「気づいているか? カミュ殿、ベロニカ殿」
「え?」
女神の城の庭園にて、眉を顰めるハンターがはばかるような低声をカミュとベロニカへ向ける。
彼の言葉の意図を掴みあぐねたベロニカは疑問の声を漏らし、カミュは息を吐きながらゆっくりとうなずく。
「西の方から人の気配がするな。……それも、穏やかなもんじゃなさそうだ」
「うむ。今までに嗅いだことのない異質な匂いだ。恐らく人がモンスターに襲われているのだろう」
「ちょ、ちょっと……勝手に話進めないでよ!」
カミュに付け加える形で憶測を立てるハンターは迷いなく背の太刀を引き抜き、西を見やる。
人の気配に敏感な盗賊という職業でも、自然を相手に五感を鍛え上げたハンターでもないベロニカは二人のやり取りにやや理解が遅れていた。
しかし尋常ならざる雰囲気を感じてか、ベロニカも背のデイパックから武器らしきものを構える。
武器「らしきもの」と表現したのはそれが本当に武器なのかどうかベロニカには判断がつかなかったからだ。しかしハンターが似たような武器を知っているということで、ひとまずそれを構えた。
ベロニカの右手で風を仰ぐのは派手な扇子。
必勝扇子の名を持つそれは武器としてかなりの性能を誇っている。
だがその価値を初見で気付ける人間はそういないだろう。むしろハズレの部類だと肩を落とす人間の方が多いはずだ。
シルビアが持ったら似合いそうだ、と感想を抱きつつベロニカは無手のカミュと向き直る。
「カミュ、アンタこれ使えば? 素手よりはマシでしょ」
「はぁ? まぁ確かに、武器はあるに越したことないが……どうやって使えばいいんだ? これ」
「さぁね。ハンターさんならわかるんじゃない?」
指名を受けたハンターは自信ありげに「それは双剣の類だ」と言っていたが、形状的にとても剣の一種とは思えない。
結局カミュは明確な使い方も分からないまま扇子を受け取り、西の方角を目指す。
荒れた石畳の上には幾つもの踏まれた花が転がっている。三人はそれを丁寧に避けながら、研究所へ向かった。
■
「止まれ、それ以上近づいたら撃つよ。これは脅しじゃない」
明るみ始めた空色が窓から差し掛かる研究所内にて、冷淡な警告が響く。
その声の主であるリーバルは努めて冷静にボウガンの照準を目の前の怪物の眉間へと定めていた。
しかし怪物、ウィリアムは緩慢な歩みを止めない。肥大化した右腕のせいで時折バランスを崩しながらもリーバルとその隣で怯えるマールにギラついた殺意を打ち付ける。
「り、リーバル……!」
「チッ……警告はしたよ」
舌打ち混じりにリーバルが弾いた矢は吸い込まれるように怪物の眉間を貫いた。
矢は中ほどまで眉間に埋もれ、撒き散らされた粘液質な血が怪物のブロンドの髪を黒く染める。常人であれば間違いなく即死だ。
しかし当の怪物は一瞬足を止めただけでまたすぐさま歩みを再開する。ズシンズシンと響く重い足音はリーバルに焦燥と困惑を抱かせた。
「なっ……!?」
「リーバルッ! あの人、多分もう人間じゃないよ!」
そんなことわかってる、とリーバルは騒ぎ立てるマールへ内心愚痴る。
人間が魔物になる事例など聞いたことない。だが実際にこうして目の前でその光景を突きつけられてしまった。
ハイラルの常識を破棄したリーバルは立て続けに二本矢を放つ。怪物の額と心臓を正確に射抜いたそれは今度こそ役目を果たしてくれた、という希望すら与えてくれなかった。
「シェエェェ……リィィ……!」
歩みは止まらない。
リーバルの頬を汗が伝う。
自分が恐怖している、という現実を認めたくない彼はそれを誤魔化すように別の矢をつがえる。
炎の矢――名の通り、火炎属性を持つそれは木の矢を遥かに上回る性能を秘めている。
僅か十本しかないため極力使用は控えたかったが贅沢を言っている場合ではない。心の乱れを感じさせない動きでリーバルは怪物の口を射抜いた。
泡が破裂するような音に続いて怪物の口内から炎が上がり、やがてそれは全身へと行き渡る。
強靭な生命力を誇るG生物といえど熱は無視できない。ようやく歩みを止めた怪物は痛々しい悲鳴を上げながら身を悶えさせた。
だがリーバルの望んだほどの効果は得られなかった。恐らくすぐにまた何事もなかったかのように進軍を始めるだろう。
厄災ガノンを前にした時を上回る恐怖はリーバルに迅速な指令を与えた。
「撤退だ!」
「う、うん!」
今現在リーバル達がいる第四研究室はお世辞にも戦いに向いているとは言えない。
翼を活かせず距離を取る戦法も望めないほど狭いというのもあるが、なにより障害物が多い。
用途の分からない機械や机に椅子。乱雑に散らかされた荷物などが動きを阻害してくるし、なによりもそれらを怪物が武器にする可能性がある。
あんな腕でそんなものを振り回されたとなれば、リーバルもマールも命はないだろう。
限りない低空飛行で出口を目指すリーバルとその横を走るマール。彼らの背後で体勢を立て直したウィリアムが叫びを上げた。
振り返りたくない。様子を見る時間すら惜しい。
扉の前へ辿り着いた二人は転がり込むように廊下へと飛び出す。もちろん扉を閉める事も忘れない。
金属製の扉の向こうから怪物の叫びと破壊音が響く。それだけで中の様子は容易に想像できた。
「広い場所に行こう、リーバル! 私の攻撃魔法も狭い場所じゃ使えないよ!」
「そのつもりだよ。幸いこの廊下の窓から外に出られそ――」
ガギィィ――――ッ!!
鳥肌が立つほど生理的に受け付けない金属音を扉が鳴らす。
振り返れば金属の扉から三本の爪が生えている光景が飛び込んできた。
まるで紙か何かのように引き裂かれた扉の奥に潜むソレを視認する前にリーバルはマールを脚で掴み廊下を滑空する。その際にマールが悲鳴を上げたが、無視だ。
窓から逃げるなんて悠長なことを許してくれる相手ではない。一刻もこの場を離れなければ。
幸い地図を暗記したおかげで行き止まりにぶつかることはないだろう。もしこの一本道でやつと正面から戦うとなれば結果は火を見るよりも明らかだ。
ヒュン、と滑空するリーバルの真横を何かが通過する。
いや、そんな生易しい音ではない。通過したそれは奥の曲がり角にぶち当たり無残にひしゃげている。
それが怪物の投げた机だと認識したリーバルは思わず頭を一瞬白く染める。もし直撃していたら、と考えるだけで身の毛がよだつ。
「またくるよ! リーバル!」
「ッ……!」
ウィリアムと向かい合う形でリーバルに掴まれているマールがそう叫ぶ。
耳鳴りの止んだ鼓膜を再び叩くその声に従い高度を上げる。と、先程まで自分が居た場所を身の丈ほどもある機械片が通った。
間一髪命の危機を救われたリーバルは限界速度で曲がり角へ突入し、減速もしないまま強引に曲がり切る。
翼の先が壁に擦れたが気にする時間はない。幸いにも怪物の速度は遅く追いつかれることはない。
しかし、廊下に置かれた機材や荷物を手当たりしだに投擲してくるため安心できる時間など一瞬たりともない。
そうして暫く鬼ごっこを続ける内、リーバルの首輪からアラームが鳴った。
高度は問題ない。となると地から足を離している時間が五分を過ぎたせいか。
だがここで床に足をつけるなどという愚行を行えば、瞬く間に鋼鉄の剛速球がリーバルとマールを射抜くだろう。
アラームが鳴り終わる前に無我夢中でリーバルは手近な部屋に転がり込む。すでに地図のことなど頭になかったリーバルは広がっていた光景に目を見開いた。
「ここは……」
その部屋には何もなかった。
第四研究室にあったような機械も机も椅子も棚も。
ドーム状に広がる空間は一室と呼ぶには贅沢すぎるほどに広く、むしろ木々がない分外よりも翼を活かせるかもしれない。
何を用途に作られた部屋なのかもわからないが、まさにリーバルにとっては地獄に垂れ落ちた蜘蛛の糸。
即座にマールを降ろし部屋の中心辺りへ移動し、怪物を出迎える準備を整えた。
「リーバル、ここって……」
「地図によると第一研究室らしい。正直、研究室と呼ぶには殺風景すぎるけどね。好都合だ」
「うん、ここなら私の魔法も使えるよ!」
息切れを起こしながら紡ぐリーバルへマールが揚々と声を上げる。
追われる側だった立場はもう終わりだ。ここで決着をつける。
リーバルがボウガンを向ける扉がやがて悲鳴を上げ始める。と、瞬く間にそれはこじ開けられ奥から怪物の姿が現れた。
「くたばれ、怪物」
放たれた矢はまっすぐに怪物の右目を射抜く。瞬間怪物の顔面に炎が迸り地獄の業火のように肉を焦がしていく。
それだけでは終わらない。惜しむことなく立て続けに炎の矢を左目に放ち、怪物の視界を赤く染め上げた。
激痛と熱に怪物が何かを叫ぶ。言葉を喋っているようだが何を言っているのかまでは聞き取れない。
しかしそれを理解しようだなどという慈悲はリーバルは勿論マールも持ち合わせてはいない。詠唱を終え青白い光を手に宿したマールが魔法を放った。
「アイスガ!」
刹那、ドーム全体が青い光に包まれる。
マールの頭上に生成された巨大な氷塊が重力に逆らい、怪物の巨体へと突進した。
サイズで言えばウィリアムの身の丈を越えるそれの質量に抗えず、力負けした怪物は勢いよく廊下へと吹き飛ばされる。
衝突した廊下の壁に亀裂が走る。このままくたばってくれれば良かったのだが、やはり希望通りいかない展開にリーバルは舌を鳴らした。
「こいつ……不死身かよ」
「わかんない……でも、この調子なら私達が勝てるはずだよ!」
「だといいんだけどね」
希望的観測を唱えるマールにリーバルは苛立ち混じりに答える。
慢心や油断は得意分野だ。しかしその結果神獣の中に現れたカースガノンに屠られた失態を彼は抱えている。
一度死んでからもう二度と死への恐怖など味わうことはないだろうと思っていたが、今の状況がまさにそれだ。同じ失態は許されない。
この英傑リーバルが二度も死ぬことなど、彼のプライドが許さない。
「っ……くるよ!」
熱の入る思考はマールの一声に冷やされる。
炎を掻き消した怪物はひしゃげた扉を持ち上げ、二人もろとも潰さんとそれを振り回した。
怪物の膂力に辟易しながらリーバルはマールを持ち上げ上空へと飛翔する。攻撃をかわすついでに怪物の足を木の矢で撃ち抜いてやった。
「お嬢ちゃん、この高さからでもさっきの魔法を撃てるかい?」
「もちろん! 待っててね――……アイスガ!」
滞空するリーバル達を見上げる怪物は扉を投げる予備動作を取っている。
が、それが成功するよりも先に氷塊が怪物の身体を押し潰した。血を吐き悶える怪物は反撃を許されない。
率直に言えばこの戦い、リーバルたちに負ける要因はなかった。
怪物自体は鈍重で冷静に距離を取れば十分に対処できる上、彼らには飛行という他にはない武器がある。
リーバルもマールも遠距離からの攻撃手段を持っているため一方的に嬲り殺すことができるのだ。
それにこの空間では怪物の武器も精々あの扉しかない。投擲の心配もないため、安心して飛行することができる。
それに、
「――メラミ!」
今まさしくリーバルが矢を撃たんとした瞬間、怪物の身体が燃え上がった。
炎の矢を使ったわけではない。ならば、あの炎の出処は――
「嫌な気配はしてたが、まさかこんな化け物がいるなんてな」
「ああ。拙者もこのようなモンスターは見たことがない……油断はするな、二人共」
「ま、勝てない相手じゃないわ。それにこの人数だしね」
扉のなくなった入り口から三つの人影が現れる。
カミュ、ハンター、ベロニカ。全員が全員、ウィリアムへと敵意を向けていた。
緩やかな動作でマールと共に地に降りるリーバルは確信する。
「増援か……」
「そんなもんだ。手ぇ貸すぜ、あんたは悪い魔物じゃなさそうだしな」
「おいおい、僕が魔物だって? 天下のリト族も知らないなんて世間知らずもいいところだね」
「ちょっとリーバル、煽らないでよ! ……それに、まだ終わってないわ」
言い終えてマールはアイスガの詠唱に入る。リーバルもまたボウガンに矢を装填した。
ようやく炎から解放されたウェリアムは珍しく動きを止め、その場にいる全員を見回す。
リーバル、マール、カミュ、ベロニカ、ハンター。全員が全員特殊な能力を持った手練れだ。
既に理性など失っているウィリアムに彼らの危険度は認知できない。が、全員が己の敵だということは本能で理解した。
よってウィリアムはひしゃげた扉を右手に持ち、空を仰ぐ。
「シェエエエリィィィイイ――ッ!!」
ドームを木霊する怪物の叫びが五人の戦士を突き動かした。
■
それはもはや一方的と言わざるを得なかった。
当然だ。地形の関係上元々マールとリーバルでも優勢に働いていた戦いがカミュらの介入によって更に傾いたのだから。
「バイキルト!」
「ヘイスト!」
後衛のベロニカとマールがそれぞれ支援魔法を前衛に掛ける。
攻撃力が倍増したハンターは怪物の肉体を深く刻み、素早さが上昇したカミュは目にも留まらぬスピードで怪物を翻弄する。
それで決着がついてもおかしくないがそこはさすがG生物。彼らがつけた傷は瞬く間に再生し重い反撃に移る。
しかし歴戦の戦士である二人にそんな攻撃は当たらない。それどころかお返しに身体の幾箇所を切り刻まれ悲鳴を上げた。
なおも乱暴に扉を振り回すGへ今度はメラミやアイスガが飛ぶ。物理的なダメージよりも効果があるようで炎が身を焦がし、氷塊が熱を奪うたびに動きを止めることに成功した。
「あなたの魔法、すごいね! ルッカみたい!」
「マールこそ中々やるじゃない。その支援魔法、セーニャといい勝負できるわよ」
五人という大人数での戦闘ゆえ余裕ができた為か、各々が自己紹介を交えて実力を讃える。
今こうしている間にもウィリアムは再生と破壊を続けるが、それを上回る猛攻が着実に怪物の息の根を止めんと降り注ぐ。
己の肉が削られ焦げることも構わず怪物は扉を振り回すが、標的であるハンターはバックステップでそれを躱し勝機を見出したとばかりにカッと目を見開いた。
「――――参るッ!」
太刀を腰元へ納め居合の構えを取ったと思えば刹那、狩人の姿は掻き消え一筋の閃撃と共に怪物の背後へ回る。
数秒の時間差を経て怪物の左足が千切れ飛んだ。四人の刮目は瞠目へ変わる。
――桜花気刃斬。極僅かな狩人のみが習得できる極東の狩技は終幕の活路を開いた。
「うおぉぉぉぉッ!!」
失った左足の再生に務めるウィリアムへ雄叫びと共にカミュが飛び上がる。
と、空中で横に回転し遠心力を味方につけた彼は扇子を天井へと投げつけた。
光の粒子を帯び残光を描くそれは遥か上空で花火の如く弾け、刃の雨となり怪物の肉体に無数の風穴を空ける。
――シャインスコール。カミュはこの土壇場でこの武器の用途が自分の世界で言う”ブーメラン”なのだとようやく気がついた。
二度の大技を食らい怪物は言葉にならない絶叫を響かせる。
鼓膜を破る勢いに前衛の二人が怯んだ僅かな瞬間を狙い、ウィリアムは豪腕を振るう。
が、それは失敗に終わる。一筋の矢がウィリアムにとって唯一無二の弱点である右肩の目を射抜いていたからだ。
「ようやく分かったよ、お前の弱点。中々目を開けないから気付かなかったじゃないか」
ベロニカとマールの更に後方、矢の射程を熟知したリーバルはギリギリの間合いでニヒルな笑みを見せる。
予期せぬ弱点へのダメージは相当なもののようで反撃する様子も見せず右腕で身体を隠し防御の体勢に入った。が、そんなチャチなガードは意味を成さない。
今まさにトドメを刺さんと魔力を溜めるベロニカにとっては。
「みんなどいてっ! とびっきりのいくわよ!」
ベロニカの両手で抱え込まれるように生成される巨大な火球。
彼女自身の身の丈ほどもあるそれは距離を取ったハンターたちにも伝わるほどの熱を含み、恐らくこれが彼女の切り札なのだと悟った。
「――――メラゾーマッ!!」
風を切り裂き直線を進む火球は怪物の身体を瞬く間に飲み込む。
メラミとは比にならぬ膨大な熱はGの再生速度さえも追いつかず腐敗した肉はじゅうじゅうと音を立てて焼け落ちていく。
立ち昇る火柱は天井へ届くほどに高く。まるで一匹の生物の魂を天へ導くかのよう。
やがて火柱が止んだ頃には、炎に包まれた肉塊のみが転がっていた。
「……終わった、か?」
「ああ、そうみたいだね」
扇子を構え直すカミュへリーバルが答える。
その言葉を皮切りに各々が安堵の表情を浮かべた。中でも特にベロニカはへらりと頬を緩ませる。
自分がトドメを刺したという実感に陶酔している、というのもほんの少しあるが本命は誰も死なずに済んだという理由だ。
ウルノーガの圧倒的な力を前に皆が死の危険に晒されたあの時とは違う。力を合わせ、こうして魔物を打倒した。その事実が嬉しい。
ようやくこれで落ち着いて話ができる。疲労と安堵からか座り込むベロニカはほうっと息を吐いた。
「みんな、ご苦労様。早速だけど、ちょっと情報交換しましょうよ」
「うむ。そちらの二人は拙者達以外の参加者には出会っていないのか?」
「ああ、それなら――」
協力して敵を倒した間柄というのもあり話は円滑に進んでいく。
リーバルとハンターを纏め役に五人は情報を交換した。その際リーバルたちはスーツ姿の男と敵対した事実を伝える。
最初こそウィリアムを殺した危険人物だと思っていたが、当の殺されたはずの人間の正体がアレだったのだから今となっては判別がつかない。
しかし実際にマールが撃たれたため要注意人物であることには変わりない、という結論に至った。
そして特に疲弊の大きいカミュが座り込みながらセフィロスについての事を話そうと口を開いた。
その時、らしくもなくそれまで押し黙っていたマールが絶叫交じりの声を響かせる。
「――ベロニカ、危ないっ!!」
どん、とベロニカの身体が押し飛ばされる。
ベロニカは勿論マール以外の誰もが状況を理解できず、反応が遅れた。
当然だ、理解できるはずもあるまい。今しがた確かに殺したはずの怪物が五体満足の姿で凄まじい速度で迫ってきていたのだから。
完全に殺したと確信していたためか、その場の誰もが肉塊から視線を外していた最悪のタイミングで――悲劇は起こる。
「え?」
間の抜けた声を漏らし唖然とするベロニカの顔に生温い液体が降りかかる。
自分が今さっきまで居た場所に視線を戻せば、そこにはさきほどとは比較にならぬほど醜悪な姿形を持つ怪物が。
そしてその肥大化した右手の爪は、金髪の少女を深々と貫き持ち上げていた。
□ ■ □
正直に言えば、ずっと嫌な予感がしていた。
うまく言えないけどこのままだといけないっていう気持ちが心の奥底でへばりついて、不安だった。
多分、感覚としてはラヴォスにクロノが殺された時と似てるかもしれない。けどなんで今そんなこと思い出してるのかわからなかった。
でも、あの怪物を倒した時にその嫌な予感は一気に強くなった。
気のせいであってほしい、他のみんなを不安にさせちゃいけない。
そう思って誰にも何も言わなかったけど……だめだなぁ、私。そんなのよくないことなのに。
だから私はみんなが会話してる時も、あの怪物の死体に注意を向けていた。
確信はなかったけど、嫌な予感の原因はきっとあれだと思って。みんなで倒したのは私も見ていたけど、胸騒ぎは治まらなかったから安心しきれなかった。
そして、私は見た。
再生した怪物がベロニカへ走り出すのを。
私は何も考えないままベロニカを突き飛ばした。
だって、それしかできなかったから。私には武器もないし魔法も間に合わない。
ならこうやってベロニカを助けることしか出来ない。相変わらず無茶してるな、なんてクロノの声が聞こえた気がした。
あんなに素早く迫ってきてるはずの怪物がすごく遅く見えた。
スローモーション、っていうやつかな。今まで何度も危険な目には遭ってきたけどこんな体験は初めてだった。
けど、私自身が早く動けるわけじゃないから避けることはできない。だから私は怪物が攻撃するまでの少ない時間を全部思考に回した。
怖くないなんて言ったら嘘になる。
けど、後悔はしてない。だって目の前で人が死ぬ光景なんてもう二度と見たくないから。
クロノが死んじゃったあの時、私は頭が真っ白になって泣きじゃくった。本当に悲しかったし、自分に力がないことを心の底から呪った。
あんなに優しくて強いクロノがもういない。もう二度とクロノと話せない。そう思うたびに胸が張り裂けそうになった。
そしてそれは私だけじゃない。ルッカは弱音を吐かなかったけど、私より付き合いが長いからもっと辛かったはずなんだ。
そんなこと、もう二度と繰り返させない。
理不尽に誰かが殺されて、誰かが悲しむなんてあっちゃいけない。
世界は平和になったはずなんだから。もう、そんな危険に脅かされることなんてないはずなんだから。
無責任かな、クロノ。
私が死んだらきっと、ベロニカたちはすごく悲しむし苦しむよね。
色々と理由をつけたけど、結局は私……クロノの背中を追いかけたかっただけなのかもしれない。
だって私にとってクロノは一番の親友で、一番の憧れの人で、一番大切な結婚相手なんだから。
だから私、信じてる。
クロノならこんな殺し合い絶対止めれるって。
クロノのことだからきっと今も誰かを助けるために一生懸命になってるはずだから。
だからクロノ――――あとは、お願いね。
怪物の爪が私を貫いた。
とてつもない激痛に意識が飛びそうになる。
内蔵がズタズタにされて上手く声も出せない。ケアルガで治療もできなさそうだ。
涙が溢れる。その原因が痛みからじゃないっていうことにはすぐに気がついた。
薄れる意識の中で私は色んな記憶を思い出していた。
本当に色々あった。最初は千年祭に参加したくてお城から抜け出して、クロノに出会ったのがきっかけだったっけ。
それからルッカに出会って、時空を越えて、カエルやロボや他のみんなと出会って……そして、ラヴォスを倒して世界を救った。
そして一番最後に思い出したのはクロノとの結婚式。これから二人で平和に楽しく生きていくんだって、そう信じてた。
ああ、やっぱり。
後悔はないなんて言ったけど、私は――、
「――――しにたく、ない……なぁ……」
【マールディア@クロノトリガー 死亡確認】
【残り58名】
□ ■ □
「あ、――あ、あ……!」
マールの死を間近に目にしたベロニカは動転を取り戻せず定まらない焦点で彼女の遺体を見る。
巨大すぎる爪に貫かれた胴体の大部分に風穴が空いていて一目で助からないと理解できた。
次に彼女が理解したのは目の前の少女は自分の責任で死なせてしまったということ。空白に染まる思考にその自責はしつこく絡みつく。
そしてベロニカは彼女のすぐ傍にいたため、不運にも彼女の遺言を耳にしてしまった。
――死にたくない。
最期に紡がれた彼女は何よりもベロニカの心を深く抉った。
物言わぬマールを怪物が投げ飛ばす。
べしゃり、トマトが潰れるような音を立ててマールだったものは白の床を鮮血で赤く染めた。
ベロニカに向き直る怪物は今しがたマールを殺した右腕を振り上げる。瞬間、一閃が怪物の右足に迸り巨体を揺るがせた。
「リーバル殿ぉッ!!」
「ちぃッ……わかってるよ!」
いち早くG生物と対峙しながらハンターがリーバルの名を呼ぶ。
呼び掛けに含まれた彼の意図を察したリーバルは速やかに翼を広げ、ベロニカの小柄な体躯を両足で掴み上げた。
「きゃっ!? な、なに――」
「うるさいよ、お喋りする暇なんてないって分からないのかい?」
表情こそ見えないものの発せられるリーバルの威圧的な声にベロニカは息を呑む。
普段ならば強気で言い返せていたかもしれない。が、今の彼女は精神的にひどく弱っていた。
ゆえに大した抵抗もできず、ベロニカはリーバルに連れられドームの上半分を覆うように展開された窓から飛び立った。
空は既に朝焼けに染まりつつある。暗雲に覆われた心と相対するような空を泳ぎながらベロニカは小さな嗚咽を零した。
■
「無事、離れられたようだな……」
飛び立つリーバルらの姿を見送りハンターが安堵の息を溶かす。
続いてマールの遺体を見やり己の不甲斐なさを悔いた。よもや一度死んだモンスターが蘇るなど。
いや、心当たりはある。狂竜ウイルス――ゴア・マガラの翼から放出されるという正体不明の物質。
実際に目にしたことはないが、そのウイルスに感染したモンスターは狂竜化と呼ばれる状態に変化し一度命を落としてもより凶暴となって蘇るらしい。
あくまで噂程度と思っていたが、このモンスターは狂竜化に陥っていると言って間違いないだろう。
怪物、G生物の容姿はまるで別物へと変化していた。
首辺りから新たな顔が生まれ、膨張した筋肉が衣服を破り、人間の原型を留めていた下半身は皮が剥がれ色の悪い肉が顔を出している。
何よりも特筆すべきはその右腕。以前のものが可愛く思えてしまう程に凶悪な爪を見せつけるその腕は怪物の身の丈ほどもある。腕力で言えば恐らくあのティガレックスをも凌駕するだろう。
「最早容赦はせん。マール殿の仇、取らせてもらう」
円を描くように翳された切っ先はG生物へ。
彼なりの宣戦布告だ。片時も忘れることのなかった生物を殺すことで己を生かす感謝の気持ちはもうない。
今はただ、誰からの依頼でもなく己の感情に身を任せてこの怪物の命を奪おう。
そう決意するハンターの隣に、同じく瞳の奥を怒りに燃やすカミュが並ぶ。
「……俺はここに来る前に既に人を一人死なせちまってる。また目の前の人間を救えなかったんだ」
罪を告解するように震えた声を懸命に紡ぐ。
贖罪を聞き入れてくれる神父はここにはいない。が、隣には決意を示すべき人がいる。
カミュは皮肉屋を演じてはいるがその内に秘める正義感はこの場の誰にも負けていない。それを形にするべく、目の前の下手人へありったけの敵意を向けた。
「もう二度と俺の目の前で人は死なせねぇっ!!」
それを開戦の合図とばかりに三人は同時に駆け出す。
一人は仇討ちの為に。一人は犠牲を増やさないために。一人は衝動のままに。
三つの刃が火花を散らしたまさにその瞬間、放送までの残り時間五分を切った。
【A-5/研究所内/第一研究室/一日目 早朝(放送間近)】
【男ハンター@MONSTER HUNTER X】
[状態]:疲労(小)
[装備]:斬夜の太刀@ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて
[道具]:基本支給品、ランダム支給品(0~2)
[思考・状況]
基本行動方針:主催者の討伐、または捕獲。
1.カミュと共にマールの仇を取る。
2.ベロニカ達とイシの村で落ち合う。
3.主催者の関係人物(イウヴァルト)を警戒する。
【カミュ@ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(中)、MP消費(中)、決意、ベロニカとの会話のずれへの疑問
[装備]:必勝扇子@ペルソナ4
[道具]:基本支給品、折れたコンバットナイフ@BIOHAZARD 2、ランダム支給品(1~2個、武器の類ではない)
[思考・状況]
基本行動方針:仲間達と共にウルノーガをぶちのめす。
1.目の前の怪物を殺す。
2.ベロニカ達とイシの村で落ち合う。
3.仲間や武器を集め、戦力が整ったらセフィロスを倒す。
4.これ以上人は死なせない。
※邪神ニズゼルファ打倒後からの参戦です。
※二刀の心得、二刀の極意を習得しています。
【ウィリアム・バーキン@BIOHAZARD 2】
[状態]:G生物第二形態、全身に裂傷と火傷(再生中)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:本能に従い生きる。
1.目の前の二人を殺す。
2.シェエエェェリィィ……。
※身体にG-ウイルスを注射した直後からの参戦でした。現在は融合を続けています。
【全体備考】
※マールのデイパックは遺体の傍に放置されています。
※第四研究室内にウィリアムの支給品がありますが、倒れた機器の下敷きになっています。
■
橋を渡るのを危険と判断したリーバルは海面スレスレを飛行し橋の向こうを渡る。
ハヤブサ並の飛行速度を持つリーバルならば研究所から五分以内で橋を渡ることなど造作もなかったが、ベロニカを抱えているためか到着すると同時にアラームが鳴り始めた。
急いでベロニカを橋の入口へ降ろし自身も翼を畳む。と、予想通りベロニカの幼い睥睨がリーバルを射抜いた。
「……なんでよ」
「なんで、というと?」
「とぼけんじゃないわよ。なんであの場から逃げたの!? マールが殺されたのよ!?」
涙を目尻に溜めて激昂するベロニカの心中は穏やかとは言えなかった。
当然だ。マールが自分を庇って死んだ上、仇討ちすら許されず無理やり逃走させられたのだから募る怒りは収まることを知らない。
一人ならば自分を叱責し詰めの甘さを嘆いていたかもしれないが、逃走を選択した相手が目の前にいるとなれば話は別だ。
とにかくこの現実を否定したいベロニカは烈火の如く怒りをリーバルへとぶつけた。
「……はぁ」
しかしあろうことかリーバルはその憤慨を溜息で受け流す。
心底呆れたような、馬鹿にしたようなそれにベロニカはかぁっと熱が入るのを感じた。
「なに溜息ついてんのよ……! はっきり答えなさいよ! この――」
「君さ、なんで僕に連れて行かれたのか分かってないのかい?」
予想外の反論にえ、と聞き返す。
今まさにその理由を聞いているのだから、分からないと答えるしかないのがベロニカの心境だ。
しかしここで素直に答えられるほどベロニカは大人ではない。ベロニカの沈黙を肯定と受け取ったリーバルは二度目の溜め息を吐き、ゆっくりと嘴を開いた。
「戦力外通告、ってやつだよ」
「せんりょく……え?」
「目の前であのお嬢ちゃんが殺されて、君は動揺して動けなかった。その結果一度殺されかけている。……自覚はあるだろう? 見たところ目の前で人が死ぬってことに慣れてないようだからね。あの後も冷静に戦えるかは分からない。現に今、怒りに任せて何をするか分からない状態に見えるよ」
「……だから、あそこから連れ出したってこと?」
そうなるね、とリーバルは素っ気なく返しボウガンの手入れを始める。
彼の言動はひどく気に食わないが反論できず言葉に詰まっているのも事実。
目の前でマールが殺されて、その遺言まで聞いてしまったベロニカは自分でもまともに戦える精神状態でないことは分かっていた。
きっと無理に突っ走って危険な橋を渡ろうとするだろう。マールに救われた命を無益に捨てる羽目になっていたかもしれない。
思考が冷静を帯び始めるにつれてあの時の情景が鮮明に蘇り始めて、がくりと膝から崩れ落ちた。
「マール……なんで、なんでよ……!」
本来自分は死んだ身だ。だからこそ誰かの命を奪う権利なんてないし、仲間を守るためならこんな命惜しくないと思っていた。
それがどうだ。未来ある少女が死人の身代わりに命が奪われた――ベロニカにとって最悪の結末と言っても過言ではない。
交わした言葉も少なく、接した時間も短いがそんな限られた時の中でも彼女が心優しく気高い少女だということは知っていた。だからこそ、命を賭けて守らなければならなかったのに。
「……まぁ、その通告を受けたのは君だけじゃないけどね」
と、不意にかかる声にベロニカは涙ぐんだ顔を上げる。
そこには悔しげに歯を噛みしめるリーバルの姿があった。
そう、あの時ハンターがリーバルの名を呼んだのは何もベロニカを連れ出すことを指示しただけではない。リーバル自身もその場を離脱するよう呼び掛けたのだ。
「僕の矢は限られている上にあの怪物に対して効果は薄い。それにどうやらあの怪物も進化したらしい……だとしたら、矢を撃つだけ無駄だという可能性もあるだろう。悔しいけど、仕方ないさ。僕だって無駄に命を危険に晒すような馬鹿な真似はしたくない」
「……そう、……」
きっとリーバルも表に出さないだけで平常心など乱れきっているのだろう。
ベロニカには彼の言葉を肯定することも否定することも出来ず、ただ相槌を打つことしか出来なかった。
どんな言葉をかけても傷の舐め合いにしかならないのだから。下手な言葉はきっと彼のプライドを傷つけるだけだろう。
だからベロニカは何も言わずに立ち上がる。自分の意地を見せるために。
「おい、どこに行くつもりだい?」
リーバルの横を通り抜け、橋を渡ろうとするベロニカ。
だが当然ながらその行動はリーバルの一声に阻まれる。
「心配してくれてありがとう。それに、リーバルの言い分は正しいわ。けどね、私は元々死んだ身なの。マールの仇が取れるならこんな命惜しくないわ」
「……へぇ、なるほどね」
「そういうことだから……じゃあね」
意外にもリーバルからの制止はなかった。
無理矢理にでも振り切るつもりだったのですんなり承諾してくれてありがたい。そのままベロニカは彼に背を向け激闘の場へと足を運ぶ。
そうして二歩、三歩と靴を鳴らした刹那、ヒュンッという風切り音が彼女の頬を撫でた。
「えっ?」
何が起きたか分からない。
理解するよりも早く振り返る。と、そこにはボウガンを構えるリーバルの姿が。
まさか彼が撃ったのか。その事実は理解できても理由がわからないためベロニカは困窮に眉を下げた。
「……勘違いするなよ。僕が君を心配してるだって? はっ、寝言は寝て言えよ。僕は君の安否なんて心底どうでもいいんだよ」
「なっ……なによそれ! じゃあなんで止めるのよ!?」
「自分勝手な君には一から説明しないと分からないようだね。僕は君をあの場から連れ出すよう頼まれたんだ。あのハンターって男にね。つまり、それが僕の役目だったというわけだ。……そんな僕が君をノコノコあの場まで向かわせてみろ。僕は言われたことも出来ない無能だと思われるだろうね」
リーバルから紡がれる言葉はひどく身勝手なものだった。
こっちの事情など知らない一方的な押し付け。しかしベロニカにとって盲点だった点が述べられている事実は揺るがない。
「――そんなの、僕のプライドが許さない」
言いながらリーバルは再びボウガンを構える。
その鳥顔の眉間には深くシワが寄り彼なりに荘厳な表情を浮かべているのだということが分かる。
それを見てベロニカは思い知らされる。ああ、自分は本当に人の気持ちを理解できていないな、と。
ベロニカに意地があるように、リーバルにもプライドがある。
ベロニカがマールの仇討ちをするという決意を持つように、リーバルもベロニカを危険に晒させないという使命を持っている。
とどのつまり結局は二人のわがままのぶつけ合いなのだ。そしてそれはどちらかが折れるまで続く。
暫し両者が睨み合う。数秒後、匙を投げたのはベロニカの方だった。
「わかったわよ。あの場所には行かない。……それでいいんでしょ?」
「理解してくれて助かるよ」
「あなたに口で勝てる気がしないから。……それに、マールの仇討ちはカミュ達に任せるわ。あの二人、すごく強いもの」
カミュとハンターの実力はリーバルも知っている。
彼ら二人ならば勝てないことはあっても最悪殺されはしないだろう。
確かにバイキルトやヘイストなどの支援魔法が得られないことは大きいだろうが彼らは歴戦の戦士だ。ないものはないと割り切り、適切な行動を取る姿は容易に想像できる。
「僕は前に見た銃を持った男を探したい。あいつが悪党なのか真偽を確かめるというのもあるけど、見るからに危ないやつだったからね」
「なら、イシの村に向かいながら探しましょう。カミュたちとはそこで落ち合う予定になってるわ」
とりあえずの方針を決めた二人は研究所とは真逆の方向へ歩き出す。
相性が良くないためか向かう道中には沈黙が溢れていたが、不意にリーバルの方から声がかかった。
「そういえば君、さっき自分が死んだ身って言ってたよね」
「? ……そうだけど」
「あれ、どういう意味だい? まさか君も一度死んで蘇った、なんて言うつもりじゃないだろうね?」
「……信じられないだろうけど、そういうことよ。って、君も……って、まさか!?」
信じてもらえないだろう、と投げやりに答えるベロニカは逆に面食らうこととなる。
君も――まるで自分と同じく蘇った人間を知っているような口ぶりだ。というよりも、リーバルの態度を見ていると彼自身がその対象なのだと察せる。
疑問符を浮かべるベロニカをちらりと一瞥し、英傑は静かに見えぬ運営へと敵意を向けた。
「この殺し合い、僕たちの想像よりもずっと大きな力が働いているのかもしれない」
リーバルにしては珍しい弱気な言葉。
しかし、手段は不明であるがハイラル城という巨大な建物が転移され死者を蘇らせる技術を持っているのは事実だ。
二人の間に戦慄が走る。ウルノーガの脅威を知っているベロニカは余計にだった。
万能とも言える力を持つ相手に果たして勝てるのだろうかというベロニカの不安に反して、リーバルはただただ気に食わないという反抗心を膨らませる。
やがて二人が苦々しい顔で歩き出す頃には、放送開始を知らせるチャイムが孤島に鳴り響いた。
【B-5/橋付近/一日目 早朝(放送間近)】
【リーバル@ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド】
[状態]:健康、苛立ち
[装備]:アイアンボウガン@クロノ・トリガー
[道具]:基本支給品、召喚マテリア・イフリート@FINAL FANTASY Ⅶ、木の矢×4、炎の矢×7@ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
[思考・状況]
基本行動方針:オオワシの弓を探す。
1.銃を持った男(錦山)を探しつつ、イシの村を目指す。
2.弓の持ち主を探す。
3.首輪を外せる者を探す。
4.ゼルダやリンク、他の英傑も参加しているかどうか知りたい。
※リンクが神獣ヴァ・メドーに挑む前の参戦です。
【ベロニカ@ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて】
[状態]:MP消費(中)、不安
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品(1~2個)
[思考・状況]
基本行動方針:ウルノーガを倒す。
1.リーバルと共にイシの村を目指し、カミュ達と落ち合う。
2.ごめんなさい、マール……。
3.自分の死後の出来事を知りたい。
4.カミュが言っていたことと自分が見たものが違うのはなぜ?
※本編死亡後の参戦です。
※仲間たちは、自身の死亡後にウルノーガに敗北したのだと思っています。
【
支給品紹介】
【必勝扇子@ペルソナ4】
ベロニカに支給された扇子。元の持ち主は雪子。
魔法回避がやや上昇する効果を持っている。
最終更新:2020年02月14日 22:35