「一旦情報を整理しましょうか、写真のおじさん。」
「ふむ。おまえにしては良い考えだな。」
場所はF-8、山岸由花子の家の中。
ひょんなことから出会った鶴見川レンタロウと写真のおやじは、その中で情報交換をしていた。
本当は部屋の奥に入るはずだったが、どういう訳かその扉には南京錠が幾重にもかかっていた。
南京錠に書いてある英単語からして、暗証番号を知らずとも、高校生レベルの英文法を解ければ部屋に入れるようだ。
部屋に入ったらまた鍵のかかる仕組みで、閉じ込められたりする可能性もあったので、扉の前で話をすることにした。
レンタロウは早速、鞄から名簿カードの束を取り出し、床に並べた。
「おじさんも知っている名前があれば、言ってくださいね。」
「うむ。」
そしてレンタロウはカードをめくり、地面に並べながら情報の交換をしていく。
「佐々木ユウカ!?」
「なんじゃ?知っている者がおったのか?」
「昔俺のクラスで死んだ人がいたのですよ。」
「死人が出る学校など、恐ろしくて吐き気がするな……吉影がそんな学校に行かなかったことを幸運と喜ぶしかないが……。」
写真の男は顔をしかめながら、レンタロウの話を聞いていた。
逆にレンタロウは楽しそうな笑顔を浮かべ、ユウカの写真を眺めていた。
自分がクラスの混乱に紛れて同級生を殺そうとする前に、いち早く殺されてしまった彼女を、折角蘇ったのなら自分で殺してやろうという邪な笑みを浮かべながら。
続いてレンタロウの目に留まったのは、ピンクのツインテールの少女だ。
「コイツもおまえの知り合いか?」
「ええ。あくまで同級生というだけですが。」
ある日突然自分の学校に転校してきた少女、柊ナナ。
彼女は『人の考えが読める能力を持っている』と虫も殺さぬ笑顔で言っていた。
レンタロウはどこか裏表がありそうな彼女の素顔を暴いてから殺そうと考えていた。
もっとも、殺す場所が学校かこの会場か変わったぐらいなので、いたとしても問題は無いと思っていたのだが。
「次はおじさんが知り合いのことを教えてください。」
「うむ。先も教えた通りだ。この東方仗助と、広瀬康一というガキは、わしの息子の命を狙っておる。
ついでにこのミキタカという男も、せっかくわしが新しい能力を授けてやったというのに、あろうことか仗助たちの味方になりおった。」
(能力を授けた?)
写真の男の言葉に、首をかしげるレンタロウ。
彼の「幽体離脱の能力」は他者の力によって承ったものではない。
一体どのような力を持てば、無能力者を能力者に出来るのか。
その話も気になったが、それよりも聞かなければいけないことがある。
「それは分かりました。ですがあなたの息子のことを教えてくれませんか?」
「残念だがそれは出来ぬ話だ。まだわしはおまえのことを信用しているわけでは無いからな。」
これ以上問い詰めても返してくれないと考え、はあ、とレンタロウはため息をついた。
その時、死者の名と禁止エリアを告げられる放送が響いた。
レンタロウとしては、殺された困る参加者などこの戦いに呼ばれていないし、むしろ禁止エリアの方が気になるぐらいだった。
死者のことに敢えて言うならば、自らの手で殺してやろうと思っていた犬飼ミチルの名前が呼ばれたくらいだ。
しかし、吉良吉廣は別であった。
(13人んんんんんンンンン~~~~!!?いくら何でも多過ぎないか!!
全参加者の4分の1だぞ!?これほどまでに人殺しを好む者が多い場所など、どうかしているッ!!)
写真の中に居ながらも、男は冷や汗垂らしてうろたえる。
写真が汗を流すのはどういうからくりかは分からないが。
(奴等はわしのかわいい吉影をこのような不浄の場所に送り込んだ……それだけで憎くて仕方がない!!)
確かに彼らの故郷、杜王町も行方不明者が多い町だった。
だが、この世界はそれどころではない。
吉影は植物のような平穏を望み、争いをとにかく嫌うせいかくの持ち主だ。
ここはそんな息子とは予想していた以上に合わない場所だと改めて分かった。
「どうかしましたか?」
レンタロウは地図に禁止エリアをメモしながら、何食わぬ顔で写真のおやじの顔を覗き込む。
「は、早く息子に会いに行くのだ!!こんな狂った世界にいては、どうなるか分かったものではない!!」
「落ち着いてくださいよ。どこにいるのかも分からないじゃないですか。それなら二手に分かれて探した方がいいんじゃないですか?」
「い……いや、お前がわしの息子に手を出さないという保証はどこにもない!!共に行かせてもらうぞ!!」
そう言ったレンタロウとしても、写真の男には好き勝手に動いて欲しくはなかった。
勝手に移動されれば、知らず知らずのうちに自らの悪評を広められるという可能性も無いわけではないからだ。
写真の男に言われた通り、山岸由花子の家を出て南西へ向かう。
「おい……どこへ向かおうとしているのだ?」
写真のおやじはレンタロウの進行方向に疑問を抱いた。
「見て分からないのですか?ここから西へ行ったバロン城ですよ。」
「ま、待て!違う!!そっちへ行ってはならん!!」
「何処へ行くかぐらい、好きに決めさせてください。」
彼の目に映っているのは、ここからでも見える白くて荘厳な城。
学校以外の大きな建物を長らく目の当たりにしてないレンタロウにとって、その城は惹かれる姿をしていた。
勿論、城へ行こうとしている目的は建物のデザインに魅入られたからではない。
あのような場所に行く者は、得てして自分をあの城に似つかわしく綺麗だと思い込んでいるはずだ。
その胸の内に、あの城には似つかわしくない汚らしさを秘めながら。
綺麗な城に集まる綺麗な者達を汚す。
それにあれほど大きい建物なら、自分の能力を使うのに適した死角になり得る場所もあるはずだ。
あの城は彼にとっては自分の欲求を満たすのに、最上のステージだと感じた。
「恐らくそっちの方向にわしの息子はおらん!!」
息子は間違っても城のような人々の目の届きやすい場所に行きたがるような性格ではない。
行くとするなら「トアル牧場」や「清浄寺」のような聞こえが穏やかそうな場所だ。
「じゃああなたの息子さんはどこにいるか分かるんですか?」
「分からんが……とにかく静かな場所を好む性格だ!そんな人が集まりそうな場所にはおらん!!」
武器は潤沢にあるし、3つあるバロン城をつなぐ橋のうち、1つが閉鎖されるから獲物の逃げ道も減る。
「まあまあ、そう大声を出さないでください。」
「やめろ!迂闊なことをするな!!わしの言うことを聞け!!」
写真の男が勝手に逃げたりしないように、ザックから出し、自分の制服の内ポケットにしまう。
「安心してください。あなたの息子さんには手を出しませんから。」
心にもないことを言いながら、レンタロウは目的地へと足を進める。
あの家に籠っていてもいいが、あまり人がいない場所にいれば、殺したい参加者が殺されてしまうかもしれない。
「ま、待つんだ!!おまえが逆に襲われないという保証はどこにある!!」
「あなたの息子さんを探している間は襲われることは無いというのですか?」
次なる獲物を求めて、鞘に仕舞ったナイフを片手で弄りながら、大股で歩く。
彼の手足に込められた力は強くなり、城にいる者をどう汚すか楽しみにしながら歩いた。
(コイツに吉影の爪の垢を煎じて飲ませてやりたい……!激しい快楽など必要なかろうに……!!)
レンタロウの制服の中で写真のおやじは、歯ぎしりしながら彼を苦々しく思っていた。
【G-7 橋 朝】
【鶴見川レンタロウ(@無能なナナ】
[状態]健康
[装備]ダンシングダガー@FINAL FANTASY Ⅳ
[道具]基本支給品×2 オチェアーノの剣@ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち、ゾンビキラー@ドラゴンクエストVII、石ころ帽子(エネルギー切れかけ)@ドラえもん、スパイ衛星@ドラえもん のび太の魔界大冒険 サイコ・バスター@新世界より 写真のおやじ@ジョジョの奇妙な冒険 不明支給品0~1、美夜子の支給品0~1、
[思考・状況]
基本行動方針:参加者がキレイな内に"表現"する。
1.バロン城へ向かい、新たな獲物を見つける。
2.吉良吉影は是非とも殺してみたいが、積極的に探すつもりはない。
3.急かす写真のおやじに苛立ち
4.サイコ・バスターに興味。ナイフで切り刻むのも良いが、病気で苦しむ姿も悪くないかも
5.あの二人(仗助、キョウヤは割とどうでもいい)
6.写真のおやじは自分の目的のために利用するつもりだが、邪魔になるなら捨てる。
7.柊ナナや佐々木ユウカなど、かつてのクラスメイトの女子も殺したい
※少なくともアニメ12話で犯行をキョウヤに明かされる前からの参戦です。
※肉体に瞬時に戻ることができますが、その場合所持品はその場に放置されます。
※写真のおやじから東方仗助、広瀬康一、ヌ・ミキタカゾ・ンシの話を聞きました。
最終更新:2022年04月07日 15:45