概要
このページでは、学習全般に関わる内容を扱う。
循環的段階モデル
循環的段階モデルでは学習過程を予見段階、遂行段階、自己内省段階と分類しており、このwikiの学習前、学習中、学習後はそれぞれこれらに対応している。
予見段階は、学習に先行し、学習を調整する準備と意欲に作用する学習過程と
動機づけの源のことである。
遂行段階は、学習中に生じ集中と遂行に作用する過程である。
自己内省段階は、学習の結果に作用する過程である。
下記でそれぞれの段階の概略を説明するが、自分の勉強攻略方法を考えるときにも、これらの段階に応じて、工夫を検討すると漏れなく、効率的に考えることができるだろう。
予見段階
予見段階は、「課題分析」と、「自己動機づけ」から構成される。
課題分析は、学習課題とその内容を構成要素に分け、この要素についてすでに知っていることを活用して自分なりの作戦を作ることである。
課題分析は、さらに
目標設定と方略計画の2からなる。目標設定は、「1時間の勉強時間に問題を1ページ解く」などのように、達成すべき結果(つまり目標)を設定することである。方略計画は、効率的な学習方法を選択したり組み立てることである。
自己動機づけは、自分ならうまく攻略できるという「自己効力」や、社会的承認(みんなに認められること)を得ることや望ましい地位(○○大学に入って医者になるなど)を獲得することのような自分の将来の目的に関する「結果予期」や、その課題が好きや嫌いといった「課題興味/価値」などからなる。
遂行段階
遂行段階は「セルフ・コントロール」と「自己観察」から構成される。
セルフ・コントロールはには、課題(学習の対象)固有の戦略である「課題方略」と多くの課題に共通して使える戦略である「一般方略」とがある。
一般方略には、例えば教材を読みながら自分自身に質問するような「自己指導」や、文章情報を視覚的な図に変える「イメージ化」、ゲーム要素を増やしてありふれた課題を魅力的にする「関心の喚起」などが含まれる。
自己観察には、自分がどのように勉強しているかとその結果として何をどのように学んだかということを考える「メタ認知モニタリング」と。学習過程や結果を記録する「自己記録」がある。
自己内省段階
自己内省段階は、「自己判断」と「自己反応」の二つからなる。
自己判断は、自分の学習した結果を目標などと比較する「自己評価」や、なぜそのような結果になったか(能力の問題か、努力が足りなかったか、やり方がよくなかったかなど)を推測する「原因帰属」からなる。
自己反応は、自己判断に対してどう感じるかといった「自己満足あるいは感情」と、選んだ勉強方法を続けるかそれとも修正するか、または努力をやめてしまうかといった「適応的決定あるいは防衛的決定」からなる。
各段階における初心者と上級者の特徴
学習の各段階において、初心者と上級者では次のような差があるという。
自分に足りない要素を見つける参考になるだろう。
自己調整の段階 |
初心者 |
上級者 |
予見 |
一般的な遠い目標 |
特定の階層的目標 |
遂行目標志向性 |
習得目標志向性 |
低い自己効力感 |
高い自己効力感 |
興味がない |
内発的興味 |
遂行 |
定まらないプラン |
遂行に集中 |
セルフ・ハンディキャッピング方略 |
自己指導/イメージ化 |
結果のセルフ・モニタリング |
過程のセルフ・モニタリング |
自己内省 |
自己評価を避ける |
自己評価を求める |
能力帰属 |
方略/練習帰属 |
マイナスの自己反応 |
プラスの自己反応 |
不適応的決定 |
適応的決定 |
基本テクニック
自己調整学習
基本テクニックとしては、自己調整学習方略が役に立つだろう。
自己調整学習方略とは、学習を効果的に進めるために個人内の認知的過程(頭の中で何を考えたかということ)、学習行動、学習環境といった側面を自己調整する方略(戦略)のことを言う。
Zimmermanは実証的な研究結果に基づいて次の表のように自己調整学習方略のカテゴリーを列挙している。
方略のカテゴリー |
方略の内容 |
自己評価 |
取り組みの進度と質を自ら評価すること。 |
体制化と変換 |
学習を向上させるために教材を自ら配置しなおすこと。 |
目標設定とプランニング |
目標や下位目標を自分で立てること。目標に関する活動をどのような順序、タイミングで行い、仕上げるかについて計画を立てること。 |
情報収集 |
課題に関する情報をさらに手に入れようと努めること。 |
記録をとることとモニタリング |
事の成り行きや結果を記録するように努めること。 |
環境構成 |
学習に取り組みやすくなるような物理的環境を選んだり整えたりすること。 |
結果の自己調整 |
成功や失敗に対する報酬や罰を用意したり想像したりすること。 |
リハーサルと記憶 |
さまざまな手段を用いて覚えようと努めること。 |
社会的支援の要請 |
仲間、教師、大人から援助を得ようと努めること。 |
記録の見直し |
授業やテストに備えて、ノート、テスト、教科書を読みなおすこと。 |
またPintrichは次の表のように自己調整学習方略のカテゴリーを列挙している。
上位カテゴリー |
下位カテゴリー |
方略の内容 |
認知的方略 |
リハーサル |
学習内容を何度も繰り返して覚えること。 |
精緻化 |
学習内容を言い換えたり、すでに知っていることと結び付けたりして学ぶこと。 |
体制化 |
学習内容をグループにまとめたり、要約したりして学ぶこと。 |
批判的思考 |
根拠の別の考え方を検討すること。批判的に吟味して新しい考えを得ようとすること。 |
メタ認知的方略 |
プランニング |
目標を設定し、課題の分析を行うこと。 |
モニタリング |
注意を維持したり、自らに問いかけたりすること。 |
調整 |
認知的活動が効果的に進むように継続的に調整をはかること。 |
リソース管理方略 |
時間管理と環境構成 |
学習のプランやスケジュールを立てて時間の管理をすること。学習に取り組みやすくなるように環境を整えること。 |
努力調整 |
興味がわかない内容や難しい課題であっても取り組み続けようとすること。 |
ピア・ラーニング |
仲間とともに学んだり、話し合ったりして理解を深めること。 |
援助要請 |
学習内容がわからないときに教師や仲間に援助を求めること。 |
3サイクル反復速習法、1分間ライティング
「脳にまかせる勉強法」の著者である池田義博は、効率的な勉強法として「3回読んで1分書く」だけという、3サイクル反復速習法と1分間ライティングを組み合わせた勉強法を勧めている。
3サイクル反復速習法とは、次の手順で行う方法である。
① |
1ページ目を読む |
② |
もう一度1ページ目を読む。2ページ目を読む。 |
③ |
もう一度1ページ目を読む。2ページ目を読む。3ページ目を読む。※1ページ目は3回読んだので終わり |
④ |
2ページ目を読む。3ページ目を読む。4ページ目を読む。※2ページ目は3回読んだので終わり |
⑤ |
順次3決めた範囲内のページを3回読むまで続ける。この際、理解ではなく「ハイスピードで読む」ことに徹する。わからないところはとりあえず頭に入れておくだけ。 |
⑥ |
1ページから順に全範囲をさらに加速して読む。この時①~⑤のように3回読む必要はなく1回ずつ読む。 |
⑦ |
もう一度、⑥のように順に全範囲を加速して読む。 |
この方法の優れたところは、スピードを重視することで、短期間で全範囲を終わらせ、その時点で3回学習できているというところであるという。
また、単に読んで終わりではなく試験などアウトプットの結果が重要な場合には、事前に言葉としてアプトプットできるか確認する必要があり、そのための勉強法として「1分間ライティング」を勧めている。やり方は次のとおりである。
① |
3サイクル反復速習法を行った次の日に行う。理想は次の日の朝。 |
② |
紙とペンを用意する。 |
③ |
3サイクル反復速習法で覚えた範囲に出てきたキーワードを一つ決める。キーワードは問題の形でもよい。 (例)「メソポタミア文明とは何か?」 |
④ |
キーワードをスタート地点として関連事項をどんどん文にしていく。特に「単語」ではなく「文章」で書くようにする。関連すると思われることはなんでも思いついたまま書く。肩の力を抜いて手を止めずに書き続けることが重要。 (例)「ティグリスとユーフラテス川の流域にできた文明で人類最古で農耕や牧畜を始めたのもこの文明。であとはあとは青銅器と文字、文字は何だ、忘れた。あの、あれだ、とんがった形のvみたいな、あのあれはでてこない、でてこい、くさび形文字!そしてエジプトとオリエント文明の仲間で・・・」 |
⑤ |
1分間書き続けたら終わり。 |
⑥ |
試験に足りるレベルで書ききれなかった場合には、その範囲を1分間ライティングの直後に1度だけ読み直す |
参考にした本

自己調整学習に関しても網羅的に記載された入門書。
この分野について最初に読むならこれ!

3サイクル反復速習法ほか、池田氏がオススメする
記憶術や勉強法が説明されています♪
みんなの攻略方法
実践テクニックを紹介する欄。
※管理人も収集した情報を書き込みますが、読者も自由に追記してくださいね♪
(記載例)【10代 高校生 佐藤太郎(ニックネーム)】
私は、○○の時には○○することで○○しています。
【学研オンエア】
https://gakkenonair.gakken.jp/column/howtostudy/
効率の良い勉強の方法10選。
①時間帯別勉強法
起きてから3時間は、睡眠によって脳がリセットされるため、数学の計算問題などの集中力や思考力が必要な勉強に向いています。
また、記憶は寝ている間に整理されるため、寝る前の時間に暗記科目の勉強をするのが効率的です。
②音読勉強法
声を発することで脳に刺激を与えることができますので、教科書を音読することで勉強に対するやる気を引き出すことができます。
音読した声を耳から聴くことで、耳からも情報が入ってきますので、暗記科目に向いた勉強方法です。
③文章録音勉強法
教科書を音読した内容をスマホなどで録音しておき、それを通学やお風呂の時間に聞き返して勉強するのも効果的です。
どうしても勉強を始める気が起きないという時も、すぐに勉強を開始できるのが文章録音勉強法のメリットです。
④隙間時間勉強法
通学の時間はもちろん、部活の集合時間までのちょっとした待ち時間など、生活の中には多くの「隙間時間」があります。
暗記したい単語をまとめた単語帳などをポケットに入れておき、隙間時間を無駄にせずに活用することで、勉強時間が取りにくい方にも効果的です。
⑤教科書7回読み勉強法
試験に出題される問題や内容は、基本的に教科書に書かれています。
漫然と教科書を読むだけではなく、3回目までは教科書の内容を読み、4回目〜7回目までは書かれている内容をさらに理解するように合計7回読むことで、教科書に対する理解度を向上させられます。
⑥逆算勉強法
試験の日は前もって決まっています。
テストの日から逆算して計画を立てて、いつからいつまでにどこまで勉強を進めておけば良いかという勉強計画を立てるようにしましょう。
⑦チームメイキング勉強法
1人で勉強するよりも、友達と一緒に「チーム」を作り、励まし合いながら勉強することでモチベーションがアップします。
学校で一緒に勉強する友達が居ない方は、SNSなどで「今日も頑張ろう」と言い合えるフォロワーを作るだけでも効果的です。
⑧ストップウォッチ勉強法
制限時間を設けて勉強するストップウォッチ勉強法を行うことでテスト本番と同じ緊張感で勉強に取り組めます。受験では制限時間内で問題を解く力が求められます。 また、時間をストップウォッチで計り、勉強時間を積み上げていくことで、自分が勉強した時間を見える化すれば大きな自信につながりやすくなります。
⑨ミニマム勉強法
勉強を頑張ろうと思って、たくさんの問題集を買い集めて、それだけで満足したという経験があるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
ミニマム勉強法では、1冊の問題集をまず解答を見ながら解き、解答を見ないと解けなかった問題だけを勉強することで、最小限の時間で勉強する方法です。
⑩ポモドーロテクニック勉強法
人間が高い集中力を維持できるのは、長くても30分程度と言われています。
ポモドーロテクニックという手法では、25分勉強して5分休憩することを細かく繰り返すことで、集中力を継続し続ける効果が期待できます。
【家庭教師のゴーイング 代表 齋藤 義晃】
https://www.going-100ten.com/column/study/grow/1482/#reading
〇やってはいけない勉強法15選/正しい勉強15選
ダメな勉強法①解答を丸暗記
ダメな勉強法②集中できない環境で勉強する
ダメな勉強法③今の学力を知らずに勉強する
ダメな勉強法④計画を立てただけで終わる
ダメな勉強法⑤受験に特化した勉強をしていない
ダメな勉強法⑥多くの参考書に手を出す
ダメな勉強法⑦学校の先生の授業を聞かない
ダメな勉強法⑧模試の解き直しばかりしている
ダメな勉強法⑨ノートが異常にきれい
ダメな勉強法⑩わかる問題ばかりしている
ダメな勉強法⑪自習室でしゃべってしまう
ダメな勉強法⑫インプットばかりしてしまう
ダメな勉強法⑬勉強の順番を間違える
ダメな勉強法⑭勉強時間が長過ぎる
ダメな勉強法⑮正しい勉強法を知らずに勉強してしまう
正しい勉強法①集中できる環境を作る
正しい勉強法②まず計画を立てる
正しい勉強法③毎日の進行具合をチェックする
正しい勉強法④適度な休憩をとる
正しい勉強法⑤ラーニングピラミッドを理解する
正しい勉強法⑥忘却曲線を理解する
正しい勉強法⑦参考書の内容を理解しながら解く
正しい勉強法⑧余裕を持って勉強する
正しい勉強法⑨全体像を理解して進める
正しい勉強法⑩テスト前に学校テキストをやり込む
正しい勉強法⑪1つの参考書を必ずやり遂げる
正しい勉強法⑫時期にあった勉強をする
正しい勉強法⑬人に教えて理解度を増す
正しい勉強法⑭得意科目だけをやらない
正しい勉強法⑮誰かに勉強をチェックしてもらう
【STUDY HACKER】
https://studyhacker.net/how-to-study
〇効率のいい勉強の仕方に必要な「AGESモデル」
1.Attention(集中):注意を分散させず、ひとつの対象に集中する
2.Generation(生成):新しい知識を、以前からの知識とつなげる
3.Emotion(感情):感情を動かす
4.Spacing(間隔):時間を空けて復習する
〇AGESを取り入れた勉強の仕方4選
1.オランウータン勉強法
オランウータンに向かって自分の考えを説明しても、相手はまったく理解できないでしょう。しかし、教えたあとには自分自身の理解度が高まっているはず。
この「オランウータン効果」は復習にも使えます。新しいことを学んだら、誰かに向かって話してみてください。
家族でも、ぬいぐるみでも、想像上のオランウータンでもかまいません。「できるだけわかってもらえるように話そう」と意識すれば考えが整理され、記憶として定着しやすくなるでしょう。
2.ファインマン・テクニック
新しい知識を学んだあとは、何も見ず紙の上に再現してみましょう。この勉強法は「ファインマン・テクニック」といいます。
- よく理解できている箇所がわかる
- あまり理解できていない箇所がわかる
- 理解できていない箇所だけ重点的に復習できる
などのメリットがありますよ。ファインマン・テクニックのやり方は次のとおりです。
- 紙の一番上に、学んだテーマを書く
- 人に教えるように、平易な言葉で説明を書く
- 書いた説明を読み返す
- 理解の浅い箇所は、本やノートで復習する
- 専門用語や難解な言葉を多用した説明は、シンプルに書き直す
3.録音勉強法
学習内容について自分でしゃべった音声を録音し、スキマ時間に聴き返す「録音勉強法」。電車やバスでの移動中にも勉強できますよ。
音声を録音する際、「知識を自分なりの言葉でアウトプットする」というプロセスを経るため、記憶が定着しやすくなります。外国語の学習にもいいですね。
60歳で医師国家試験に合格した内科医・水野隆史氏も、録音勉強法を実践していました。仕事の前、朝の散歩中に、録音した自分の声を1.5〜2倍速で聴いていたそうです。
あなたも、スマートフォンの録音アプリを使い、録音勉強法をやってみませんか? 水野氏のように、1.5~2倍速で再生するのがおすすめです。
4.インターリーブ学習
AGESのうちGenerationに特化した勉強法として「インターリーブ学習」があります。ひとつのテーマを長時間学び続けるのではなく、関連した別のテーマに切り替える勉強法です。
全日本不動産協会埼玉県本部によると、宅地建物取引士(宅建)の試験科目は4つ。
試験に向けてインターリーブで勉強するなら、こうなります。
「権利関係」を30分勉強
「宅建業法」を30分勉強
「法令上の制限」を30分勉強
「税・その他」を30分勉強
「権利関係」を30分勉強……
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最終更新:2023年02月27日 05:40