その2
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homuhomu_tabetai
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その花は咲いていた。
仔ほむは花の茎を折ろうとした…が、折れない。
「ホミューッ!! ホミューッ!!」
力一杯頑張っても折れる気配はない。
カプッ!!
茎に思いっきり噛み付いた。…後悔した…。
歯形が付いただけで一向に噛み切れなかったのだ。しかも滲み出した汁に顔を歪ませる事になった。
「ホミャラッ!!」ペッペッ
にが~い!!
噛み切れないよー!!
お母さんのお墓に飾ってあげたいのに…
どうしたらいいのー!?
また泣き出しそうになった…その時。
「あれ? 君は昨日の仔ほむかな?」
また後ろから人間の声がした。
「ホ、ホミャアァァ!!??」
仔ほむは振り向いた。しかし、それ以上のことはできなかった。
ここは巣から離れすぎているし、手入れされている花は等間隔に植え込まれ、隠れられるようにはなっていない。
仮に逃げ出したとしてもすぐに捕まってしまうだろう。
それ以前に腰が抜けてしまっている…。
「ホッ…ホミャッ…ホミャッ…」ジョワー
漏らしてしまった…走馬灯が駆け抜ける…。
お母さん達…お姉ちゃん…わたしも逝くよ…
仔ほむは覚悟をきめた…が。
「大丈夫かい? …って大丈夫そうじゃないな。ごめんね。驚かす気はなかったんだが…。」
「昨日もこの時間ぐらいに見かけたから、もしかして居るんじゃないかなと思って探してたんだよ。」
「この道はちょうど僕の通学路だからね。って、聞いてるかい?」
男は今にも気絶しそうな仔ほむにそう言った。
「ホミャア!?」
あれっ? よく見たら昨日と同じ人間…かな?
必死だったからあんまり覚えてないけど、声は一緒だし…
それに…なんだか優しそうだ…ひどい事やるならわざわざ声かけないよ…ね…?
仔ほむは少し緊張をほぐした。もちろん完全に気を許したわけではないが。
仔ほむは知らないことだが、人間の中には『これからお前を虐待するぞ』と宣言してから虐待する者も居る。と言うかほとんどそうなのだが。
だがこの人間はどうやら違うようだ。
「サンドイッチだけで足りたかどうか心配だったんだ。君だけじゃなくてまだ仲間が居たら、すぐ無くなっちゃうと思ってね。」
「だからまた持ってきたんだよ。昨日の夕飯の残りで悪いんだけど…。」ゴソゴソ
そう言って男はタッパーに詰めた食べ物を取り出した。
「…ホミュミュ!?」
…食べ物がいっぱい!?
あれだけあれば、危ない食べ物探しもやらなくてすむ!!
お母さん達でも大変だって言ってたし…
でも…この人間はどうしてわたしに優しいのかなぁ? ふしぎー!?
「そういえば、さっきこの花に噛み付いていたよね? まさか、もうサンドイッチ無くなったのかい?」
男はさっきの事を見ていたのだ。仔ほむは思い切って男に喋りかけた。
「ホミュホミュホミュッ!!」
…しかし、男は首をひねっただけだ。もう一度。
「ホミュッ!! ホミュミュッ!!」
結果は同じだった。
どうやら言葉が通じないようだ。
「ごめん。何か言いたいのはわかるんだけど、僕はM市の人間じゃないから君達の言葉がわからないんだ。」
「ホミャッ!?」
仔ほむは驚いた。自分は人間の言葉がある程度わかる…しかしこの人間は自分の話している言葉が解らないらしいのだ。
「この街の人に通訳してもらおうか…いや、それはやめた方がいいな。君が虐待されるかもしれないし…」
「とりあえず君の巣に行こうか? っと、この花も持って行った方がいいのかな? …花を植えた人ごめんなさい!」プチッ
言葉は通じなかったが結果オーライだ。人間にも種類があるのかな? なんて考えてみた。
「ホミュウ///」バンザイ
やったー!!
優しい人間さん、ありがとう///
花を食べるって勘違いしてるようだけど食べないよー!!
仔ほむと男は巣に向かって歩き出した。巣に近づくと花が飾ってあるのが男の目に入った。
「…そうか。この花は君の家族への手向けの花だったんだね。勘違いしてたよ。」ハナ、ソットオク
「ホミュン///」ペコペコ
「優しいんだね君は。これから大変だと思うけど、僕で良かったら力になるよ。」
「ホミュミューン///」
仔ほむはもうすっかりこの男を信用してしまっている。家族を埋葬し、食べ物を与えてくれ、家族に花まで手向けてくれた。しかもいじめないのだ。
両親の教えは間違っていたとさえ思うようになってきている。
「それじゃ僕は学校に行かなきゃ!! 僕の作ったお弁当を楽しみにしてくれてる彼女が居るんだ/// 別のクラスだから授業前に渡さないといけなくてね。」
「君にもそのうち紹介できるといいな。M市の子だから君の言葉もわかるしね。」
「ホミュウホミュウ///」
「また様子見に来るよ。バイバイ。」
「ホミュミュー♪」テフリテフリ
巣に帰って、仔ほむは幸せな気分になった。
お母さん達!! お姉ちゃん!! わたし、一人で生きて行く自信が出てきたよ!!
お母さん達には信じられないかもだけど…人間がみんなみんな悪いんじゃないと思うんだ…
あの人間さんは、すっごくいい人間さんだしね♪
だから…天国から見守っててね…
そうだ!! 次に人間さんに会ったらきちんとお礼をしよう!!
お花のアクセサリーなんて喜んでくれるかなぁ?///
今度は人間さんの番に会わせてくれるって言ってたよね…いいなぁ…
わたしも素敵なまどまど見つけなきゃね///
仔ほむはそんなことを考えながらサンドイッチにかじりついた。
「T久~!! 遅い~!! お昼抜きかと思ったー!!」
「J子さんごめんね。ちょっと用事があって…」
「もー…あ!! そういえばさ! 今日はM市の文化についての講演があるんだよ。T久にはいい機会だから聴いとけば?」
「そうなのかい? じゃあそうするよ。」
…これは今よりちょっと昔の物語…
…仔ほむはこれからどうなるのか…それはまた別のお話…