「アルス君!それに後ろにいるのは…由花子さん!?」
広瀬康一は、アルスと別れた後もずっと駅にいた。
しかし、他の参加者がやって来ることはなく、ようやく現れたのは先ほど別れたアルスと、後ろに担がれたよく知る人物であった。
「あー、えっと、これはその…」
アルスは康一を前にして、何か言いにくそうな様子を見せる。
しかし、いつまでもまごついている訳にもいかないので、正直に話すことにした。
「ごめん、コーイチ君。君の彼女、傷つけちゃった」
「ええ!?……ああ、そうなんだ」
アルスの告白を聞いて康一は一瞬だけ驚くが、しばらくして納得した様子を見せていた。
「一応聞くけど、由花子さん無事だよね?」
「うん、気絶してるだけ」
「それなら良かった。アルス君にも迷惑かけたね」
康一の様子にアルスは戸惑う。
ここに来るまで、どう弁解したものかと頭を悩ませたのだが、彼の反応は妙にあっさりとしていた。
彼女を傷つけられたのだし、非難されるなり怒られるなりを覚悟していたのだが…
「…えっと、怒ってないの?」
「言ったでしょ?気性が激しいって。どっちが仕掛けたのかは、想像つくから」
「あそこまでとは想像してなかったけどね…」
康一自身、付き合う前は彼女に殺されかけたりした。
付き合い始めてマシになったとはいえ根っこの性格は変わっていないことも理解している。
だから、アルスに対しては怒りよりも同情の方が強かった。
「他人の彼女に口出しするのもなんだけど、よくあんな女性と付き合えてるね…」
「まあ、確かに怖いところはあるけどさ、そういう性格も含めて、由花子さんのこと好きになったから」
「コーイチ君、君は大物だよ…」
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康一は、一応何があったのかを詳しくアルスから聞いた。
そしてアルスの話を聞くと、難しい顔をしていた。
「…うーん、話を聞いてるとアルス君、君にも全く非がないわけじゃないみたいだね」
「うん、マジャスティスで警戒させちゃったのは失敗だった」
「僕の時もそうだけど、出会い頭にあれを仕掛けるのは、やめた方がいいんじゃない?」
康一も、出会っていきなりマジャスティスを仕掛けられてスタンドを消滅させられた時は、攻撃を仕掛けられたと思って警戒した。
康一よりも気の短い由花子なら尚更というものだ。
「うーんでもさ、仮に事情を話したとして、康一君、マジャスティス撃たせてくれた?」
「…まあ、警戒して応じなかっただろうね」
「そうだろ?だからこうするしか…」
「うーん、それならさ…」
「う、うーん…ここは……?」
「あ、由花子さん目を覚ましたみたい」
「そっか、それなら僕は駅の外にいるから、コーイチ君、彼女に説明お願い」
「あ、ちょっと」
康一の制止も聞かず、アルスは出ていってしまった。
「康一君…?」
「朝にはまだ早いけどおはよう、由花子さん」
「康一君…康一君!!」
由花子はガバッと起き上がり…
ゴッチーン☆
「「い、いたた…」」
両者の頭が、思いっきり衝突した。
「それにしてもここは…?杜王駅?」
「うん、アルス君がここまで運んでくれたんだ」
「アルス?」
「緑の帽子の男の子だよ」
「あの男!私の髪を傷つけた…!」
由花子の表情が一瞬で険しくなる。
しかし康一もそんな由花子には慣れたもので、表情を変えることなく宥めにかかる。
「まあまあ、由花子さん。僕らがこうして会えたのも、アルス君がここまで運んでくれたおかげなんだし」
「でもあいつ、康一君を置き去りにしたんでしょう!?やっぱり許せないわ!」
「アルス君は一緒に行こうって誘ってくれたよ。それを断ったのは僕だよ。だからさ…アルス君のこと、許してあげてほしいな」
「…康一君がそこまで言うなら」
康一の説得に、結局由花子は折れた。
その様子に康一もホッとする。
「そっか、良かった。それなら由花子さん、アルス君のことで一つ提案があるんだけど…」
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「あ、コーイチ君、ユカコとの話は終わった?」
「う、うん…」
駅の外へと出てきた康一と由花子を出迎えたアルスは、おや、と首をかしげる。
康一も由花子も、様子がおかしい。
由花子は妙に嬉しそうで、康一は顔を赤くして俯いている。
もしや、こやつら…
「…コーイチ君、ほっぺにキスマークついてるよ」
「へっ!?い、いや…ほっぺじゃなくて唇……あ」
「ユウベハオタノシミデシタネ」
どうやらこの二人、駅の外に出る直前に一発かましたらしい。
まあ、恋人なんだし、それくらいするよね?
いや、別に羨ましいとか思ってないよ?
僕だってされたことあるしね?
「ちょっとあんた!康一君困らせてんじゃないわよ!」
「はは、ごめんごめん」
由花子の言葉に、アルスは苦笑する。
恋人と再会して機嫌がいいからか、怒っていても先ほどのような恐さは感じなかった。
「そ、それよりアルス君、さっき由花子さんとも話したんだけどさ、一度は別れちゃったけど、やっぱり僕たちと一緒に行かない?」
「君達と?」
「うん、さっき話したでしょ?マジャスティスを撃つと、警戒されるって」
ボトクの変装を見抜くためには、マジャスティスは必要だ。
しかし出会い頭にマジャスティスを放つことで、康一や由花子に警戒されてしまった。
かといって事情を話して応じてくれるお人好しもそうそういない。
「だけどさ、僕と由花子さんがいれば、この問題が解決すると思うんだよ」
「…どういうこと?」
「僕と由花子さんは既に君のマジャスティスを受けてそれがどういうもののなか知ってる。君が危険人物でないことも知ってる。つまり、僕らが間に立って説得すれば、事情を話して穏便に確認ができると思わない?」
なるほど、とアルスは感心する。
確かに、アルス一人だったら警戒されるかもしれない。
しかし、二人も同行者がいれば、それだけで警戒は薄まる。
それに、術を使うアルス本人よりも、他者に安全を保障してもらった方が、説得に応じてもらいやすくなる。
曲がりなりにも仲間を連れて旅をしていたのにこんなことに気づかないとは、無意識のうちに気負ってしまっていたのかもしれない。
「分かったよ。君達と一緒に行こう」
「良かった!まだしばらく駅で待つことになるけど、いいかな?」
「え、まだ待つの?もう何時間もここにいるんだろ?」
現在時刻は3時を過ぎたところだ。
康一は既に3時間もここで待機しているということになる。
「せめて列車がここに来るまでは待たないと。列車に乗ってここに来る人もいるかもしれないし」
「その列車がどんなものかいまいちよく分からないけど、いつ来るの?」
「今は3時過ぎだから…ゴロツキ駅を過ぎたあたりかな?後1時間半くらいすれば、来るはずだよ」
「分かった、それじゃあ僕は駅の外から人が来るかどうか見張ってるから、二人は中を見ててよ」
アルスは列車をよく知らないので、そっちの対応は列車を知ってる二人に任せたかった。
それに…せっかく恋人が再会できたのだ。
気を遣ってやるべきだろう。
「行きましょ、康一君♪」
「うん。それじゃあアルス君、駅の外から誰か来たら、知らせてよ」
「オッケー」
こうして、アルス・康一・由花子は3人で行動を共にすることになり。
彼らは再び、来訪者を求めて駅に待機するのであった。
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「そういえば由花子さん、アルス君以外には誰かと会ったの?」
「ああ…確か佐々木ユウカって女と会ったわね」
「ええ!?」
ユウカの名前を聞いた康一は驚く。
「だ、大丈夫だったの!?」
「え、ええ…特に諍いもなく別れたけど…何か知ってるの、康一君?」
由花子が尋ねると、康一は自分の荷物を探り、一つの支給品を取り出す。
「それは?」
「『柊ナナのスマホ』…これで電話とかができるらしいよ」
「こんな薄っぺらの板で?…信じられないわね」
ちなみに康一は知っている番号に慣れない操作ながらかけたのだが、繋がることはなかったのだが、しかし今重要なのはそこではない。
スマホをいじっている最中、康一は見つけたのだ。
佐々木ユウカの名前を。
「ここに、由花子さんが会ったっていう佐々木ユウカの名前があったんだ」
「佐々木ユウカ…推定殺害人数五十万人以上…!?」
【E-2/杜王駅前/一日目 黎明】
【アルス@ドラゴンクエスト7】
[状態]HP3/5、MP3/4 疲労(中)
[装備]なし
[道具]基本支給品、水中バクダン×10@ゼルダの伝説トワイライトプリンセス ランダム支給品0~2(確認済み、武器ではない)
[思考・状況]
基本行動方針:オルゴ・デミーラやザントを倒す
1.杜王駅の外で人が来るのを待つ
2.ボトクの変身に警戒しながら仲間を探す
※参戦時期は本編終了後
※広瀬康一からヌ・ミキタカゾ・ンシ以外のジョジョ勢について聞きました。
※広瀬康一からスタンドについて聞き、ヌ・ミキタカゾ・ンシと重ちー以外のスタンド能力も把握しました
※少なくとも武闘家・僧侶・戦士・バトルマスター・パラディン・ゴッドハンドをマスターしています
【E-2/杜王駅内部/一日目 黎明】
【広瀬康一@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、柊ナナのスマホ@無能なナナ、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本行動方針:オルゴ・デミーラやザントを倒す
1.由花子から佐々木ユウカの話を聞く
1.しばらく杜王駅で待ってみる
2.ボトクに警戒
※参戦時期は4部終了後
※アルスからDQ7勢やオルゴ・デミーラについて、簡単な旅の概要と共に聞きました
※ヌ・ミキタカゾ・ンシのことは知りません
※柊ナナのスマホから、ナナ以外の無能なナナ勢の推定殺害人数などの情報を得ました。
【山岸由花子@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:吉良への憎悪(極大)、ユウカに対するいら立ち(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~3(未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:康一君の敵の排除。彼が死亡した場合……
0.推定殺害人数…これは…!?
1.康一君に酷い目に遭わせた吉良は絶対に許さない。
2.シンジと言う名前の遺体を探しておく。範囲はE~F。昼になったらDの何処かで合流
3.最初に殺された子の知り合い(リンク)にも少し警戒
4.余裕があればキョウヤ達との合流。ナナは……状況次第。
※参戦時期は少なくとも吉良が顔を変えて逃亡してるよりも後です。
※ラブ・デラックスの髪の毛を植え付けての操作の制限は、後続の方にお任せします
※無能なナナの参加者の能力と人柄、世界観を理解しました。
ただし一部嘘が吹き込まれており「死体が自分の意思で喋ってる」などがあります。
他にもどのような嘘があったかは後続の書き手にお任せします
また、レンタロウについての情報は乏しいです。
【柊ナナのスマホ@無能なナナ】
名前の通り柊ナナのスマホ。
電話機能は使えるが現状ではどこにもつながらない。
委員会からの通達や能力者の情報などが載っている。
能力者情報についてはあくまで推定の殺害人数だったり、能力の内容についての情報が乏しかったりと、精度はかなり怪しい。
というか、委員会はどんな能力を持ってるかもはっきり分からないのに、どうやって推定殺害人数とか割り出したんだろうな。
最終更新:2021年07月13日 22:47