が直ちに出ることがある」と危機感を表明した。また、「原爆で亡くなった死者に対する償いは、日本政府は全くしていない」と強調した。講演の終盤では、「核兵器国とそれらの同盟国の市民の中にしっかりと核兵器は人類と共存できない、共存させてはならないという信念が根づき、自国の政府の核政策を変えさせる力になるように願っています」と訴えた。
17年に核兵器の保有や禁止、威嚇を禁じた核兵器禁止条約が採択され、署名国は100カ国近くになったにもかかわらず、すべての核保有国、そして日本を含む「核の傘」に依存する同盟国が参加を拒んできた。その間、核兵器をめぐる国際情勢は厳しさを増した。ウクライナ戦争でロシアは露骨に核による威嚇を行ったし、米国との新戦略兵器削減条約(新START)の履行停止を決めた。オバマ大統領が「核なき世界」を提唱した米国もトランプ政権1期目の「核態勢見直し(NPR)」で通常兵器での攻撃に核兵器で反撃する可能性を明記し、米ロ間の中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱した。中国も不透明な形で各軍拡を続けているし、北朝鮮の核開発もとどまるところをしらない。こうした情勢への危機感が、被団協へのノーベル賞授賞を後押ししたし、田中の講演にも表れていた。
しかし、日本政府の反応は、冷淡であった。石破首相は、授賞式の日に国会で「本当にご苦労さまでした」と被団協の活動を称えながら、「拡大抑止を否定するという考え方を私は持っていない」とし、核禁条約の署名・批准に改めて否定的な考えを示した。「拡大抑止」とは、核を含む米国の戦力で日本への攻撃を思いとどまらせる、という考え方である。そして、まさにこの授賞式の当日、日米の外務・防衛当局担当者は「拡大抑止」をめぐる協議を開始していた。
★2024年