夢を見ていた――誰かの夢。
 それが誰の夢かを、少女は知っている。
 前にも、見たことがあるから。
 これは世界に"よくできました"と認められたある少年の生涯を追想しているのだ。

 そこは悪魔が棲む世界。
 常世で死んで、地獄で死んで、常世に生まれて、地獄に生まれるマトリョーシカ。
 今日の彼は戦っていた。
 乱れ飛ぶ銃弾、乱れ舞うチェンソー、舞い散る瓦礫と粉塵はクラッカーを鳴らしたみたいで。
 戦う相手は、顔から銃を生やした某か。
 銃の彼は笑っていて。チェンソーの彼は、泣いていた。

 ――らいだーくんも泣くんだ。
 ――そういうの、ない人だとおもってた。

 少女は驚きながら、二人の■■■■――その名は遠い昔に失われている――の殺し合いを高き視点から眺めている。
 有機ELのディスプレイでいつも流れていたアニメや映画を眺めているのと、気持ち的には然程変わらなかった。

 もし隣にポテトチップスやポップコーンがあれば、何気なくつまんで口に運んでいただろう。
 どちらも"さとちゃん"と暮らしていた時には、あまり食べることのなかったタイプのお菓子だった。
 甘くはなくて、どちらかと言うとしょっぱい……さとちゃんだったら"身体によくない"とやんわり眉を八の字にしそうなお菓子達。
 ふわふわ素敵な甘いものが好きなさとちゃんとは違って。
 らいだーくんは、しょっぱくて身体に悪そうなものが好きらしい。
 そう感じたのを、少女は何故だかやけによく覚えていた。

 殺し合う、殺し合う。
 二人の悪魔が殺し合う。
 チェンソー。銃。
 一人は泣いているように見えて。
 一人は楽しそうに、まるでなにかから解放されたみたいに笑っていて。
 戻れ、戻れ、戻れ、戻れ。聞こえる声は聞いたことのない色を湛えていて。そして――

 ――あ。
 ――終わっちゃった。

 決着は呆気ないほど突然だった。
 チェンソーが銃の腹を突き破った。
 飛び散る鮮血、溢れる内臓。
 それは少女の年齢を鑑みればあまりにグロテスク過ぎる光景だったけれど、少女に動じた様子はない。

 ただ、勝利の喜びなんて微塵も滲ませず、茫然と立ち尽くす彼の姿が、やけに印象的に目に焼き付いた。
 チェンソーの彼は間違いなく、少女のよく知る"彼"だ。
 大人げなくて遊びたがりで、買ってくるお菓子やごはんはいつも味の濃いものばっかりで。
 なのに自分がうたた寝していると、いつの間にかさっとタオルケットをかけてくれている。
 そんな、彼。自分が一ヶ月同じ部屋で暮らした、甘くない日々(ノンシュガーライフ)の同居人。
 少女の知る彼の姿と、この追想の中で見た彼の姿は――あまりにも似つかなかった。

 どうしてだろう。
 なんでだろう。

 首を傾げる少女の後ろに、小さななにかが居た。
 "それ"は犬のようなシルエットをしており、しかし決して犬ではありえないものを顔の真ん中から生やしていた。
 チェンソーの刃だ。見れば頭には持ち手のような箇所もあり、他にも身体の所々にチェンソーの面影が見られる。
 彼こそはチェンソーの悪魔。その成れの果て。
 みすぼらしく死んで誰の記憶にも残らない筈だった少年と契約し、彼に"未来"を与えた存在。


 これが、君の行き着く先の景色だよ。 
 悪魔は言う。囁くのではなく諭すように。
 せっかくのクリスマスプレゼントに、くだらないガラクタをねだってしまう子供に心変わりを促す父親のように。
 それに対して少女はまず、ぱっと声の調子を明るくした。


 ――ポチタくんだ! ポチタくんだよね、わんちゃん!

 悪魔は面食らったみたいに目を見開いてから、苦笑するような素振りを見せた。
 少女は彼のことを知っている。この記憶を垣間見るよりも前に見た結末の夢で、彼の存在を知った。
 此処に居る彼はあくまでポチタだった。チェンソーマンでは、ない。
 英霊になった少年の霊基、その内側で眠る悪魔の一端。
 夢の中に出現してマスターの少女にコンタクトを取っていることを踏まえて、触覚、とでも言おうか。


 こうして会うのは初めてだね。
 デンジと仲良くしてくれてありがとう、しおちゃん。
 悪魔は天使の反対で、人にあれこれ囁いて悪いことをさせようとする存在だということは、幼いしおでも知っていた。
 だけどポチタにその気配はない。彼が"デンジ"と呼ぶ時の声は、びっくりするほど優しくて穏やかだった。


 ――わたしの行き着くさきって、どういうこと?
 少女は問いを投げる。それにポチタは目を瞑って答えた。


 君はああして血をかぶる。誰かを殺した罪を背負う。
 君が好きな人も嫌いな人も、こうして殺すことになる。
 崩壊の彼も。犯罪の王さまも。ともすれば大好きな人さえも。
 君が選ぼうとしている道はそういうものなんだよ、しおちゃん。


 ――少女は。神戸しおは、今の日常が好きだ。
 ぶっきらぼうで人嫌いで口が悪い、けれど自分と一緒に戦ってくれる死柄木弔は、本物よりもずっと自分のお兄ちゃんみたいで。
 何でも知っているし教えてくれるえむさんは、まさに理想のおじいちゃん。
 さとちゃんも知らなそうな遊びをたくさん知ってるらいだーくんは、一緒に居てとても楽しい友だち。
 アイさんとらいだーさん……紛らわしいので"らいだーのおじさん"としておくけども、彼らとだって仲良くなれたらいいなあと無邪気にそう思っている。

 神戸しおは、敵(ヴィラン)連合の仲間たちが好きだった。
 甘くはない日々だけれど。さとちゃんが聞いたら目を回しそうなメンバーだけれど。
 それでも連合の人達はしおにとって家族みたいで。
 彼らと過ごす時間は、すごく楽しい。はしゃぎすぎて疲れて、思わず居眠りしてしまうくらい。


 君はまだ戻れるんだ。
 悪魔が言う。

 戻って、お兄ちゃんとお母さんと一緒に暮らそう。
 君の好きな人が守ってくれたその命で、君はきっと幸せになれる。
 悪魔が言う。

 この先には、進んじゃダメだ。
 悪魔が、言う。


 ――ポチタくん。わたしね。
 少女が言う。

 だいじょうぶだよ。らいだーくんと約束したの、全部壊そうねって。

 ポチタの言葉が途切れる。
 その約束は彼も知っているところであったが、それでも。
 迷いなくそう断言し、無邪気そのものの笑顔を綻ばせる少女の姿には言葉をなくした。
 それと同時に悟る。理解してしまう。この娘はもう何があっても、何を前にしても、きっと止まらない。
 開けてはいけない扉を笑顔で開けて、地獄のワンダーランドをスキップで駆け回れる。
 少女はもう、そう成っていた。悪魔の言葉でさえ、もうその手を引くことは出来ない。
 月夜。燃えるビルから墜ちるつがい。失われた約束、さりとて今も不滅を保つ二人の誓い。


 ああ、そうか。
 悪魔は言う。悲しむように、憐れむように。
 (……これは契約だ。私の心臓をやる、かわりに……/述懐。いつかの記憶を、悪魔は垣間見る。)
 それは確かに、"契約"だね。


 夢が薄れる。
 現実に墜ちる。
 しおは形なき身体で手を伸ばした。
 ポチタとの繋がりが離れていくのがわかる。
 墜落の夢見心地を小さな身体一つで感じながら、しおはポチタにありがとうを叫んだ。
 ありがとう、心配してくれて。ありがとう、会いに来てくれて。


 ――ありがとう、教えてくれて。
 あなたは今もらいだーくんの中に居るんだってこと。
 でもだいじょうぶ。わたしはとむらくんもおじいちゃんもちゃんところせます。
 もしかしたら泣いちゃうかもしれないけど、それでも涙をふいて先に行けます。
 だから今はらいだーくんの中で、ゆっくりねむっててください。



 ひつようになったら、ちゃんとよびますから。



 浮上、浮上、浮上――――そして。


◆◆   


「んぅ……」

 子猫がそうするように喉を鳴らして、身をよじる。
 それから目がゆっくりと開けば、隣で自分を見下ろす少年と目が合った。
 「やっと起きやがった」とため息混じりにこぼした彼は、心なしか疲れたような顔をしていて。
 らいだーくんはどうしたんだろう、と思いながら、神戸しおは身体を起こして伸びをした。

「ごめんなさい……ねちゃってた。えむさん達は?」
「もう居ねえよ。ヤバい客が来たから、今はそっちの対応に出てるみたいだぜ」
「お客さん?」
「おう。……ほら、あそこに座ってんだろ。お前の待ちに待ってたお客」

 え? と言って部屋の中を見渡し。
 そこでしおの表情がぱっと明るくなった。
 デンジの言う通り――ゲストルームに備えられた椅子の一つに、しおの待ち人が座っていたからだ。
 あまり長い付き合いがあったわけではない。
 "さとちゃん"に連れられてお城を出て、新しいお城に移り住むまでのお手伝いをしてくれた人。
 彼女はこの界聖杯という異常な世界にあっても、以前しおが見たのと全く同じ笑顔で微笑んでいた。

「……おばさん!」
「うふふ。お久しぶりね、しおちゃん。また会えておばさんとっても嬉しいわ」

 たたたた、と駆け寄っていくしおを横目に見て。
 デンジは心底嫌そうな顔で、小さく鼻を鳴らした。
 彼は他人に対する悪感情を隠して振る舞えるほど大人ではない。
 日中、松坂邸で邂逅した時から抱いていた漠然とした苦手意識は今も健在で。
 だからこそ、一度は合流の見通しが不透明になった筈の"おばさん"ら主従がこうして自分達の元を訪れている現状は彼にとって快く受け止められないものだった。

「(顔だけは良いんだけどなぁ~……やっぱ俺は無理だわ、この女)」

 彼女のサーヴァントが論外レベルに関わり合いになりたくない相手だというのも、ある。
 松坂ことバーサーカー。真名を鬼舞辻無惨というあのサーヴァントは、まるで人の形をした地雷のような存在だった。
 自分が何かと言動に遠慮のない方だということはデンジ自身自覚している。
 もし面と向かって話す機会があれば、ひょんなことで地雷を起爆させてしまう未来は優に想像がついた。
 だが無惨への忌避感と、この女……"松坂さとうの叔母"に向ける嫌悪感は全く別種のものだ。
 だって少なくとも。この脳髄がどろどろに蕩けているとしか思えない女は、地雷だとか逆鱗だなんて剣呑なものとは一切無縁だろうから。

 ――気持ちが悪い。
 言語化するなら、多分そんな表現になる。

 デンジは女好きである。
 彼も無惨のことを笑えないくらいには一時が万事、その場の感情で動くタイプの人間だ。
 例えば先程連合に加わった星野アイが、上目遣いなり何なりしてデンジに私的な助力を乞えば彼は「仕方ないっすねェ~!」とか言いながらアイにまんまと利用されてくれるだろう。一抹の下心を胸に抱きながら。
 そのデンジが、この妙齢の女に対しては一切その手の"反応"を示していない。魅力をすら感じられていない。

 気持ちが悪い。この女はどうにも――対面していて気持ちが悪いのだ。
 何故ならそこには何の意図もないから。かつて支配の悪魔がデンジを唆したのとはわけが違う。
 何故ならそこには何の裏表もないから。彼女が他人に振り撒く感情は全てが真実、全てが肯定。
 支配の悪魔を殺すという幼年期の終わりを経て現界している故、なのか。
 デンジは一度の邂逅、わずかな時間の会話から女の本性を悟った。
 その上で気持ちが悪いと、そう感じた。俺、この女は無理だ――そう思うまでに時間はかからなかった。

「(顔も知らねえ"さとちゃん"に同情しちまうぜ。これと一つ屋根の下とか、マジでゾッとしねえや)」

 生理的嫌悪感。
 葉の裏に群がる毛虫の群れを見たときのような。
 背筋がぞわぞわと粟立つ感覚。この傾城めいた女を前にしてそう感じられること自体、彼の生い立ちを鑑みれば十二分に"成長している"と看做してよかったろうが……閑話休題。話を、主役達の方へと戻す。
 即ち松坂さとうの叔母。そしてデンジのマスターたる、堕天の月へと。

「おばさんは、えむさん達と一緒に戦うことにしたの?」
「そうよ? せっかくお誘いをもらったんだもの、無碍にしたら可哀想でしょう?
 それに私のサーヴァントのバーサーカーくんも、その"えむさん"の力を借りたがってるみたいだったし。本人には内緒よ? たぶん怒るから」
「やった~! じゃあおばさんと私達、仲間ってことだよね!」
「そうなるわねぇ。おばさんも嬉しいわよぉ、しおちゃんと一緒に頑張れるなんて。正直、もう二度と会えないかもと思ってたもの」

 松坂さとうの叔母であるこの女は当然、彼女達の甘い愛の物語の結末を知っている。
 墜落の夜。死は誓い通りに二人を分けた。さとうは死んで、しおは生き延びた。
 女はマンションへの法的責任を被って逮捕され、生き残った翼なき天使と運命の線が交わることは二度とない――そう思われたが。
 今こうして、女はしおと対面している。同じ陣営のマスターとして、互いに笑みを浮かべながら。

「おばさんのサーヴァントは、なんて名前なの?」
「ふふ~。それは、しおちゃんがそこのライダーくんの名前を教えてくれたら、かしら」
「ぶぅ。けちんぼー」
「うふふふ。ごめんねぇ。おばさん、一応あの子のマスターでもあるの。だから全部は教えてあげられないわ」

 唇を尖らせて目を>< ←こんな形にしているしおと。
 それを見て、大人の女性らしい柔らかな微笑みを湛える女。
 微笑ましい会話を交わす様子は完全に、親戚同士。それこそ叔母と姪のそれに見えて。
 だが次の瞬間に女がしおへ放った言葉が、その蜃気楼を吹き飛ばした。

「ところでしおちゃん、一つ聞いてもいいかしら」
「? なぁに、おばさん?」
「しおちゃんがみんなを殺すのは、あの子のため?」

 殺す。
 その言葉は本来、しおのような齢の子供の前では話題が何であれ出すべきではない単語である。
 しかしこの場、この状況においては、そんなタブーは適用されない。
 むしろそれを踏まえずに話をする方が可笑しい程だ。聖杯戦争とは即ち殺し合い、願いを/明日を誰かの生を踏み台にして希求する鏖殺の遠征。
 それに名を連ね、あまつさえ聖杯を狙うことを公言している者が……誰かの命を奪うことに今更忌避感を覚えるなど有り得ない。
 事実。女の言葉に対し、堕天使の少女は事も無くこくりと頷いて言った。

「そうだよ。今度は私が、さとちゃんみたいにがんばるの」

 天使の翼は夜空に消えた。
 蝋翼神話さながらに、炎の熱で溶かされ堕ちた。
 無垢という名の聖性を失った少女に、もはや禁忌はない。
 その歩みは願いのために。あの日失った永遠を取り戻すために。
 ぶぅん、と悪魔の刃音を響かせながら。
 軽やかな歩みと共に、すべての願いを踏み潰す。

「さとちゃんが私のために、どれだけのことをしてくれたか。
 今ならね、よくわかるの。私はさとちゃんに……すごく、愛されてた。愛してもらってた」
「……そうね。あの子は本当に、しおちゃんのことを愛していた」
「だから、今度は私の番。私はまだ、さとちゃんみたいにうまくは出来ないけれど――」

 その目に宿る光を、女は見る。
 蒼玉の瞳に宿る、"あの子"の色。
 自分が育てた、自分が汚した少女の感情(こころ)。
 愛を。慕情を。尽きることのない、消えることのない炎を。
 この世の何事よりも尊い炎熱(ねつ)を――そこに確かに垣間見た。

「この"気持ち"だけは、さとちゃんにだって負けないから。
 あの甘くて、しあわせだけがある時間を……取り戻したいと思うから。
 だから私は、ころします。私たちの、ハッピーシュガーライフのために」

 女は笑った。既に微笑んでいた傾城の貌(かんばせ)を更に綻ばせた。
 この子は間違いなく、あの子と同じ領域に立っている。
 狂気を、愛を、狂おしいほどに歪んでいて/だからこそこの世の何より切なる願いを。
 すべてを継承して、此処に居るのだと――そう分かった。

「あのね、しおちゃん」

 女は問う。
 己の信じる愛にすべてを捧げた女が、愛を掲げて邁進しつつも、この世界における"互い"の存在を知らない少女に問う。
 答えを教えてあげることは出来ない。それをしてしまえば、あの子の想いは無駄になってしまうから。
 それは"愛"を尊ぶこの女に限っては、決してあり得ない不実だった。
 魔性の言葉を、言祝ぐように。
 数多の人間を狂わせてきたその薄い桃色の唇から――こぼす。

「さとうちゃんが居なくて、さびしい?」

 その言葉を聞いた、しおは。

「ううん。だって、すぐにまたあえるから」

 そう、答えた。

 女が笑みを、慈母の如く/或いは食虫花の如くに深くする。
 それは、女が期待していた反応そのものだったから。

 神戸しおは無垢な少女。故にこそ、砂糖菓子の日常の住人たり得る天使。
 そういう存在だった筈の彼女は、その清らかさは保ったままに見る影もないほど穢れていた。 
 初めて会った時の笑顔そのままの無邪気な顔で、夢見るように言ってみせる少女。
 愛する者との未来を疑う道理などどこにあろうかと、そう一笑するような即答。

 いや――神戸しおはきっと、本当に"そう信じている"のだろう。
 この分ではともすれば、さとうが居ると伝えられたとしても揺らぎはしないのではないか。
 そんな風にさえ感じられてしまうような鋭さと、果てしなさがその蒼玉の瞳の中には広がっていた。

「私はさとちゃんのことを愛してて、さとちゃんも私のことを愛してくれてる」

 ならば、死がふたりを分かつとも。
 ハッピーシュガーライフは必ず成就する。
 神戸しおはそれを微塵も疑ってなどおらず、そのことが伝わってくるからこそ女は心の中で姪を祝福せずにはいられなかった。
 さとうちゃん、愛されてるわねぇ……と。身体の外でも内でも、さとうの叔母は妖しく笑う。

「さいごに愛は勝つんだよ。テレビでだれかが言ってたの」

 ――此処は生と死が交錯する異界。
 時系列、世界線、その他諸々の邪魔な道理(ルール)を一切合切無視したあり得ざる世界である。
 だが、それにしたって神戸しおの周囲からはあまりに多くの人間が器として招集されていた。
 しおとさとう。彼女の兄であるあさひに、さとうの友人のしょうこ。そして、さとうの叔母。
 五人だ。二十三個の器が残るのみとなった状況であるにも関わらず、甘くて脆い愛の物語に触れた者達は未だこれだけ生き残っている。

 きっとそれは、紛れもなく。
 運命と――そう呼ばれるべき、奇跡的な偶然であるのだろう。

「ありがとうね、しおちゃん」
「? 私、おれいされることなんてなんにもしてないよ?」
「これでもあの子の……さとうちゃんの親代わりをしてたんだもの。
 しおちゃんがそんなにあの子のことを想って――愛してくれてることが、おばさんはとっても嬉しいわ」
「あたりまえだよ、そんなの。私とさとちゃんはね、どんなに離れても、ちかいの言葉で繋がってるの」

 "死"は、ふたりの運命を確かに分けた。
 さとうは死に。しおは生きる。
 そんな永久の断絶を、愛し合うふたりに突き付けた。
 されどそれこそが――ふたりの真実の愛の成立を証明した。

「やめるときもすこやかなときも。
 よろこびのときもかなしみのときも。
 とめるときもまずしいときも。
 しがふたりをわかつまで、私はさとちゃんが大好きなことをちかいます」

 死という不可逆の断絶を前にしても尽きることなく、むしろ激しく燃え上がった愛の慕情。
 墜落の夜を境に永遠に停止した存在になったさとうと、その先に進むことの出来たしお。
 ふたりはあり得ざる"その先"の運命に辿り着いて尚――愛を失っていない。
 死を超えて輝く焔の如き愛、あの甘さだけが満たすお城に戻らんとする願い。
 破滅を超えて耀やかんとする愛の祈りが強さ(キセキ)を生む。
 今や血と罪に汚れるのは砂糖少女だけに非ず――堕天の月もまた、罪に穢れたその身を抱いて、かつて知った愛へと微笑むのだ。

「ほら。こんなに、あったかいよ」

 自分の胸に、女の手を持っていって。
 にぱっ、と幼い美顔を綻ばせて笑うしお。
 それを見て女は思う。ああ、壊れてしまったのね。
 それを見て女は憩う。ええ、それはとっても素敵な"愛"ね。

 この言葉をあの子が聞いたなら、どんな顔をするだろう。
 女は思う。そして、「ふふふ」といつものように艶かしく笑った。
 女は、これ以外の表情(かお)を知らない。
 そもそもからして喜怒哀楽の"喜"以外の感情が存在しないような、狂った女なのだ。
 故にそれは当たり前のことだと言えたかもしれないが――それでも彼女は、彼女なりに。
 常人で言うところの"感慨深さ"のようなものを、確かに感じ取っていた。

 ああ、そう。そうなの。そうだったの。うふふ。
 さとうちゃん、あなたの貫いた"愛"は。

「……決して。無駄なんかじゃ、なかったみたいよ?」
「? おばさん、なにか言った?」
「うふふ。ううん、なんでもないわぁ。しおちゃんがちょっと見ない間にすっごく大人になってて、思わず感心しちゃっただけ」

 砂糖少女を失ったあの日、天使はその翼を失った。
 今そこにあるのは、千切れた羽根が生えていた痕のみ。
 麻酔の香りは今はなく、されど彼女の身体に赤い血が流れていることは未だ確かで。

 砂糖少女は少女を天使と呼んだ。
 ある少年は少女を清浄の月と呼んだ。
 今の少女は、そのどちらにも合致しない。
 罪に穢れて尚、かつて見た愛を追い求める旅人。
 堕天の月――蒼い運命。
 すべての願いを喰って立つに足る、可能性(アイ)の器。
 覇道と呼ぶに相応しいモノをその身に秘めて笑う少女の顔を。

 チェンソーの少年は、どこか複雑そうな面持ちで見つめるばかりであった。


◆◆


 さとうの叔母はゲストルームを去った。
 なんでも、自分のサーヴァント……バーサーカーの元に顔を出してくるらしい。
 連合の形式上のトップである死柄木弔もあちらに居る以上、必然、ゲストルームにはしおとデンジの二人のみが残される。
 アイと殺島は何やら彼女達なりに話すことがあるのだろう。
 暫く前に「社内を散策してくる」と言って出ていったきり、そのままだった。
 残された少女と少年は。
 ソファの上に座って、隣り合いながら、ぼんやりと言葉を交わす。

「さっきね、ポチタくんと話したよ」
「あ? ポチタと? ……ああ、そういうことね。
 そういやそんな設定あったなア、マスターはサーヴァントの生前の記憶を夢で見る、だったっけ」
「んー。ただの思い出じゃなくて、あれはちゃんとポチタくんだったと思うよ?
 だってポチタくん、言ってくれたもの」

 この先には、進んじゃダメだって。

 しおのその言葉を聞いたデンジは――少し黙って。
 それから、「そうかよ」とぶっきらぼうに一言だけ言った。
 そしてまた数秒の静寂。これを切り裂くのも、同じくデンジだった。

「……ポチタはさ、俺の初めて出来た友達(ダチ)なんだよ。
 色々あって、アイツは俺の心臓と一緒になっちまったけどよ。
 それでもアイツは俺の味方で居てくれた。ポチタは、良いやつだ」

 英霊デンジの存在意義は、ひとえにチェンソーの悪魔の器である。
 デンジの個我や人格は、所詮支配の悪魔を殺した功績のおかげで英霊の座に載せて貰えたおこぼれでしかない。
 しかしデンジは、それを不服とは感じていなかった。
 もとい、感じる筈もなかった。デンジとポチタは親子の縁よりも深く、強い絆で結ばれた二人だから。
 ポチタの献身がなければ今の自分はない。デンジ自身、そのことはよく理解していた。
 だからこそ――彼からの言葉を受け取ったというしおに、こうしていつになく真面目なトーンで語りかけるのだ。

「アイツが言ったんなら、よ。……多分、その通りにした方がいいんじゃねえかなあ」

 ポチタはしおのことも、ちゃんと大事に考えてくれている。
 時空の果て、世界の垣根すらも超えた類稀なる縁で結ばれた彼女のことを――案じている。

「らいだーくんは、やさしいね」

 そしてデンジも、口では決して認めないだろうが――この少女のことを単なる偶然の縁だと切り捨てることは出来なくなりつつあった。
 たかが一ヶ月、されど一ヶ月だ。
 寝食を共にして、一緒に遊んで、互いの辿った人生を知った間柄。
 デンジにとって神戸しおは、もはや単なる他人ではない。
 戯言ばかり吐き散らす狂った餓鬼と断じて切り捨てるには余る、そんな大きな存在になってしまっていた。
 家族でもなく、恋人でもない。共にだらだらして、ゆったり遊んで、くだらないテレビを見て笑い合える――"友達"として。

「でも、ごめんね。私は、もうそっちにはいけないの」
「……そっか。まあお前のことだ。そう答えるだろうとは思ってたけどよ」
「ごめんなさい。私はね、さとちゃんのいない世界じゃ生きていけないの」

 しおにとってもデンジは友達だった。
 生まれて初めて出来た、友達。少なくともしおにとって彼は従者などではなかった。
 それでもだ。神戸しおは、デンジとその裡に眠る心優しい悪魔の差し伸べた手を取れない。
 そっちの道では、もうしおは生きられない。
 翼をなくし、罪に穢れたその身では――もう。光の下は、歩けない。

「だから、おねがいします。デンジくん。デンジくんの中の、ポチタくんにも」

 ぺこり、と頭を下げる。
 その瞳に涙はない。堕天使は涙を流さないから。
 それでも――

「私達の"ちかいの言葉"を、どうか嘘にしないでください」

 しおはその手に握る武器(チェンソー)に希った。
 どうか――私の愛のために動いてくださいと。
 あの日見つけた愛。あの日誓った言葉。いつか口にするだろう、"ただいま"。
 そのすべてを、嘘にしないでくださいと。

 そして願われた少年は、静かに自らの顔に手を当てた。
 やっぱりこうなっちまうんだよな、とでも言うように。
 それでも――彼が少女に返せる言葉もまた、一つきりで。

「……ああ、わ~ったよ。こんなでも、俺は……お前のサーヴァントだからな」

 きっと答えるべき言葉はこうじゃない。
 こうじゃないと、分かってはいても。
 デンジはこう言うことしか、出来なかった。
 そしてそれはきっと、彼の中のポチタも同じであったろう。
 彼らはあくまでサーヴァント――願いのために招かれた従僕だから。

「好きに使えよ。愛想が尽きるまでは面倒見てやる」

 悪魔が最も恐れた悪魔。
 チェンソーの悪魔――地獄のヒーロー。
 それを単なる武器として、少女は振るう。
 英雄譚の出番はない。逆襲劇も、此処には要らず。

 尊き銀月が、尊かった銀月が希う結末は、ただ一つ。

「ありがと、らいだーくん。
 あのね。私の一番すきな人は、さとちゃんだけど――」


 彼女達が望む永遠の為の――伐採(ジェノサイド)であった。


「らいだーくんと、ポチタくん。
 とむらくんにおじいちゃん、アイさんにらいだー"さん"も。
 みんなのことも、ちゃんと――すきだよ」


 大切なものを。
 一度はその手で愛でた小鳥を。
 安息を感じた誰かの存在を、犠牲に出来ること。
 そこまで含めて――神戸しおは松坂さとうをなぞる。
 そして――その上を行く。今は小さく、されどいずれ全てを喰らう程に大きくなるだろう運命の車輪が、静かに回転を加速させていた。


【豊島区・池袋/デトネラット本社ビル/一日目・夜】

【神戸しお@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:健康
[令呪]:残り三画
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:数千円程度
[思考・状況]基本方針:さとちゃんとの、永遠のハッピーシュガーライフを目指す。
1:これからもよろしくね、らいだーくん。
2:アイさんとらいだーさん(殺島)とは仲良くしたい。でも呼び方がまぎらわしいかも。どうしようねえ。
3:とむらくんとえむさん(モリアーティ)についてはとりあえず信用。えむさんといっしょにいれば賢くなれそう。
4:最後に戦うのは。とむらくんたちがいいな。
5:“お兄ちゃん”が、この先も生き延びたら―――。

【ライダー(デンジ)@チェンソーマン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:数万円(しおよりも多い)
[思考・状況]基本方針:サーヴァントとしての仕事をする。聖杯が手に入ったら女と美味い食い物に囲まれて幸せになりたい。
0:……これでいいのかな。いいんだよな?
1:あの女(さとうの叔母)やっぱり好かね~~~! 顔も身体も良いんだけどなァ~~!!
2:死柄木とジジイ(モリアーティ)は現状信用していない。特に後者。とはいえ前者もいけ好かない。
3:星野アイめちゃくちゃ可愛いじゃん……でも怖い……(割とよくある)

【本名不詳(さとうの叔母)@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:健康
[令呪]:残り3画
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]基本方針:いつもの通りに。ただ、愛を。――ああ、でも。
0:鬼舞辻くん達のところに向かう。
1:さとうちゃん達に会ったことは、内緒にしてあげなきゃね。


◆◆


「申し開きはあるか?」

 鬼舞辻無惨は、当然のように青筋を浮かべていた。
 無惨は激情家なんて言葉ではとても足りないほど、気の短い存在である。
 社会に溶け込むための演技をしている時を除けば、無惨はほぼ不発弾とか地雷とかそういうものに等しい。
 この地でせっかく作った下弦相当の鬼も、思う通りの性能でないと分かるや否やすぐさま殺してしまった程だ。
 後先を考えず、時にひどく理不尽に他者へと向かう彼の怒りだが――こと今回に限って言えば、そこには幾許かの正当性があった。

「この私を散々待たせた挙句の果て、約定の拠点が用意出来ていないとはどういう了見だ。
 よもや貴様、私を体のいい走狗か何かと考えているのか? であれば今此処で告解しろ。速やかにその魂、地獄に叩き返してやる」
「面目ない、私もその件については反省しているよ。たとえそれが、予測不可能な災害の結果だったとしてもネ」

 とはいえ、"M"……ジェームズ・モリアーティという名の毒蜘蛛もまた、彼に提示した条件を反故にするつもりは本来なかった。
 拠点となり得る建造物は見繕っていたし、何事もなければこの時間には既に案内を終えている手筈だったのだ。
 そうなればバーサーカー陣営はもはや傀儡も同然。常に監視の人員を配置しておけば、いつ如何なる時でもその生殺与奪を操れる。

 そんな下心もありきでの計画はしかし、新宿での大破局――新宿事変によって予期せぬ崩壊を迎えた。
 未来予知じみた権謀術数を巡らせることなど日常茶飯事の老蜘蛛をして、思わず嘆息したくなるような予想外。
 それを前にして、鬼舞辻無惨に拠点を提供するという話は見るも無残に吹き飛んでしまった。
 無惨が激怒するのも宜なるかなである。とはいえその"災害に遭った"も同然の不運を自分の落ち度と断言出来る辺りには、やはりジェームズ・モリアーティという"犯罪卿"の能力の高さが見え隠れしていたが。

「しかし無論、それなりの埋め合わせはするつもりだから安心したまえ。
 此処の地下を使って貰っても構わないし、不満であれば今夜中にも代わりの塒を見繕おう。
 君達とは思っていた以上に仲良くやれそうなようだからね、バーサーカー君」
「……私が今、どのような気分だか教えてやろうか?」

 モリアーティが差し出した手を、この男は当然取ったりなどしない。
 眉間に巌のように深い皺を刻みながら、そのこめかみに浮かんだ青筋をぴきぴきと鳴らした。
 噴火寸前の活火山とはまさによく言ったもの。無惨の激情は直に一つの発散を迎えてもおかしくないほどに高まっていた。

「臓物の全てが余すところなく煮え滾っている。かつてないほどの苛立ちと失望で私の頭は一杯だ。
 屑虫があまり思い上がるなよ。私にはもはや、貴様の奸計に身を委ねる必要すらないのだから」
「ほう。鞍替えのアテでも生まれたのかね」
「……つくづく不快な男だが、その通りだと肯定してやろう。
 そして私があの汚れた売女から解き放たれた時は、貴様にもこれまでの体たらくを贖って貰う。精々覚悟しておくことだな」
「実に結構だ。ではそれまでは、引き続き仲良く出来るということだね」
「死にたいのか?」

 飄々とした物言いで隠してはいるが――実際、予想外ではあった。
 モリアーティとて他人のことを言えた義理では全くないが、はっきり言ってこのバーサーカーは相当に論外の人種である。
 悪の権化のような思考回路もさることながら、兎にも角にもその人格が終わり過ぎている。
 もはや個人の好き嫌いの範疇を超えて、戦略的不利益をすら生み得る悪徳を抱えた実に近寄り難い不発弾。鬼舞辻無惨とはひとえにそんな男だ。

 その彼が、よもやこうも早く"次"の目処を立てて来ようとは。
 実際問題、鬼舞辻無惨が夜の内に敵に回る展開はモリアーティにとってもお世辞にも芳しいとは言えないものである。
 彼のことを少々見縊っていたかと考えつつ。
 自分達と彼の"この後"のことへと話を移さんとしたモリアーティと、無惨――両者の眉がぴくりと動いた。
 いや――何かに反応した、と言った方が正しいだろうか。

「……これは……」

 彼にさんざっぱら煮え湯を飲まされてきた無惨ならば、嘲笑の一つも浴びせて然るべきであろう表情を、今のモリアーティは浮かべていた。
 それは驚き。自分の策を超えた事態が生じたことを察知した、表情。
 しかして無惨にその余裕はなかった。彼は舌打ちを一つし、心底忌まわしいとばかりに歯を噛み鳴らした。

 鬼舞辻無惨は気配感知に長ける。
 鬼の始祖であり、千年に渡り人間社会に雌伏し続けた超越者の権能の一つ。
 故に彼は"それ"がこの地に迫っているという事実のみならず、更にその一つ先。
 迫り来る"それ"が、このデトネラットへやって来る前に感じ取ったあの途方もない覇気の主と同一人物であることまでもを、如実に感じ取っていた。

「末永く仲良く行こうじゃないかバーサーカー君。どうだね、まずは一緒に避難訓練でも」
「――――――――――死ね」

 反吐を出す勢いでそう吐き捨てる無惨と。
 自身の失策を悟りながらも笑みを浮かべるモリアーティ。
 片方にとっては酷く不本意な、もう片方にとっては手放し難い呉越同舟の関係は――当面の間は続きそうだった。


【アーチャー(ジェームズ・モリアーティ)@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:超過剰武装多目的棺桶『ライヘンバッハ』@Fate/Grand Order
[道具]:なし?
[所持金]:なし
[思考・状況]基本方針:死柄木弔の"完成"を見届ける
0:さて……。
1:蜘蛛は卵を産み育てるもの。連合の戦力充実に注力。
2:連合員への周知を図り、課題『グラス・チルドレン殲滅作戦』を実行。各陣営で反対されなければWの陣営と同盟
3:禪院君とアイ君達の折衝を取り計らう。あわよくば彼も連合に加えたいところだがあくまでも慎重に。
4:しお君とライダー(デンジ)は面白い。マスターの良い競争相手になるかもしれない。
5:田中一を連合に勧誘。松坂女史のバーサーカーと対面させてマスター鞍替えの興味を示すか確かめる
[備考]※デトネラット社代表取締役社長、四ツ橋力也はモリアーティの傘下です。
デトネラットの他にも心求党、Feel Good Inc.、集瑛社(いずれも、@僕のヒーローアカデミア)などの団体が彼に掌握されています。
※禪院(伏黒甚爾)と協調した四ツ橋力也を通じて283プロダクションの動きをある程度把握していました。
※アルターエゴ・リンボ(蘆屋道満)から"窮極の地獄界曼荼羅"の概要を聞きました。また彼の真名も知りました。
アラフィフ「これ先に知れて本当によかったなァ~…(クソデカ溜め息)」
※田中一からアサシン(吉良吉影)と仁科鳥子によるリンボ奇襲の作戦を聞きました。(詳細は田中が知らないので不明)。
アサシン(吉良吉影)の能力の一部も知りました(真名は田中が知らないので不明)。
※星野アイおよびそのライダーから、ガムテ&ビッグ・マムの情報および一日目・夕方までの動向を聞きました

【バーサーカー(鬼舞辻無惨)@鬼滅の刃】
[状態]:肉体的には健康、精神的には不快の絶頂、焦り
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:数億円(総資産)
[思考・状況]基本方針:界聖杯を用い、自身の悲願を果たす
0:殺すぞ(殺したいため)
1:『M』に解決の手立てがなければ即座に逃亡する。付き合ってられない。
2:松坂さとう達を当面利用。
3:『M』もといアーチャー達との停戦に一旦は合意する。ただし用が済めば必ず殺す。
4:マスター(さとうの叔母)への極めて激しい嫌悪と怒り。早く替えを見つけたい。
5:神戸あさひはもう使えない。何をやっているんだ貴様はふざけるなよ私の都合も考えろ
6:童磨への激しい殺意
7:他の上弦(黒死牟猗窩座)を見つけ次第同じように呼びつける。
※別れ際に松坂さとうの連絡先を入手しました。さとう達の今後の方針をどの程度聞いているかは任せます。
※ビッグ・マムが新宿区近くの鏡のあるポイントから送った覇王色の覇気を目の当たりにしました。
具体的に何処で行っていたかは後続の書き手にお任せします。


◆◆


 そして――


「何だよ。手間が省けたじゃねえか」


 連合の王は、最上階からそれらの進撃を眺めていた。
 火急の窮地。ともすれば全てが御破算となりかねない苦境。
 そこに追い詰められて尚、彼はその口元を引き裂くように歪める。


「準備はいいか、しお。クソッタレのチェンソー野郎」


 破壊の御子、此処にあれり。
 魔王の器、未だ開花を迎えぬまま。
 迫るは百獣の王。遍く魂司る恐るべき母(ビッグ・マム)。
 その武威を前にして尚。恐怖にも勝る勢いで燃え上がる渇望――滅びの願い。
 故に彼は笑った。ヴィランたる者、そうすることは不自然でも何でもないと彼はいっぱしに自負している。


「――――最低最悪の試練(クエスト)の幕開けだ! 老害(ロートル)共には御退場願おうぜ!!」


【死柄木弔@僕のヒーローアカデミア】
[状態]:健康、高揚
[令呪]:残り三画
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:数万円程度
[思考・状況]基本方針:界聖杯を手に入れ、全てをブッ壊す力を得る。
0:?????
1:しおとの同盟は呑むが、最終的には“敵”として殺す。
2:ライダー(デンジ)は気に入らない。しおも災難だな。
3:星野アイとライダー(殺島)については現状は懐疑的。ただアーチャー(モリアーティ)の判断としてある程度は理解。



時系列順


投下順


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089:ブラック・ウィドワーズ(後編) 死柄木弔 094:崩壊-rebirth-(前編)
アーチャー(ジェームズ・モリアーティ)
082:Epic of Remnant:新宿英霊事変 神戸しお 094:崩壊-rebirth-(前編)
ライダー(デンジ)
089:ブラック・ウィドワーズ(後編) さとうの叔母 094:崩壊-rebirth-(前編)
バーサーカー(鬼舞辻無惨)

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最終更新:2022年02月21日 06:32