バロン城から出てすぐの場所。
地図で言うとF-5の南。
残り1時間足らずで、この場所は禁止エリアになる。
しかし、ローザはこの時知る由も無かった。
彼女が渡っている木の橋は、放送前にビビアンの炎を受け、その後も遠い場所の戦火の巻き添えを食い、少しずつ脆くなっていたことを。
バキ、という音が下から聞こえた時は、もう遅かった
(しまった……!!)
元々早めていた足を、更に速く動かそうとするが、その足の付く場所は無い。
「きゃああああ!!!」
下でローザを待っているのは、青い青い海。
醜い化け物の姿になっている彼女を助ける者もおらず、下へ、下へ、下へ。
手足の長さや等身が異なるボトクの姿でも、歩きにはさして不都合が無かったが、全身をバランス良く使う泳ぎになると話が変わって来る。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
場所は変わり、ローザが落ちた場所から少し離れた【F-6】。
東方仗助と小野寺キョウヤの二人を乗せたバイクは、海沿いを疾走していた。
「まだっすかね例の場所(禁止エリア)は。」
高校1年生ながらも手慣れた様子でバイクを運転する仗助は、バイクの後ろで地図を広げたキョウヤに尋ねる。
「地図が正しいと海の上の橋が見えてくるはずだから、まだだな。」
「あ~あ、このバイク、おっせえなあ。これじゃハイウェイ・スターにも勝てねえよ。」
仗助はかつてスタンドとやったバイクチェイスを思い出しながら、エンジンを踏み続ける。
「ん?あれは……」
仗助は海で藻掻いている異形が目に入り、慌ててバイクを停める。
「おい、東方……。」
「ゴチャゴチャ言ってる場合じゃねーっすよ!!」
目的を放り出して、異形を助けようとする仗助に一言申そうとするキョウヤを無視して、仗助は助けようとする。
海流に流され、溺れかけている怪物の姿は、どこか虹村慶兆の父を彷彿とさせる姿だった。
それ以前に、どんな姿であれ溺れている相手を見捨てるような人間を、あのリーゼントの不良は助けたくは無いはず。
「着衣水泳の訓練は積んでるのか?」
イマイチ論点の合わない指摘をするキョウヤに対して、彼の使った助け方は意外なものだった。
「ンなもん経験も必要もねーっす。ドラァ!!」
2人の位置からして、クローショットではあの場所に届かない。
だが仗助は地面に生えていた木から、一本の枝をへし折り、それを怪物が溺れている方に投げた。
「おい、聞こえるか?それに掴まってくれ!!」
話の要点が掴めないが、話は通じたようで海流に流されている怪物はどうにかその枝を掴んだ。
そこで仗助はクレイジー・ダイヤモンドのスタンドを木に使う。
人の傷のみならず、折れた木の枝も再生できるスタンド能力に沿って、海の方に投げられた枝は元の木の方向に戻っていく。
勿論、それを掴んでいる者も同じだ。
「なるほど。そんな使い方も出来るのか、流石だな。」
「誉めても何も出ねーっすよ。んおお?」
その時助けられた怪物が突然、セクシーなドレスを着た美女の姿になった。
「こ、これはアレっすかね?『私は呪いで怪物にされてた所を助けられました。心優しい若者よ、どうか私と結婚してください』って奴っすかね?」
「違うだろう。キスはしてないし。」
怪物が女性の姿になった、正確には戻った理由は単純にして明快。
姿を変える魔法をかけていた術者の死が理由だ。
「私……戻っている?」
ローザは仗助とキョウヤのやり取りから、自分にかけられた魔法が解けたのかと考える。
彼女の目には、緑色で長い爪の生えた歪な手ではなく、人間の手が入り込んできた。
「戻っているも何も、カワイイ姉ちゃんの姿をしてるっすよ。」
「そう……良かった。」
「何が起こっているのか、今一つ分からん。俺達に説明してくれないか?」
ローザは助けてもらった礼も兼ねて、ボトクやガノンドロフのことも教えようとした時だった。
仗助達が向かおうとしていた方向に、流れ星のようなものが降り注いだ。
「えええ?アレが禁止エリアの
ペナルティっすか?」
いつの間にか時刻は8時を過ぎている。
隕石を降らせるスタンドなど、杜王町で様々なスタンドを見てきて彼でさえ知らなかったので、そう思っても仕方がないだろう。
仗助が彼より未来の、とある国の刑務所にいれば考えも変わっていたかもしれないが、それはあくまでもしもの話でしかない。
「落ち着け。向こうで誰かが戦っているかもしれん。」
比較的落ち着いているキョウヤも内心は仗助と同じことを考えていた。
孤島の学校で様々な能力者を見た彼でさえ、隕石を落とす能力を持つ者には会ったことが無かった。
「あれはメテオよ。」
3人の中で唯一その力を目の当たりにしたことのあるローザが呟いた。
「良く分らないが、アンタの知り合いがいるってことで間違いないな。」
「そうよ。急ぎましょう!!」
「突っ走るっすよ。振り落とされんなよ!!
3人乗りは流石に狭かったが、そのまま禁止エリアの近くへ行く。
場所は殆んど【F-5】と【F-6】の境目。
それからしばらく西へと走った所でバイクを停め、そのままゆっくりと近づく。
「うわ……」
「ひでえな……。何があった?」
放送によれば、禁止エリアに入っても数十秒は死ぬことは無いらしい。
しかし、たとえ禁止エリアに入ることが即死で無いにしても、3人は近寄ることを躊躇ってしまう理由があった。
目の前には、地獄と表現しても大げさにならない光景が広がっていた。
隕石の魔法により、月のようにクレーターが出来た大地。
焼け焦げた大地の中でも、生えている草や木があるが、それらは決して生命の力強さを感じさせるものではない。
自然の色とはとても思えない極彩色の草が、異様なほど伸びていたり。
枯れ木のような姿になっている木が、葉もないのに真っ赤な花を付けていたり。
地面から木というより、生き物の触手のような形をした枝がとぐろを巻いていたり。
隕石の魔法と暴走した呪力のぶつかり合いは、戦場から少し離れた場所でさえ、悍ましい姿に変えていた。
「これが……『ここは禁止エリア』だってメッセージっすかね?」
「かもしれないな。断定は出来ないが。」
「ゴルベーザ?いたら返事して?ローザよ?」
何をどうしたらこのような世界が生まれるのか、想像もつかなかった。
まるで幻覚に寄せられるかのように、異様な光景の中にふらふらと歩いていく仗助。
「――禁止エリア内に滞在しているようだな。」
最初の会場と、6時間後の放送で2度聞いた低い声が首輪から鳴り響いた。
「うわわわわわ!!」
分かっていたことだが、それを告げられると焦ってしまう。
「東方、奥へ行きすぎだ。戻れ。」
キョウヤは呆れながら、ローザは心配そうにそれを見ていた。
「――禁止エリアからの脱出を確認した。」
その言葉を聞いて、安堵する仗助。
「まあ大体、ここからここまでが禁止エリアってことか。お前さんが思い切ったことをしてくれたおかげで良く分かった。」
キョウヤはなおも冷静に、ドッジボールのコート作りでもするかのように、木の枝で境界線を引く。
その時、北の方角から、二人組の姿が見えた。
仗助達3人はその出方を伺う。
その人影のどちらかがゴルベーザかと思いローザは期待に胸躍らせるも、その当ては外れた。
2人の人影の正体は、1人は老兵。もう一人は赤と白の大きな帽子をかぶったカゲの男。
しかし、それどころではないことに仗助は気づいた。
「ちょ、ひでえ怪我してるじゃねーっすか!!大丈夫っすか?」
人間ではない方は今一つ分からなかったが、老兵の方には身体のあちこちに怪我が見られた。
よく見れば、帽子の方の肩を貸してもらって歩いている。
「東方。敵かもしれんぞ。」
気さくな態度で近づこうとする仗助に対し、キョウヤはなおも警戒していた。
「いや、あの怪我は早く治すべきっしょ?」
「あの……ごめんなさい。あなた方の中でゴルベーザという男を見ていませんか?」
回復すべきかしまいか話し合っている仗助とキョウヤに対し、ローザは二人組に尋ねる。
「なんと……そこな女子(おなご)の知り合いでござるか?」
「はい。私の夫の兄でした。」
「すまんでござる……。拙者はお主の知り合いを助けられなかった……。」
メルビンは深々と頭を下げた。
「ちょ……救えなかったって、どういうことっすか!!」
話の文脈からして、ローザの知り合いのゴルベーザは老兵士が原因で死んだということだ。
だが、態度からして二人が悪人だとは思えない。
「ねえ、ここはアタイ達で話を整理しない?」
「ふむ。それがよさそうでござるな。」
メルビンとビビアンの提案で、5人は情報を整理することにした。
その間に、ゴルベーザとの戦いで負傷した二人を、仗助のスタンドとローザの白魔法で治しながら。
「まずは私から話してもらうことにするわね。」
メルビンにケアルをかけながら、最初にローザがあったことを話した。
デパートでボトクという怪物に出会い、その姿を奪われてしまったこと。
続けて出会ったガノンドロフに襲撃を受けたこと。
どうにかしてこの場所へ行こうとしたが、橋が崩れて海へ転落した所を、仗助達に助けられたこと。
「おのれ……やはりボトクの奴、ここでも悪事をなしておるのか……。」
レブレサックで倒した外道の名を聞き、メルビンは怒りを露わにする。
「でもさ、ローザが元に戻れたってことは、そのボトクは誰かに倒されたんじゃない?」
ビビアンがそう考えるが、メルビンの表情は固いままだった。
「奴のことだ。ローザ殿の姿を捨て、別の参加者に化けたのかもしれぬ。」
「では次はアタイの番ね。」
仗助のクレイジー・ダイヤモンドで粗方の傷が癒えると、今度はビビアンが説明し始めた。
ここより西で、伊東守という少年に出会い、鞄にマリオの絵を描いてもらったまま別れたこと。
「マリオだってえ?」
ビビアンの話の途中で、仗助は驚いた顔をしていた。
よく見ればビビアンの鞄にはマリオの絵が描いてあったので、彼と仗助達を襲ったヒゲ男が知り合いだという事実は、嘘では無いということも分かった。
「知ってるの?」
「ああ。」
キョウヤは、自分と仗助が放送前にゴロツキ駅で襲われたことを話した。
「ウソ……。」
「ビビアン殿!!」
メルビンは放送前の悲劇の再来になることを恐れて叫ぶ。
「……いえ、続けていいわ。何があったの?」
ビビアンは話の途中になってしまったが仗助達に出会ったことを聞かせて欲しいと言った。
仗助やキョウヤには知る由も無いが、彼もまた早季と共に戦ったことで、彼女の精神の強さに影響されていた。
「じゃあ、今度は俺と東方に起こったことを話そう。」
今度は長らく口を開いていなかった小野寺キョウヤが説明した。
キョウヤは戦いが始まってすぐにバツガルフというロボットのような風貌の男に襲われたことを話した。
「そいつは、アタイらの敵ね。」
ビビアンは怪訝な表情を浮かべるが、彼としてはマリオの話を聞きたかった。
その後は仗助に出会ったのち、列車に乗りゴロツキ駅へ向かったが、その後すぐにマリオに襲われたことを話した。
「なあ、もう一度聞くが、マリオって奴はいきなり俺達を襲う奴だったか?」
「そんなことはないわ!マリオは、いじめられていたアタイを助けてくれたのよ!!」
「誰かに吹き込まれたんじゃないかしら?『東方仗助と小野寺キョウヤは悪人だ』とか」
ローザはマリオが二人を襲った理由を考えた。
「……だからと言って、いきなり攻撃したりはしないはずよ。」
ビビアンはマリオの優しさを強調しようとする。
「それはお前さんがマリオのことを贔屓目で見ているからじゃないのか?」
キョウヤがそのことをビビアンに聞くが、なおも否定するビビアン。
「キョウヤ殿!それは言い過ぎではござらんか?」
「ああ……すまなかった。」
メルビンの注意を受け、自分の失言を謝罪するキョウヤ。
「なあ、一つ聞くが、アンタが知ってるマリオは、黒い雷を落としてきたり、地震を起こしてきたりしたっすか?」
今度は仗助がビビアンにその変化について尋ねた。
「黒い雷!?」
どうやら、ビンゴだったようだ。
「ウソよ……それって……まるで……。」
「心当たりがあるでござるか?」
ビビアンはその技が、かつて死闘を繰り広げたカゲの女王の技だったということを話した。
「カゲの女王たあ、そいつぁまた恐ろしいバケモンと戦ったんっすねえ。」
仗助はスタンドを操る犯罪者と戦ったことはあるが、彼らはあくまで人間だった。
だが彼は、吸血鬼と戦った承太郎のように、魔物と戦い倒したという。
「でも、アイツはアタイとマリオと仲間たちで倒した。ここにいるのはおかしいわよ。」
「オルゴ・デミーラだってかつてワシらが倒したでござるよ。」
「たとえその女王が生きていたとしても、なぜマリオがその力を使っている訳?」
ローザがその疑問を投げかける。
ビビアンがその言葉を返そうとするその時だった。
――――どうするの?マリオ!?もちろんしもべに何かならないよね?
――――なかなか、ききわけの、いいヤツじゃのう
その時、ビビアンの脳裏に、あり得たかもしれない過去がよぎった。
同時に、脳天から雷を落とされたかのような激痛が走った。
「うう……頭が痛い……。」
「大丈夫でござるか!ビビアン殿?済まなかった……。」
メルビンが彼を気遣う。
「頭痛じゃ俺のスタンドでは治せねえっす。すまねえ。」
しばらく他の4人はビビアンに気を遣う。
彼の頭痛が治まった後、再びメルビンが話を切り出した。
「ビビアン殿が嘘をついているとは思えん。
マリオ殿の異変は、ゴルベーザのように、呪われた武器を持たされたからかもしれぬ。」
「それが妥当な所か……あのハンマーに何かからくりがあったのかもしれんな。」
「この殺し合いの会場に誰かを操る者がいたんじゃないかしら?」
ローザは、ゼムスに操られて悪事を重ねていたカインやゴルベーザを思い出し、第三者が手ぐすねを引いている可能性を挙げる。
「マリオがそんな風になったのなら……絶対に助けないと……。」
結局の所マリオがなぜそのようになったのかは分からずじまいだったが、その後も情報の交換を行い、多くの知り合いを纏めることになった。
「こんな所だな。」
「最初の場所でアイツらに矢を撃った緑フードの人も入れていいんじゃないっすか?」
「マリオの件もある。どうなっているかは分からん。」
キョウヤがメモ帳に、先の放送で呼ばれなかった参加者の情報をまとめていく。
メルビンやビビアンは、ドラえもんや早季と情報交換できなかったことを少し惜しんだ。
味方:アルス、アイラ、シャーク・アイ、川尻早人、ヌ・ミキタカゾ・ンシ、矢安宮重清、クリスチーヌ、カイン、ヤン、エッジ、伊東守、のび太
不明:マリオ、柊ナナ、クッパ、リンク
危険:バツガルフ、吉良吉影、ルビカンテ、ユウカ、レンタロウ、ボトク、ガノンドロフ
「23人か……大分情報が集まったでござるな。」
リストにマリオが『味方』ではなく『不明』の位置にあることがビビアンにとっては悲しい事だった。
それを感謝こそすれど、反対することは出来ない。
仗助達が気を遣ったからこそ『危険』ではなく『不明』の欄に入っている。
「マリオは何処へ行ったか覚えている?」
情報の交換が終わると、早速ビビアンは仗助達から聞き、マリオを追いかけようとする。
「う~ん、ゴロツキ駅で襲われてから、逃げたっきりっすね。」
「それから追ってこなかったってことは、ここから北東の方へ向かった可能性が高いな。」
「じゃあ早速……。「おい、東方。」
仗助はバイクを使ってマリオを追いかけようとしたが、そこでキョウヤが呼び止めた。
「お前さん、俺達がここへ来た目的を忘れちゃいないか?」
「あっ、そういえば!!」
呆れながらも、キョウヤはザックからセシルの首輪を取り出す。
元々この場所に二人が来た理由は、首輪と禁止エリアの整合性だ。
「それは?」
ローザが彼が持っていた首輪に驚く。
「そういや、コイツはお前さんの旦那から貰った。既に死んでいたとはいえすまないことをした。」
「いえ……良いけど……。」
キョウヤは謝りながらも、その首輪を禁止エリアに投げ入れる。
何かが起こるかと5人は期待をしていたが、首輪は何事も無かったかのように大人しいままだ。
「おかしいわね……あの時は確かに動いたはずなのに。」
5人の中で唯一、首輪が爆発する瞬間を目の当たりにしたビビアンが呟く。
彼は確かにその目で見た。
自分達の決死の妨害により、禁止エリアでタイムオーバーとなったゴルベーザの首輪は、確かに爆発した。
だが、セシルの首輪は何の反応も示さない。
まるで何の変哲もない金属の輪を入れたかのようだ。
しばらく5人の中で沈黙が続くが、キョウヤが思い出したかのようにザックから本を取り出し、突然その中に書き始めた。
この世界のキョウヤの部屋にあった、文字が消えている本だ。
「お前さん、聞きたいことがあるんだ。それはどんな感じで動いた?」
『首輪が爆発した時の様子は、どんなものだった?』
仗助とキョウヤが寮でやった通り、メモ帳にしかなってない本を使って筆談で行う。
ビビアンはその本を受け取り、返事を書く。
「よく覚えているわ。」
『首より上が無くなっていた。文字通り』
それを聞くと、キョウヤは何かを閃いたかのような表情で、ビビアンから本を受け取り、新たに書き始めた。
『爆発が原因で死んだんじゃない』
「「「「!!!!」」」」
「どういうことでござるか?」
メルビンが内容をぼかしながらも、詳しいことを尋ねる。
『首より上が『無くなる』というのがおかしい。どれほど爆発が強くても、肉片ぐらいは残るはず。
『首より下』は無事だったんだな?』
『そこまで見てないけど、無くなってはなかった。』
確かに、首輪より上が肉片も残らないほど消し飛ぶ爆発で、首より下が無事なのはおかしい
「けれど、キョウヤ殿の主張にはおかしい話があるでござる。」
メルビンがキョウヤの主張に反駁した。
『最初の場所で、デミーラ自身が少女を爆殺した』
「それはコレの力じゃなくて、アイツが魔法を使ったのだと考えても良くないか?」
この場にいる誰もが知っての通り、最初の場所でイリアは首輪の爆発によって死んだ。
だが、考えてみれば『首輪の音と爆発の関係』があるという保証は何処にも無い。
デミーラが手をかざしたのは、首輪を作動させるためではなく、魔法を使ったという可能性も十分考えられる。
それはキョウヤ以外の4人も納得のいく話だった。
確かに一理ある話だ。
だがゴルベーザの死の原因は何なのかという疑問が残る。
次はローザが本に書き込む。
『プロトバブイル』
「月世界の巨人の力」
「何だソレは?」
「巨人とはまた、ジャ〇プの俺たちの前にたいそうな言葉が出てきたっすね~、そいつがどう進撃するんすか?」
かつてローザ達がいた月の巨人の名を書いた。
『異次元に消す技を持つ』
「「「消す!?」」」
メルビンに関してはニフラムという例があったのでさほど驚きはしなかったが、仗助とキョウヤ、それにビビアンは驚きを隠せなかった。
月世界の巨人、ロストバブイルは敵を異次元へと送る技や異次元から呼び出した物体で敵を圧殺させる力を持っていた。
「そいつは能力の持ち主でござるな。」
「ブラックホールみたいなものっすか?」
「………。」
その話を聞いて、一理あるとキョウヤも思った。
首の骨を折られても、ガス爆発に巻き込まれても不死の能力で蘇ることが出来るが、姿を消されてしまえばどうなるかは分からない。
「ローザ殿はどうやってその力に対抗したでござるか?」
「白魔法を使えばよかった。全身を余すところ消されでもしなければ、生き返ったわ。」
だが、この世界では蘇生魔法は軒並み封じられている。
「だとすると、お前さんの世界の月の力とやらが、向こうと関わっているかもしれんな」
キョウヤが本に続きを書き込む。
『ゼムスがデミーラのように復活しているかもしれないわね。』
ローザはかつてセシルの兄のゴルベーザを操り、青き星に侵略しようとしていた月の民のことを思い出した。
『ゼムスとはワシらの世界のデミーラのような者でござるか?』
『その通りよ』
情報は繋がっていく。
首輪は爆発をしたと見せかけて、何か別の力を使い、首より上を消すことで参加者の命を奪っていることが、5人の話で分かることになった。
まだ必要な情報は多くある。
禁止エリアにいることで、どういったからくりで消滅術、あるいは消滅魔法は作動するのか
また蘇生術が使えない中で、首輪からの攻撃をどうやって凌ぐか
そもそもどうすればこの世界から脱出できるのか。
だが、首輪の謎に関しては1つ進展があった。
「さて、これからどうすっかだな。全員でマリオとバツガルフの野郎を止めに行きたいところだが、俺のバイクは、5人も乗れねえぞ。」
「ワシらの飛空石のようなものでござるな。」
「アタイは絶対に行くわ。マリオが間違っていたことをしているなら、止めないといけない。」
「ごめんなさい。私も行かせて。彼を止めることがセシルのためにもなると思うし。」
「というと、北へ向かう連中は決まりだな。」
仗助は早速バイクに乗ることにする。
「ワシとしては若い者のみで行かせるのは心苦しいが、仕方あるまい。キョウヤ殿はどうするでござるか?」
「俺としてはマリオ以外にも探したい奴はいるし、もう一つ向かいたい場所がある。図書館だ。」
キョウヤの寮にあった本は、全て白紙になっていた。
図書館の本も同じなのか、はたまた字が書かれているのか、キョウヤとしてはそれが気になった。
「恐らく俺以外にも同じことを考えている参加者がいるはずだ。メルビンさんもついて来てくれるか?」
「うむ。しからば共に向かうでござる。アルス殿やアイラ殿もいるかもしれぬ。」
残ったメルビンとキョウヤの2人は、北の図書館へ向かうことになった。
「メルビンのジジイ!キョウヤを頼んだぜ!!」
「いかにもワシはジジイでござるが、そこらの若者には劣らぬでござるよ。」
「東方。アンタも気を付けろよ。」
早速後部にビビアンとローザを乗せた仗助は、北東へと進んでいく。
いつかまた、再会できると信じて。
【F-6とE-6の境目/一日目 午前】
【メルビン@ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち】
[状態]:HP ほぼ全快
[装備]:勇気と幸運の剣@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~5(一部ノコタロウの物)
[思考・状況]
基本行動方針:魔王オルゴ・デミーラの打倒、ガノンドロフは今度会ったら絶対に倒す
1.自分とノコタロウと早季の仲間を探し、守る
2.小野寺キョウヤと共に図書館へ向かう
2.ボトク、バツガルフ、クッパ、レンタロウ、ユウカ、吉良には警戒
3.マリオに不信感
※職業はゴッドハンドの、少なくともランク4以上です。
※ジョジョ、無能なナナ、FF4、ペーパーマリオの参戦者に関する情報を得ました。
【小野寺キョウヤ@無能なナナ】
[状態]:健康
[装備]:モイのバズーカ@ゼルダの伝説トワイライトプリンセス (残弾2/5)
[道具]:基本支給品(切符消費)、替えの砲弾×5 ランダム支給品(×0~2 確認済) セシルの首輪 首輪に関するメモを書いた本@現地調達
[思考・状況]
基本行動方針:主催者が何を考えてるのか。少なくとも乗る気はない。
1.メルビンと共に図書館へ向かい、首輪や主催に関する更なる情報を得る
2.バツガルフ・マリオへの対策の考案。
3.知人の捜索。優先順位は佐々木=鶴見川>柊。
4.東方仗助は信用してもよさそうだ。
5.吉良吉影、柊、バツガルフに警戒。
※参戦時期は少なくとも犬飼ミチルの死亡を知った時期より後です。
※不老不死の再生速度が落ちています。少なくともすぐには治りません。
※死亡した場合一度死ぬと暫くは復活できません。
※別の世界の存在があると理解しました。
※この殺し合いが強力なスタンド使いを作るため、と言う仮説を立ててます。
※ジョジョ4部、DQ7、FF4、ペーパーマリオの情報を得ました。
【F-6北東 /一日目 午前】
【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:ダメージ(小)ほぼ治療済み 覚悟 疲労(中)
[装備]:クローショット@ゼルダの伝説トワイライトプリンセス
[道具]:基本支給品(切符消費)、ランダム支給品(×0~1 確認済) 承太郎が盗んだバイク@ジョジョの奇妙な冒険(ガソリン消費 大) いくつかの食糧
[思考・状況]
基本行動方針:乗るつもりはない。主催を康一たちの分まで殴る
1.ローザ、ビビアンと共に北東へ向かい、マリオを探して止める
2.バツガルフ・マリオへの対策の考案。
3.仲間を探す。生き返ってる重ちー、一般人の早人を優先したい。
4.吉良吉影を探す。乗ってるかどうか関係なしにぶちのめす。
5.佐々木ユウカ、鶴見川レンタロウに警戒。
6.クローショットがちょっと楽しい。
※参戦時期は少なくとも最終決戦、億泰復活以降です。
※別の世界の存在があると理解しました。
※この殺し合いが強力なスタンド使いを作るため、と言う仮説を立ててます。
※マリオはバツガルフに操られている(DIOの肉の芽を植え付けられた虹村家の父の様に)と思い込んでいます
※無能なナナ、FF4,DQ7、ペーパーマリオに関する参加者情報を得ました。
【ビビアン@ペーパーマリオRPG】
[状態]:軽傷 疲労(中)
[装備]:グリンガムのムチ@ドラゴンクエストⅦㅤエデンの戦士たち
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針 マリオと共にこの殺し合いの世界を脱出する。
1. マリオに会って、本当のことを知りたい
2.自身とメルビンの治療をどこかで行いたい
※本編クリア後の参戦です
※ザックには守の呪力で描かれた自分とマリオの絵があります
※無能なナナ、FF4,DQ7、ジョジョに関する参加者情報を得ました。
※マリオはカゲの女王に操られている、あるいはこの殺し合いにカゲの女王が関係していると考えています。
【ローザ・ファレル@Final Fantasy IV】
[状態]:HP ほぼ全快 MP:1/2 決意
[装備]:勇者の弓@ゼルダの伝説+矢30本 トワイライトプリンセス ふしぎなぼうし@ドラゴンクエストVII
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本行動方針:東方仗助、ビビアンと共に北東へ向かい、マリオを止める。
1.仲間(カイン、エッジ、ヤン)を探す。
2.ガノンドロフ、ボトク、バツガルフ、ユウカ、レンタロウ、吉良に警戒
※参戦時期は本編終了後です。
※この殺し合いにゼムスが関わっていると考えています。
※ジョジョ、無能なナナ、DQ7、ペーパーマリオの参戦者に関する情報を得ました。
※首輪は爆発が原因ではなく、FF4のロストバブイルが使う9ディメンジョン、DQ7のニフラムのように、参加者の首より上を消滅させることが原因だと解明されました。
※爆発は直接参加者の殺害ではなく、消滅魔法が発動されるトリガーになると考えています。
最終更新:2022年09月18日 23:03