Introduction
Key Predictions of Honest-Signalling Theory
親は子に餌を運ぶときに、鳴き声と姿勢からなるbeggingの集中砲火を浴びる。
もしも一腹雛数が1よりも大きければ、親はどの雛に餌を与えるか、また、もしも分割可能な餌ならばどの程度をそれぞれの雛に与えるかを決定しなくてはいけない。
給餌の間に親が得る情報は未来の給餌や給餌頻度に影響を与えるかもしれない( Godfray & Johnstone 2000)。
結果として、親が子に餌を与えることに関する意思決定は動的な(そして潜在的に複雑な)相互作用の連続である。
雛が餌をねだる行動のモデルは単純化された重要な仮定の上に成り立っている(Box 1)。
Kilner & Johnstone 1997はbeggingが正直な信号であることの証拠を、正直な信号モデルの3つの主要な仮定をもとにレビューした。
- (1) beggingの強さは雛の要求度を反映する(begging intensity should reflect offspring need)。
- (2) 親はbeggingの強さによって子に餌を分配する(parents should provision young in relation to begging intensity)。
- (3) beggingにはコストがかかる(begging should be costly)。
しかし、 Kilner & Johnstone 1997も気付いていたように、予測2と3のどちらも正直な信号理論独特のものではない。スクランブルモデルと正直な信号モデルの両方で、よりbeggingをする雛は餌を多くもらうことができ、beggingにはコストがかかる。
Kilner & Johnstone 1997は予測2と3に関して確かな支持を示すことができなかったが(予測を簡単にしすぎたためだろう)、正直な信号理論独自の予測である1番目に関して良い実証的なデータが得られたと結論付けている。
それならば、beggingの強さは雛の状態を正直に反映しているのだろうか?
What is Need
今回の目的のため、「要求度(need)」を餌を得ることによる子個人の適応度の増加と定義する。
正直な信号モデルでは、beggingは子から親への要求度の意思伝達だと考えられており、beggingの強さは個体の真の要求度を反映している(Box 2)。結果的に、お腹の空いている子がより多くの餌をもらえるという実証の結果は正直な信号を支持するものだと考えられている( Kilner & Johnstone 1997の予測1)。
しかし、スクランブル競争モデルに子の状態を入れると曖昧な結果が出てくる(Box 3)。子にかかるコストが利益とともに増加するために、beggingの強さは真の要求度と相関をする。
このため、 Kilner & Johnstone 1997のあげた3つの予測からスクランブル競争と正直な信号を実証的に区別することはできなくなる。
2つのアプローチの主な違いは、資源分配のメカニズムに由来する、真の要求度(状態)とESSとなるbeggingのレベルの正確な量的な関係である(Box 3)。
実際には、操作しない観察においてスクランブルと正直な信号を分離することは不可能である。
このようにスクランブルモデルは食物の分配とbeggingのコストは競争の非対称性に強く影響を受けると予測したが(Box 3)、正直な信号のもとでは親が非対称性を補償し要求度によって分配をしている。
一腹全ての子が生き延びるためには十分な餌が必要だというはっきりとした仮定がある。もし(よくあるように( Mock & Parker 1997))、食物資源が限られていれば正直な信号は不安定な戦略となる。例えば、親は状態の悪い雛に餌を好んで与えると仮定する( Godfray 1995a)。もし親に2匹の子がいるのに食物が2匹とも生存するのに十分でないとすると、どのように分配するであろうか?正直な信号のもとでは、親は状態の悪い雛にそれぞれの回に投資するので、両方の雛に過少投資となってしまう。
しかし、スクランブル競争下では(Box 3)、強い雛のbeggingは弱い雛に比べて効率的に餌を得ることができる。つまり、雛が同等でなく食物が限られていれば、親は強い雛により投資をする。これは生存の機会を増やすことに繋がる。強い雛に独占的に餌を与えるのが最良の戦略ではあるが( Mock & Parker 1997, Parker et al. 1989)、親は弱い雛が食物を求めて争うほうが効率的に子を育てられる( Parker et al. 2002)。
Rodriguez-Girones et al. 2001aと Parker et al. 2002のスクランブルモデルが Godfray 1995aの信号モデルと定性的に同じ結果を示しているとして(Box 3)、どのように実証的にこの2つを区別するかを考えてみるべきである。
正直な信号をbegging系で示すには、単に強い刺激のもとへ受動的に餌を分配することを示すより、親が要求度を測れることの証拠を示すべきである。
能動的にbegging信号を評価しているかは、親が各雛のbeggingレベルを順に調べ、ある雛に餌をもって帰ってくることから示唆される。
説得力のある証拠とは、雛の齢や競争能力によるbeggingの増幅を親が軽視し、子の真の状態によってのみ食物を分配することである。
しばしば、雛に与える餌を増やすとbeggingが増幅されることが観察されている( Mock & Parker 1997)。このような場合にはbeggingは真の状態を反映できていない。
2つのアプローチを区別するには他の手がかりは、beggingを成り立たせる生物学的な背景に関係している。
Context Dependency
信号やスクランブルのモデルは親子間相互作用に含まれる多くのダイナミクスを無視していると批判されているが( Cotton et al. 1999)、資源分配のコントロールの連続体の両極(完全に親がコントロール~完全に子がコントロール)を定義しているため非常に便利である( Mock & Parker 1997)。
結果として、この2つのモデルは厳密に互いの代替物でなく、自然界では親の投資を分配をめぐる相対的な親か子のコントロールが背景によって違うことが期待される。
The power continuum
正直な信号の結果は親が資源を分配しているときにしか起こらず、スクランブルの結果は子がコントロールをしているときにしか起こらない。
この力関係の連続体(power continuum)は資源分配のメカニズムに重要な示唆を与えている。すなわち、これが子が得る親の投資レベルの決定要因ではない、ということである。
親が子に餌を与えるという状況では、正直な信号は片親が世話をするときにより起こりやすいのかもしれない。子を単独で産む場合や、親が子に餌を与える能力が高く and/or そのコストが低い場合などである。
しかし、一腹が大きい場合や、二親が子を世話する場合などでは、子が親のコントロールを減らしやすく、スクランブルの結果が起こりやすくなる。
生物学的には力関係の連続体の全ての可能性がある( Mock & Parker 1997)。
もしも親が食物資源の中に子を置き去りにする一括給食を行うと、親は資源が消費される間に何もできないのでスクランブルしか起こらない。
哺乳類では、一番競争力の強い子が乳への接近をコントロールするために、母親が選択的に授乳のコントロールに影響を与えることは起きないと考えられる( Fraser 1990)。もしも最も行動的な子が一番多く乳を得ていたとすると、これはスクランブルと正直な信号のどちらの結果によるものかを決定するのは困難である。
鳥では、親が食物分配をコントロールする機会が大いにある。
おそらく正直な信号に関する現時点での最良の証拠は鳥の雛の口の色に関するものだろう。
Kilner 1997はカナリヤ(Serinus canaria)雛の口は飢えさせると赤くなることを示した。親はより口の赤い雛に優先的に餌を与える。このことは雛の要求度を表す正直な信号に親が反応していることを示唆している。
しかし、 Saino et al. 2000による最近の研究では、ツバメ(Hirundo rustica)の口の色と親による雛への給餌選好性の関連性に違った理由を示唆している。ツバメ雛の口の色はカロテノイド由来であり、免疫能力が強いことを示している、というものである。抗原にさらされた雛の口色は褪せるため、親は生存の確率の高い子を選好して餌を与えている。
口の色は健康の正直な指標ではあるが、必ずしも雛の要求度を反映はしていない。
このように、正直な信号の機構に比べスクランブルの機構を除くことは不可能である。なぜなら、健康状態の良い雛は、親が反応する刺激を大きくするコストを払うことができるからである。
Kilner 1997の研究で注意すべき点は、2~4日齢(発声をする能力が未発達か無い状態)のカナリヤの雛を利用しており、巣全体を存続させるための親の努力量はツバメの10日齢の雛に餌を与える場合に比べて非常に小さい。
雛の成長の初期段階では、親が巣の要求に答えることが比較的容易であるためコンフリクトが少なく、コミュニケーション系はあまり複雑ではないだろう。
これは他の分類群の親子間コミュニケーションにも応用できる可能性がある。
例えば、 Agrawal et al. 2001はツチカメムシの一種(Sehirus cinctus)では、母親の食物分配は子の状態の変化に反応していることを最近示した。これは正直な信号の証拠だと解釈されていた。随意与えられる予測可能な餌資源は実験を通して利用可能であり、母虫は子の要求に完全に答えることができる。
しかしながら、母親が能動的に餌を分配していないとすると( Agrawal et al. 2001)、スクランブルにより分配しているという機構の方がより適切である。特に、自然状態ではありそうであるが、もし利用可能な食物が予測不可能で豊富でない場合などである。
The shifting power balance during ontogeny
連続体のどの点も生物学的にはありそうであるが、この力関係は子の発達の間に変化しそうである。
ほぼ完全に子が成長したような大きな巣では、スクランブル競争が親の給餌における資源分配の第一の決定要因になっているかもしれない。しかし、子の成長段階の初期では親が高い度合いでコントロールできそうである。さらに、生まれる前や孵化前には完全にコントロールできるかもしれない。
実際の系では、予測可能性によって資源利用可能性に違いがある傾向があり、子を世話する多くの種で資源の利用可能性が不確かな時に危険を分散させるために子が孵る前に親は育てる環境に影響を与えている( Mock & Forbes 1995)。
例えば鳥では、親は一腹雛数や、非同時孵化の程度や( Mock & Parker 1997)、テストステロン( Schwabl 1993)や抗酸化物質( Royle et al. 2001)の卵中の濃度などを変化させることができる。
結果として、はっきりとした競争能力の違いが巣内にしばしば見られる。
雛の競争能力は親にとっての繁殖価値としばしば正の相関をする。
特に食べ物の少ないときには、非同時孵化によって早く産まれた子が好まれる( Mock & Parker 1997)。
このような環境では子にスクランブルを許す受動的な給餌は
食物利用が改善
Conclusions and Prospects
Box 1. Mechanisms of Food Allocation and Begging 'Honesty'
「スクランブル」や「正直な信号」といった用語は
Box 2. The Concept of 'Need' in Honest-Signalling Models
Box 3. The Concept of 'Need' in Scramble Competition Models
Box 4. Information Exchange
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