その2
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homuhomu_tabetai
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この仔ほむは、潰れたほむほむと…潰れたのとは別のまどまどの間に出来た仔だということだ…妹に仔まども居たらしい。
飼い主にも可愛がられていたがある日、まどまどが事故で死んでしまった…
主人に連れられて家族で散歩に出かけた時に、仔ほむと仔まどをかばってクルマに轢かれたらしい…。
仔ほむは助かったが…妹の仔まどは、まどまどと運命を共にしたということだ。
ほむほむに抱かれて…母と妹を泣きじゃくりながら呼んだことを苦しそうに話した…。
その事があって、仔ほむとほむほむは散歩に行かなくなったが…ある日、主人が新しいまどまどを連れてきた…それがさっき潰れたまどまどだ。
主人は仔ほむ達が可哀想だったのだろう…。
『ほむほむ元気出せ!ほら!新しいまどまどだぞ!仔ほむも!新しいお母さんだぞ!』
…と言って連れてきたようだ。
…しかし…連れてきたまどまどがいけなかった…主人が言うには、たまたま公園でアイスを食べてたら近寄ってきた。ちょうどいいと思い捕まえたと…。
…明らかに野良…しかもさっきの態度を見る限り…かなりのゲスまどだ…。恐らく餌を寄越せと言ってきたのだろう…。
仔ほむは…自分の親だったまどまどは、ほむほむと一緒に主人が店で買ってきたまどまどだと聞いていた。とても優しかったそうだ。
ほむほむも最初は新しいまどまどを相手にしなかったが…まどまどの執拗なアタックに…ついに堕ちてしまった…。
…まどまども必死だったに違いない…ほむほむに気に入られないと主人捨てられるかも知れないから。
それを見て仔ほむは悲しい気持ちになったと言う。
「…ホミャミャー…」ポロポロ…
一度堕ちてしまえば後は早かった…数日後には、仔ほむに二匹の妹が出来た…。主人はとても喜んだということだ…。
まんまと主人に気に入られたまどまどは味を占めて元々の野良根性を出し始めた。
最初は遠慮がちに餌を貰っていたが…とうとう主人に命令するようになった。
それでも主人はまだ家族が可愛かったのか…『そんな言葉はダメだぞ』と言いながらもきちんと餌を与えてくれた…。
やがて…まどまどの影響は徐々にほむほむにも伝わっていき…捨てられる直前にはまどまどと同じように命令口調になってしまった…。
そんな親に育てられた妹達ももちろん親の真似をする…仔ほむはそれがイヤだったみたいだが…。
まどまどの方も、連れ子の仔ほむには辛くあたった…人間の世界でもよくある構図だ…。
まどまどは…まず餌は自分の仔達、次に自分とほむほむ…余ったらやっと仔ほむの番だと言い放った…。
…仔ほむはやがて…母親のほむほむとも話さなくなり…ゲージの隅で泣く毎日だったらしい…。
「…ミャロカァ…」グスッグスッ…
…その日は突然やってきた…。
夕方、餌の時間になって仔ほむ以外の家族が騒ぎ出すと…いつもは困ったような顔で餌を出す主人がニコリともせずに近づいてきた…。
そして…主人はゲージを乱暴に掴むと外に出て…家族はこの公園まで連れてこられた…そこでケージが開けられ…。
「…ホミャー…」フルフル… ポロポロポロ…
仔ほむは震えながら話す…そして…俺が質問しようとしていたことを自分から率先して話し出した…。
もう暗くなってきた公園で…ご主人様は家の中から家族を一匹ずつ掴むと…地面に投げつけるように捨てたの…。
投げられながら私は…『何故!?どうして!?』という言葉が頭の中を駆け巡った…。
「…待ってご主人様!!置いていかないで…なぜ?…どうして…こんなことに…」
地面に落ちた痛みも忘れて叫びながら…去っていくご主人様の後ろ姿を見る…でも…ご主人様は振り返ってくれなかった…。
私が呆然としていると、継母が妹達を助けながら近づいてきた…そしてこう言ったの。
「ほらアンタ!なにボーっとしてんの!?さっさと家になりそうなものを探しに行くよ!」
…って。
…私は意味が分からず…継母の顔をじっと見る事しか出来なかった…。
「…まったく…使えない子だね…みんな!行くよ!」
そう言って継母は私に背を向けて…おろおろとしているお母さんや妹達に声をかけて歩き出した…。
私もハッとして…ヨロヨロと立ち上がった……置いていかれたら死んじゃうって…思ったから。
それからしばらくして…お家になりそうな箱を継母が見つけて…私達は中に入っていった…でも…そこにももう、私の場所は無くなってしまっていた…。
野良の経験があるのは継母だけだったから…お母さんは継母に頼りきりになって…私には見向きもしなくなった…。
妹達も同じ…自分達の役に立たない姉は視界に入っていないみたいな態度だった…。
それで…私はまた、お家の隅っこで眠るようになった…お腹が減ったらお家から出て…自分で取った虫さんや草を食べたの。
妹達はお母さんと継母が取ってきた食べ物を食べてた…この間は大きな虫さんを持って帰って食べてたの…もちろん私は食べさせてもらってない。
そして…昨日の夜…。
「今は暖かいから、まだ虫や草があるけど…ずっとあるわけじゃないよ!…食べ物を集めないとね!」
急に継母が言い出したの。
「ホムホム!?!?」ソウナノ!?
お母さんは動揺してた…ずっとご主人様に飼われて生きてきたから…そんなこと知ってるわけない…私も心の中で驚きながら聞き耳を立ててた…。
「今までみたいに虫や木の実も集めるけど…人間から貰う方が早いのよ!それは分かるわよね?」
家族みんなが頷く…私も頷きかけてしまったけど…。継母の事は大嫌いだけど…言ってることは合ってると思った。
『…ご主人様がくれた食べ物が懐かしい…』そう思ったわ…。
「だから…明日になったら人間に近づいて食べ物を貰いに行くよ!大丈夫///人間なんてちょっと脅かしたらすぐ食べ物を出すんだから///」
『…ホントかな?…そんなにうまくいくのかな?』って思ったけど…私は何も言える立場じゃなかったし…お母さん達は継母に頼りきりだったし…。
…そうして…今日になったの…。継母はまだ眠いって愚図る妹達を珍しくたたき起こして、お母さんも連れて一緒に食べ物を探しに行こうとしてた。
私は隅っこで寝てるフリをしてたけど…継母が出かける直前に…。
「さっさと起きな!アンタも食べ物を探して来るんだよ!!まったく…役立たずが…」
…って言いながら、私の背中を蹴ったの…妹達は笑ってたわ……すごく…すごく惨めな気持ちになって…継母達が出て行くまで泣いてた…。
お母さんはその間、私をジッと見てたけど…何も言わないで継母の後を追いかけてった…。
私はお母さんの背中を見送ってから…お家を出たの…そうして一人で虫さんや草や木の実を探してた…。
お日様が頭の真上に来るまでは、人間がここにあんまり来ないけど…何回か他の人(ほむまど?)に食べ物を横取りされたわ…。
でも…私は私なりに一生懸命集めたのよ…。
『私の食べ物は私のよ!絶対に継母達にはあげないんだから!』って思いながらね…。
…そうして食べ物探しに夢中になってると…後ろから声をかけられた…。驚いて振り向くと…そこにはお母さんが居たの…。
「頑張ってるね///…お前も大きくなったね///」
そう言って…私の頭を優しく撫でてくれた……懐かしいお母さんの感触に私は…涙があふれて止まらなくなっちゃって…。
「…ホミュゥ…」ポロポロポロ…
…思い出してまた…仔ほむは泣き出した……しばらく泣いてから…小さな手でゴシゴシと目をこすり…また話し出す…。
お母さんは私の頭を撫でながら…こう言ったわ…。
「泣かないの…よしよし///さぁ…もう大丈夫?」
「…ホミャ…」コクン…
「いい子ね///…それじゃ、お日様が真上に来たから…お母さんは人間に食べ物を貰ってくるからね…」
「…どうしたの?…大丈夫よ///まどまども居るから安心して…お前はあんまりまどまどを好きじゃないみたいだけど…ああ見えて頼りになるんだから///」
でも私はなぜか胸騒ぎがしたの…それをお母さんに見透かされて…。
「…まったく…心配性だね…。それじゃ、お前も一緒に来るかい?」
…一緒に行きたい…でも…継母には近づきたくない…私は返事に困った…。
「…ふぅ…。じゃ、こうしよう!お前は少し離れて着いて来なさい。まどまどには内緒にしといてあげるから///」
…それなら…いっか…私はお母さんの顔を見て頷いた…。
「よし!それじゃ、先に行くから!ちゃんと着いて来なさいよ///…まぁ…えらそうに言ったけど、まどまど任せなんだけどね…お母さんも///」
そう言ってお母さんは先に歩き出して…私は少し離れて着いて行った…しばらく歩いたら継母と妹達が居たから…草の中に隠れたの…。
お母さんと継母は何か話してたけど…私には聞こえなかった…それから継母が先頭に立って歩き出し…妹達…お母さんの順に歩き出した…。
少し行くとお母さんは振り向いて…私の隠れてる草に向かって手招きしてくれたの…私はなにか…暖かいものがこみ上げてきて…また泣きそうになっちゃった…。
…ずっとお母さん達の後ろを着いて行った…そしたら…人間が食べ物を食べているのが見えたの…お母さん達は迷わずその人間に向かって歩いていった…。
~~~~~~~~
「…その人間が…俺だったのか?」
「…ホミュン…」コクン
…まさか…この仔ほむにそんな出来事があったなんて…いやいや…参った…。
俺は大きくため息を吐き出して…また仔ほむを見た…。仔ほむはまっすぐに俺を見返す…。
…ん?…もう一つ…疑問があるぞ…。
「…なぁ…俺はお前の家族を殺した人間だぞ…どうして逃げないで俺の前に出てきたんだ?」
「…ホミュミュー…」…ソレハ…
「…それは?」
…まさか…飼ってくれとか言い出さないだろうな…?
んー…でも…こいつなら…飼ってやってもいいかもな…ほむほむの命なんざ知れてるが…こいつ…ちょっと可哀想だしなぁ…。
返事を待つ間に俺は考える…こいつが答えるより先に飼いほむにならないかと言ってみるか…と思った時に……仔ほむが口を開いた…。
…それは…俺の予想を大きく超える返答だった…。
…ホミュ…
……
…………
………………
「…私を…殺して貰うため…人間に……家族を殺した…あなたに…」
「…なんだ…と!?」
俺はあっけに取られた…こいつらは…毎日必死に生きるために…生きてるんじゃないのか!?…それが…殺せ…だと!?
…いや…死ぬか生きるかの怪我をしたほむほむなら…殺せと言うのは分かる…しかし…こいつは…怪我なんかしていないぞ…。
「…なぜだ!?どうしてお前は…死にたいんだ?…どうして…俺なんだ!?」
…仔ほむは少し考えるような仕草を見せ…こう答える…。
「…もう私…疲れちゃった……私の心の中には…なんにもない…お母さん達も…妹も…ご主人様も…」
「…今…私の目の前には…大好きだったお母さんと…私達をこんな目にあわせる原因になった継母を…殺した人間が居る…だから…」
「…だから…自分の最後は自分で決めたい……できれば…最後に昔に戻ってくれた…お母さんのそばで…お母さんと同じように……死にたい…」
「…さぁ…殺して…お母さんのそばで……」
…俺は…仔ほむを見ているが…その姿が……霞んできた……あれ!?…おかしいな…なんで…だ…。
「…俺がお前を飼ってやる!!…な!?な!?そうしろ!!絶対にそうしろよっ!!」
…さっき思った言葉を仔ほむに投げかける…しかし…仔ほむは寂しそうに微笑んで…首を振った…。
「…ありがとう…でも…その気持ちだけで…いい///」ニコッ
「…どうしても…ダメなのか?」
「…うん…これが私の…意地だから…いろんな事に振り回された…私の…意地…」
「…俺は…お前の意思なんか関係なく…連れて行くことも出来るんだぞ!!」
…仔ほむはまた…寂しげに微笑んでいる…。
「…そんな事は…やらないと思う……なんとなくだけど…そう思うの…」フフッ…
…俺の…完敗だ……涙で顔をグチャグチャにした俺にはもう…こいつの意思を踏みにじってまで連れ去るなんて事は…出来ない…。
…こいつは…こんなに小さいのに……たくさんつらい事を味わってきたんだ…その意思を…尊重してやろう…。
「…ちきしょう……わかった……本当に…いいんだ…な…?」
「…ホミュン…ホミュホミュ…」…ハイ…オネガイチマチュ… ニッコリ///
…仔ほむはさっきとは違う……満面の笑みでほむほむだった遺骸の横に立ち…スッと寝そべった…。
「…なにか…言い残す事はないか?…聞いてやるぞ…」
「…ホミャミャン……ホミュ…」…アリガチョ……ニャイヨ…
笑みを浮かべたままそう言って仔ほむは目を閉じた…閉じた瞬間に…一筋の涙が零れ落ちた…。
『…私の本当の家族……私もすぐに逝くから…待っててね…』
…そんな声が聞こえた気がした…。
…俺は…ゆっくりと足を上げた……仔ほむはもう動かない…。
「…んっ!!」ググッ!!
…ホミ… ……ポン………
…また靴底から…感触が伝わってきた…小さな袋が破裂したような…感触が…。
「…くっ…うぅっ!!」
…俺は立ち上がり…ベンチを離れた…。
…ベンチの周りには蟻が……長い…長い…行列を作っていた…。
「終わり」