中央銀行の金融政策
金融政策は、国が発行している通貨の量やインフレ状態をコントロールして「経済」という生き物の温度が熱くなりすぎたり冷えすぎたりしないよう適温を保っていけるように、各国の中央銀行が行うものである。
外国為替市場は、通過そのものを売買するマーケットなので、特に各国の政策金利の動向には非常に敏感になる。
通貨金利水準を決めることになる政策金利の変更は、金融政策の中でも最も重要なものである。それは、だいたい月に1回の割合で開かれている各国の中央銀行の審議委員による会議で決定される。
政策決定の過程には、すでに発表されているさまざまな経済指標や、それにもと基づく景気見通しなどが深く関わってくる。したがって、決定内容よりもなぜその決定にいたったかを示す「声明文」にマーケットは反応することが多い。
金融政策を決定した会議の議事録なども後で公表されるが、その決定過程などが話題となって、さらに為替レートが動くことがある。
外国為替市場は、通過そのものを売買するマーケットなので、特に各国の政策金利の動向には非常に敏感になる。
通貨金利水準を決めることになる政策金利の変更は、金融政策の中でも最も重要なものである。それは、だいたい月に1回の割合で開かれている各国の中央銀行の審議委員による会議で決定される。
政策決定の過程には、すでに発表されているさまざまな経済指標や、それにもと基づく景気見通しなどが深く関わってくる。したがって、決定内容よりもなぜその決定にいたったかを示す「声明文」にマーケットは反応することが多い。
金融政策を決定した会議の議事録なども後で公表されるが、その決定過程などが話題となって、さらに為替レートが動くことがある。
米国の金融政策
米国では、連邦準備制度理事会(FRB)が開く連邦公開市場委員会(FOMC)が最高決定機関で、少なくとも何に8回開催される。FOMCへの信頼度は絶大なため、市場に寄せる関心はたいへん大きなものである。
87年から5期20年にわたってFRBの議長を務めたグリーンスパンは、市場を混乱させない名手といわれてきた。彼の発した意見が市場に誤解されて、自分の思惑とは違った方向に相場が動き出しても、その方向修正に必要なマイルド感あふれるコメントは絶品で、FOMCではなく彼が一人ですべてを決定していると思っていた人もいた。
いずれにしても米国の金融政策は、基軸通貨であるドルの価値を左右するため、為替相場では注目度がとても高いものとなっている。また、米国の中央銀行にあたるFRBは、日本銀行のように一つの銀行の下に各地域の支店があるという組織ではなく、12それぞれ独立した地区連銀の上にこれを統括する組織として存在している。
FOMCのめんばーは、7人の理事と各地域連銀の総裁5人の計12人で構成されている。ニューヨーク連銀総裁以外は、残り11行の総裁の持ち回りとなっているため、議決権のある地区連銀トップの発言には、日ごろからたいへん注目が集まることになる。
87年から5期20年にわたってFRBの議長を務めたグリーンスパンは、市場を混乱させない名手といわれてきた。彼の発した意見が市場に誤解されて、自分の思惑とは違った方向に相場が動き出しても、その方向修正に必要なマイルド感あふれるコメントは絶品で、FOMCではなく彼が一人ですべてを決定していると思っていた人もいた。
いずれにしても米国の金融政策は、基軸通貨であるドルの価値を左右するため、為替相場では注目度がとても高いものとなっている。また、米国の中央銀行にあたるFRBは、日本銀行のように一つの銀行の下に各地域の支店があるという組織ではなく、12それぞれ独立した地区連銀の上にこれを統括する組織として存在している。
FOMCのめんばーは、7人の理事と各地域連銀の総裁5人の計12人で構成されている。ニューヨーク連銀総裁以外は、残り11行の総裁の持ち回りとなっているため、議決権のある地区連銀トップの発言には、日ごろからたいへん注目が集まることになる。
ユーロの金融政策
ユーロ圏の金融政策を決定する中央銀行にあたるものが、欧州中央銀行(ECB)だ。
ECBの総裁・副総裁および4人の理事で構成する役員会と、ユーロ参加国の中央銀行総裁によって構成される運営理事会で成り立っており、金融政策決定のための会合は月に1度開催される。
ユーロは複数の国が参加しているため、総裁・理事はもちろんのこと、参加国の中央銀行総裁の発言も注目されている。その中でもユーロに通貨統合が行われた1999年までは、ドイツの中央銀行が圧倒的に欧州経済をリードしていたこともあり、またECBの組織もこれを模して作られていることから、ドイツの経済指標がユーロの政策金利決定の最重要要因になっている。
しかし最近では、ECBの金融政策理事会は、参加国数も増え、また国内事情が異なるため、政策決定までの過程に統一感が欠ける面があるのも現状だ。
欧州は大戦後に何度もハイパーインフレを経験しているため、インフレに対する警戒感がたいへん強く、金利の引き下げには慎重であるという特質がある。さらに、ユーロを採用していないものの、旧植民地の国とつながりのあるイギリスの中央銀行(BOE)の存在も無視することはできない。
ECBの総裁・副総裁および4人の理事で構成する役員会と、ユーロ参加国の中央銀行総裁によって構成される運営理事会で成り立っており、金融政策決定のための会合は月に1度開催される。
ユーロは複数の国が参加しているため、総裁・理事はもちろんのこと、参加国の中央銀行総裁の発言も注目されている。その中でもユーロに通貨統合が行われた1999年までは、ドイツの中央銀行が圧倒的に欧州経済をリードしていたこともあり、またECBの組織もこれを模して作られていることから、ドイツの経済指標がユーロの政策金利決定の最重要要因になっている。
しかし最近では、ECBの金融政策理事会は、参加国数も増え、また国内事情が異なるため、政策決定までの過程に統一感が欠ける面があるのも現状だ。
欧州は大戦後に何度もハイパーインフレを経験しているため、インフレに対する警戒感がたいへん強く、金利の引き下げには慎重であるという特質がある。さらに、ユーロを採用していないものの、旧植民地の国とつながりのあるイギリスの中央銀行(BOE)の存在も無視することはできない。
日本の金融政策
日本の金融政策決定会合は、月1回開かれる。もちろん決定機関は日本銀行が行う。
長期のデフレ経済に陥った日本では、超低金利の状態が10年以上続いてきた。赤字国債の発行など公的部門の債務は増大し、財政面からも金融政策をしばっているといわれている。
2005年から2006年には、日本企業の業績改善・株価上昇など日本の景気にも回復の兆しが見えていたため、金利引き上げのタイミングを探っていたが、米国のサブプライムローン問題の飛び火を受け、現在では金利引き上げのタイミングを逸したといえる。
日銀総裁の発言と呼応して、政治家や政府高官からのコメントが出てくるが、こうした金利動向をめぐる綱引きが、為替相場に微妙な作用をおよぼしてくる。
世界における円の地位は低下してきているが、為替市場への影響は現在も決して小さくはない。特に円高に対してのネガティブな反応として、日銀では過去に膨大な額の市場介入を行ってきた。市場介入とは、中央銀行などの通貨当局が自国通貨レートの安定を目的に外国為替市場で取引を行うことである。
2003年から2004年にかけて急激な円高が進んでいたため、日銀では1日1兆円を越す円売り(ドル買い)を行った。その額は35兆2564億円まで及んだ。この日銀介入は、通貨政策の任を担っている財務大臣が発令する。その結果にあたっては特に財務官の影響が大きいと言われている。溝口財務官は2003年から2004年に総額35兆円強の介入を行ったが、その後を引き継いだ渡辺財務官時代はまったく介入を行わなかった。(2004年6月~2007年7月)
このように実弾を使っての介入は、市場でも絶大なインパクトがある。この介入があるからこそ、日銀総裁の発言も効果があるのだろう。今後も、急激な円高が進む局面では、日銀の動向をチェックしておく必要があるだろう。
長期のデフレ経済に陥った日本では、超低金利の状態が10年以上続いてきた。赤字国債の発行など公的部門の債務は増大し、財政面からも金融政策をしばっているといわれている。
2005年から2006年には、日本企業の業績改善・株価上昇など日本の景気にも回復の兆しが見えていたため、金利引き上げのタイミングを探っていたが、米国のサブプライムローン問題の飛び火を受け、現在では金利引き上げのタイミングを逸したといえる。
日銀総裁の発言と呼応して、政治家や政府高官からのコメントが出てくるが、こうした金利動向をめぐる綱引きが、為替相場に微妙な作用をおよぼしてくる。
世界における円の地位は低下してきているが、為替市場への影響は現在も決して小さくはない。特に円高に対してのネガティブな反応として、日銀では過去に膨大な額の市場介入を行ってきた。市場介入とは、中央銀行などの通貨当局が自国通貨レートの安定を目的に外国為替市場で取引を行うことである。
2003年から2004年にかけて急激な円高が進んでいたため、日銀では1日1兆円を越す円売り(ドル買い)を行った。その額は35兆2564億円まで及んだ。この日銀介入は、通貨政策の任を担っている財務大臣が発令する。その結果にあたっては特に財務官の影響が大きいと言われている。溝口財務官は2003年から2004年に総額35兆円強の介入を行ったが、その後を引き継いだ渡辺財務官時代はまったく介入を行わなかった。(2004年6月~2007年7月)
このように実弾を使っての介入は、市場でも絶大なインパクトがある。この介入があるからこそ、日銀総裁の発言も効果があるのだろう。今後も、急激な円高が進む局面では、日銀の動向をチェックしておく必要があるだろう。