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その5

最終更新:

homuhomu_tabetai

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「…マドマドッ///」
「…ご主人様達が来るわよ///」

入り口から若まどの声がした…。


   …達ってことは…番もってことよね…わぁ…どきどきする…

仔ほむも入り口へ行き、若まどと並んで外を見る。

…すぐそこまで来ていた。


「マドーッ/// マドマド///」テテテテテ

若まどが走り出た…。それを見て仔ほむは少し妬けた…。


   さっきまでわたしの事しか見てなかったのにー!!
   くやしいー!! …でも…人間さん相手なら仕方ないかな…///
   …若まど…ホントに嬉しそう…あ!? …転んじゃった…あそこ…少し段差があるんだよね///


若まどはT久につままれて手のひらに乗せられた。服の汚れを払いながら若まどはT久になにか喋っているようだ。
T久がうんうんと頷いている…。昨晩と今朝の少しの時間しか『まどまど語』は練習していないのに、ある程度理解できるようになった様である。
たまにJ子がフォローを入れる…。『まどまど語』をマスターするのはもう時間の問題だろう…。


「…ホムラチャーンッ!!!!!!…」テフリテフリ

若まどが仔ほむに手を振る…。仔ほむもT久に近づいた。


「やあ、もう逃げようとしないんだね。…僕が本当は悪い人間だったらどうするんだい?」

「ホミューン!!! ホミュホミュ///」


   …人間さんは違うもん!! 優しい…いい人間だってわたし…知ってるもん///!!


T久はJ子に通訳を頼む…。


「…そうかい。ありがとう。あ! 僕の隣にいるのがJ子さん…昨日言った僕の彼女だよ。」

「…ミャロカァ? ホミュミュン///」ペコリ

「ははは、これはなんて言ったかわかったよ。たぶん」

「…J子だよ。…初めましてだね。」ピクッピクッ


仔ほむは喜んだ…自分の言葉が初めてT久に直接伝わった事に…。


   …人間さん…すごい!
   もうちょっとしたら…わたしの言葉…全部わかってくれるようになるかも…
   そしたら…いっぱい人間さんとお喋りできるね///楽しみだなぁ///


仔ほむは満面の笑顔を弾けさせた。


「それはそうと…さっき若まどに聞いたんだけど、もう番になったみたいだね。おめでとう。」

「ホミュッ!? ホミューン///」


恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして下を向いてしまった。


   …はずかしー/// でも…うれしー/// あ! お礼言わないと…番さん…じ? …ぢ? …なんだったけ?
   …ちゃんと伝えてね///
   …人間の名前って…覚えにくいし…言いにくいー!! …人間さんの名前…そういえば聞いてないな…



「…ミャロカァ!!! ホミュンホミュン///」ペコペコ
「ホミャッ!! …ホミャホミュ?」


J子が通訳する…少し機嫌が悪いように見える…。


   …わたし…変なこと言ったかな?…言ってないよね…?

…仔ほむは大変なことを言ってしまったことに気づかない…。


「…あぁ、そうだったね。僕はT久って言うんだ。…呼びやすい呼び方でかまわないよ。」

なにかに気づいてT久は予防線を張った…。J子がT久をにらむ…。T久は少し離れた…。


「…それでね。お祝いをしようと思うんだけど僕のうちに来ないかい?もちろん君が嫌ならそれはかまわないよ。」

「ホミュッ!?!?」

仔ほむは驚いた! それは自分が言おうとしていたことだったから。


「ホミュホミュホミュッ!!! ホミュー!!!」



J子が通訳しようとするのをT久はさえぎった。…『ほむほむ語』を早くも理解しだしたのだろうか…。


「よかった。じゃあ行こうか? 巣には明日の朝に戻してあげるよ。…それじゃ、若まどと一緒にここに入ってくれるかな?」

そう言ってT久は二匹を胸ポケットに案内した。さすがに二匹では少し窮屈そうだが、しっかり抱き合って収まる。




..................




…T久の部屋で二人と二匹はささやかなお祝いを行なった…。
仔ほむは幸せの真っ只中にいる…昨日、家族を亡くして独りぼっちになったことが嘘のようだ…。

はしゃぎ疲れて…仔ほむは眠くなってきた…。
するとT久が仔ほむと若まどを手に乗せて隣の部屋にあるケージの寝床に運んでくれた。


「ちょっと狭いかもしれないけどごめんね。次に来る時はもうちょっと大きなのを用意しておくからね。…おやすみ。」

T久はそう言うと部屋から出て行った…。若まども疲れたのか…もう眠ってしまっている…。

仔ほむは、そっと若まどの手を握ると目を閉じて…家族に心の中で語りかけた…。


   …お母さん達…お姉ちゃん…わたし…こんなに幸せでいいのかな…?
   昨日の朝…みんなが居なくなっちゃって…泣く事しかできなかったのに…
   今は…優しい人間さんに助けてもらって…かわいい番までできちゃった…

   …みんなが居ないことはホントに…とても寂しくて…悲しいけど…
   前を向いて進めって事…なんだよね…わたし…がんばるよ…

…仔ほむは、目頭が熱くなってきた…。続ける…。


   …まだ人間さんや…若まどにも言ってないんだけど…わたしのお腹に…
   …新しい命がいるの…初めての経験だけど…うん…わかるんだ…
   …お母さん達もわたしができたとき…こんな気持ちだったのかな…すごく…うれしいの…
   …若まどと力を合わせて…きっと良い子に育てます…
   …お母さん達やお姉ちゃんに目の前で見せられないのが残念だけど…
   …きっと…天国から…見てくれるよね…? …お願いね…

…仔ほむは眠ってしまった…。若まどと抱き合いながら…。




~一方、隣の部屋では…。

「あー!! 気分サ・イ・ア・ク!! T久!! 酒!!」グラスッ

…嵐が吹き荒れていた…。


「J子さん…飲み過ぎだよ…」

「…なんだと~!? あのチビがあたしのこと…なんて呼んでたと思う!?
 『ぢ・う○こ』だぞ!! 『ぢ・う○こ』!!
「ほむほむのクセに!! その場でよく踏み潰さないで我慢できたよあたし!! さっきも何度我慢したことか!! …ったく…T久のバカ!!」

「…なんで僕なんだい…? 全然普通に見えてたけど…。仕方ないね…あと一杯でおしまいだよ。」ビンカクス…

「ふざけるなー!! ビンよこせっ!! あんたが協力しろって言ったからじゃないか!! …あんたはさっさとアレの言葉、勉強する!!」グビグビグビ

「今日はもう無理だよ…寝てるし…通訳がこれじゃあ…」

「…今すぐ殺してやる…あのチビ!! 生ぬるい方法じゃ殺してやらないからな~!!…」ブツブツブツ

「…J子さんには…できるだけあの仔と仲良くなって貰えたらやりやす…「ふ・ざ・け・る・なー!!!!」ダンッ

「…あぁ…あたしがバカだったよ…協力なんてするんじゃなかったよ…。」グダグダグダ
「先に怒らせたのはあのチビだよ!? それでもまだ我慢しろってか!? …殺す…い・ま・す・ぐ・に…殺すー!!!」フンッ

「…でも、もうすぐだから…それからに…はい…ごめんなさい…」フゥ…


…T久はため息をついた…J子は一度決めたら譲らない…しかも今回は自分のプライドを傷つけられたのだ…これは収まらないだろう…。

   …参ったな…もう少しなんだけどなぁ…また最初から…かぁ…


…そう思ったとき…J子から予想外の提案が出た…。

「…じゃあっ!! 殺すのはあたしにやらせることっ!! そしたら我慢する!!」

「…わかりました…今週中には覚えられると思うよ…」

「よしっ!! …前に逃げられたことがあるから気をつけないとな!! あのチビは絶対に逃がさない…」フフフフフ…

「…料理に使おうと思うから…形だけは残しておいてね…」
「…今日は講義が無かったから…明日は先生に『ほ食』のこと、色々聞かないといけないな…」




..................




…仔ほむは夢を見ている…

…みんなでお花畑に居る夢を…
…母親達…姉…若まど…それに…小さな双子の姉妹…
…ちょっと離れて…こちらを優しい笑顔で見つめているT久の姿…

…しあわせ…これからはずっと…ふふふ…





~数日後…J子の弁当箱には新たな一品が盛り付けられた…T久の弁当箱にも…


~数週間後…講演で語るT久の姿が壇上にあった…


~数ヵ月後…それは創作料理として各家庭の食卓にも上るようになり…




~現在…『ほ食』は『ほ虐』と並び一般的なM市の文化へと発展している…



『完』




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