道具の生涯なんて、儚いものだ。
用途と言う名の天命と共に生まれ、用途を失った瞬間に道具は『死体』(ゴミ)となる。
用途を全うする能力のない物も、『死体』(ゴミ)として扱われる。
用途と言う名の天命と共に生まれ、用途を失った瞬間に道具は『死体』(ゴミ)となる。
用途を全うする能力のない物も、『死体』(ゴミ)として扱われる。
だから、道具はどんな時でも真剣だ。真剣に主人(マスター)の命に従い、真剣に用途を全うしようとする。
生存本能に根付くものだから、その度合いは他の如何な生物とも比較にならないだろう。
そして、その気性はきっと、棄てられて化けてからも同じ。
勝負事に臨む時、その姿勢は真剣そのものだ。
生存本能に根付くものだから、その度合いは他の如何な生物とも比較にならないだろう。
そして、その気性はきっと、棄てられて化けてからも同じ。
勝負事に臨む時、その姿勢は真剣そのものだ。
「くっ……! 中々やるじゃないか……!」
魔理沙が苦悶の表情を浮かべる。
先程まで飄々としていた彼女らしくない、全く余裕のない表情だ。
「あらあら、貴女が言い掛かりをつけるからハンデまであげたのに。情けないわねぇ」
「煩い! 外野は黙っててくれ……ッ!」
背後でにやけている紫に怒鳴りつけると、魔理沙の表情は集中と焦りの混じった様な表情となる。
魔理沙が苦悶の表情を浮かべる。
先程まで飄々としていた彼女らしくない、全く余裕のない表情だ。
「あらあら、貴女が言い掛かりをつけるからハンデまであげたのに。情けないわねぇ」
「煩い! 外野は黙っててくれ……ッ!」
背後でにやけている紫に怒鳴りつけると、魔理沙の表情は集中と焦りの混じった様な表情となる。
「あ」
思わず声を上げた。
「魔理沙、そのままじゃ危な――」
「あーもう、煩いって言ってるんだぜ!! 大体敵のお前からの助言なんて聞けるか!!」
「……そんな、謀る様な事、私、しない。だって、やっぱり魔理沙にも、真剣に勝負、して欲しいし。それに……」
魔理沙は私の言葉を聞き流している。けど、構わず続ける。
「魔理沙、そのままじゃ危な――」
「あーもう、煩いって言ってるんだぜ!! 大体敵のお前からの助言なんて聞けるか!!」
「……そんな、謀る様な事、私、しない。だって、やっぱり魔理沙にも、真剣に勝負、して欲しいし。それに……」
魔理沙は私の言葉を聞き流している。けど、構わず続ける。
「……それに、魔理沙、力入れ過ぎ。痛い」
「だぁーーーー!! やかましいって言ってるじゃないかッ!! 大体書初めの最中に『筆』が喋るな『筆』がッ!!」
「だぁーーーー!! やかましいって言ってるじゃないかッ!! 大体書初めの最中に『筆』が喋るな『筆』がッ!!」
ペキョ
「「あ」」
「~~~~~~~~ッ!?!?」
軽快な音と共に、魔理沙の握っていた小振りの筆――私の本体が、真っ二つに折れた。
痛い。マジ痛い。半端じゃなく痛い。何度も味わった痛みだけど、やっぱり痛い。
痛い。マジ痛い。半端じゃなく痛い。何度も味わった痛みだけど、やっぱり痛い。
「あらぁ、魔理沙も随分えげつない事するわねぇ?
幾ら『書初め』の勝負で勝てる気がしないからって、腕力に物を言わせるなんて。
あら、間違えた。腕力で物を泣かせるのかしら?」
「ち、違……そんなんじゃ……!!」
とんちは良いから、早く直して。私を繋いで。
幾ら『書初め』の勝負で勝てる気がしないからって、腕力に物を言わせるなんて。
あら、間違えた。腕力で物を泣かせるのかしら?」
「ち、違……そんなんじゃ……!!」
とんちは良いから、早く直して。私を繋いで。
「だ、大体こいつ何なんだよ!! いくら『筆の付喪神』だからって、字書くの巧すぎるだろ!!?」
「それはそうでしょう。何しろそれがこの娘の『用途』(存在意義)だったのだから。
けどそれ以前に、一文字一文字に打ち込む姿勢も、貴女なんかよりずっと真剣だったわよ?」
「う、うるさいうるさいッ! 元旦早々説教なんて聞きたくないぜ!!」
魔理沙は駄々っ子の様に叫び散らすと、箒に跨ってどこかに飛んで行ってしまった。
「それはそうでしょう。何しろそれがこの娘の『用途』(存在意義)だったのだから。
けどそれ以前に、一文字一文字に打ち込む姿勢も、貴女なんかよりずっと真剣だったわよ?」
「う、うるさいうるさいッ! 元旦早々説教なんて聞きたくないぜ!!」
魔理沙は駄々っ子の様に叫び散らすと、箒に跨ってどこかに飛んで行ってしまった。
「……もう、仕方ない子ね。ごめんなさいね、普段はもっと聞き分けの良い娘なのだけど」
悶絶する私に向かって、悪びれた様子も無く言う紫。
かと思えば、その細くすらっとした指先が、私の筆(本体)に向かって伸ばされる。
良かった、やっと直して貰え
悶絶する私に向かって、悪びれた様子も無く言う紫。
かと思えば、その細くすらっとした指先が、私の筆(本体)に向かって伸ばされる。
良かった、やっと直して貰え
「それにしても、見事なものね。貴女の溢れんばかりの好意を、紙一枚の上でこれ程までに表現できるなんて」
る、と思ったら。紫は私の書いた『好きなもの』と言うお題の書初めを摘み上げ、感心した様に眺め始めた。
「貴女が如何に『コレ』が好きか、痛いほど良く分かるわぁ」
そう思うのだったら、早く直して。マジで。痛いから。
私は声にさえならない悲鳴を上げながら、紫の服の裾を力なく引っ張り続けるのであった……。
る、と思ったら。紫は私の書いた『好きなもの』と言うお題の書初めを摘み上げ、感心した様に眺め始めた。
「貴女が如何に『コレ』が好きか、痛いほど良く分かるわぁ」
そう思うのだったら、早く直して。マジで。痛いから。
私は声にさえならない悲鳴を上げながら、紫の服の裾を力なく引っ張り続けるのであった……。
好きなもの
『接着剤』
『接着剤』
お久しぶりの方もいらっしゃるかも知れません、MORIHIと申します。
長らく多忙でおりましたが、生存報告代わりに僭越ながらSSを投稿させて頂きました。
場違いでしたら、どなたか削除して頂けますと助かります(・ω・`;)
しかし、段々『真剣勝負』と言うお題から外れて行っている気が……orz
長らく多忙でおりましたが、生存報告代わりに僭越ながらSSを投稿させて頂きました。
場違いでしたら、どなたか削除して頂けますと助かります(・ω・`;)
しかし、段々『真剣勝負』と言うお題から外れて行っている気が……orz
この様な未熟者で恐縮ですが、最近着々とJ妖夢の加筆作業に取り組んでおります。
近日中に暫定完成版をうpできる様になる事を目標としておりますが……生暖かい様な薄ら寒い様な視線で見守って下さると幸いです。
近日中に暫定完成版をうpできる様になる事を目標としておりますが……生暖かい様な薄ら寒い様な視線で見守って下さると幸いです。
『妄言』
尚、このSSに登場する「筆の付喪神」は私のオリキャラだったり致します。我ながら痛い……orz
尚、このSSに登場する「筆の付喪神」は私のオリキャラだったり致します。我ながら痛い……orz