寂しがり屋

最終更新:

homuhomu_tabetai

- view
管理者のみ編集可

作者:QzUfoba6o

260 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/11/10(木) 04:08:32.12 ID:QzUfoba6o





マドカァー!マドカァー!

その日すっかり熟睡していた私は、真夜中に私の名前を呼ぶほむほむの声で目を覚ましました。

まどか「Zzz.....んぅぅ....ほむほむどうかしたの?」コシコシ

ほむほむ「マドカァー!マドカァー!」

ほむほむに何かあったのかと訊いても、しきりに私の名前を呼ぶばかりで要領を得ません。

まどか「んと...取り敢えずケージの蓋開けるね?」

ほむほむ「マドカァー!」トテテテ...ギュー...

ケージの蓋を開けると、ほむほむが私の手に一直線に擦り寄ってきました。

ほむほむ「マドカァ...」スリスリ...

ほむほむは私の指と指の間に顔を擦りつけてペロペロと舐めてきました。

まどか「もう....今日は随分と甘えん坊さんだね」ナデナデ

お返しにほむほむの喉の近くを指の腹でゴロゴロと撫でてあげます。

ほむほむ「ホミャアァ...」カプーッ

お返しのお返しなのか、ほむほむは私の指先を甘噛みしてきました。一緒に遊んでいる時によくしてきます。

ほむほむ「ホミュゥ...」アムアムッ

小動物とはいえほむほむに本気で噛まれると痛いものなのですが、私はほむほむに噛まれて痛い思いをしたことが一度もありません。

甘噛みはほむほむ同士の間では親愛の表現の一種のようで、私が痛くないように加減して噛んでくれているみたいです。



ほむほむ「ホム...ホム...」ウツラウツラ...

まどか「ほむほむ、眠たいんなら巣箱に戻っておやすみ?」

ほむほむ「ホムゥー...」フルフル...

ほむほむは眠たいのを我慢して私と遊んでいるようで、さっきからたまにウトウトしていました。

そういえばほむほむは本当は眠たいのにどうして私を呼んでいたのでしょうか。

ほむほむ「マドカァー!」ギューッ!

ほむほむは小さなおててで私の人差し指をぎゅっと抱き締めています。

まどか「えっ?私と一緒に寝たいの?」

ほむほむ「ホムン...」コクリッ...

まどか「ダメだよ....危ないよ...」

ほむほむは仲間同士擦り寄って眠る習性があるみたいで、同種だけじゃなく人間相手でも体をくっ付けて寝ようとするみたいです。

でも人間が寝返りを打った時にとても危ないから、ほむほむが添い寝をしたがっても飼い主はちゃんと止めてあげないといけないんです。

ほむほむ「ホムゥー!」プクー...

普段はとても聞き分けがいい子なのですが、今日は何故か引き下がろうとしてくれません。

私の指をさっきより一層強く握りながら、両頬っぺをまん丸に膨らませてしまいました。ちょっとだけ拗ねちゃったみたいです。

今日のほむほむはいつもとは何だか様子が違うみたいです。

もしかして、と思いながらほむほむに尋ねてみました

まどか「ほむほむ、もしかして寂しかったの?」

ほむほむ「ホムゥ...」ストン...

ほむほむは私の手の平のところまでヨジヨジと登ってきて、手の平の中に鼻を押し付けて収まろうとしてきました。図星だったみたいです。

まどか「もう...今日は特別だからね...」

そう言うと、ほむほむは私の手の平を優しく舐めてくれました。心なしか嬉しそうに見えます。

ほむほむ「ホムッ♪」ペロペロ

ほむほむが乗っている手の平を軽く丸めると、ほむほむが手の中にすっぽりと収まってしまいました。

もう片方の手でほむほむの頭を軽く撫でてあげたら、ご満悦そうに表情をほころばしてくれました。

とりあえずご機嫌斜めは治してくれたみたいです。



まどか「だーめ!ほむほむはこっちに入ってきたらダメだからね!」

ほむほむ「ホムゥ...」ムスッ...

ついさっき機嫌が悪いのを治してくれたばかりのほむほむは、またご機嫌斜めのムッツリ顔になってしまいました。

私のベッドに入ったほむほむは、例によって私の体に擦り寄って添い寝しようとしてきました。

ほむほむにそんな危ないことはさせられないので、私から30cmくらい離れたところで寝てもらうことにします。

まどか「はい、ほむほむのお布団だよ」

ほむほむの寝るところにほむほむ用の電気毛布を掛けてあげます。

ほむほむは体が小さい分、気温の変化に敏感なので周りの温度を調整してあげないといけません。

ほむほむ「ホムゥー...」モゾモゾ

ほむほむは電気毛布を見た途端、すぐに毛布の中にモゾモゾと潜ってしまいました。

毛布からひょっこりと顔だけ出してしかめ面で私の方をじぃっと見ています。

ほむほむはこの電気毛布が大のお気に入りです。毛布がすごくふわふわでとても気持ちがいいみたいなんです。

私を見つめるほむほむの表情が、本当は嬉しいのを我慢して不機嫌を装っているように見えるのは気のせいでしょうか。



部屋の点灯を豆電球の明るさにして掛け布団を被って横になります。

同じく電気毛布を被って横になっているほむほむに今日一番訊きたかったことを尋ねてみました。

まどか「今日のほむほむは寂しがり屋さんだね。何かあったの?」

ほむほむ「ホムゥ...」フルフル...

まどか「特に...何かあったわけじゃないんだね?」

ほむほむ「ホムッ...」コクン...

今日のほむほむは何となく寂しくなっただけみたいです。そう言われても特に驚いたり怒ったりはしませんけど。

元々ほむほむは大勢の仲間と一緒に身を守って暮らしている寂しがり屋な動物ですから。

特にうちのほむほむは一匹だけで飼っているので、人肌が恋しくなる時があっても全く不思議ではありません。

それに最近急に気温が寒くなったから、本当はそれが寂しさの原因なのかもしれません。

秋から冬に向けて急に寒くなる時期は私もなんだか寂しい気持ちになりますから。

ほむほむ「ホムゥー...」ジィー...

私が色々と思案していると、ほむほむが顔の下半分まで毛布を被って上目遣いで私の顔を見つめてきました。

ほむほむはおそるおそる私を見つめているというか、私を見る眼にちょっとだけ不安げで申し訳なさそうな気持ちが混ざっているように感じます。

なんとなくほむほむは『何の理由も無いのに寂しいって我儘を言って、私を困らせてしまった』なんて風に思っているような気がしました。

もしかしたらほむほむは、私が怒っていると思っているのかもしれません。

だから私はほむほむの頭を撫でながらこう言ってあげました。

まどか「私もほむほむの気持ち解るよ。何もなくても急に寂しくなることってあるもんね」

ほむほむは私の言葉を、私の人差し指を抱き枕みたいにギュッと強く抱き締めることで返してくれました。

ほむほむは頭まで毛布を被ってしまったので、今どんな表情をしているのかは分かりません。でもとても喜んでくれていることは分かります。

私の指を抱き締めるほむほむの鼓動がとても早く、心臓が早鐘を打って鳴っている感触が指先から体に伝わってきますから。

ほむほむ「ホムゥ...」ギュー...

ほむほむが包んでくれている人差し指がとても温かくて気持ち良いです。

まどか「添い寝してあげれない代わりに、今日はほむほむが眠るまでずっと撫でててあげるね」ナデナデ...

ほむほむ「ホミャア...」ウトウト...

空いているもう片方の手でほむほむの頭を撫でてあげます。

ほむほむは疲れてもう半分くらいは寝てるみたいです。

私は、こくりこくりと首を上下に揺らしてゆったりとしているほむほむに話しかけました。

まどか「ほむほむ、起きてる?」ナデナデ...

ほむほむ「ホミュゥ...」ウツラウツラ...

今日ほむほむは寂しいと言って、私のところに擦り寄ってきました。

でもほむほむが寂しいと思ってるのは今日に限ったことじゃなくていつものことで、それが今日たまたま我慢出来なくなっただけなのかもしれません。

まどか「ほむほむは昼間とか夜眠る時とか、いつも一人ぼっちで寂しいでしょ?」ナデナデ...

ほむほむ「ホ...ミュ...」コクン...コクン...

ほむほむはとても聞き分けがよくて主人想いの子ですから、仲間が欲しいと思っていても言い出せなかったのかもしれません。

私はずっとほむほむに無理をさせていたのかもしれません。

まどか「近いうちにほむほむと一緒にいられる子を探してあげるからね。そうしたらほむほむにもう寂しい想いさせないで......」ナデナデ

ほむほむ「...マド....カ..zzz...」スヤスヤ...

まどか「ほむほむ?」ナデナデ

ほむほむは、いつの間にか眠ってしまっていたみたいです。

私が今さっき話したことは、ほむほむが明日起きた時にはもう覚えていないかもしれません。

それならこれからほむほむと一緒に住むことになる子を、サプライズみたいに急に連れて来て驚かしてあげるのも面白いかもしれません。

私はそんな想像をしながら、つい先日さやかちゃんが拾った捨て仔まどの話を思い出していました。

すやすやと眠るほむほむの寝顔を眺めていると、途端に私にも睡魔が襲ってきました。普段ならとっくに寝ている時間ですもんね。

ほむほむに抱き締められている人差し指を、ほむほむを起こさないようにそっと抜きます。

ほむほむ「マドカァ...zzz...」スヤスヤ...

人差し指を引き抜いた後に、ほむほむは寝言で私の名前を呼びました。

抱き抱えていたものが無くなって落ち着かないのかもしれません。

それとも私の夢を見てくれているかもしれません。

まどか「おやすみなさい、ほむほむ」

私はほむほむの寝顔を人差し指でそっと撫でてから、幸せな気持ちで眠りにつきました。



おしまい



感想

すべてのコメントを見る
  • たまに読むと癒される
記事メニュー
ウィキ募集バナー