崩壊学園wiki
1-3 謎の突破
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バビロン学園の広場で、2人は憤慨するミーミルに会った。同じ頃、謎めいた彼女は……。
バビロン学園、グラウンド横。
シィル
先輩……あそこにいるのはミーミルさんみたいです——
先輩……あそこにいるのはミーミルさんみたいです——
ミーミル
あっ——来たのね。ちょうど私もあなたたちを探していたの!
あっ——来たのね。ちょうど私もあなたたちを探していたの!
ペルセポネー
私たちを探していた?でも、ミーミル、さっきはあなたからどこかへ行ったんでしょう。
私たちを探していた?でも、ミーミル、さっきはあなたからどこかへ行ったんでしょう。
ミーミル
うっ……ごめんなさい!さっき、ある「証拠」を見て、すぐにある人が思い浮かんだの。それで、慌てて彼女を問い詰めに行ったのよ。
あまりに慌てていて……あなたたちに説明する余裕がなかったの。
うっ……ごめんなさい!さっき、ある「証拠」を見て、すぐにある人が思い浮かんだの。それで、慌てて彼女を問い詰めに行ったのよ。
あまりに慌てていて……あなたたちに説明する余裕がなかったの。
ミーミル
……あなたたちも耳にしているようね。
……あなたたちも耳にしているようね。
→手に入れた他の証拠をミーミルに見せる
ミーミル
やっぱり!やっぱりそうよ!すべての証拠があいつを指示している!見て、きっとあいつが上の階に上がって、私のデザイン画を持っていったのよ!
私とアルベリッヒは鍛冶職人の家——ニーベルングの出身なの。でも、私は火や鉄なんかに全く興味がないわ。私にとっては、華やかな服こそ、世界で一番美しいものなのよ。
だけど、アルベリッヒのヤツは私と違う。あいつは純粋な「ニーベルング」よ。プレス機や金型用の作業台に触れただけで目を輝かせるの。
だから私のこと、私の趣味、私の目指しているものをまったく理解してくれない……。
やっぱり!やっぱりそうよ!すべての証拠があいつを指示している!見て、きっとあいつが上の階に上がって、私のデザイン画を持っていったのよ!
私とアルベリッヒは鍛冶職人の家——ニーベルングの出身なの。でも、私は火や鉄なんかに全く興味がないわ。私にとっては、華やかな服こそ、世界で一番美しいものなのよ。
だけど、アルベリッヒのヤツは私と違う。あいつは純粋な「ニーベルング」よ。プレス機や金型用の作業台に触れただけで目を輝かせるの。
だから私のこと、私の趣味、私の目指しているものをまったく理解してくれない……。
シィル
で、でも、アルベリッヒは実の姉妹なんだから……。
で、でも、アルベリッヒは実の姉妹なんだから……。
ミーミル
フンッ——何が実の姉妹よ!
私のデザイン画を盗んだのはあいつよ!
フンッ——何が実の姉妹よ!
私のデザイン画を盗んだのはあいつよ!
ペルセポネー
……ミーミル、もう彼女を問いただしたの?
……ミーミル、もう彼女を問いただしたの?
ミーミル
そうよ!さっき飛び出していって、家であいつを見つけたの——最初は認めていなかったけど、私が事務室に服の裾の切れ端があったと言ったら、すぐさま自分の服を触っていた。あの表情がすべてを物語っていたわ!
そしたら、昨日のお昼に事務室に来たことは認めたんだけど、デザイン画を盗んだことはどうしても認めないの——そんなのは信じないわ。デザイン画を盗むためでなければ、事務室に何をしに来たっていうのよ!
フンッ、裁縫部をやめさせるために、こんなことまでするのよ。何が姉妹よ!
そうよ!さっき飛び出していって、家であいつを見つけたの——最初は認めていなかったけど、私が事務室に服の裾の切れ端があったと言ったら、すぐさま自分の服を触っていた。あの表情がすべてを物語っていたわ!
そしたら、昨日のお昼に事務室に来たことは認めたんだけど、デザイン画を盗んだことはどうしても認めないの——そんなのは信じないわ。デザイン画を盗むためでなければ、事務室に何をしに来たっていうのよ!
フンッ、裁縫部をやめさせるために、こんなことまでするのよ。何が姉妹よ!
シィル
うーん……だけど……。
うーん……だけど……。
ミーミル
でも、本人が認めようとしないなら構わないわ——もう一度デザインしてみる。素晴らしいものはできないでしょうけど、去年のレベルのようなものはデザインできるはずだから。
——とにかくアルベリッヒのヤツよ。これからはもう二度とあいつと口をきかないんだから!
でも、本人が認めようとしないなら構わないわ——もう一度デザインしてみる。素晴らしいものはできないでしょうけど、去年のレベルのようなものはデザインできるはずだから。
——とにかくアルベリッヒのヤツよ。これからはもう二度とあいつと口をきかないんだから!
シィル
……ミーミルさん……。
……ミーミルさん……。
ペルセポネー
……そうなのね。
ミーミル、もう少し考えてみる必要があるかもしれないわ。
……そうなのね。
ミーミル、もう少し考えてみる必要があるかもしれないわ。
ミーミル
何を考えるの?
何を考えるの?
ペルセポネー
アルベリッヒはデザイン画を持ち去った犯人ではないからよ。
アルベリッヒはデザイン画を持ち去った犯人ではないからよ。
シィル
!?
!?
ペルセポネー
今回の事件で最初に考えるべきことは、ミーミルのデザイン画を持ち去った理由よ。
今回の事件で最初に考えるべきことは、ミーミルのデザイン画を持ち去った理由よ。
ミーミル
理由も何も——アルベリッヒは私に裁縫部を退部させたいんでしょ?
理由も何も——アルベリッヒは私に裁縫部を退部させたいんでしょ?
ペルセポネー
——でも、ミーミルは退部するの?
——でも、ミーミルは退部するの?
ミーミル
するわけないでしょ!私はそんな小細工なんかに屈しないわよ!今年のデザイン画が盗まれたとしても——来年も、再来年も同じように完璧なドレスをデザインしてみせる!
私はそういう人間なの。絶対に負けないんだから!
するわけないでしょ!私はそんな小細工なんかに屈しないわよ!今年のデザイン画が盗まれたとしても——来年も、再来年も同じように完璧なドレスをデザインしてみせる!
私はそういう人間なの。絶対に負けないんだから!
ペルセポネー
——だとすると、ミーミルのお姉さんであるアルベリッヒも、ミーミルの負けず嫌いな性格を分かっているはずよね?それなのに、デザイン画を持ち去るだけであなたを退部させられると思うかしら?
——だとすると、ミーミルのお姉さんであるアルベリッヒも、ミーミルの負けず嫌いな性格を分かっているはずよね?それなのに、デザイン画を持ち去るだけであなたを退部させられると思うかしら?
ミーミル
……。
いいえ、あいつは分かっていないのかもしれないわ……あるいはただ単に私のことが気に入らなかったのかも……。
……。
いいえ、あいつは分かっていないのかもしれないわ……あるいはただ単に私のことが気に入らなかったのかも……。
ペルセポネー
それじゃあ、動機のことはひとまず横に置いておきましょう。
今度は昨日のお昼の行動について考えてみるわ。
ミーミルも知っての通り、アルベリッヒは事務室に入り、デザイン画を持って行った……。
それじゃあ、動機のことはひとまず横に置いておきましょう。
今度は昨日のお昼の行動について考えてみるわ。
ミーミルも知っての通り、アルベリッヒは事務室に入り、デザイン画を持って行った……。
ミーミル
盗んだの!盗んでいったのよ!恥知らずなんだから!
盗んだの!盗んでいったのよ!恥知らずなんだから!
ペルセポネー
……たとえ「盗んでいった」としても、アルベリッヒは自分の行動を隠そうとするはずよね?
隠れるそぶりも見せず、堂々と行動していて、模型部や金属加工部の生徒たちが彼女の姿を目撃できたのはどうしてかしら?
……たとえ「盗んでいった」としても、アルベリッヒは自分の行動を隠そうとするはずよね?
隠れるそぶりも見せず、堂々と行動していて、模型部や金属加工部の生徒たちが彼女の姿を目撃できたのはどうしてかしら?
ミーミル
……それは、あいつが私に心理的な宣戦布告をしているのかもしれないでしょ!
……それは、あいつが私に心理的な宣戦布告をしているのかもしれないでしょ!
ペルセポネー
では、この点はとりあえず、そういうことにしておきましょう。
次は——最も重要な点よ。アルベリッヒが上の階に上がったとき、あなたが寝ていると分かったのはどうしてかしら?
だって、あなたが眠っていなければ、アルベリッヒもデザイン画を手に入れるチャンスはなかったでしょう?
このように、アルベリッヒを「デザイン画を持ち去った犯人」として考えると彼女の行動の矛盾は一目瞭然よ。
では、この点はとりあえず、そういうことにしておきましょう。
次は——最も重要な点よ。アルベリッヒが上の階に上がったとき、あなたが寝ていると分かったのはどうしてかしら?
だって、あなたが眠っていなければ、アルベリッヒもデザイン画を手に入れるチャンスはなかったでしょう?
このように、アルベリッヒを「デザイン画を持ち去った犯人」として考えると彼女の行動の矛盾は一目瞭然よ。
ミーミル
……それは……。
でも、金属加工部や模型部の生徒たちの証言はどうなるの?
生徒たちの話によれば、昨日のお昼、3階に上がって生徒会事務室に行ったのは、アルベリッヒだけなんでしょ?
動機や行動の矛盾はともかくとして、少なくとも可能性という点では、3階に上がってデザイン画を持ち去った可能性があるのは、アルベリッヒだけでしょ?
……それは……。
でも、金属加工部や模型部の生徒たちの証言はどうなるの?
生徒たちの話によれば、昨日のお昼、3階に上がって生徒会事務室に行ったのは、アルベリッヒだけなんでしょ?
動機や行動の矛盾はともかくとして、少なくとも可能性という点では、3階に上がってデザイン画を持ち去った可能性があるのは、アルベリッヒだけでしょ?
ミーミル
ミョルニル会長?でも、どうして彼女がデザイン画を持ち去るのよ……。
ミョルニル会長?でも、どうして彼女がデザイン画を持ち去るのよ……。
ペルセポネー
たしかにミョルニルの事務室だけど、彼女は最近ずっと病気で寝込んでいるし、学校に来ていた可能性はなさそうね。
もう少し考えて。何か他の可能性はないかしら?
たしかにミョルニルの事務室だけど、彼女は最近ずっと病気で寝込んでいるし、学校に来ていた可能性はなさそうね。
もう少し考えて。何か他の可能性はないかしら?
シィル
あっ……うーん、そうですよね……。
あっ……うーん、そうですよね……。
→アオイ
ミーミル
……アオイ?たしか彼女は生徒会の人だけど、私のデザイン画となんの関係があるの?
……アオイ?たしか彼女は生徒会の人だけど、私のデザイン画となんの関係があるの?
ペルセポネー
アオイは生徒会のメンバーで、事務室の存在を知っているわね——でも、彼女の証言によれば、この数日、生徒会はとても忙しかったはずよ。
アオイは生徒会のメンバーで、事務室の存在を知っているわね——でも、彼女の証言によれば、この数日、生徒会はとても忙しかったはずよ。
シィル
あっ……や、やっぱり間違っていました……もう少し考えます……。
あっ……や、やっぱり間違っていました……もう少し考えます……。
→紫色の姿の少女
ミーミル
紫色の姿の少女?
その子は私のデザイン画に何か関係があるの?
紫色の姿の少女?
その子は私のデザイン画に何か関係があるの?
ペルセポネー
そう——たしかに事務室に入り、ミーミルのデザイン画を持ち去るチャンスがあったのは、その紫色の姿の少女だけよ。
そう——たしかに事務室に入り、ミーミルのデザイン画を持ち去るチャンスがあったのは、その紫色の姿の少女だけよ。
ミーミル
でも、そいつは一体何者なの?
でも、そいつは一体何者なの?
&boln(){シィル}
たぶん真夏ちゃんだと思う……でも、どうしても真夏ちゃんがデザイン画を持ち去るとは思えなくて……うぅ……。
たぶん真夏ちゃんだと思う……でも、どうしても真夏ちゃんがデザイン画を持ち去るとは思えなくて……うぅ……。
ペルセポネー
つまり——既知の条件、すなわち「紫色の人影」がデザイン画を持ち去ったものの、彼女にはデザイン画を持ち去る理由がないということを結び合わせてみると、その人影は別人という結論が導かれるわね。
つまり——既知の条件、すなわち「紫色の人影」がデザイン画を持ち去ったものの、彼女にはデザイン画を持ち去る理由がないということを結び合わせてみると、その人影は別人という結論が導かれるわね。
シィル
でも、それじゃあ……。
でも、それじゃあ……。
ミーミル
——一体誰なの!?
——一体誰なの!?
ペルセポネー
……時間的にそろそろ着く頃ね。
……時間的にそろそろ着く頃ね。
ミーミル
何が着くって——
何が着くって——
???
バビロンの生徒さん、あなたたちが私を呼んだの?
バビロンの生徒さん、あなたたちが私を呼んだの?
声が響き渡ると、彼女たちの前に、学園では見た事のない人物が姿を現した。
???
あなたがさっき電話をかけてきた人ね?ほら、契約し直したいと言っていた契約書を持ってきたわよ。
あなたは生徒会の人かしら?さあ、言ってみて。契約書のどの条項を契約し直したいの?条件が合わなければ承諾しないけど。
あなたがさっき電話をかけてきた人ね?ほら、契約し直したいと言っていた契約書を持ってきたわよ。
あなたは生徒会の人かしら?さあ、言ってみて。契約書のどの条項を契約し直したいの?条件が合わなければ承諾しないけど。
ペルセポネー
安心して、契約書の条項はすべてそのままでいいわ。私たちが必要としているのは、あなたの持っていった、サイン済みの契約書の紙だけだから。
もう少し待ってて。戦神無双会長がもうすぐ来るから。そうしたら、別の書類で再度契約を交わせるわ。
安心して、契約書の条項はすべてそのままでいいわ。私たちが必要としているのは、あなたの持っていった、サイン済みの契約書の紙だけだから。
もう少し待ってて。戦神無双会長がもうすぐ来るから。そうしたら、別の書類で再度契約を交わせるわ。
???
紙?あら、あなたたちがほしがっているのは契約書の裏面に付いている図案の方ね。てっきり紙の装飾かと思っていたけど、そうじゃなかったみたいね。
紙?あら、あなたたちがほしがっているのは契約書の裏面に付いている図案の方ね。てっきり紙の装飾かと思っていたけど、そうじゃなかったみたいね。
ミーミル
契約書?紙?装飾?一体何を言っているの……あっ、それは私のデザイン画!
契約書?紙?装飾?一体何を言っているの……あっ、それは私のデザイン画!
急にミーミルの目が釘付けになった。
彼女は予想外の来客が手にしている紙をじっと見つめながら、口を大きく開けていた。
彼女は予想外の来客が手にしている紙をじっと見つめながら、口を大きく開けていた。
ミーミル
私のデザイン画が……どうしてここにあるの!?
私のデザイン画が……どうしてここにあるの!?
???
デザイン画?何を言ってるの?
デザイン画?何を言ってるの?
ペルセポネー
分かったから、みんな落ち着いて。私が説明するわ。
この人が今回の事件を巻き起こした張本人であり、ミーミルのデザイン画を持ち去った「犯人」であり、創立記念式典の物資サプライヤー——オードラン学園のフランよ。
分かったから、みんな落ち着いて。私が説明するわ。
この人が今回の事件を巻き起こした張本人であり、ミーミルのデザイン画を持ち去った「犯人」であり、創立記念式典の物資サプライヤー——オードラン学園のフランよ。
……。
ペルセポネー
今回の事件について、最初から説明する必要があるわね。
事件当日、つまり昨日、ミーミルはうれしさと疲れの中で創立記念日用のドレスのデザイン画を完成させ、そのままぐっすり眠ってしまった。
そして、目を覚ますと、不思議なことに彼女のデザイン画が消えていた。
ミーミルからの知らせを受けた私とシィルは、手がかりを探す過程で、生徒会のアオイから重要な情報を手に入れた。
1つ目、アオイは昨日の午後、紫色の人影が建物の下にいるのを見かけたこと。
2つ目、最近、生徒会副会長は病気で入院したことで、この事務室が空室になっていること。
まず1つ目だけど、当初、さほど重要ではないように思えたわ。
今回の事件について、最初から説明する必要があるわね。
事件当日、つまり昨日、ミーミルはうれしさと疲れの中で創立記念日用のドレスのデザイン画を完成させ、そのままぐっすり眠ってしまった。
そして、目を覚ますと、不思議なことに彼女のデザイン画が消えていた。
ミーミルからの知らせを受けた私とシィルは、手がかりを探す過程で、生徒会のアオイから重要な情報を手に入れた。
1つ目、アオイは昨日の午後、紫色の人影が建物の下にいるのを見かけたこと。
2つ目、最近、生徒会副会長は病気で入院したことで、この事務室が空室になっていること。
まず1つ目だけど、当初、さほど重要ではないように思えたわ。
シィル
はい、その……てっきり真夏ちゃんが会いに来たのかと思いましたから。
はい、その……てっきり真夏ちゃんが会いに来たのかと思いましたから。
ペルセポネー
でも、それは確実にその子ではなく、このフランだった。そうでしょ?
でも、それは確実にその子ではなく、このフランだった。そうでしょ?
フラン
……ええ、確かに昨日の午後、校舎に来たわ。そこで誰かに見られたんでしょうね。
……ええ、確かに昨日の午後、校舎に来たわ。そこで誰かに見られたんでしょうね。
ペルセポネー
つまり、そこで私たちは誤解をし、事件の本当の対象を視界の外に出してしまったのよ。
そして、2つ目の手がかりだけど、生徒会副会長のミョルニルが病気で入院したことで、事務室が空室になってしまった。
恐らく、それがすべての原因であり、あらゆる誤解の源となったんでしょうね。
つまり、そこで私たちは誤解をし、事件の本当の対象を視界の外に出してしまったのよ。
そして、2つ目の手がかりだけど、生徒会副会長のミョルニルが病気で入院したことで、事務室が空室になってしまった。
恐らく、それがすべての原因であり、あらゆる誤解の源となったんでしょうね。
ミーミル
原因……源……でも、それがデザイン画にどう関係しているの?
原因……源……でも、それがデザイン画にどう関係しているの?
シィル
そうですよ、ペルセポネー先輩。それって1週間前のことですよね?
そうですよ、ペルセポネー先輩。それって1週間前のことですよね?
ペルセポネー
そのことについては——創立記念式典の準備書類に書いてあった説明を覚えているかしら?
「……物資調達グループ責任者:ミョルニル」
学園の関連資料を調べてみたの。「物資調達グループ」は、毎年、創立記念日に使用する物資を外から購入するのが主な仕事よ。
学園の敷地はとても広いから、式典にも大量の物資が必要になるわ。だから毎年、外の業者と契約を結び、必要な物資を届けてもらうのよ。
そして、このフランこそ、今年、生徒会が選定したサプライヤーなの。
そのことについては——創立記念式典の準備書類に書いてあった説明を覚えているかしら?
「……物資調達グループ責任者:ミョルニル」
学園の関連資料を調べてみたの。「物資調達グループ」は、毎年、創立記念日に使用する物資を外から購入するのが主な仕事よ。
学園の敷地はとても広いから、式典にも大量の物資が必要になるわ。だから毎年、外の業者と契約を結び、必要な物資を届けてもらうのよ。
そして、このフランこそ、今年、生徒会が選定したサプライヤーなの。
フラン
その通り、ただの学生だと思ってバカにしないでくれるかしら。今では学生スタートアップの代表者で、商店街の「スーパースター」なのよ!
その通り、ただの学生だと思ってバカにしないでくれるかしら。今では学生スタートアップの代表者で、商店街の「スーパースター」なのよ!
ミーミル
でも……じゃあ、わたしとは……。
でも……じゃあ、わたしとは……。
ペルセポネー
慌てないで。これから事件の肝心な部分を説明するから。
今話したように、フランは今回の創立記念式典のために選ばれたサプライヤー。そして、物資調達グループの責任者であるミョルニルが彼女の窓口になっていたの。
通常なら、大体1週間前から2週間前に、フランが契約書をFAXで送ってきて、ミョルニルがサインして送り返せば契約締結ということになっていた。
でも、その過程で思わぬ出来事が起きてしまったの。
——1週間前、ミョルニルは病気で入院した。
このことだけなら、あまり関係がないわ。それよりも、ミョルニルの入院によって、生徒会の活動が混乱してしまったことの方が大きいわ。
そのせいで、署名した契約書を送ることができず、ミーミルがデザイン画の構想を練るためにやって来るまで、ミョルニル専用の生徒会事務室に置かれたままになっていたの。
一方で、フランはバビロン学園からの連絡を待ち続けていたけど、いくら待っても契約書が送り返されてこない。そして最後は生徒会に電話をかけた——
慌てないで。これから事件の肝心な部分を説明するから。
今話したように、フランは今回の創立記念式典のために選ばれたサプライヤー。そして、物資調達グループの責任者であるミョルニルが彼女の窓口になっていたの。
通常なら、大体1週間前から2週間前に、フランが契約書をFAXで送ってきて、ミョルニルがサインして送り返せば契約締結ということになっていた。
でも、その過程で思わぬ出来事が起きてしまったの。
——1週間前、ミョルニルは病気で入院した。
このことだけなら、あまり関係がないわ。それよりも、ミョルニルの入院によって、生徒会の活動が混乱してしまったことの方が大きいわ。
そのせいで、署名した契約書を送ることができず、ミーミルがデザイン画の構想を練るためにやって来るまで、ミョルニル専用の生徒会事務室に置かれたままになっていたの。
一方で、フランはバビロン学園からの連絡を待ち続けていたけど、いくら待っても契約書が送り返されてこない。そして最後は生徒会に電話をかけた——
シィル
えっ……あ、あの電話は——
えっ……あ、あの電話は——
ペルセポネー
そうよ。おとといは1件、昨日の午前と昼に1件ずつ、合計3件の不在着信があったでしょ。
あれはフランが商店街からかけてきた電話よ。
そうよ。おとといは1件、昨日の午前と昼に1件ずつ、合計3件の不在着信があったでしょ。
あれはフランが商店街からかけてきた電話よ。
フラン
フンッ、あなたたち生徒会は契約書を受け取っても、何の返信もよこさないし、電話にも出ない。あなたたちが他のサプライヤーと契約したんじゃないかって思ったんだからね。
だから直接来て、一体どういうことか確かめるしかなかったの。
フンッ、あなたたち生徒会は契約書を受け取っても、何の返信もよこさないし、電話にも出ない。あなたたちが他のサプライヤーと契約したんじゃないかって思ったんだからね。
だから直接来て、一体どういうことか確かめるしかなかったの。
ペルセポネー
そう——フランは以前にもバビロン学園に来たことがあったから、校内のことに詳しい。そこで、彼女はよく知っているミョルニルの事務室に向かった。そして、事務室の机の上には書類の山が置かれていた——
そう——フランは以前にもバビロン学園に来たことがあったから、校内のことに詳しい。そこで、彼女はよく知っているミョルニルの事務室に向かった。そして、事務室の机の上には書類の山が置かれていた——
ミーミル
それが私のデザイン画なの?でも、あれは明らかにデザイン画なのに、彼女はどうして……あっ!
それが私のデザイン画なの?でも、あれは明らかにデザイン画なのに、彼女はどうして……あっ!
ペルセポネー
思い出した?ミーミル——
思い出した?ミーミル——
ミーミル
……私の癖なの……インスピレーションが湧くと、周りが見えなくなって、頭の中に浮かんだデザインを目の前にあるものすべてに描いてしまう……。
道理で……あの2日間、たしかに何か音が聞こえたみたいだったけど、夢中になるあまり、気にせずにいたわ……今になって思えば、あれは電話の音だったのね。
……私の癖なの……インスピレーションが湧くと、周りが見えなくなって、頭の中に浮かんだデザインを目の前にあるものすべてに描いてしまう……。
道理で……あの2日間、たしかに何か音が聞こえたみたいだったけど、夢中になるあまり、気にせずにいたわ……今になって思えば、あれは電話の音だったのね。
ペルセポネー
そうよ。ミーミルは創作に没頭するあまり、電話の音に気づかなかった。そして、うっかり契約書の裏面にデザインを描いてしまったのよ。
そして、ミーミルの行動の結果、フランは事務室にやって来て、自分の契約書を持っていくと同時に、ミーミルのデザイン画を持っていってしまった。
そうよ。ミーミルは創作に没頭するあまり、電話の音に気づかなかった。そして、うっかり契約書の裏面にデザインを描いてしまったのよ。
そして、ミーミルの行動の結果、フランは事務室にやって来て、自分の契約書を持っていくと同時に、ミーミルのデザイン画を持っていってしまった。
フラン
……そんなことがあったのね。そういえば、昨日、たしかに誰かがソファで寝ていたわ。てっきり生徒会の人かと思ってたけど。
すごく疲れていたみたいだから、起こさないようにしたの。生徒会の仕事って、そんなに大変なのかなって思ったら、電話を無視された怒りも薄れていったわ。
それにフランのほしかった契約書も机の上に置かれていて、署名もしてあったからね。これで一件落着と思っていたんだけど……まさかこんなことになるとはね~。
……そんなことがあったのね。そういえば、昨日、たしかに誰かがソファで寝ていたわ。てっきり生徒会の人かと思ってたけど。
すごく疲れていたみたいだから、起こさないようにしたの。生徒会の仕事って、そんなに大変なのかなって思ったら、電話を無視された怒りも薄れていったわ。
それにフランのほしかった契約書も机の上に置かれていて、署名もしてあったからね。これで一件落着と思っていたんだけど……まさかこんなことになるとはね~。
ペルセポネー
そう、すべてはつながっていたのよ。
生徒会の最近の状況、ミーミルの癖、さらには通話履歴さえも……。
それらをつなぎ合わせれば、真相があらわになるのよ。
さあ、私の説明はここまでよ。フラン、戦神無双会長が彼女の事務室で待っているわ。再契約の契約書もそこにあるから、急いで行ってちょうだい。
そう、すべてはつながっていたのよ。
生徒会の最近の状況、ミーミルの癖、さらには通話履歴さえも……。
それらをつなぎ合わせれば、真相があらわになるのよ。
さあ、私の説明はここまでよ。フラン、戦神無双会長が彼女の事務室で待っているわ。再契約の契約書もそこにあるから、急いで行ってちょうだい。
フラン
はいはい……分かったわ。それじゃあ、これは返しておくわね。はぁ……今度受け取る契約書の裏面は、ちゃんと白紙になっているかしら。もうゴタゴタはうんざりなんだから。
はいはい……分かったわ。それじゃあ、これは返しておくわね。はぁ……今度受け取る契約書の裏面は、ちゃんと白紙になっているかしら。もうゴタゴタはうんざりなんだから。
……。

それぞれの者が持ち主のもとに戻った。
デザイン画がようやくミーミルの手元に戻ってきた。
心を込めて作ったデザイン原稿を見たミーミルは、うれしさのあまり涙を浮かべた。
しかし……それと同時に、喉に引っかかった魚の小骨のように、小さな疑問が残った。

それぞれの者が持ち主のもとに戻った。
デザイン画がようやくミーミルの手元に戻ってきた。
心を込めて作ったデザイン原稿を見たミーミルは、うれしさのあまり涙を浮かべた。
しかし……それと同時に、喉に引っかかった魚の小骨のように、小さな疑問が残った。
ミーミル
あの……ペルセポネー先輩。
事件の真相については分かったわ……でもそうすると、私はアルベリッヒのことを誤解していたのかしら?
誤解していたとなると……アルベリッヒは昨日、どうして事務室に来たの?
あの……ペルセポネー先輩。
事件の真相については分かったわ……でもそうすると、私はアルベリッヒのことを誤解していたのかしら?
誤解していたとなると……アルベリッヒは昨日、どうして事務室に来たの?
ペルセポネー
……その点については、私の代わりにシィルが答えてくれるはずよ。
……その点については、私の代わりにシィルが答えてくれるはずよ。
シィル
シィルが?でも……シィルは……。
シィルが?でも……シィルは……。
ペルセポネー
大丈夫よ。
すべての手がかりはそこにあるわ。私たちが見てきたようにね。
あなたなら、その裏にある真相にたどり着けると信じているわ。これまで私たちが手に入れた情報と——あなたの「心」を信じているから。
大丈夫よ。
すべての手がかりはそこにあるわ。私たちが見てきたようにね。
あなたなら、その裏にある真相にたどり着けると信じているわ。これまで私たちが手に入れた情報と——あなたの「心」を信じているから。
シィル
シィルの心……。
シィルの心……。
ミーミル
お願い、シィル、答えを教えて。
お願い、シィル、答えを教えて。
シィル
シィルは……。
シィルは……。
手がかりが1つずつ頭の中に浮かんでくる。生徒会事務室で見た光景が走馬灯のように目の前によみがえってきた。
できないよ……シィルに答えを見つけられるはずなんて……。
……そう思っていたはずなのに、不思議と自信が湧いてきた。
——真実はこの先にある。
——真相はそこにある。
「心」、自分の心、他人の心、ミーミルの心、アルベリッヒの心……。
突然——
できないよ……シィルに答えを見つけられるはずなんて……。
……そう思っていたはずなのに、不思議と自信が湧いてきた。
——真実はこの先にある。
——真相はそこにある。
「心」、自分の心、他人の心、ミーミルの心、アルベリッヒの心……。
突然——
シィル
……分かりました。
……分かりました。
ミーミル
本当!?教えて、シィル!
本当!?教えて、シィル!
シィル
あの……シィルたちが事務室で机の上を調べていた時、机の縁に水の跡がありました。
その時は、寝ている時に出来たよだれの跡かもしれないとおもったけど——
……でも、ミーミルさんの話によれば、寝た後、途中で起きていないようですし、ソファで目が覚めたなら、どうして机の上に水の跡が残っていたのでしょうか?
つまり……。
あの……シィルたちが事務室で机の上を調べていた時、机の縁に水の跡がありました。
その時は、寝ている時に出来たよだれの跡かもしれないとおもったけど——
……でも、ミーミルさんの話によれば、寝た後、途中で起きていないようですし、ソファで目が覚めたなら、どうして机の上に水の跡が残っていたのでしょうか?
つまり……。
ミーミル
……アルベリッヒのヤツが事務室に入ってきて、私を抱きかかえてソファに移してくれたの?
……アルベリッヒのヤツが事務室に入ってきて、私を抱きかかえてソファに移してくれたの?
シィル
はい……おそらく、アルベリッヒさんはミーミルさんの家族だから、創作時の癖も分かっているんでしょうね。
だから、ひとりで事務室にこもって「熱狂状態」になっているミーミルさんの体調が心配になったんだと思います。
そして昨日、彼女は事務室にやって来て、机で熟睡しているミーミルさんを見つけて……そんな姿勢で寝るのはよくないから、抱きかかえてソファに移し、もっとゆっくり寝られるようにしたんじゃないでしょうか。
……それが家族の愛なのかもしれません。
はい……おそらく、アルベリッヒさんはミーミルさんの家族だから、創作時の癖も分かっているんでしょうね。
だから、ひとりで事務室にこもって「熱狂状態」になっているミーミルさんの体調が心配になったんだと思います。
そして昨日、彼女は事務室にやって来て、机で熟睡しているミーミルさんを見つけて……そんな姿勢で寝るのはよくないから、抱きかかえてソファに移し、もっとゆっくり寝られるようにしたんじゃないでしょうか。
……それが家族の愛なのかもしれません。
ミーミル
……。
……あいつ。
…………あいつ。
……。
……あいつ。
…………あいつ。
ポタポタと涙がこぼれ落ちてきた。
自分のデザイン画を抱きかかえたミーミルは、晴れ渡った空の下で、喜びと悲しみの混ざった笑みを見せた。
自分のデザイン画を抱きかかえたミーミルは、晴れ渡った空の下で、喜びと悲しみの混ざった笑みを見せた。