ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

花がくれたおやすみ

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集

花がくれたおやすみ ◆UcWYhusQhw


俺――如月双七――は困惑していた。
何が起きているのか、一瞬理解ができなかった。それほどまでに意味が分からなかったのだ。
とても恐ろしいというか、不可思議なものに出遭ったような気がする。

まずは支給品の確認をしようと思い立ったのはついさっきだ。
この殺し合いの舞台、武装のひとつもなければ戦えない。そう考えてデイパックを開いた。
そのデイパックの中から現れたもの――――いや、飛び出してきたもの。


それはとても小柄で丸いもの。
茶色に縞々の模様が素晴らしいコントラストになり美しい。
それに毛並み。
それはとても艶々してて手入れが行き届いて完璧だ。
手触りも最高にいい。
撫でてると心が落ち着いて来る。
そしてそのクリクリした真っ黒な目。
つぶらでとてもキュートだ。

「ぷひ?」

そう、それは生き物だった。
ウリ坊。
ウシ目イノシシ科に分類される動物、猪。
干支の最後にも数えられ日本では有名な動物。
その子供だった。

え、えーと。
whats?

何で支給品にこんなものが?
そもそもなんでこんなものを支給する? あの2人は?
何の目的で? 
俺にこれでどうすればいいと?

まったく訳が判らない。

「ぷひ」
「ん? 何だこれ?」

そのウリ坊が何か口にくわえている。
どうやら紙のようだ。
俺はそれを受け取ると書かれていたのは、

『取扱説明書 
 この度は本社の製品をご購入いただき真にありがとうございます』

いや商品だったのかよ、これ。
というよりこれを売り物にしていいのかよ。
そしてこんなもの俺は買ってない。
何でこんなものを買わなきゃならん。

『取り扱い上の注意
 この子の名前はボタンです。決して他の名前で呼ばないでください。拗ねます。 
 購入者の方の周りから本製品を離さないでください。5m以上はなれると30秒後に爆破します』 

いや拗ねるって……可愛いじゃないか。
って爆破!?
いやいやいや、どうやって!?
どんな生き物だよ!?
慌ててボタンを見ると足に足輪が巻きつけられている。
つまり俺達に付けられている首輪と一緒か。
……なんてものを。
あの二人のことを考えるだけで腹が立つ。

『使用方法
 兎に角可愛がってください。可愛いですので。
 後は命令してみてください。例えばぬいぐるみとかボールとかetc.etc……』

可愛がってって……それもまた。
いやなんで?
命令ってぬいぐるみ?
ぬいぐるみってどうやって?
なんだそりゃ?
試してみようか。

「ボタン……ぬいぐるみ」
「ぷひ」

そういった瞬間動かなくなった。
え? これが?
どういう意味だ。
試しに持ち上げてみる。

「おーい。どうしたんだ?」
「……」

動かない。
どうやっても動かない。
どんなに頑張っても動かない。

そこで俺はやっと理解する。
……あー。つまり。
ぬいぐるみの真似をするのか?
なんで?
これを書いたものを何をしたい?
そして俺に何をさせたい?
本当に訳が分からない。

「あーもういい。動いていいぞ」
「ぷひ!」

そう言うとてくてくと歩き出した。
本当に何でも効くのか。
うーむ便利なような……ぶっちゃけるとだからどうしたなのだが。

くぅ~

その時ちょうど俺の腹がなった。
……腹が少し減ってきたな。
何か少し食べたい。
腹が減ったら戦は出来ないしな。

目の前に移るのは猪の子供。
名はボタン。
ボタン……ボタン。
ボタン鍋。
美味しい鍋そして肉。


「ボタン……食料」
「ぷひ!?」

ボタンが驚いた風にこっちを向いて何かを訴えかけるように見つめる。
しんじられないといった風に。
ああ、なんか滅茶苦茶可愛い。

「ぷ、ぷひ~~~~~~~~~~~~~!」

そして脱兎の如く逃げ出した。
なんで?

……あ。
さっき、俺なんて言った?
食料といったような。
……しまった。
もしかして食べられると勘違いされたんじゃ?
つい感情のままいってしまった。
不味い。
非常に不味い。
どうしよう?

ピピピ

んなんだこの電子音。
少しはなれた所にいるボタンから聞こえる。
そういえば5m以上はなれると30秒後に爆破って……

「やばい! ちょっと待てええボタン!」

俺はボタンに向かって走り出す。
風が顔に思いっきり当たるが気にしない。
俺の不手際でどんな命でも散らしたくない。
たとえ小さい命でも。

「ぷ、ぷひ!」

ボタンが驚きスピードを上げる。
草原凄まじいスピードで駆ける。
あれ、子供かよ
どうやら本格的に勘違いされてるようだ。
違うんだ、本当に。
少しやましい気持ちがあったのは事実だけど。

「食べない! 食べないから逃げないで!」
「ぷひ~~~~!」

俺がどんなに声をかけても止まらない。
不味い。不味いぞ。
もう十秒もない。
このままじゃ。
……落ち着け、俺。
何か方法があるはず。
追いつかないならどうすればいい?
ボタン自身を止めればいい。
どうやって?

あ、
……1つあった。
それは

「ボタン、ぬいぐるみ!」
「ぷひ!」

あの命令。
直に止まった。
その掛け声とともに。
今だ!

「おおおおおおお!」

猛然とボタンに向かってダッシュ。
電子音がけたたましくなる。
焦る俺、なる電子音。

頼む! 間に合え!
殺したくはない!

ピピピピピピピピピピ……

ピ。



「捕まえた!」

その瞬間ボタンに飛びつく。
思いっきり抱きしめる。
そしてその時電子音が止まった。

ま、間に合った……なんとか。
俺は何とか助ける事ができた。
……よかった。
……俺が食料宣言なんていわなければ面倒な事にはならなかったと思うけど。

「ボタン、動け」
「ぷひ!……ぷひ!?」

ボタンに動くように言うと動き出す。
だが拘束されてることにやっと気付き暴れだす、俺の腕の中で。
俺はなだめるように焦ってこういった。

「落ち着け! 俺が悪かった! でもボタン、お前も危なかったんだぞ?」
「……ぷひ?」

ボタンは一旦暴れるのをやめ俺のほうを向く。
とても不思議そうだ。
……可愛い。

「お前がくれた紙に書いてあったんだけどな。俺から5m以上はなれると30秒後にお前死ぬんだ。嘘じゃない」
「……ぷひ?」
「ああ……本当だ」

俺がそう言った瞬間途端にビクビクと震えだした。
どうやらやっと死の危険性に気付いたらしい。
……遅いよ。

「……ぷひ~」
「……ああ。もう俺がいるから大丈夫だ」

途端ボタンが俺に体を寄せ付けて甘えだす。
どうやら命の恩人みたいに思われたらしい。
俺はそんなボタンを撫でる。
とても気持ちよさそうだ。

……ああ、和む。

本当はこんな事してる暇ないんだけど。
……可愛いし
……まあ、いいか。



「よし……いくか」
「ぷひ!」
あれからしばらくして俺達は出発する事にした。
ボタンはすっかり俺になついて元気そうに俺の前を歩いてる。

何の因果か知らないが俺の仲間第一号はこいつらしい。
なんだかなあ……

「ぷひ? ぷひ~~~~~~~!」
「って……ボタン走るな!」

そんな事考えていた時ボタンはいきなり走り出した。
さっき俺が余り遠くにいくなといったばっかなのに。
どうしてこう走るかな。
動物だからか?

俺はボタンを追って少し高台になっている所を上る。
いったい何があるんだ?
そして上り終わった時見えたのは

「わあ……」
「ぷひ♪ ぷひ~~~~~~~♪」

一面の花畑。
沢山の花がそこに咲いていた。
赤、青、黄色。
大きさもまちまちだけどそれはとても沢山。
多種多様の花が満開だった。
それはとても綺麗で俺は言葉を失う。

ボタンその花の中でとても嬉しそうにその場に回っている。
そうか花のにおいにつられてきたのか。
なんとも動物らしい。
でも、まあいいか。

俺はボタンの近くに花畑の中で寝転ぶ。
花のいい香りが俺の周りに漂う。
とても気持ちいい。

ちょっと休むか。

とても場違いで、こうしている場合ではないと思う
殺し合いの場にいるのに。

でも……今は。
ちょっと横になっていたい。
こういう和みの場もいい。

だから俺はボタンが喜びまわってる隣でゆっくりと空を眺める。
そこには雲ひとつなく澄み渡っていて星が無数に散らばってて。

……なんかいい。

俺はそんなことを思いつつそっと目を閉じた。
BGMにボタンの泣き声声を聞きながら。
花の臭いと沢山の星に囲まれて。

そっと目を閉じた。


【G-3 お花畑下部/1日目 黎明】
【如月双七@あやかしびと -幻妖異聞録-】
【装備:ボタン@CLANNAD】
【所持品:不明支給品お~2】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本方針:仲間の確保と保護
0:ちょっと休憩。
1:移動して仲間を集める
2:向かってくる敵は迎撃。殺すかどうかはまだ葛藤中



※双七の能力の制限がどうなってるかは未定です
※ボタンは双七の5メートル以上離れると30秒後に爆破されます。


053:Destiny Panic! 投下順に読む 055:二人目のルースカヤ
053:Destiny Panic! 時系列順に読む 055:二人目のルースカヤ
031:殺す覚悟 如月双七 065:End Of All Hope


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー