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その3

最終更新:

homuhomu_tabetai

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ほむほむたちで騒然とした屋内に、突然、こつ、こつと硬質な音。
革靴でありながら、その人柄を示すかのように、穏やかな靴音を響かせて現れたのは、柔和な顔立ちの男性。
『控え室』のほむほむたちを、身を乗り出して覗き込む男性は――鹿目知久、その人であった。

知久「やあ、元気にしてるかい?」

ほむほむ24「ホムァ!?」ダレ!?
ほむほむ91「ホムムーッ!!」ココカラダセー!

知久「残念だけど、それはできないんだ。君たちには、しばらくここで暮らしてもらうことになる」

ほむほむ150「ホム! ホムッ!」ダセ! ダセー!

知久「あまりストレスが溜まるのも良くないからね。こんなものを用意しておいたよ」

知久が言うと同時、ケージ内の壁の一部が開き(壁ではなくシャッターだったらしい)
ランニングマシーンや、回し車を始めとする、トレーニング用品がぎっしりと詰まった一区画が開放される。

ほむほむ25「ホムッ!?」

知久「数日後、この中の一匹に、決闘をしてもらう。誰が選ばれるかは無作為に決められるから、それまでせいぜい訓練に励むといい」

ほむほむ38「ホムゥー!!」フザケルナ!

知久「でないと――」ヒョイッ

ほむほむ38「ホムァッ!?」ジタバタ

知久「こういうことになる」グシャァッ

ほむほむ38「ホッ……ホビャァァァァアアアアアアアアア!!!!!」

にこにこ笑顔のまま、うるさいほむほむをあっさりと握りつぶした知久は、それをほむほむたちのケージに無造作に投げ捨てる。

知久「選ばれたほむほむが負ければ、皆こうだよ。そうなりたくなければ頑張る事だね。さあ、ソレは今日のおやつだよ。残したら、分かってるね?」

ほむほむs「ホ……ホァァァァアアアアアア」ポロポロ



それからの毎日。ほむほむたちは訓練に励んだ。
体力のないめがほむも、幼い仔ほむたちも、でぶほむすら痩せる程に、がむしゃらに鍛え続けた。
エサは日に3回、飼育員により、大量に放り込まれ。
ケージ内の水飲み場で水分を補給しては、別の一区画でトイレを済まし。
不安に泣く仲間を宥めながら眠りにつく毎日。
時折ストレス解消用のまどエキスが振りかけられては、一部のほむまどたちは現実を忘れようとするかのように交尾に耽る。
ただ、一部の賢いほむほむたちは、身重になって運動能力が損なわれるのを恐れ、まどまどに手を出すことをどうにか自制している。


そうして日々が流れ、ある時、いつもの飼育員に、決闘に出る固体が決まったと告げられる。

それは、親ほむだった。
白まどと番を成し、仔りぼほむを含めた何匹かの仔ほむを産み、育てた――あのほむほむだったのだ。




仔りぼほむ「ホミィー……」ナデナデ

慰めるかのような仔りぼほむの手つき。
過去に思いをめぐらせていた親ほむは、夢から覚めたように瞬いた。

そうだ。自分がこの仔たちを守らなければ……
守りきって、無事に白まどの元に帰らなければ……!
今の自分は、守られるだけだった昔の小さな仔ほむじゃない!

仔ほむs「ホミャァー……」
親ほむ「ホム……ホムホム」ペロペロ

闘志を胸に秘め、夜は更ける。
決闘前日の事であった。




《Aコーナーより――ほむほむ! ほむほむの入場です!》

決闘当日。親ほむの姿は、コロシホムと名付けられた、その会場の只中にあった。
ほむほむサイズに合わせられた、小さな闘技場である。
今、親ほむが居るのは石畳のバトルフィールドであり、その周囲を囲うような10メートルほどの場外は芝生。
その周囲を覆うように、観客の人間たちが座っていて、その下部のトンネルが、親ほむの通ってきた出入り口である。
ほむほむたちは知らないことだが、小さなほむほむたちが見えない観客のために、至るところにカメラが仕掛けられており
上部のモニターに大きく映し出される仕組みとなっている。

小さな会場は満員御礼。
ほむほむもまだ見ぬ対戦相手を待つのみである。

《Bコーナーより――これは珍しい! 白まど! 希少種である白まどの入場です!》

親ほむ「マドカァ……?」

アナウンスを受け、ほむほむの正面のトンネルから、よろよろと現れたのは――
――あろうことか、あの白まどだったのだ。
親ほむと番を成し、仔りぼほむを含めた何匹かの仔ほむの誕生に立会い、親ほむと一緒に育てた――あの白まどだったのだ。

感動の再会――どころではない、奇跡である。
しかし、互いに生死もわからなかった番に出会えたというのに、言葉はなく、笑顔もなく、どころか、凍り付いてさえいた。

2匹とも、ほむほむサイズに合わせた、小さな剣と盾を持っている……そこまでは同じ。
しかし、気合充分、意気軒昂としていた親ほむに比べ、白まどの姿は――
天使のようだった羽は片方が折れ曲がり、天女のようなドレスは無惨に引き裂かれ、そして、謎の白い液体に塗れていた。
その上――

《おおっと! この白まど! どうやら妊娠しているようです!》

胎児の存在を示すように、お腹が膨れ上がっていたのである。
混乱の極みに陥って、呆けたような声を出すだけの親ほむ。

親ほむ「ホ……ホァ……?」

白まど「ホ、ホミュラチャァン……」ポロポロ

すすり泣く白まどの声に、我に返った親ほむの脳裏に、閃くものがあった。
もし、白まども自分と同じような檻で、同じような生活を強いられていたとするなら……

(時折ストレス解消用のまどエキスが振りかけられては、一部のほむまどたちは現実を忘れようとするかのように交尾に耽る。)
(ただ、一部の賢いほむほむたちは、身重になって運動能力が損なわれるのを恐れ、まどまどに手を出すことをどうにか自制している。)

親ほむもそのうちの一匹だったが、もし、自分の群の一員ではない、美しい白まどがいたとすれば――自制できずに襲い掛かってしまっても不思議ではない。


《準備が整ったようです! では、試合開始!!》

親ほむ「ホァ……ホムゥゥゥゥゥ……」ポロポロ
白まど「マド……マリョォォォォ……」ポロポロ

磨き上げられた石畳の上に、2匹のほむまどの涙がいくつもこぼれ落ちていった。




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