日なたぼっこ

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homuhomu_tabetai

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作者:WRUvrqru0

872 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/23(金) 15:36:43.43 ID:WRUvrqru0



昼寝から起きたボクは、ある奇妙な状況に遭遇していた。

「………むぅ、どうしよう……?」

「ホムホムゥ」ノンビリ
「ホミュホミュゥ」ユッタリ

困り果てて呟くボクの背中の上では、めがほむの親仔が仲睦まじく日なたぼっこを楽しんでいた。

思い出すのは……時計で見る限りは……二時間前の事。
日なたに俯せに寝ころんで、我が家のほむほむ達を眺めて過ごしていたんだけど、
どうやら、その間に日差しの気持ちよさに負けて、ボクは眠ってしまっていたらしい。

眠りこけたボクの背中は、どうやらめがほむ達の日なたぼっこ会場にされていたようだ。

………背中の様子が壁際の姿見でしか観察できないのが悔しい限りだ。

(ケータイかデジカメで撮影したいけれど、動いたら落としちゃいそうだなぁ)

めがほむは臆病だから、背中から落としたらしばらく遊んでくれなくなるだろう。
そんな事になったら、ボクの方が参ってしまう。

だけど、それよりも重要な事にボクは気付く。

「まさか、ボク……今、動けない?」

その事実に気付いて、ボクは顔が青ざめるのを感じた。
暖かい日なたにいるのに、何でこんなゾッとした表情を浮かべないといけないんだろう?

嗚呼そうか、自業自得か、これは。
姉さん辺りに見付かったら、“そんな所で昼寝する貴女が悪い”とか言われるんだろうな。とほほ………。

とにかく、めがほむ達にこの場から動いて貰おう。

「ねぇ、めがほむ~」

「ホムゥ? ホム、ホムムゥ」ハイ? ア、オハヨーゴザイマス ペコリ
「ホミュホミュ、ホミュミュゥ」ゴチュジンチャマ、オハヨーゴザイマス ペコリ

よし、どうやらボクが起きている事には気付いて貰えたみたいだ。

「背中の上から退いてもらえないかな?」

「ホムゥン」ハァーイ
「ホミュゥン」ハァーイ

ホムホムホム……… スリ、スリ、スリ...
ホミュホミュ……… スリ、スリ、スリ...

めがほむ達は……彼女達なりに……元気な声で受け答えし、ゆっくりとした足取りで動き出した。
ゆっくりと言うよりは、むしろおっかなびっくりの摺り足って感じだけれど……。

(ふぅ、助かった……それにしても、どうやって登ったんだろう?)

安堵したボクは、そこでそんな事を考え始めた。
ほむほむ達ならいざ知らず、あまり力の強くないこのめがほむ達が仔連れで背中までよじ登る様は、ちょっと想像がつきにくい。

まさか、りぼほむ達に運んでもらったワケでもなさそうだし……。

と、ボクがそこまで考えた時だった。

「ホムホム……」スリ、スリ、スリ...

「ぅひゃ……っ!?」

太ももに感じた柔らかな感触に、ボクは思わず小さな悲鳴をあげかけて、慌てて口を押さえた。
めがほむ達が、ボクの背中から下……つまり、足に向けて歩き出したからだ。

部屋の中が暖かかったので、この時期には珍しくハーフパンツなんて履いたのが悪かったようだ。
剥き出しの太ももの上を、抜き足差し足摺り足でそろりそろりと歩くめがほむ達の足の感触は、
その何て言うか………そう、凄くくすぐったい。

「ホ、ホムムゥン?」ゴ、ゴシュジンサマ?

「な、何でもないよ、めがほむ」

心配そうな様子のめがほむに、ボクは思わずそんな言葉を口走っていた。
嘘です、何でもなくありません、すごーく、すごぉぉく……くすぐったいです。

どうやら、めがほむ達がボクの背中に登った時に使ったルートも同じようだ。
眠っていて気付かなかったのか……。

ともあれ、ボクの咄嗟の嘘を信じてくれためがほむ達は、
ゆっくりと下山――言っておくけど、ボクが山のように太っているワケじゃない。下山って言うのはあくまで比喩だ――を続ける。

膝裏、脹ら脛、足首と徐々にくすぐられ……勿論、めがほむ達に悪意はない……ながらも、ボクは精一杯耐えた。
悲鳴も上げず、身じろぎ一つせず……その事は認めて欲しい。むしろ、褒めて欲しい。
それと同時に、ここまで来たら手を伸ばして降ろしてあげるって賢い選択肢を思いつかなかった事を、どうか指摘して欲しくない。

「ホムホム……」スリ、スリ、スリ...

「わひゃぁぁ!?」

うん、足の裏だけはどうしても我慢出来なかったんだ。
せめて、靴下を履いていれば、まだ耐えられたかもしれない。

とにかく、我慢できないほどのくすぐったさに直面したボクは、思わず足を跳ね上げてしまっていた。

「ホ、ホミャァァァァ!?」

「め、めがほむ!?」

悲鳴と共に、ボクの背中の上を弓形の軌道を描いて飛んで行くめがほむ達。
ボクは驚きの声をあげながらも、咄嗟にお腹の下に入れていた大きなクッションをめがほむ達に向けて差し出していた。

ぽすぽすっと軽い音を立てて、次々にめがほむ達が着地……と言うか落下して来る。
えっと、ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ……………うわぁ、全部で十二匹も乗ってたんだ。

「ホミャミャァァ……」オメメクルクル
「ホミュミャァァ……」オメメクルクル

クッションの上では、目を回して気絶する十二匹のめがほむ達………。

さて――

「どやって言い訳しよう……の前に、どうやって落ち着かせよう?」

この子達が目を覚ました後の事を考えながら、ボクは盛大な溜息を漏らしていた。

~おしまい~



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