人は、肉眼で自分の顔を見ることができない。
しかし、自分の手や足を見ることはできるし、上半身や下半身についても背面は難しいが、正面なら見ることができる。
では、魔物はどうであろうか。
魔物は、様々な形状の生物がいる。
その形状によって、自分の身体の見れる範囲は異なってくる。
例えば、スライムのような魔物は、恐らく自分の身体のほとんどを見ることができないだろう。
しかし、例え魔物であろうと、頭があり首があり胴体がある二足歩行のタイプ、いわゆる人間の形状に近いタイプであれば、視覚に特別な特徴でもない限り、人間と同じく手足や上半身、下半身を見ることができるだろう。
そして、この殺し合いに呼ばれたボトクは、そういうタイプの魔物である。
長々と書いたが、つまり何が言いたいかと言うと、
「ボトク、やってくれたわね…」
ボトクのかけた術は、ローザにバレていた。
手や足を始めとする皮膚が人間のそれとは見た目からして違っており、来ている服も全然違う。
彼が懸念していた鏡や水面がなくとも、バレるのは時間の問題だったのだ。
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「エスナ!」
ローザは、自身に状態異常を治療する術をかける。
しかし、その姿はボトクのままであり、元に戻ることはなかった。
「まいったわね…私の力じゃ元の姿には戻れないみたい」
ローザは考える。
この会場にいるのかすら分からない解除できる参加者、あるいは支給品を探す、というのは現実的とはいえないだろう。
となると、ボトク本人に解いてもらうのが一番手っ取り早い。
ボトクと別れてからそれほど時間は経っておらず、今から北西寄りに進路を変えれば、追いつくのも難しくはないだろうが…
「…いえ、これもあまりいい手とは言えないかもしれない」
ボトクがかけた術が具体的にどういうものなのかは知らないが、もしも他人だけでなく自分の姿も変えられるのだとしたら、おそらくボトク自身は自分、ローザに化けている可能性が高い。
そして、無害な風を装って他の参加者と接触しているかもしれない。
もしもそんな状態でボトクに会ったとして、彼が接触した参加者に真実を伝えたとしてだ。
その参加者は、人間の姿をしたボトクと、魔物の姿をした自分、どちらの言い分を信用するだろうか。
「人は見た目じゃない、心だ」などという綺麗ごとを言うものもいるが、見た目と言うのはどうあがいても人の印象を大きく左右するものだ。
ローザだって、人間の自分の姿が他人から、特に男性からどういう目で見られるかに全く鈍感なわけでもない。
そして、それが人間と魔物となれば、その印象の差は天と地ほどになるであろう。
故に、無策にボトクを追うのはやめておいた方がいいだろう。
「やっぱり、当初の予定通りバロンの方へ向かいましょうか」
ボトクが北で行動を起こすのなら、自分は別方向から攻めるとしよう。
この姿では信用を得るのも難しいだろうが、ボトクに対抗できる仲間を集めるのだ。
それに、見知ったバロンになら、旅をした仲間たちもそちらに向かっているかもしれない。
仲間なら…特に付き合いの長いセシルやカインなら、姿が変わっても自分のことを分かってくれるだろうという確信があった。
「ボトク…私はあなたの悪意に負けたりなんかしない。仲間と共に、あなたの企みを打ち砕いて見せるわ」
決意と共に、ローザは再び東へ向けて歩き出した。
しかし彼女は知らない。
ボトクを追って北に進路を取った方が、カインやエッジ、ヤンといった仲間と会える可能性が高かったことを。
そして、仲間の中では唯一進行方向にいた愛しの人、セシルが死んでしまったことを。
【G-3/一日目深夜】
【ローザ・ファレル@Final Fantasy IV】
[状態]:健康、ボトクの姿
[装備]:勇者の弓@ゼルダの伝説+矢30本 トワイライトプリンセス ふしぎなぼうし@ドラゴンクエストVII
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本行動方針:バロンへ向かい、対主催勢力を集める。かつての仲間だけじゃなく、様々な参加者と協力したい
1. バロン城に向かったらしい強者に警戒(半信半疑)
2. ボトクに対抗する勢力を集め、彼に自身の姿を戻してもらう
※参戦時期は本編終了後です。
最終更新:2021年05月05日 14:36