「へえ……柔らか月頭の上も良かったけど、この絨毯も中々いいじゃん。どこぞの獣の背中には劣るけどな。」
ミドナは楽し気に魔法の絨毯の上に寝そべり、乗り心地を楽しんでいる。
「気に入ってもらえて何よりです。」
柔らか月頭…こと満月博士は、操縦しながらも、愛車を褒められ、愉快な気分になる。
「いやぁ、満月殿の所は羨ましいですな。私もそれなりに色んな乗り物に乗った経験はありますが、空飛ぶ絨毯などは初めてです。」
同じように、空飛ぶ絨毯の乗り心地を楽しむヤン。
彼もまた、飛空艇やエンタープライズ、古代船にはない乗り心地を楽しんでいた。
「ハッハッハ。カタログも渡しますので、帰ったらお好みのデザインを買うと良いですよ。」
「だが、高すぎれば妻から叱責を受けるかもしれぬな。」
「心配はありませぬ。このご時世、安くなってる外国産の絨毯など、探せばいくらでもありますよ。」
「おい、前!!デカイ木があるぞ!!気を付けろ!!」
愉快な気分になっていた二人を、森の入り口が出迎える。
木にぶつかりそうになる所で、ミドナが警告した。
「いやいや、心配いりませんよ。面舵一杯!!なんてね。」
絨毯は軌道を変え、鬱蒼と茂っている木々の隙間を潜り抜けていく。
「おお、中々やるじゃん!!」
「しかしこの絨毯、デザインも良いですな。魔法に寄ったデザインをしながらも、後ろから炎を出して走る、物理的な面も見せておる。」
すっかり絨毯を気に入ってしまったヤンは、デザインを褒め称える。
「ん?私の絨毯は環境保全のため、炎など出さない仕組みなのだが……」
ヤンの発言に違和感を覚えると、ふいに絨毯がコントロールを失い、失速を始めた。
既に絨毯の後方1/3ほどが燃えていた。
発進させた直後、それに乗りたがったが、気付かずに置いていかれたクッパの炎が、絨毯に引火していた。
だが、それに気づかず、絨毯での旅を楽しんでいた結果が、これである。
「え?柔らか月頭、この絨毯は炎で加速してるわけじゃないのか?」
「ど、どういうことだあああ!!」
愛絨毯を急停止させ、あわてて魔法で消化を始める満月。
「うわあああ~、ローン25年の絨毯がああ~。」
(ローンって何だ?)
満月は泣きながらどうにか魔法で火を消し止めるも、既に絨毯は操作不能なほどに燃え広がっていた。
煤と化した絨毯だったものが、空しく地面を黒く染める。
「あ~あ。折角気に入っていたのに、誰が灰を集めて、魔法で復活とか出来ないのか?」
主にテレポートを頼ってばかりで、乗り物が始めただったミドナも不服そうだ。
「ドラえもん君の道具じゃあるまいし、そんなものがあれば、割れた美夜子の皿を直してるわい。」
「仕方ありませぬ。ここから先は徒歩で向かうしか無いようですな。」
しかし、絨毯に目を向けていた二人とは異なり、ミドナは別の方向に警戒心を出していた。
「おい月頭共、向こうの方で誰かが見ているぞ。」
木の陰からじっと3人を見つめているのは、髪の毛が爆発したような姿の少年だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「あの……あなたたちは………。」
少年、伊東守は蚊の鳴くような声で、3人のことを聞く。
燃え盛る絨毯に乗ってきたと思いきや、不時着した彼らは、少年にとって驚きでしかなかった。
「心配しないでくれ。私は満月博士。この殺し合いから脱出しようと思っている者だ。」
見た目もあだ名も、顔の周りがヒゲと髪の毛で覆われていた彼の担任である、太陽王と真逆の男性はそう話しかけてきた。
「私はヤン。ファブールの王にして、一人のモンク僧である。」
「さーて、私は誰でしょーか?」
「これ、ミドナ殿、見ず知らずの者をからかうでない。」
「あの……僕は伊東……守といいます。」
3人のうち、ミドナだけはどこか捉えどころのない性格だったが、敵意はないことは認識できた。
自己紹介を終えた後、今度は互いの目的地・知り合いについて話し合う。
「私達は知識の源泉になるはずの、ここの図書館へと向かう途中だったのだ。」
「そこで絨毯が何故か燃えてしまってな。ところで守君は、どこへ向かうつもりだったのだ?」
「僕は、知っている場所の清浄寺に行こうと思っていました。友達の真理亜もいるかもしれないので。」
「へえ~、オトモダチかぁ。若いっていいねえ。」
「これミドナ殿、からかうでないと言ったばかりだぞ。」
「あなた達も会っていませんか?このカードに映っている人なんですが……。」
「いや、私達が会ったのはヤン君とミドナ君だけだ。他の女の子は知らないな。」
結局のところ、あまり大した情報は得られなかったが、それでも守にとって、安心できる相手がいたのだけでも救いになった。
「結局行先は別々になってしまうが、守君の護衛も兼ねて、一人付けよう。」
満月博士の提案で、3人のうち1人が守と共に、清浄寺へ向かうことになった。
年若い少年なだけではなく、彼の気弱そうな所は、どう見てもこの殺し合いに向いていない。
誰でもいいから力がある者がその手をつなぐべきだ。
ヤンとミドナも、その提案に同意する。
「では、私が同行しよう。守殿、問題はないかね?」
「はい……あの、ありがとうございます。」
一早く名のりを上げたのは、ヤンであった。
「図書館で知識を集めるそうだが、私はどうにもそういうものは得意でなくてな。満月殿とミドナ殿に任せたい。」
彼は体術や法術には長けているが、工学の知識にはどうにも疎かった。
「満月殿やミドナ殿のご期待に沿えるよう、誠心誠意駆けて守殿を護衛しよう。」
「あの……本当にありがとうございます。」
3人の顔を見て、くせ毛の少年は嬉しそうに照れた。
「君はもう少し大人に頼った方がいいと思うがね。まあこんな状況で、視野狭窄に陥るのも無理はないが。」
「ヤン君の言う通りだ。君が何があったのか知らないが、知らない人の力を借りることも、大人になるうえで必要なことだよ。」
「まあ、誰かを頼らないと何も出来ない奴になっても困るがな。クククッ」
ヤンと満月博士、雰囲気こそは違うが優しい大人の雰囲気を醸し出していた。
ミドナも言葉遣いはきついが、どこか自分を心配しているように見えた。
神栖66町を出て、最早頼れる相手がいないと思っていた彼にとって、嬉しい事この上なかった。
「さて行こうか、守殿。満月殿やミドナ殿も、達者で!」
「ヤン君に守君も、どうかご無事で。」
絨毯は燃えてしまったが、若き少年との新たな出会いがあり、結果的には直で図書館へ向かうより良いことがあったと3人は思う。
満月のみは帰った後に絨毯のことをどう言い訳するべきかの悩みがあったが。
だが、世の中全てが順調に進むわけではない。
守とヤンが行く先にはとある町に潜んでいた殺人鬼が。
満月とミドナが向かう先には、博士の宿敵が。
目的地で、彼らが何をもたらすか、まだ誰も知らない。
【D-4/森林地帯/一日目 黎明】
【伊東守@新世界より】
[状態]:健康 不安 (緩和)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品 不明支給品1~3
[思考・状況]
基本行動方針:
1.真理亜を探す
2.ヤンと共に、清浄寺へ向かう
※4章後半で、真理亜と共に神栖六十六町を脱出した直後です
※真理亜以外の知り合いを確認していません。
【ヤン・ファン・ライデン@FINAL FANTASY IV】
[状態]:健康
[装備]:ガツ―ンジャンプ@ ペーパーマリオRPG 炎のツメ@ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち
[道具]:基本支給品、ランダム支給品(1~2)
[思考・状況]
基本行動方針:オルゴ・デミーラ並びにザントを討つ
1:伊東守と共に、清浄寺へ向かう
2:できたらセシル達と合流したい
3:デマオンには注意する
参戦時期はED後
満月博士との情報交換で魔法世界についての情報を得ました。
【D-4/草原地帯/一日目 黎明】
【満月博士@のび太の魔界大冒険 】
[状態]:健康 魔力消費(極小) 絨毯の消失による悲しみ(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~2
[思考・状況]
基本行動方針:美夜子の保護、首輪の解析及び解除
1. 美夜子を見つけ次第保護する
2.図書館へ向かい、情報収集する
3.ミドナと行動を共にする
4.デマオンには警戒する
参戦時期はエンドロール後
ヤンとの情報交換でFF4 の世界の情報を得ました。
【ミドナ@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス 】
[状態]:健康
[装備]:ツラヌキナグーリ@ ペーパーマリオRPG
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:ザントを討ち、
光と影の両世界を救いたい
1:陰りの鏡に影の結晶石がここにあるのなら手に入れたい
2:満月博士と行動を共にする
3:リンクに出会ったら、真実を明かして改めて協力を求める
4:満月の光頭は心地いい
参戦時期は瀕死の状態からゼルダにより復活した後
陰りの鏡や影の結晶石が会場にあるのではと考えています。
最終更新:2021年08月13日 19:39