QB『まったく、呑気なものだ』

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作者:zoIQDcBT0

188 名前:1レス借ります[sage saga] 投稿日:2011/08/18(木) 16:00:02.62 ID:zoIQDcBT0



まどまど「キューベー!  キューベー!」キャッキャッ

キュゥべえが左右に尻尾を揺らす。

小人の少女は大袈裟に喜びながら白毛の塊を追いかける。

QB『まったく、呑気なものだ。分かっているのかい? 君のご主人様はもう』

そのとき、キュゥべえの言葉を遮るように勢いよく扉が開かれた。

ほむら「今戻ったわ。外は砂嵐がひどくて大変……」

部屋の主が戻って来たのだ。

まどまど「ホムラチャン!」トテテ…

QB『何だ、生きてたのか。てっきりもう帰ってこないとばかり』

ほむら「声を聞いたの」

QB『うん?』

ほむら「まどかの声」

QB『はぁ……それは幻聴だ。概念に意思など無い。まして言葉を発するなど』

まどまど「ダッコ! ダッコシテ!」ハヤクハヤク

ほむら「はいはい、ちょっと待っててね。この子は元気にしてた?」

QB『……元気も元気。五月蠅いくらいさ。見れば分かるだろ』

ほむら「そう。ごめんね、待たせちゃって。はい、登ってきて」

まどまど「マドホムッ! ホムマドッ!」キャッキャッ

QB『やれやれ』

キュゥべえは目の前の光景をぼんやりと眺めながら小さく溜め息を吐いた。

自分はこんなところで何をしているのだろうかと。

暁美ほむらを除き、人類は全て死滅している。

現在、地球上に存在する知的生命体は彼女と自分と、この奇形の小動物だけだ。

QB『ほむら、一緒に来るんだ。インキュベーターの技術をもってすれば、君の細胞から新たな人類を生み出すことくらい容易い』

ほむら「ダメよ、あの子と約束したもの。この世界を守るって」

QB『もう十分だろう? 守るべきものなど、もう何も残ってない』

ほむら「それに、私がいなくなったら、あの子は一人ぼっちになってしまうわ」

QB『概念に感情なんてない。そもそも生きてすらいないんだ』

ほむら「いいえ、まどかはすぐ傍にいる。リボンの一対がこの不思議な小人さんに変わったとき、確かにまどかの存在を感じたの」

QB『ほむら、君は重度の精神疾患に陥っている』

まどまど「ケンカダメッ! メッ!」ムスッ

ほむら「ふふっ、ケンカなんてしてないわ。私たちは仲良しよ。ねえ?」

QB『……』

まどまど「ナカヨシ! ミンナイッショ!」ニコニコ

彼女の世界は自分の中だけで完結してしまっている。

ほむら「汚れちゃったから、お風呂先にもらうわね。あなたも一緒に入る?」

まどまど「ホムホムッ!」ムフー

QB『遠慮しとくよ。君たちだけで楽しむといい』

失った親友と近似した生物と共に、夢想の中を生きることができれば、彼女はそれで幸せなのだろう。



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