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2609●「責任ある積極財政」サナエノミクスの漂流

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2609●「責任ある積極財政」サナエノミクスの漂流

ベッセント、「リフレ政策やめよ」 日本に注文

 9月1日(日本時間2日)、米南東部ノースカロライナ州アッシュビルでのG20財務相・中央銀行総裁会議の閉幕時の議長国会見で米財務長官ベッセントは、「日本にリフレ政策はやめるべきだと伝えた」と語った。日本発の金利上昇が米金利に波及することを嫌ってなされたと推測される。
 一方、8月30日に日本銀行の植田和男総裁と会談した際には、「円安が日本国内のインフレ圧力の一因だ」と伝えた。物価高も長期金利を押し上げる主要な要因であり、7月末に日米両政府による協調円買い介入にベッセントが協力したのも、円安が輸入物価を上昇させ、それが長期金利を押し上げる負の連鎖を止めたかったと受け取れる。
 ベッセントはG20会議の会期中、繰り返し日銀による早期の利上げへの期待感を強く示唆した。利上げ観測の高まりも長期金利を押し上げうるが、利上げをせずに物価高が激しくなれば、大幅な長期金利の上昇を招きかねないと考えているとみられる。それだけに、日銀の利上げに消極的とされる高市政権の姿勢にも不満を持っている可能性がある。
 ベッセントの発言をめぐり、片山さつき財務相は4日の閣議後会見で「タカイチノミクスを評価していただいた。私が要求をもらったり、問い詰められたりしたことは全くない」と語ったが、米政府高官から公の場で異例の注文を付けられた高市政権は、金融市場の「警告」に直面している。
 ベッセントが日銀の早期の利上げへの期待感を明確に示したこともあり、日銀が利上げに踏み切るとの観測が拡大。国債を売る動きが広がり、長期金利は上昇(価格は下落)した。
 1日には長期金利の指標となる新発10年物国債が、約30年ぶりの高水準となる3.005%で取引を終えた。
 もともと、中東情勢の不安定化で再び原油価格が上昇し、物価高懸念が高まっていた。加えて、高市政権による27年度の政府予算案編成で財政懸念が再燃した。いずれも、長期金利の上昇圧力となる。
 日銀の利上げが加速し、日米の金利差が縮小するとの思惑が広がると、ドルを売って円を買う動きが進む。
 米財務省は日本時間2日、ベッセントが円安是正に向け、「日本が断固とした市場・金融政策上の措置を講じることを強く支持する」と日銀の植田総裁に伝えたと公表した。同じ日、日銀の高田創審議委員が講演で「一定のペースにとらわれず、機動的に利上げを行う」必要性を強調。3日には米連邦準備制度理事会(FRB)の理事が利上げに慎重な姿勢を示すなど、日米の金利差の縮小を意識させる動きが続いた。
 外国為替市場で対ドル円相場は2日以降、1ドル=160円台から5円ほど円高ドル安が進み、3日夜には一時155円台をつけ、4-5月、7-8月の為替介入で到達した円高水準に迫った。

概算要求、過去最大の143兆円

 9月4日財務相が発表した27年度予算の概算要求は、一般会計の総額が26年度当初予算(122兆3092億円)を20兆7564億円上回る、過去最大の143兆656億円であった。
 高市首相は、自らの肝いりの「強く豊かな日本」をめざす投資枠で各省庁の要求額に上限を設けなかった。この投資枠を活用した要求額は12兆円余にものぼった。また、今回の概算要求では、具体的な金額を示さない「事項要求」も多く、今後の予算編成作業で最終的な予算額がさらに増える可能性がある。8.9兆円を要求した防衛省の予算は、年末に予定される安全保障3文書の改定を踏まえ、兆円単位の増額が見込まれる。公共事業などの「国土強靱化」の重要施策も事項要求となった。
 同日首相はSNSへの投稿で、27年度が「責任ある積極財政元年」だとし、「実質的に対前年度約2.5兆円の増額」だと強調した。これまでは補正予算で計上していた経費も、今回は当初予算の要求に盛り込まれたため、25年度補正予算(約18兆円)と26年度当初予算を合わせた約141兆円と比べると、増加幅は2.5兆円にとどまるという趣旨である。
 しかし金融市場では、高市政権の「責任ある積極財政」への懸念などから長期金利が1日に30年ぶりに3%をつけた。財政規律への不信が高まれば、国債が売られて長期金利の上昇に拍車がかかる恐れがあるため、政府の財政政策が市場から「信認」を得られるかは今後にかかっている。
 予算編成をめぐり、政府では新規国債の発行額について26年度と同じの40兆円程度に抑えることで財政規律に配慮する姿勢を見せた。
(更新)2026/09/06
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