5:50【C-4 海中】


海中に身を沈めていたミファーは、周りの気配を伺っていた。
先程の戦いは武器を犠牲にして逃げられたが、武器を失ってしまったのは極めて失態だ。
確かに武器が無くても、海に引きずり込めば溺死させることが可能だろう。
腕のヒレで首を斬り裂くことも出来る。


だが、それだけで全員を殺せるほど、この殺し合いは簡単ではないことは分かっている。
どうにかして、武器を調達したい。
欲を言えば一番使い慣れている槍がベストだが、この際剣や斧でも構わない。


そう思いながら海中を巡回していると、向こうから聞いたことのない音が聞こえてきた。
音の方に泳いでみると原因はすぐに分かった。

船がすごい速さで移動していた。


速さこそは全速力のミファーと同じくらいだが、あのような技術があることに驚いた。
数人がかりでコログのうちわを振り続けたイカダでさえ、あの速さには到底及ばない。
ガーディアンの発明に尽力し、飛行型の機械を発明したハイラル王家でさえ、船型のガーディアンは作れなかった。
ガーディアンが水に触れるとどうしてもショートしてしまうからだ。


ジェットマックスという、未知の存在を見たミファーは、さらに深く潜り、状況を伺い続ける。
あんな兵器がリンクに襲い掛かれば、どうなるか分からない。
だが、操縦者はどういう存在かは確定していない。

ガーディアンのように、一度動き始めれば壊れるまで活動し続けるわけでもないかもしれない。


どうにかして、船の上に敵がいれば、殺さないといけない。


ミファーは海面スレスレと水深3,4m付近の浮き沈みを繰り返し、状況を確認する。
どうやら船の上にいるのは、二人の男女らしい。

武器を持っているかどうかは分からないが、どうにかしてチャンスが巡ってこないだろうか。


5:53【C-4 海上】


所変わって水上。錦山は突然マカロフの引き金を引いた。
「え?錦山さん?」


陸地からの狙撃を警戒していなかったわけではないが、錦山の突発的な行動と破裂音に千枝は驚く。

「気のせいか……。」
錦山は水中に敵がいるわけがないと思って、考えを改める。
だが、どこからか殺意が自分達を付き纏っていることは理解できた。


錦山はヤクザとして生きる上で、幾度となくこの殺意に対する感覚に救われてきた。
ヤクザの世界で成り上がるには、ケンカの強さや金儲けの能力以上に重要なことだということも分かっていた。
だが、それにしてもこの感覚が、海中からやってくるのはおかしい。


誰かが水中に潜って、様子を伺っているのだとしても、ジェットマックスの速さに付いていけるわけがない。
仮にそれほどの泳ぎの達人だとしても、酸素ボンベもなしに海中に居続けるなど不可能だ。


「錦山さん……。何か来るよ。」
「は!?」
ぶっきらぼうな態度で返すが、自分の感覚と似たような感覚を覚えるらしき千枝に共感を覚える。
同時に、警戒意識も。


里中千枝も、格闘を好む者としての、闘気の察知能力を持っている。
ミファーからの殺意を、共通して受け取ったのだ。


「ペルソナ!!」
千枝はトモエを召喚し、未知の敵に備える。


「トモエ、水中を凍らせて。ブフーラ!!」
殺意の正体が何なのかは分からないままだが、一つ分かったことがあった。
水中では間違いなく勝てないということ。


ペルソナを呼び出せたテレビの中は、海どころか、池や川さえなかった世界。
海の中でもペルソナが戦えるのかどうかは分からないが、水中での戦闘経験がない以上、間違いなく勝てない。


トモエから放たれる吹雪が、海の一部を凍らせていく。
ジェットマックスの進行に合わせて、海の上に氷の道が作られていった。

5:56【C-4 海中】


(今の音は?)
地上からの聞きなれない破裂音を聞いてミファーも驚く。
丁度自分がいた辺りの場所から、金属の弾が沈んできた。
何か爆発のような音だったが、何なのだろうか。


その後妙に寒気がすると思えば、海面部分が謎の力により凍り付いている。
神獣ルッタから放出される氷とは異なるようだ。
相手が出してくるのは氷弾ではなく、フリーズロッドから出るような吹雪だ。



問題は相手が知らない武器を使うこと以上に、自分の殺意を感じ取っていたことだ。
一時は撤退することも考えたが、すぐに考えを取り消す。


未知の技術を秘めた乗り物を操り、未知の攻撃方法を持つあの二人と、リンクが戦うことになってしまったら。
今自分が相手に殺される恐怖より、リンクが死ぬ恐怖の方が勝った。


一度船からは離れるが、水深4,5mまで潜り、船底を観察しながら泳ぐ。


1分、2分、3分。
そのまま走り続けるジェットマックスと、水底からその様子を伺うミファーの、膠着した状態が続く。


海上では、なおも二人は殺意に対し警戒をしていた。
前後左右、どこから何が来てもいいように。
だが、殺意に対する感覚は集中している時にこそ、発揮されるものだ。
一たびそれ以外の五感が集中すると、役に立たなくなる。


6:00【C-4】

『ごきげんよう、みんな。殺し合い楽しんでる? 』


錦山と千枝は、殺意に向けていた集中力の方向を、放送に変える。
その刹那、チャンスを確信したミファーは、海深くから一気に加速する。

参加者全員のザックに、名簿が支給される。
だが、ミファーはそんなものはどうでもよかった。
なぜなら唯一にして一番大事な存在は、この戦いに参加していると既に知っているから。
彼女が知りたかったのは、死者の名前。
相手が動揺している間に水中から奇襲を仕掛ければ、赤子の手を捻るかのように殺せると推測し、その時を待つ。


そして、呼ばれる、死者の名。
2番目に、千枝にとって大事な人物の名前が、鼓膜に飛び込んだ。
『天城雪子』


(え!?)
千枝は大事な人の死に動揺こそすれど、激しい怒りや悲しみは表さなかった。
正確に言えば、そういった感情を表す余裕が無かったのだが。
ただ凍り付いたように放心状態になり、ジェットマックスの動きに身を任せていた。

だからこの時は、状況が一気に変わりはしなかった。


だが、6番目に呼ばれた名前が響いた時、状況は一変した。

『桐生一馬』


(何?)
それまで放送を聞きつつも、ジェットマックスのハンドルに意識を向けていた錦山が、その時だけ放送に集中を傾けてしまった。
『最初の時にわたしに逆らった男ね。死んで清々したわ!』

(違う。桐生の奴は、そんな簡単に片づけられるようなタマじゃねえ……桐生の奴は……。)
「前!!前!!」
若干意識を回復させた千枝が、震えた声で叫ぶ。
コントロールを失った高速で走る続ける船は、今にも岩壁にぶつかりそうになっていた。




放送の内容は、海中にも響く。
その中には、かつてミファーと同じ世界の英傑の名も含まれていた。

(ウルボザ……。)

別に驚きや悲しみに囚われたわけではない。
最初の会場でリンクを見たから、他の英傑も参加させられていると思ったし、自らの手で殺す覚悟もしていたから。


ただ、彼女ほどの実力者が死ぬとなると、自分も死ぬかもしれない。
その覚悟だけを、心に置いておく。
船の動きが急に不安定になった。


恐らく操縦者の知り合いが呼ばれたのだろう。
襲撃を仕掛けるなら、今だ。



6:01【C-4 小島付近】


「畜生!!」
錦山は怒鳴りながらブレーキを踏む。ハンドルを思いっきり捻り、急旋回させる。
咄嗟のブレーキのおかげで、間一髪で衝突の危機は逃れた。



だが、ジェットマックスを停めたということは、追跡者に追いつかれることを許してしまうということだ。


海面から飛び出したミファーが、錦山を捕まえ、そのまま海中に引きずり込んだ。


「にしきやまさ……。」
千枝が台詞を全部言い切る前に、錦山は海の中、ミファーのメインステージに飲み込まれる。



(離しやがれ……!!バケモノ………!!)
ゾーラ族の人間離れした見た目と、予想外の方向からの奇襲に戸惑うも、必死で抵抗する。
めったやたらと全身を動かすが、水に生きるゾーラ族相手に到底及ばない。
どうにかして敵を肘打ちするなり蹴飛ばすなりしようともがく錦山だが、全く当てることが出来ない。
逆に両足を掴まれ、更に水底へ引き込まれそうになる。


(……どうすればいい?)
そして、水上に一人残された千枝は、一人途方に暮れていた。
ペルソナを使えば、錦山まで巻き込んでしまう。
泳いであの小島の上に逃げられるかもしれないが、その間に自分も殺されるかもしれない。


(なあ、桐生、てめえも、こんな形で死んだのか?)
戦いの中に半魚人がいたなんて予想もしていなかった。
確かに研究所で、鳥人間に遭遇したが、それでも半魚人なんて錦山にとってはおとぎ話だけの存在だった。


このような予想外の力や、予想外の生物がいれば、桐生が死ぬのも納得が出来る。
だからといって、死にたくはない。
それでも沈みゆく中で、両足をばたつかせて抵抗しながら、地上へと手を伸ばした。

(同じ世界で死ぬなんて、冗談じゃねえ!!)

密着状態になったミファーに対して、銃を乱射する。
しかし、水の中で放てるとは言え、銃の威力は著しく落ちる。


ミファーは素早く弾丸を躱し、銃を持っている腕に狙いを定める。


(痛え……)
ミファーのヒレでスーツごと腕を斬られる。
命に関わるほど深く斬られてはないが、銃を手放してしまった。
錦山が銃を手放したことを確認すると、今度はミファーは深くに潜り、錦山を引きずり込もうとする。

だが、その前に上から千枝が声をかける。
「掴まって!!」


その後も、禁止エリアが呼ばれていく。
だが、彼らにとって、放送どころではなかった。


千枝は片手を水に付ける。
本当はどうすればいいのか分からない。
だが、鳴上君や、あの子ならきっとこうする。
その気持ちだけを糧に、手を伸ばした。


伸ばした手は、白いスーツに覆われた手を力強く掴んだ。
千枝は錦山を力いっぱい引き上げる。


「大丈夫?」
「一度助けたくらいで一丁前に心配してんじゃねえよ………。」

錦山は悪態をつきながらも、船に乗り込む。

6:02【C-4 小島付近】


錦山は船に戻り、再度ジェットマックスのエンジンを掛けようとする。
しかし、一度は海中まで退避したミファーの襲撃が再び来た。


回転しながら海から飛び出るという、ゾーラ族にしかできない動きを見せる。
今度は相手をいきなり海に突き落とす方法ではない。


「海水!?」
「ちっ、きたねえマネしやがって!!」

身体と共に昇ってきた海水を、二人の顔にめがけて放った。
塩水を使った目つぶし。
傍から見ても小技としか言えないが、生死をかけた戦いではその小技が役に立ったりする。


海水を飛ばしながら飛んだミファーは、そのままイルカのように二人を飛び越し、
背後に回り込む。

急降下する最中に、千枝を後ろから掴んで。


「え!?」
間の抜けたような声と共に、今度は千枝が海中に飲み込まれる。



(チッ、何やってんだ……!!)
先程と立場が変わった状態で、今度は錦山が船上から腕を伸ばす。
知り合ったばかりのガキ一人の命などどうでもいいが、借りは返さないと自分の面目が立たない。


すぐに錦山の伸ばした手は、千枝を掴んだ。
千枝も、それに合わせてその手を強く握る。
互いの手が、さらに強く繋ぎ止められた。




6:03【C-4 小島付近】



ミファーは千枝から奪った鬼炎のドスを、二人の手が繋がれた場所に突き刺した。


「ぐっ!?」
「!!」

二人は痛みのあまり、手を離してしまう。
再び千枝は、海に沈められることになった。


ミファーはもう一度深く潜り、片方の掌を抑えている千枝にトドメを刺しに行く。
背後へ回り込み、そのまま背中から胸まで、串刺しにしようとする。


死が目の前に迫り来る。
ゼルダとキリキザンと戦った時でさえ、ここまで死を感じなかった。
水の中で、里中千枝は心の中で叫び続けた。




死にたくない。

その6文字をひたすら叫び続けた。






(何!?これ!!?)




ミファーの眼には、信じられないものが映る。
もう風前の灯火のと思われた少女の背後から、巨大な戦士が現れた。
(まさか、さっきの氷の正体は……!?)

精神体であるペルソナは、人とは異なり水中で動きを制限されない。
千枝の心と同じように、トモエは海中で暴れ続ける。


6:04【C-4 水上】

「おい!!どうなってんだ!?」
刺された手を抑えていると、海中から巨大な波が起こった。


(まさか……あの森の惨状の原因は……!!)

錦山は思い出す。
夜、里中千枝が倒れていた森の荒れ様を。
そして、自分を取り巻く海が、似たように荒れ狂う。


錦山彰は確信した。
あの少女は、命の危険が迫った時、未知の力を発揮することを。
その力は、桐生や嶋野といった力で名を馳せたヤクザにも劣らない。


「ふざけんな……ふざけんなよ!!」
斬られて刺されて、痛む手を無視してジェットマックスのエンジンを全開にする。


波が、錦山を船ごと呑み込もうとする。
「うおおおおおおおお!!」
しかし、彼もまた神室町で、成り上がろうとしたヤクザの一人。
命に対する執着だけは、負けはしていない。


ゾーラ族のヒレで斬られた左腕と、鬼炎のドスで刺された右手に、海水が染みこみ、悲鳴を上げる。
そんなことも無視して、ハンドルに全力で握りしめる。



6:08【C-4 公園】


「ここは……!?」
気が付くと私は、陸地で目を覚ましていた。
海に落とされた後、どうなっていたか記憶がない。


あの半魚人に死の一歩手前まで追い詰められて。
それからペルソナを出して、逃げた……ような気がする。


何があったのか具体的に思い出せないのに、それがとても恐ろしいことだったとは覚えている。
普段恐ろしい思いをしたら敵からは撤退し、戦力を立て直すのだが、海の中だからそれも出来なくて。


海で襲ってきた半魚人はどうなっただろう。
もう、どうでもいいけど。

錦山さんの姿はなかった。
きっと、私を見捨てて逃げたのだろう。
それか、あの半魚人のオトリにするつもりだったのか。


今まで名簿を読むチャンスがなかったから、転送されたらしい名簿を見てみる。


いた。鳴上くん。
花村くんや、なぜか逮捕された1年生の子もいた。
そして、放送に呼ばれたあの子の名前もあった。


聞き間違えじゃなかったけど、完二くんも雪子も、この戦いに呼ばれて死んだという現実を改めて知らされる。


でも、鳴上君は生きている。
こんなおぞましい戦いに参加させられていたことを喜んではいけないが、この世界に確かにいる。
彼の名は呼ばれていなかった。
聞き逃しただけかもしれないが、そうじゃないことを信じたい。


彼に会えば、今のどうにもならない自分を、どうにか出来るかもしれない。
他人の想い人に依存し続けるのは間違っているのだろうか。


もうそんなことはどうでもいい。
自分を受け入れてくれる人間がいないと、遅かれ早かれ自分は狂ってしまうだろう。
希望が欲しい。
「自分らしさ」を見つけたい。

かつてシャドウに取り込まれそうになった時のように、鳴上君なら助けてくれるはずだから。



服はぐしょ濡れで、気持ち悪い。
おまけに手を刺された痛みも、全然和らがない。
でも立ち止まっている暇はない。一刻も早く鳴上君に再会しないと。
きっと八十神高校で待っている。早く行かなければ。


おぼつかない足取りで前へ進む。
視界は涙でぼやけてきた。

最初は濡れた髪の毛から、海水がしたたり落ちるのかと思ったが、それだけではなかった。


自分の弱さ、この戦いの恐怖、手の痛み、自分の心の要になっていた人の死亡、見捨てられたこと、二度の死の接近、一人になった孤独。
何が一番の原因か分からないけど、止め処なく涙は溢れてきた。


それでも、歩き続ける。
ひとりで。
ひとりきりで。



【C-4 公園 /一日目 朝】

【里中千枝@ペルソナ4】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(大)びしょ濡れ 右掌に刺し傷。 精神的衰弱(鳴上悠の存在により辛うじて保っている状態)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、守りの護符@MONSTER HUNTER X、ランダム支給品(0~1個)
[思考・状況]
基本行動方針:殺さないと殺される、けど今の私じゃ、殺す覚悟もない……

1.八十神高校へ向かい、鳴上君と再会する。
2.それからどうすればいいのか決める。
3. “自分らしさ”はどこにあるのか、探してみる
4.自分の存在意義を見つけるまでは、死にたくない
5.願いの内容はまだ決めていない

※錦山彰、ミファーは死んだと思っています。


6:09【C-5 草原】




(何とか……逃げ切ったみてえだな。)

疲れた。
煙草はぐしょ濡れで、火が付かない。
この体の重さは水がたっぷりしみ込んだスーツのせいじゃないと思う。
どこでもいいから寝っ転がりたいけど、そんなことをしたらすぐにでも殺されるだろう。
閃光弾しかない今、どうにかして武器の調達だけでもしておきたい。


そういった気持ち以上に、腕の痛みが意識をはっきりとさせた。
白いスーツの袖の染まり具合から、思ったより傷は深いことが分かった。
治療しようにも、水ぐらいしかないが、とりあえず右手と左腕の傷口にかける。


塩水を洗い流したからか、少しだけ痛みは治まった。
しかし、この世界で傷口が悪化したら面倒なことになりそうだ。

地図を見ると、近くに病院がある。
そう都合よく薬が置いてあるとは思えないが、包帯くらいはあるはずだ。
びしょ濡れでおまけに袖に血が付いたスーツもいい加減脱ぎ捨てたい。


体調は万全とは程遠いが、やらなきゃいけないことは沢山ある。



(桐生のヤツなら、あの時どうしたんだろうな……。)
あの時手を離したガキのことを思い出す。
ガキと半魚人はどうなっただろう。


流石に無事じゃいないと思うが、どっちも俺の全く知らねえチカラを持った奴等だし、死んだかどうかは分からねえ。


(どうしても美月の娘をよこさねえなら……お前でも容赦はしない)
(好きにしろ………だが遥は渡さねぇ。お前の道具なんか……させやしねぇ)

そうだろうな。
桐生、オマエなら助けを求めていた少女を、掌を突き刺されたくらいで離したりしねえんだろ。


俺は桐生と比べられるのを嫌がっていたが、これじゃ桐生と比較できるのかが怪しいくらいだ。


重い足取りで歩きだす。
桐生は死に、俺は生きている。
だけどそれがイイことのようには全く思えねえ。
むしろ、何かの罪で無理矢理生かされているような気がしてならなかった。


【C-5草原 /一日目朝】




【錦山彰@龍が如く 極】
[状態]:疲労 びしょ濡れ 左腕に切り傷 右掌に刺し傷 憂鬱
[装備]:なし
[道具]:基本支給品 閃光玉×2@MONSTER HUNTER X
[思考・状況]
基本行動方針:人を殺してでも生き残り、元の場所に帰る。
1.病院へ向かい、傷の治療と新しい服、武器の調達を行う。


※C-5 海沿いにセブンスター@現実が捨てられています。
※C-5 海にジェットマックス@Grand Theft Auto5が停められています。



6:10【C-4 海中】


傷が痛む。
あの緑の服の少女の呼び出したらしき戦士の攻撃は、予想以上に強かった。
もう少し傷が深ければ、死んでいた。


それに自分は、放送でショックを受けた相手なら絶対に殺せるという慢心があった。
長命の種族ゆえに、大切な人の急な死に弱いゾーラ族だからこそ、思い込んでいたことだ。
たとえ、それが誰だか分からなくても。


(回復が……効いてない?)
傷の治療を行おうとして、気づいたこと。
彼女の術、ミファーの祈りは、人のために使われる力だ。
自分の為に行っても、他人に施すほど回復は出来ない。

しかし、それを踏まえても治癒力が低い。


一度海深くに潜り、休憩する。
そこでようやく、支給された名簿を読む。
水中でも読めるつくりになっているようだ。


気付いてしまった。


私を含めた5人の英傑。
そして、この戦いにはゼルダがいたことを。


私は、リンクを生還させることで、ゼルダと協力して、ハイラルを復興させればいいと思っていた。
けれど、そのやり方だと、ゼルダも殺してしまう。
ハイラルを蘇らせる可能性を、自分が壊してしまうことになる。


でも、私はこの戦いに乗った。
このやり方だとハイラルの復活が臨めないからといって、ゲームから脱出するなんて、都合のいいことは出来ない。
リンクを生き返らせる。そして、ハイラルではない国を復活させる。
英傑として、ではなく一人のゾーラ族として、リンクを守る。




私は幸運に生かされている。
最初に二人組の男に襲撃した時も、武器を失いながらも致命傷を負わずに逃げられた。
そしてつい先ほども、相手の未知の力が暴走したのにも関わらず、逃げ切ったし、武器も手に入った。


だから、リンクに会えるまで、殺し続けないと。
ダルケルもリーバルも、ゼルダ姫さえも。


そのために私は生きて、そして死ぬのだから。



【C-4/海中/一日目 朝】

【ミファー@ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド】
[状態]:ダメージ(中) 体にいくつかの切り傷
[装備]: 鬼炎のドス@龍が如く極
[道具]:基本支給品、マカロフ(残弾3)@現実 ランダム支給品(確認済み、0~2個)
[思考・状況]
基本行動方針:リンクを優勝させる
1.海を移動し、不意打ちで参加者を殺して回る。


※百年前、厄災ガノンが復活した直後からの参戦です。
※治癒能力に制限が掛かっており普段よりも回復が遅いです。


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071:両雄倶には立たず 時系列順 073:たたかう者達
投下順
062:初心に振り返って 錦山彰 089:劣等感の果てに残ったもの
里村千枝 087:差し込む陽光、浮かぶ影
057:生と死の境界 ミファー 099:壊レタ世界ノ歌 序

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最終更新:2021年03月25日 00:17