「おはようございます」
稗田家の女性の声で阿求は目を覚ました
体を起こし、女性に挨拶を返すと、阿求は布団から出た
「朝食の準備ができてますよ」
女性がそう言い下がっていったので
阿求は少し急いで身支度を整えると部屋から出た
食堂に辿り着くと、まだ食事は用意されていなかった
稗田家の女性の声で阿求は目を覚ました
体を起こし、女性に挨拶を返すと、阿求は布団から出た
「朝食の準備ができてますよ」
女性がそう言い下がっていったので
阿求は少し急いで身支度を整えると部屋から出た
食堂に辿り着くと、まだ食事は用意されていなかった
今日は4月1日、エイプリルフールだ
幻想郷でも4月1日には嘘をついてもよいという習慣は存在する
幻想郷の住人はこういった習慣を楽しもうとするものが多い
といっても、幻想郷では普段から嘘ばかりつく人妖も多いが
まあ、今日は妖怪たちの話を聞きにいくのには向かないだろう
ならばと阿求は自分もこの習慣を楽しむことにした
幻想郷でも4月1日には嘘をついてもよいという習慣は存在する
幻想郷の住人はこういった習慣を楽しもうとするものが多い
といっても、幻想郷では普段から嘘ばかりつく人妖も多いが
まあ、今日は妖怪たちの話を聞きにいくのには向かないだろう
ならばと阿求は自分もこの習慣を楽しむことにした
さて、誰にどんな嘘をつこうかなと考えながら人里を歩いていると
珍しい人間を見かける
「こんにちわ、珍しいですね」
と、阿求は声をかけた
「あら、こんにちわ」
紅魔館のメイド長、十六夜咲夜は阿求にそう返した
珍しい人間を見かける
「こんにちわ、珍しいですね」
と、阿求は声をかけた
「あら、こんにちわ」
紅魔館のメイド長、十六夜咲夜は阿求にそう返した
「今日は何のようで人里に?」
と、阿求は咲夜に尋ねる
「仕事が溜まってきたので暇つぶしに来たのですが」
「暇つぶしではなく気晴らしでは?」
とぼけた調子な咲夜の言葉に阿求は突っ込む
「まあ、そろそろ紅魔館に帰ろうかと思っていたところなのですが」
「というか、仕事は大丈夫なんですか?」
そう言ってみると、咲夜は少し考えた後
「多分、大丈夫だと思いますよ」
と答えた
と、阿求は咲夜に尋ねる
「仕事が溜まってきたので暇つぶしに来たのですが」
「暇つぶしではなく気晴らしでは?」
とぼけた調子な咲夜の言葉に阿求は突っ込む
「まあ、そろそろ紅魔館に帰ろうかと思っていたところなのですが」
「というか、仕事は大丈夫なんですか?」
そう言ってみると、咲夜は少し考えた後
「多分、大丈夫だと思いますよ」
と答えた
「あの、咲夜さん?」
阿求は咲夜と今、人里の外を歩いていた
咲夜がもしよかったらと紅魔館に阿求を誘い
暇だった阿求もそれに応じた
しかし
「紅魔館はこちらじゃなかったと思うんですが」
咲夜は紅魔館とは別の方向へと向かっていた
「ああ、先ほど紅魔館に帰ろうと言ったのですが」
咲夜は少しこちらに顔を向けながら答える
「その前に香霖堂に寄って行こうかと思いまして、紅茶も切らしてましたし」
「それなら先に言ってください……」
と、少し疲れた様子で阿求は言った
阿求は咲夜と今、人里の外を歩いていた
咲夜がもしよかったらと紅魔館に阿求を誘い
暇だった阿求もそれに応じた
しかし
「紅魔館はこちらじゃなかったと思うんですが」
咲夜は紅魔館とは別の方向へと向かっていた
「ああ、先ほど紅魔館に帰ろうと言ったのですが」
咲夜は少しこちらに顔を向けながら答える
「その前に香霖堂に寄って行こうかと思いまして、紅茶も切らしてましたし」
「それなら先に言ってください……」
と、少し疲れた様子で阿求は言った
「やあ、いらっしゃい」
香霖堂に入ると店主である森近霖之助が声をかけてきた
「こんにちわ」
と、阿求と咲夜は返した
「今日は紅茶を……」
と、言いかけて咲夜の言葉が止まる
霖之助の手元にあるものに目を向けているようだ
「森近さん、それは?」
その咲夜の様子を見て、阿求は尋ねた
「ああ、これかい?」
阿求の言葉を聞いて、霖之助はそれを二人に見えるようにする
それは……
「時計?」
銀の懐中時計だった
「ああ、聞いてくれ、これは時計に魔術を施すことによって
過去や未来を見る能力を得た魔法道具だ
といってもそれは第一段階に過ぎない
材料が揃えば時間そのものをも操ることができることになるであろう
我ながら素晴らしい出来の道具だよ」
と、楽しそうに道具を説明をする霖之助
それに対し、阿求と咲夜は非常に驚いた様子を見せる
「そんなことができたんですか!?」
「いや、まあ、嘘なんだけどね」
ここまで驚くのは予想外だったのか
少し気まずそうに霖之助は答えた
「でも、これはただの懐中時計ではないよ
外の世界の電波時計というものを参考に作った魔術道具なんだが
常に正しい時間を指すんだ、この時計の原理は……」
と語りだす霖之助を咲夜が止める
「詳しい話はまた後日にお願いしますわ、今日だとまた嘘を混ぜられそうですし」
やや不機嫌そうな調子の言葉を聞いて霖之助は苦笑する
「いやいや、悪かったよ、根に持たないでくれ
たまにはこういった習慣に乗ってみるのもいいかなと思ったんだ
今日はエイプリルフールだからね
しかし、客が来なくて嘘をつく機会がないんじゃないかと心配になってきてたよ
エイプリルフールで嘘をついていいのは午前中だけとも聞くしね
そういえば、知ってるかい?
日本でこの習慣が流行ったのは賭け事に負けた人間が
スリにあったと嘘をついてたのがきっかけという説がある
しかし、実際は日本でもそれより前からその習慣はあったとも聞く
だから僕はこう考える、人は……」
と、また語りだす霖之助
「森近さん、咲夜さんは忙しいそうなので」
と、今度は阿求が止める
「おっと、それはすまなかったね
今日は紅茶を買いに来たんだったかな
紅茶ならそこにあるから見てみるといい」
「わかりましたわ」
香霖堂に入ると店主である森近霖之助が声をかけてきた
「こんにちわ」
と、阿求と咲夜は返した
「今日は紅茶を……」
と、言いかけて咲夜の言葉が止まる
霖之助の手元にあるものに目を向けているようだ
「森近さん、それは?」
その咲夜の様子を見て、阿求は尋ねた
「ああ、これかい?」
阿求の言葉を聞いて、霖之助はそれを二人に見えるようにする
それは……
「時計?」
銀の懐中時計だった
「ああ、聞いてくれ、これは時計に魔術を施すことによって
過去や未来を見る能力を得た魔法道具だ
といってもそれは第一段階に過ぎない
材料が揃えば時間そのものをも操ることができることになるであろう
我ながら素晴らしい出来の道具だよ」
と、楽しそうに道具を説明をする霖之助
それに対し、阿求と咲夜は非常に驚いた様子を見せる
「そんなことができたんですか!?」
「いや、まあ、嘘なんだけどね」
ここまで驚くのは予想外だったのか
少し気まずそうに霖之助は答えた
「でも、これはただの懐中時計ではないよ
外の世界の電波時計というものを参考に作った魔術道具なんだが
常に正しい時間を指すんだ、この時計の原理は……」
と語りだす霖之助を咲夜が止める
「詳しい話はまた後日にお願いしますわ、今日だとまた嘘を混ぜられそうですし」
やや不機嫌そうな調子の言葉を聞いて霖之助は苦笑する
「いやいや、悪かったよ、根に持たないでくれ
たまにはこういった習慣に乗ってみるのもいいかなと思ったんだ
今日はエイプリルフールだからね
しかし、客が来なくて嘘をつく機会がないんじゃないかと心配になってきてたよ
エイプリルフールで嘘をついていいのは午前中だけとも聞くしね
そういえば、知ってるかい?
日本でこの習慣が流行ったのは賭け事に負けた人間が
スリにあったと嘘をついてたのがきっかけという説がある
しかし、実際は日本でもそれより前からその習慣はあったとも聞く
だから僕はこう考える、人は……」
と、また語りだす霖之助
「森近さん、咲夜さんは忙しいそうなので」
と、今度は阿求が止める
「おっと、それはすまなかったね
今日は紅茶を買いに来たんだったかな
紅茶ならそこにあるから見てみるといい」
「わかりましたわ」
今、阿求と咲夜は紅魔館への道を歩いていた
阿求の手には先ほどの懐中時計があった
ちょうど手持ちもあった阿求は冷やかしだけなのもと思い買ったのだ
よくよく見てみると、なかなか立派な時計だ
いい買い物をしたと言えないこともないだろう
阿求の手には先ほどの懐中時計があった
ちょうど手持ちもあった阿求は冷やかしだけなのもと思い買ったのだ
よくよく見てみると、なかなか立派な時計だ
いい買い物をしたと言えないこともないだろう
しばらく進んでいくと、霧の湖が見えてくる
紅魔館はこの先にある
霧の湖に向けると青い髪に青い服の妖精の姿が見えた
「……すみません、先に行っててもらえますか?」
不意に阿求は咲夜にそう言った
咲夜は少し首を傾げたりしたものの
深くは聞かずに先に進んでいった
紅魔館はこの先にある
霧の湖に向けると青い髪に青い服の妖精の姿が見えた
「……すみません、先に行っててもらえますか?」
不意に阿求は咲夜にそう言った
咲夜は少し首を傾げたりしたものの
深くは聞かずに先に進んでいった
今日はまだそれらしい嘘をついていなかった
そう思い、目の前の氷精をちょっと騙してやろうと阿求は考えていた
エイプリルフールだからといって、無理に嘘をつく必要はないだろうが
どうせならこの習慣を楽しみたい
そう思い氷精へと阿求は声をかけた
「こんにちわ」
そう思い、目の前の氷精をちょっと騙してやろうと阿求は考えていた
エイプリルフールだからといって、無理に嘘をつく必要はないだろうが
どうせならこの習慣を楽しみたい
そう思い氷精へと阿求は声をかけた
「こんにちわ」
振り向いた氷精の姿を見て阿求は固まった
いや、それは氷精ではなかった
それは
人形だった
人形は口をぱくぱくと動かしているが
何を言っているのかはわからない
阿求はと言うと、その人形の不気味さに身動きが取れずにいた
ギョロりとした目、ぱくぱくと動き続ける口
それでいて、肌や髪は妙にリアルだった
何を言っているのかはわからない
阿求はと言うと、その人形の不気味さに身動きが取れずにいた
ギョロりとした目、ぱくぱくと動き続ける口
それでいて、肌や髪は妙にリアルだった
阿求の持つ懐中時計はその時12時ちょうどを指していた
しばらくぱくぱくと口を動かしていた人形だが
急にその人形は壊れてしまった
崩れ去っていく人形、その目は阿求の方を見ていた
人形が崩れ去った後、阿求はようやく動くことができた
「今のは……?」
急にその人形は壊れてしまった
崩れ去っていく人形、その目は阿求の方を見ていた
人形が崩れ去った後、阿求はようやく動くことができた
「今のは……?」
「いったい何が……?」
紅魔館に辿り着いた阿求は呆然としていた
館の前に壊れた人形があった
その姿が紅魔館の門番、紅美鈴の姿に似ているような気がしたが
壊れているため、判断はつかなかった
阿求は紅魔館の中へと入っていった
紅魔館に辿り着いた阿求は呆然としていた
館の前に壊れた人形があった
その姿が紅魔館の門番、紅美鈴の姿に似ているような気がしたが
壊れているため、判断はつかなかった
阿求は紅魔館の中へと入っていった
紅魔館の中には大量の壊れた人形があった
メイド服を着た人形
この館の主の姿に似た人形
動かない大図書館の姿に似た人形
主の妹の姿に似た人形
メイド服を着た人形
この館の主の姿に似た人形
動かない大図書館の姿に似た人形
主の妹の姿に似た人形
紅魔館の中には生きた人妖など一人としていなかった
阿求は懐中時計を握り締め
香霖堂へ向かっていた
今、唯一つ、自分が人形以外の誰かと接していた証となるそれを
大事に、大事に握り締めていた
香霖堂へ向かっていた
今、唯一つ、自分が人形以外の誰かと接していた証となるそれを
大事に、大事に握り締めていた
香霖堂に辿り着いた
魔法の森の入り口にあるこの店
阿求は香霖堂の扉を開く
魔法の森の入り口にあるこの店
阿求は香霖堂の扉を開く
そこには闇が広がっていた
いや、正確には闇ではない
大量の道具に覆われその空間の光が閉ざされているのだ
物、物、物、物
名前や用途を知る物から
それがなんなのか全くわからない物まで
色々な物で店内は埋め尽くされていた
「森近さん!」
阿求はそう呼びかけるが返事はない
やがて、店内の探索は不可能と判断した阿求は店の外に出る
そして、そのまま人里へと向かっていった
名前や用途を知る物から
それがなんなのか全くわからない物まで
色々な物で店内は埋め尽くされていた
「森近さん!」
阿求はそう呼びかけるが返事はない
やがて、店内の探索は不可能と判断した阿求は店の外に出る
そして、そのまま人里へと向かっていった
自分が香霖堂を出たその瞬間
建物の影が消えたことに
ドアの閉じる音がしなかったことに
森の木々がなくなっていたことに
自分が持っていたはずの懐中時計がなくなっていたことに
阿求は気がつかない振りをした
人里があったはずの場所に辿り着いた
そこには何もなかった
里も
家も
人も
妖怪も
神も
妖精も
人形も
道具も
木々も
太陽も
月も
星も
光も
何もなかった
ま る で
幻 想 郷 全 て が
嘘 だ っ た か の よ う に
…………
………
……
…
見慣れた天井が見える、すぐさま阿求は体を起こし
周囲を見回して、ここが自分の寝室であることを確認する
「……夢?」
阿求は記憶を遡る
幻想郷が消えていく記憶
幻想郷が壊れていく記憶
道具に埋もれた香霖堂の記憶
壊れた人形だらけの紅魔館の記憶
氷精の姿をした人形の記憶
紅魔館へと向かう途中に氷精に話しかけた記憶
香霖堂で懐中時計を買った記憶
霖之助の薀蓄を聞かされた記憶
咲夜と共に香霖堂に訪れた記憶
人里で咲夜と会った記憶
そして……
周囲を見回して、ここが自分の寝室であることを確認する
「……夢?」
阿求は記憶を遡る
幻想郷が消えていく記憶
幻想郷が壊れていく記憶
道具に埋もれた香霖堂の記憶
壊れた人形だらけの紅魔館の記憶
氷精の姿をした人形の記憶
紅魔館へと向かう途中に氷精に話しかけた記憶
香霖堂で懐中時計を買った記憶
霖之助の薀蓄を聞かされた記憶
咲夜と共に香霖堂に訪れた記憶
人里で咲夜と会った記憶
そして……
記憶を辿っていると突然扉が開かれた
そして、扉の方へと顔を向けた阿求に声がかけられる
「おはようございます」
おわり?
☆あとがき
最後から考えていったら凄まじい急展開になったでござるの巻き
今回のキャラリクは阿求、お題はエイプリルフール
エイプリルフールということで嘘について考えながら書いてみました
考えていたことについては上手く言葉にまとめられないのでここには書きませんが
まあ、何か機会があれば話すこともあるかもしれません
最後になりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございます
では、またの機会に
最後から考えていったら凄まじい急展開になったでござるの巻き
今回のキャラリクは阿求、お題はエイプリルフール
エイプリルフールということで嘘について考えながら書いてみました
考えていたことについては上手く言葉にまとめられないのでここには書きませんが
まあ、何か機会があれば話すこともあるかもしれません
最後になりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございます
では、またの機会に