本作はオムニバス形式で数多くの主人公を操作することになるが、それぞれの主人公のストーリーにおける各ラスボス戦および一部の強力な中ボス戦で流れる楽曲。
勇ましさを前面に押し出した明るい音と激しい音使い、そして微かな怪しさを感じさせる音とが混ざり合っており、ラスボス戦に臨むプレイヤーの緊張した胸中を表現したような楽曲である。
曲中には「魔王オディオ」のアレンジが一部組み込まれている。
兎に角出だしからの勢いが激しい曲であり、『
UNDERTALE』の
Toby Fox氏との
スペシャルインタビューにおいても言及されている。
下村氏曰く、Aメロ、Bメロ、サビをあまり意識せず作曲しているが、この曲はそれらが一切ないとのこと。
どころかイントロすらもなくサビも足すのが無駄に感じるほど曲全体の勢いで完成させたことを振り返っている。
下村氏の自由な発想が伺われるだけではなく、日本独自であるAメロ、Bメロ、サビの概念を理解した上で会話の弾むToby氏の造詣の深さも分かるインタビューであり、一見の価値ありである。
『
UNDERTALE』の「
MEGALOVANIA」はこの曲にインスパイアされて作曲したことは今や広く知れ渡っており、「誇大妄想狂」を意味する単語である「MEGALOMANIA」とトランシルバニアを合わせた曲名である。
下村氏とToby氏の合同インタビューもこの繋がりが巡ってのものであり、インタビューには『「MEGALOMANIA」と「MEGALOVANIA」』と題したものまである。
『
シアトリズム ファイナルファンタジー カーテンコール』にもDLCとして2015年2月18日から配信されている。
背景では中世編の魔王山頂上のクライマックスシーンの場面を忠実に再現しており、
FFキャラ達がボスと戦う傍ら、背景奥の魔王像の前でオルステッドと中世編ラスボスが対峙している姿が見られる。
28年の時を経て発売されたリメイク版では原作のラスボスを倒してもなお終わることはなく、その先には真のラストバトルが控えている。
このラストバトルをクリアするとサウンドルームで解放される曲の名は「GIGALOMANIA」。
原作のディレクターにしてリメイク版のプロデューサーである時田貴司氏が下村氏に今回唯一発注した新曲である。
明らかに「MEGALOMANIA」を意識した曲名であり、
スペシャルインタビューにおいて、時田氏より、「「MEGALOMANIA」の”さらに次”」という要望が出されたとのことを明かしている。
曲名は時田氏が発注の時点ですでに決めていたものであり、「
メガ」が「
ギガ」へとランクが上がることで、原作での憎しみをはるかに超えた憎悪の化身たる
真のラスボスを意識したものと思われる。
ソロピアノのイントロから始まり、「MEGALOMANIA」と「魔王オディオ」のフレーズが混ざった荘厳で悲愴な音色は、コーラスによって更に重く激しいものになっていく。
終盤の「届かぬ翼」のフレーズが前面に出てきた先の盛り上がりとアウトロでの「MEGALOMANIA」のフレーズ、そしてこの戦いの結末から、四半世紀の時を超えて中世編から続いてきた最終編の、真の終局を感じることができるだろう。