ある生徒会会計の業務
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hachiohicity
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概略:
2017年度生徒会役員作成時の会話例。
登場人物:
閉じたドアをコンコンと叩く音がする。「どうぞ~」と答えると、ドアを開けたのは一年生の女子生徒だった。
「図書委員会の書類です」
「あぁ、予算案ですね。ちょうどよかったです」
会計としてはすぐにチェックできるのはありがたい。中に入るように手招きしながら、ドアの方へと向かう。持っていた書類を受け取る。
「はい、失礼します」
「あ、待ってくださいね、確認するので~」
その子はドアに向かっていた体を戻して、不思議そうに首を傾げた。それは気にせず、手元のファイルから図書委員の去年の予算案を取り出し、ざっと記入項目を見比べる。
「この二番目のところ、図書委員会は今年度新しいポスターカラーを購入していますが、項目を消すか、買うにしても数を減らすって出来そうですかね?」
「……」
そこまで言って、図書委員は書類作成を主に副委員長が担当していたことに思い至った。学年的に彼女は頼まれただけなのだろう。後で担当者に直接伝えた方がいいかもしれない。
「あれ、月詠ちゃん、どうかした?」
開けたままのドアから顔をのぞかせたのは、同じく一年生の女子生徒だった。口ぶりから知り合いなんだろうと思う。
「図書委員の書類、届けに来て」
「予算案?」
先に来ていた子はうなずいた。
「あ、先輩、会計の方ですよね、美術部の浅見です。私も予算案持ってきたので、確認してもらってもいいですか?」
「あぁ、今図書委員さんの予算案の見直しをお願いしていたので、そちらを先に……」
「そうなんですね、月詠ちゃんが書いた?」
首を横に振っているのを見て、やっぱりそうだよなと思い直す。
「それなら、僕の方から担当者に伝えておきます」
「……まだ、図書室にいると思います」
「わかりました、届けてくれてありがとうございます」
「あの、私のはどうしたら……」
「あぁ、今見ますね、すぐ出来るので」
美術部のものも受け取り、確認する。ほとんど例年買っているものだし、新たに買うものと今年は買わないものもちゃんと書かれている。問題はなさそうだ。
「問題ないと思います。何かあればまた連絡しますね」
「ありがとうございます!」
お手間とらせてすみません、と美術部の子が会釈をし、「じゃあ失礼します」とちらりと図書委員の子を見る。彼女もぺこりと会釈をした。
「図書委員会の書類です」
「あぁ、予算案ですね。ちょうどよかったです」
会計としてはすぐにチェックできるのはありがたい。中に入るように手招きしながら、ドアの方へと向かう。持っていた書類を受け取る。
「はい、失礼します」
「あ、待ってくださいね、確認するので~」
その子はドアに向かっていた体を戻して、不思議そうに首を傾げた。それは気にせず、手元のファイルから図書委員の去年の予算案を取り出し、ざっと記入項目を見比べる。
「この二番目のところ、図書委員会は今年度新しいポスターカラーを購入していますが、項目を消すか、買うにしても数を減らすって出来そうですかね?」
「……」
そこまで言って、図書委員は書類作成を主に副委員長が担当していたことに思い至った。学年的に彼女は頼まれただけなのだろう。後で担当者に直接伝えた方がいいかもしれない。
「あれ、月詠ちゃん、どうかした?」
開けたままのドアから顔をのぞかせたのは、同じく一年生の女子生徒だった。口ぶりから知り合いなんだろうと思う。
「図書委員の書類、届けに来て」
「予算案?」
先に来ていた子はうなずいた。
「あ、先輩、会計の方ですよね、美術部の浅見です。私も予算案持ってきたので、確認してもらってもいいですか?」
「あぁ、今図書委員さんの予算案の見直しをお願いしていたので、そちらを先に……」
「そうなんですね、月詠ちゃんが書いた?」
首を横に振っているのを見て、やっぱりそうだよなと思い直す。
「それなら、僕の方から担当者に伝えておきます」
「……まだ、図書室にいると思います」
「わかりました、届けてくれてありがとうございます」
「あの、私のはどうしたら……」
「あぁ、今見ますね、すぐ出来るので」
美術部のものも受け取り、確認する。ほとんど例年買っているものだし、新たに買うものと今年は買わないものもちゃんと書かれている。問題はなさそうだ。
「問題ないと思います。何かあればまた連絡しますね」
「ありがとうございます!」
お手間とらせてすみません、と美術部の子が会釈をし、「じゃあ失礼します」とちらりと図書委員の子を見る。彼女もぺこりと会釈をした。
図書室の中は明るかったが、中にいるのは数人だけのようだった。生徒は読書スペースの机にノートを広げている一人だけで、学年的にも図書委員の副委員長だろうと近付く。
「すみません、生徒会会計の日中ですけど……」
勉強に集中しているのか、声に反応はない。しばらく横で待っていたが、耐えきれずにコンコンと机を叩く。
「うわぁ!?」
「会計の日中です、図書委員会の予算案で確認したいことがあって」
「あ、あぁ、日中くんね、なんでしょう」
「これ、多分去年のままで今年はいらないものとか書いてると思うので、書き直してほしいんですけど、どうですか?」
「あー、確かに去年のものそのまま写したけど……どうしたらいいかな」
「このポスターカラーとか、まだ残ってるならなくすか減らすかしていいと思います」
「あ、そういえば今年買ったばっかだし、これ以上はいらないな、なくすわ」
「じゃあお願いします。あとは――」
他の項目について話しながら、書類を渡す。
「書くの今の方がいい? ちょっとやることあって……」
「まぁ締め切りは来週なのでいいですけど。次は直接届けに来てください、確認するので」
「ごめんね! そうする!」
そうして彼女はノートに向かってしまった。明日小テストでもあるんだろうか、同じ学年だからあるなら知っているはずだし、教科書を開いているわけでもない。
多分聞くにはまた同じことをしなければいけないな、と思ってやめる。とりあえず放置している生徒会室に戻るか、と図書室を後にした。
「すみません、生徒会会計の日中ですけど……」
勉強に集中しているのか、声に反応はない。しばらく横で待っていたが、耐えきれずにコンコンと机を叩く。
「うわぁ!?」
「会計の日中です、図書委員会の予算案で確認したいことがあって」
「あ、あぁ、日中くんね、なんでしょう」
「これ、多分去年のままで今年はいらないものとか書いてると思うので、書き直してほしいんですけど、どうですか?」
「あー、確かに去年のものそのまま写したけど……どうしたらいいかな」
「このポスターカラーとか、まだ残ってるならなくすか減らすかしていいと思います」
「あ、そういえば今年買ったばっかだし、これ以上はいらないな、なくすわ」
「じゃあお願いします。あとは――」
他の項目について話しながら、書類を渡す。
「書くの今の方がいい? ちょっとやることあって……」
「まぁ締め切りは来週なのでいいですけど。次は直接届けに来てください、確認するので」
「ごめんね! そうする!」
そうして彼女はノートに向かってしまった。明日小テストでもあるんだろうか、同じ学年だからあるなら知っているはずだし、教科書を開いているわけでもない。
多分聞くにはまた同じことをしなければいけないな、と思ってやめる。とりあえず放置している生徒会室に戻るか、と図書室を後にした。