ヤン達と別れてから、カイン達は再び清浄寺を目指していた。
「そろそろ森へ着くぞ。守、ミキタカ。常に辺りを警戒しておけ。」
「はい。」
「わかりました。」
これは例え安全な場所でもそうでない場所でも、周囲の者の集中を解かぬために必要な呼びかけ。
元竜騎士隊長という職業柄、そうした合図は意識せずとも行ってしまう。
だが、広がる森を目の前にして、何とも言えない嫌な予感がカインの胸の内に過った。
カインは一度この森にはシャーク達を追って、入ったことがある。
だが、二度目のこの森はその時とは違う。
森ではなく、苔むした怪物の口の中に自分から飛び込んでいくような気分を覚えた。
確かに今から飛び込むのは、奇襲を受ける可能性が高い、見通しの悪い場所だ。
しかも、ヤンに怪我を負わせた者がまだいる可能性があるのだから猶更危険だ。
だが、カインが抱いた感覚は、そう言った根拠から来るものではなかった。
なぜこのような気分を覚えるのか歩きながら考えてみたが、終ぞその根源は分からないままだった。
守はこの違和感に気付いているのか、ミキタカはこの違和感に気付いているのか。
口に出して、問うてみたかったが、今さらここへ来て戻ろうと言う気にもなれず、そのまま森に入ることにした。
「絶対にはぐれるな。迂闊な単独行動は死につながると思え。」
「勿論ですよ。カインさん。」
「はい。」
後ろを向いて2人に指示を出すカイン。
最初の放送まで能天気だったミキタカの表情も険しげだったのは、カインにも伝わった。
殺し合いに乗った者を目の当たりにし、その被害を受けた者の治療も行ったのだから、能天
守の方は言わずもがな。
彼も呪力というカインの知らぬ力を持っているのは聞いたが、だからと言って一人にするわけにはいかない。
そもそもどちらも戦闘には向かない性格だと、カインは見抜いていた。
何度も後ろを伺いながら、二人を気に掛ける。
こんなに同行者を気にしたのはいつ以来だろうと、考えなくても良いことを考えてしまった。
彼は旅の間、面倒ごとの大半は亡きセシルが引き受けていた。
なので戦いに向かない者の前に立つことなど、新鮮な経験だった。
――さあ、ここは危険だ。僕らと一緒に…
――やむをえん!無理矢理でも!
不意に思い出したのは、ミストの村での出来事。
周囲の人間が全て殺され、錯乱状態になっていたリディアを保護しようとしていた時だ。
セシルはどうにかリディアを宥めて連れて行こうとしたが、カインは言うことを聞かない彼女を無理矢理連れて行こうとした。
(俺とセシルの違いは、そんな所だったのかもしれないな。)
それからしばらくの間、二人の道は大きく分かれた。
セシルはリディアと共に茨の道を歩み、カインはゴルベーザに洗脳された。
彼は、誰に対しても感受性が豊かで優しかった。
己が傷つくことよりも他人が傷つくことを忌避し、常に仲間に対して励ましの言葉をかけることを忘れず、悪に苦しむ者がいれば誰よりも早く助けに行く。
言ってしまえば、パラディンになるべくしてなった人物だった。
そして、誰よりもローザに似合う男だった。
カインは違う。
リアリストを追及してしまうあまり、初めてリディアに出会った時のように、セシルが踏み出せる一歩をどうしても踏み出せない。
踏み出せなかったゆえに、ゴルベーザの魔の手に囚われることになった。
やがてセシルと再び共闘することになったが、それは結果論でしかない。
自分とセシルの差は力以前に、もっと小さく、そして埋めがたい溝にあったのではないか。
今更亡き友と自分の違いを考えたりしていた。
きっと自分がセシルならば、後ろにいる二人を気遣う言葉の一つもかけてやれるんじゃないか。
そんな考えても意味の無いことを考えていたりした。
今更セシルに対して劣等感を抱いたわけではない。
ただ、彼が死した今、代わりにやらねばならないことを出来ない自分が歯がゆかっただけだった。
寺の入り口まで来て、そのまま守達を置いていこうとした所で、突然心臓を握り潰されるような圧迫感が襲って来た。
(これは……。)
つい数時間ほど前味わったものに似た感覚。
あの赤髪の魔王と対峙した時の圧迫感だと、カインはすぐに認識した。
「ミキタカ、守、下がれ。」
カインは後ろの二人に指示を出す。
木々の隙間からぬっと顔を出したのは、どう見ても人と思えない大男と、むしろ人以外の生き物と判断するのが難しい人間の女性。
「先に言っておこう。俺達に戦う意思はない。」
カインはホーリーランスを地面に刺して、デマオン達に話を切り出した。
「地球人にしては度胸がある様だな。褒めて遣わそう。」
「チキュウ?ああ、青き星のことか。それでそちらも、戦う意思は無いという事でいいのだな?」
カインはデマオンに対しては、さして恐怖感を抱かなかった。
なぜならこの男は、圧迫感はあるが殺意は感じられなかった。
勿論、殺意を感じさせなくとも襲ってくる敵はいるし、完全に警戒を緩めた訳では無いが。
「そちらではない。わしの名前はデマオン。隣におるのは我が軍の幹部、アイラだ。」
隣の女性の怪訝な表情からして、後半は勝手に言っているだけだろうと思った。
ともあれ、戦う気が無いということから、カインの後ろの2人も安堵したようだった。
背後の空気が幾分か緩んだのは、簡単に伝わった。
「俺はカイン。後ろにいるのが守とミキタカだ。名前ついでにもう1つ教えて欲しいことがある。」
「欲深いな。」
「俺達は今、吉良吉影という白スーツの男を探している。知らないか?」
「知っておるのか。」
デマオンの表情がさらに険しくなった。
カインが吉良の名を呼んだ際に浮かべた表情から、鼻持ちならぬ男だということが伝わったらしい。
ようやく手掛かりが掴めたことで、銀仮面の裏から笑みがこぼれる。
「俺は直接対面したことは無いのだがな……。」
そしてカインは川尻早人達から聞いたことを説明した。
この殺し合いで1人の少女を殺し、カインの仲間を傷付けた殺人鬼だということを。
「おのれぇ!!地球人の分際で、わしを謀りおって!!」
カインが吉良の説明を全て終わらせる前に、デマオンは怒鳴り声を上げた。
そのけたたましい声が、森の木の葉を揺らした。
それだけではなく、近くにあった寺の屋根まで、ガタガタと揺れた。
「このデマオンを騙すなど不届きなことをしおった暁には、是が非でもわしの手で断罪せねばならん……!!」
拳を握り締め、もう片方の手には業火が灯る。
殺し合いに乗った者として襲って来るならいざ知らず、大魔王たる自分を隠れ蓑として利用するなど、自分のプライドが許せなかった。
「それもそうですが、一緒に行動しているナナが危ないんじゃないでしょうか?」
デマオンの隣にいたアイラが心配したのは、吉良と共に行動している少女のことだ。
吉良吉影がそんな危険人物ならば、その魔の手がいつ彼女に及ぶか分からない。
アイラは柊ナナという少女のことは半信半疑だが、知らず知らずのうちに殺されてしまうのは忍びなかった。
むしろ疑わしいからこそ、この目でしっかりと彼女の正体を見極めたかった。
「あの地球人の少女に何が起ころうと関係ない。我らが魔族に逆らった地球人がどうなるか、目にもの見せてやろう。」
デマオンが思い出したのは、かつて魔族の味方になると称して魔界星にやって来て、魔族の弱点を探っていたナルニアデスのこと。
あの時の地球人のように、この手で八つ裂きにせねばならぬと意気込む。
「そうだ。奴のことを教えた礼代わりと言えばなんだが、わしの方からも情報を伝えねばな。
空を飛ぶ赤髪の地球人の女に気を付けろ。図書館を燃やした奴だ。」
その言葉を聞いて一番青ざめたのは、伊東守だった。
「あの……もしかしてその人って……僕と同じくらいの……。」
守は名簿を呼んでいない。だが「空を飛ぶ」と「赤髪」という2つの要素を聞けば、想い人のことを考えずにはいられなかった。
「地球人の顔など皆同じに見えて仕方が無いが、長い赤髪だっ……」
「嘘だ!!」
彼は叫んだ。それこそ吉良に対して怒るデマオンと大差ないほどの剣幕で。
気弱な性格の彼とは思えないほどの大声だった。
あり得ない。
あり得てはならない。
「真理亜は僕の……僕の大切な人なんだ!!」
いくら相手が大魔王であれ、言い返せずにはいられなかった。
そもそも伊東守という少年は、不浄猫に追われた時に町から一人で逃げ出したように、気弱なのに突発的な行動に出てしまうという所はある。
「建物に火をつけて……人を殺したって……まるで……。」
まるで神栖66町に伝わる悪鬼じゃないか、そう言おうとした。
「地球人の分際で、わしの言うことを否定するか!!」
そう言われれば、デマオンも黙っていることは出来ない。
元々デマオンは地球人と殺し合うつもりは無いというだけで、地球人を自分と同等に扱うつもりは無かった。
現に彼はこの殺し合いが終われば、彼の世界の地球のみならず、他の参加者の故郷までも征服しようと考えている。
なので、初対面の地球人に自分の見たものを否定されることは、どうにも我慢が出来なかった。
猛牛もかくやと言うほどの大魔王の勢いに負け、守は黙ってしまう。
「落ち着け。コイツが嘘を言っているとは思えん。」
「ひとまず落ち着きましょう。ここで戦うべきでは無いと思います。」
しかし、カインが守を、アイラがデマオンを宥めることで、一先ず場は収まる。
「………まあいい。まずはキラを見つけるのが先だ。この地球人の少年の処遇は、その後考えるものとする。」
「………。」
『処遇』という言葉を聞いて、守は震えあがった。
そして、自分は先ほどとんでもない相手にとんでもない口をきいてしまったのだと分かった。
この男は胸先三寸で自分を跡形もなく消し去ることが出来る。
神栖66町の大人達のように。
「守、落ち着けと言っただろ。いざとなれば俺がこの男を止める。」
「この場で揉めることよりも、キラを捕まえる方が先でしょう。」
話が少しもつれたので、アイラは早く吉良とナナを探すことを提案する。
カインも動揺している守を宥めた。
「……然り。アイラ、貴様は1人でこの森の出口へ向かえ。ワシは1人で奴を殺す。」
デマオンとしては、自分達の陣営に土足で入り込まれたという事実が許せなかった。
「え?手分けして探した方が……。」
アイラは口を挟もうとするが、聞く耳を持たぬようだ。
「くどい。あの地球人には何をしたか教えねばならぬ。それが終わった後すぐにそちらへ向かえば良かろう。」
早速、デマオンは5人の中から抜け、吉良吉影を探しに行く。
彼がいなくなると、空気の重さが軽くなったのが、残った4人全員に伝わった。
「あの……申し訳ありませんが、真理亜は何処へ行ったのでしょうか。」
ようやく手掛かりを掴めたが、彼女が殺し合いに乗っていると知った守は、アイラに問いかける。
信じたくは無いが、彼女の手掛かりを捨てたくはないし、彼らが嘘をついているにも思えなかった。
「図書館から東の方に飛んで行ったわ。どうするの?」
『飛んで行った』ということを聞いて、いよいよ彼女だという確信が強まった。
「彼女に何故殺し合いに乗ったか理由を聞きたいし、出来るなら説得したいです。」
そうだろうな、とアイラは思ってしまう。
だが、それを考えたがために、殺されてしまったゼルダのことを思い出した。
「きっと、彼女を止めるのは不可能よ。もしかするとキミも殺されるかもしれない。」
アイラだって死ななかったのは結果論でしかない。
この伊東守という少年と、秋月真理亜がどのような関係なのかは漠然としか分からないが、それでも止めなければいけないと思った。
「それでも……。」
「いくら同郷だからと言って、説得できるとは思えないわ。」
「でも、僕は彼女に会いたいんです。」
守の声は上ずっていた。
彼は戦いという物を好んでいない性分だということは、このやり取りだけでアイラも容易に察した。
「俺達が一緒に行く。それで問題なかろう。」
見かねたカインが、アイラを説得する。
「………仕方がないわ。でも、無事に戻ってくるのよ。デマオンには私の方から説得しておくから。」
「勿論です。」
そこまで言われて、アイラも止めようが無くなった。
許されざる恋と言うのは、言葉で言ってもどうにもならないのは彼女自身でも知っていることだ。
彼の遠い先祖であり、自分の名前の由来にもなったユバールの歌姫ライラと、その彼女に恋をしていたジャンの関係だってそうだ。
ジャンもまたユバール族のおきてを破ってなお、ライラと結ばれることを望んだ。
結局その望みは叶わず、ジャンはユバール族を出ることになり、ライラは別の人と結ばれることになったのだが。
その話を聞くと、アイラは森の出口へ向かわずに、デマオンを追いかけ始めた。
彼はああは言っていたが、人を探すなら人では多ければ多いほどいいと考えた。
「俺達も行くぞ。早くしないと取り返しのつかないことになるかもしれん。」
アイラがいなくなると、カインは急いで守達に呼びかける。
「勿論です。」
守はうなずいた。彼の瞳には、より強い意志が現れていた。
それを見ると、カインの胸の内には不安がよぎった。
自分が、伊東守の恋人を殺してしまうのではないかと。
彼女のことは知らないが、それでも彼女が殺し合いに乗った理由など、カインにとってはいくらでも思い当たる。
かつて自分を洗脳したゴルベーザのような存在がこの世界にいるのかもしれないし、恐怖に駆られて人を殺しているのかもしれない。
セシルならば殺さずに助けることが出来るかもしれないが、自分にはそれが出来る自信が無かった。
何でも真理亜という少女は、『空を飛ぶ』ことが出来るらしい。
だとすると、空中戦に手慣れた竜騎士の出番だが、殺さずに無力化するとなると、話は別になって来る。
(セシル……お前なら、どうする?)
カインはそんな考えても意味の無いことを考えながら、先頭を走った。
集まった5人は、それぞれの目的地へと向かう。
デマオンは罪人を処刑するため。
アイラは孤立した同盟相手の真実を探るため。
そして守達は、彼の想い人を探す為。
【C-3/清浄寺より少し南/一日目 昼】
【カイン@Final Fantasy IV】
[状態]:HP7/10 服の背面側に裂け目 疲労(小)
[装備]:ホーリーランス@DQ7 ミスリルヘルム@DQ7
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:マーダーを殺す。
1.守、ミキタカと共に秋月真理亜を探す。
2.ローザとも集合したい。
3.出来るならばガノンドロフ、スクィーラ、偽ローザ(ボトク)、吉良吉影の危険性を広めたい
※参戦時期はクリア後です
【ヌ・ミキタカゾ・ンシ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:疲労(小)
[装備]:魔導士の杖@DQ7
[道具]:基本支給品 バッジ?@ペーパーマリオRPG 紫のクスリ(残り半分)@ゼルダの伝説トワイライトプリンセス
[思考・状況]
基本行動方針:カインやシャーク、早人に協力する
1.守、カインと共に秋月真理亜を探す
2.ガノンドロフ、ローザの偽物に警戒
※参戦時期は少なくとも鋼田一豊大を倒した後です。
【伊東守@新世界より】
[状態]:健康 精神的疲労(大) 不安(大) 真理亜が心配
[装備]:なし
[道具]:基本支給品 不明支給品1~3
[思考・状況]
基本行動方針:
1.真理亜を探す。見つけたら絶対に止める。
※4章後半で、真理亜と共に神栖六十六町を脱出した直後です
※真理亜以外の知り合いの参加者がいることを知りません。
※デマオン達から真理亜が殺し合いに乗っていることを聞きました。
北東へ向かう3人は、第三回放送までにF-1のデパートで合流するつもりです
【デマオン@のび太の魔界大冒険 】
[状態]:健康 魔力消費(小) 精神疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:不遜なるデク人形(オルゴ・デミーラ、ザント)をこの手で滅し、参加者どもの世界を征服する
1.吉良吉影を見つけ、殺す。
2.デパートへ向かい「鍵」の正体が何なのか調べる
3.何だ……この気持ちは……。
4.デマオン軍団の一員として、対主催の集団を集める。
5.刃向かうものには容赦しない
6.アイラと共に、森の西側でナナ、吉影と合流
【アイラ@ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち】
[状態]:ダメージ(中) 火傷(中) 職業 調星者 (スーパースター)
[装備]:ディフェンダー@ FINAL FANTASY IV 魔法の盾@ドラゴンクエストVII
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1モーテン星@魔界大冒険 、イツーモゲンキ@ペーパーマリオRPG、不明支給品0~1
[思考・状況]
基本行動方針:オルゴ・デミーラを再度討つ
1. 吉良吉影、柊ナナを探す。
2.デマオン、ナナと共にデパートへ向かう
3.アルスとメルビンが心配
4.柊ナナに対する疑い
5.伊東守が心配。無事に戻って来て欲しい。
※職業は少なくとも踊り子、戦士、武闘家・吟遊詩人・笑わせ師は極めています。
参戦時期はED後。
実はこの場にいたのは、5人だけではない。
もう2人、寺の中に隠れて情報を聞き取っていた。
カインはこの森の中に入る時、どうにも言えない嫌な予感を感じたが、その正体はこの2人なのかもしれない。
★★★★★★★★★★★★★★★
時は少し遡る。
休憩場所を探していた佐々木ユウカとバツガルフは、清浄寺に滞在していた。
ガノンドロフに出会った場所のような草原では、誰に見つかるか分かったものではないので、少し休憩すると森の中へ入って行った。
これといった会話も無い、張りぼての同盟のまま、壊れかけた清浄寺に座っていると、外から声が聞こえて来た。
バツガルフは寺の本堂で座っていたが、ユウカはどうにもじっとしていられなかった。
寺の中をぶらぶら歩いていると、外から声が聞こえて、人が集まっているのだと察しがついた。
どうしようか考えていると、外にいるうちの一人が「ナナ」と言ったのが聞こえた。
ついにシッポを掴んだと、口角が歪む。
だが、実際に負けたので知っているが、柊ナナは能力が無くても十分強い。
加えて、今の自分がネクロマンサーの能力を使えるまで、あと6時間と少しあるので、あの時よりも状況は不利だ。
従って、いかにナナに自分の存在を感づかれず、彼女を追い詰めるかを考えていた。
「小娘。ここから出るつもりか。」
寺から外を見ていると、バツガルフがユウカに小声で聞いた。
「そうよ。あたしの嫌いな奴の手掛かりをようやく掴んだからね。」
「やめておけ。1人か2人なら騙せるかもしれぬが、あの人数なら誰かにバレる可能性がある。」
「う………そうね……。」
この時はバツガルフの判断が正しかった。
最初の放送直後の会話で、『どっちも敵という情報をどっちも敵と言う情報持ってる参加者は限られている』と話していた。
しかし、デマオンの陣営はユウカ、バツガルフ共に悪評が知れ渡っている。
バツガルフの提案に従って、話し合いの中ではユウカとバツガルフは寺の中で息を潜めていた。
この時、デマオンがあまりに強力な存在感を放っていたことや、真理亜や吉良が殺し合いに乗っているという衝撃の事実のせいで、5人は誰も彼らの存在に気付かなかった。
やがて話し合いが終わったようで、5人が3人と1人と1人に分かれて散会すると、ユウカとバツガルフも寺を出て行く。
「どうするつもりだ。」
「決まってるでしょ。アイツらがナナを見つける前に、あたし達で殺すのよ。」
「話の様子じゃ、その少女はどうやら悪人に追われているようだぞ。放っておいても良くないか?」
「ダメよ。あいつはあたしが殺す。」
誰が殺そうと結果は同じでは無いのかとバツガルフは首を傾げるが、好きにさせることにした。
極端な話、ユウカが返り討ちに遭えば、一人殺す手間が省けるだけなのだから。
何なら彼女が倒されれば、後ろからナナやキラという殺人鬼も殺すのもありかもしれない。
先にナナに追いついたらどうするか、はたまた黒い怪物と赤い女の方が先にナナに追いついたらどうするか、場合を分けながら考えていた。
一方で、ユウカ本人はナナに対して憎悪を燃やしながらも、どうすべきか悩んでいる節があった。
誰にも殺させず、自分の手で彼女にトドメを刺したいのは事実だが、武器らしい武器はバツガルフに貰ったPOWブロックとボロボロのフライパンだけ。
手ごろな大きさの石で頭を割る、素手で首を絞めるといったやり方も無くは無いが、相手が相手である以上接近戦は避けたかった。
この森の中では、吉良を追いかける者が2人。ナナを追いかける者が2人。
どちらが先に追いつくか、それとも追われる方が逃げおおせるか。
そしてもう1つ、この場にいる誰もが忘れていることがある。
それは、次の死者が呼ばれる放送まで、もう少ししか無いということだ。
次の放送を境に、ある者の状況が大きく変わるのだが、それが何なのか、まだ誰も知らない。
【C-3/清浄寺裏/一日目 昼(放送直前)】
【佐々木ユウカ@無能なナナ】
[状態]:ナナへの憎悪(極大) ガノンドロフへの恐怖
[装備]:POWブロック@ペーパーマリオRPG
[道具]:イリアの死体@ゼルダの伝説トワイライトプリンセス、基本支給品×2(自分、ピーチ)、遺体収納用のエニグマの紙×2@ジョジョの奇妙な冒険 陶器の馬笛@ゼルダの伝説トワイライトプリンセス、虹村家の写真@ジョジョの奇妙な冒険、ランダム支給品×1(彼女でも使える類)、愛のフライパン@FF4
[思考・状況]
基本行動方針:シンジと添い遂げるために優勝する
1:キラがナナを殺す前に、森の中にいるはずのナナを見つけて殺害する。
1:暫くはバツガルフと行動。集団に紛れ込めればいいんだけど。
※参戦時期は死亡後で、制服ではありません。
※次の夜まで死体操作は出来ませんが、何らかの条件で出来る可能性もあります。
※死体の記憶を共有する能力で、リンク、仗助、ピーチ、マリオの情報を得ました。
イリアの参戦時期は記憶が戻った後です。
※由花子との情報交換でジョジョの奇妙な冒険の参加者の能力と人柄、世界観を理解しました。
但し重ちー、ミカタカ、早人に対する情報は乏しい、或いはありません(由花子の参戦時期で多少変動)
【バツガルフ@ペーパーマリオRPG】
[状態]:ダメージ(中) 至る所に焦げ付き 愉悦
[装備]:えいゆうのつえ@ドラゴンクエスト7
[道具]:基本支給品 POWブロック@ペーパーマリオRPG まだら蜘蛛糸×3@ドラゴンクエストVII
[思考・状況]
基本行動方針:優勝し世界征服を叶え、ついでに影の女王へ復讐する。
1:佐々木ユウカと共に、柊ナナを追いかける。トドメは彼女に任せるが、状況次第では自分の手で彼女を殺す。
2:打倒マリオ。その為の支給品集め。
3:マリオを味方と偽る形での悪評も考えておく。
4:ユウカの提案には一先ず乗ってみるか。
5:ユウカの能力とは?
※参戦時期は影の女王に頭だけにされて間もなくです。
最終更新:2022年08月27日 10:40