とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

『続 とある上嬢の貞操騒動』

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『続 とある上嬢の貞操騒動(もしくは上嬢の逆襲)』



 ここはとある病院。
 まだ面会時間内とは言え、既に外は昼と夜が妖しく交じり合う時刻――いわゆる逢魔が時――となり、廊下の照明は陽光から人工の光に代わっていた。
 それでも闇を払拭できないのだろうか? それとも病院という場所柄だろうか? そわそわと何か落ち着かないような空気が、薄闇に紛れる様にして辺りに漂っている。
 そして、そんな廊下を進むある一団がいた。
 皆、少女と呼ぶに相応しい年頃の女の子たちだ。
 一人を除いて、皆が皆、同じ学校の制服を着ている事から、同じ学校の仲良し同士が入院する友達を見舞いに来た様にも見える。
 それにしては奇妙な事に、皆一様に無言であり、中には険しい表情を見せている者もいる。
 そして、先程一人だけ制服で無いと上げた少女は、別の少女に背負われていて――眠っているのだろうか? その瞼は閉じられ、顎を肩に預け、両の手は力なくだらりと下に下がっている。
 この状態では安定しないのだろう。もう一人の少女が背中から支えるようにしてずり落ちるのを防いでいた。
 これだけでも十分奇妙な一団なのだが、奇妙な点は他にもあった。
 まず、彼女等六人の内、四人が同じ顔をしている事。
 幸い廊下ですれ違う人は誰もいなかったが、もし誰かが彼女等を目撃したならば、「四つ子?」と思った筈だ。
 それほどに彼女等は容姿が似通っていた。
 数少ない相違点を上げるなら、その内の三人は頭に無骨なゴーグルを着けていて、更にその内の一人はオープンハートのネックレスをしているのだが、ネックレスはよほど近づかないと判らない。
 残るゴーグルをしていない一人は、その二の腕にツインテール頭の少女をまとわり着かせて見るからに歩きにくそうに歩いている。
 時々引き剥がそうと努力しているようだが全く功を奏さない。
 かえって強く引っ付かれてバランスを取るのに苦労しているようだ。
 そんな一団の中、先頭を歩く少女――御坂妹が、ロビーを抜けてから初めて声を発した。
「こちらです、とミサカ一〇〇三二号は自分の部屋のように皆を招き入れます」
 シュっと目の前の病室の扉が開く。
 御坂妹が先頭に立って中に入ると、他の者も後に続く。
 中に入るとそれほど広くも無い病室の中で目に付くのは、大き目のベッドと、その横にある用途不明の機械の数々。
 そして、その横に佇む、御坂妹と同じ顔の少女が一人。
 またお姉様と同じお顔のぉぉぉぉと声を上げそうになる白井の口を美琴が急いで塞いだ。
 そんな騒ぎなど無かったかのようにベッドの横に立つ少女は微動だにしない。
 そんな少女が、ぺこりと首だけで挨拶をする。
「おかえりなさい、とミサカ一九〇九〇号は妹達(シスターズ)に挨拶します」
 続いて、美琴に向かって少し上体を倒して、さっきよりは丁寧にお辞儀をすると、
「お久しぶりです、お変わりありませんか? とミサカはお姉様に取り合えず社交辞令を言います」
「社交辞令かい! フン! アンタも他のコと一緒で元気そうね」
 美琴は、ミサカ一九〇九〇号の言葉に突込みを入れた後、フン、と視線を中にそらすと、そっけない感じに挨拶を返す。
 それでも、ちょっと嬉しそうなのは、ミサカ一九〇九〇号が見た目元気そうだったからだろう。
 彼女等は皆、美琴の体細胞クローンであり、常に人間扱いされない環境にあった。
 それを救ったのが、今妹達(シスターズ)の背中で眠る少女・上条当子である。
 お陰で、使い捨てられようとしていた彼女等は一人の『個人』として生きる道を与えられたのだ。
 そんな美琴とミサカ一九〇九〇号が挨拶を交わしているところに、御坂妹が割り込んできた。
「いやいや、同じではありません、とミサカ一〇〇三二号は訂正します。一九〇九〇号(コイツ)は、隙あらばミサカたちを出し抜こうとしている女狐です、とミサカ一〇〇三二号は力を込めて力説します」
 ビシッとミサカ一九〇九〇号に指を突きつける。

「今そんな話をしなくても、とミサカ一九〇九〇号は一〇〇三二号の空気の読めなさに唖然としました」
 ミサカ一九〇九〇号は、少し肩を落とすと、右手で顔覆おう。
 その顔は心なしか『がっかり』とも『ショック』とも取れる感じで、それを見た美琴は、あら? このコには少し表情があるのねと、小さく呟く。
 妹達(シスターズ)皆がいつか表情豊かに喜怒哀楽を表現する日が来るのだと実感して、美琴は一人目頭を熱くさせる。
 それもこれも皆、上嬢(コイツ)のお陰。
 彼女は何時も何でも無い事のように他人の事情に首を突っ込んでは、ずたぼろのぼろ雑巾にされる。
 本当に死んでもおかしく無いような状況に何度なった事か。
 上嬢がまず心配するのは相手の事。
 それが敵だろうと味方だろうとお構いなしなのだ。
 美琴から見れば、こんなに無知で無能で無力で無策で無節操なヤツが、何を思い上がっているのだろうと思う。
 しかし、あの時鉄橋の上で自分の前に立ちふさがった姿を思い出すと信じずにはいられないのだ。
 だから、上嬢が死地とも言えるような場所に向かおうとしている事を知っても止められなかった。
 これからも止めるような事はしないだろう。
 それは、彼女の本質に反する。
 ならば次は自分も同じ死地に向かおう。
(コイツの背中は私が守ってやるんだからっ!!)
 美琴は、今は眠る上嬢の横顔を見ながら決意を新たにするのだった。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

 所で、美琴に手で口を塞がれたままだった白井は、その手の拘束がいつの間にか緩んできたのを幸いに、自分の手を隙間に差し込んでそっと美琴の手を動かして呼吸を楽にしていた。
 そうして今度は美琴に抱きしめられているのを存分に堪能しようと腕の中でもぞもぞしだした。
(うふふふ、お姉様の方からわたくしを抱きしめてくれるなんて又とないチャンス! ぞっんぶんに堪能させていただきますわ)
 そんな邪な心イッパイの白井の頬に何かがぽたりと落ちてきたのはその時だった。
 何気に視線を上げた彼女の目に飛び込んできたのは、涙を流す麗しのお姉様の顔であった。
「お、お姉様ぁ?」
 何とか声をかける事は出来たが、動揺を隠す事は出来なかったようで微かに声が上ずっている。
「へ?」
 そんな白井の感情などつゆ知らず、突然変な声を掛けられた美琴は間抜けな返事を返す。
「何泣いてるんですの?」
「へ? え!? な、ななななぁぁぁぁぁぁあああああああ!?」
 白井の指摘に、何気に頬に触れた美琴は指先をぬらす涙(しょうこ)に慌てふためく。
 その顔は見る間に真っ赤に染まり、口は酸欠した金魚のようにパクパクと動く。
 ようよう暫くして、真っ白だった頭の中に少し色彩が戻ってきたのか、早速言い訳を開始する。
「あ、あわ、こ、これは何でもないのよ――そう、急に目にゴミが、どうしたのかしら……あはははは」
「お姉様……流石にその言い訳は苦しいですわ」
 あまりに苦しい言い訳に思わずジト目になる白井。
 そして、そんな光景を黙ってみていた御坂妹が口を開くと、美琴に話しかける。
「ここはいいスタッフが揃っていますから診察を受けては如何ですか? とミサカ一〇〇三二号は真摯に進めます」
「ア、アンタ、バカにすんのもいい加減にしなさいよ!」
「そんな事より、この方を下ろしたいのですが、とミサカ一〇〇三九号は話を元に戻す為に提案します」
 そんな事はどうでもいいとばかりにミサカ一〇〇三九号は、無表情に顎で上嬢とベッドを交互に指差す。
 水を指された感じとなった美琴と御坂妹は、同時にミサカ一〇〇三九号に頷き返して、彼女の提案に同意の意思を示した。
 それを合図に、ミサカ一〇〇三九号の背中の上嬢を、後ろに回りこんだ同じ顔の少女――ミサカ一三五七七号がゆっくりと下ろすと、二人でベッドの上にそっと寝かせる。

 上嬢がベッドに寝かされると、皆でベッドを囲むように彼女の顔を覗き込む。
「よく起きませんわね」
 白井が率直な感想を述べた。
「良く眠っていらっしゃるようです、とミサカ一〇〇三二号は寝顔から目を離さずに報告します。お姉様(オリジナル)、生体電気を操作してもう少し深い眠りに出来ますか? とミサカ一〇〇三二号はやはり寝顔から目を離さずに問いかけます」
「コラコラ、アンタねぇー」
 美琴は御坂妹の言葉に抗議の声を上げる。
 何時もの彼女なら、ここから怒涛の口撃が開始されるのだが、今回は違っていた。
 美琴は「んん」と喉の奥で咳払いのようなものをすると、気持ち悪いくらいの猫なで声で、
「ところでさぁー、ここら辺で止めるってい――」
「『止める』とはどういう意味ですか? とミサカ一〇〇三二号はお姉様(オリジナル)に言葉の意味を確認します」
 美琴の言葉は御坂妹の言葉に遮られて最後まで言うことは出来なかった。
 あまりの切り返しの速さにたじろぐ美琴は、御坂妹からぷいっと目を逸らすと、その視線をベッドの上の上嬢に向ける。
「や、止めるって……そりゃアンタ、その……これの事よ」
「それは出来ません、とミサカ一〇〇三二号は全ミサカを代表してきっぱりと言います。これはもうお姉様(オリジナル)だけの問題ではありません、とミサカ一〇〇三二号はこの計画に中止は無いと言う意思を込めてお姉様(オリジナル)の案を拒絶します」
 美琴の視線から内容を把握した御坂妹は、いつも通り淡々と、しかし絶対の意思をもって否定の言葉をぶつけた。
 その言葉に美琴の視線が再び御坂妹の顔に向く。
(っんのぉぉ! 私が下手に出でれば好き勝手言ってくれちゃってぇ)
 自我を持ってくれるのは嬉しい事だが、こう反発されると流石に頭にくる。
 これが反抗期ってヤツ? などと美琴はそんな事を考えたりした。
(嘘ついてこのままコイツを起こしてやろうかしら? いやいや、この場でコイツが目を覚ましたら、私は何て言い訳をすれば――)
 内心強引に邪魔してやろうとまで考えた美琴だったが、上嬢を起こした後の言い訳が思いつかず、次の行動を決めかねていた。
 そんな状態の美琴だったから、急に御坂妹から声を掛けられて更に慌ててしまう。
「早くしてください、とミサカ一〇〇三二号はお姉様(オリジナル)に催促します。出来ないのでしたら別の方法が有ります、とミサカ一〇〇三二号は出来ないなら出来ないと正直に申告して諦めて欲しい気持ちを込めて言います」
「な!? ば、馬鹿にすんじゃないわよ! アンタたち見てなさい! 美琴サンの手に掛かれば――」
 御坂妹からのいきなりの駄目だし宣言。
 本来の美琴ならここで盛大にキレて電撃大放出と言うところだが、今の逼迫した状況と上嬢を守りたいという気持ちが交錯して頭が上手く働かない。
 仕方なくここはあえて従ったフリをしようと、御坂妹の要望を実行する為に上嬢の額に右手を伸ばすと人差し指と中指をそろえて触れる。
「これくらいの事――」
 美琴の髪が帯電を示すようにふわり広がる。
「朝飯前なんだからねっ」
 美琴はそっと目を閉じながら自信に満ちた声とは裏腹に、心の中では『ごめん』と上嬢に謝るのだった。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

 薄闇の中、外灯の光の中に最初に浮かび上がったのは白い頭だった。
 続いて、灰色の服に覆われた体が付いて来て人の形を成す。
 この時刻、全ての輪郭が滲みぼんやりとする中で、彼――一方通行(アクセラレータ)のいるそこだけは、別の像を投影したかのようにはっきりと存在感をアピールしていた。
 彼は、ゆっくりと歩きながら首のチョーカーに手を伸ばした所で、はたとある事に気付いて盛大に舌打ちをする。
「チッ、どォりでなンか寂しいと思ったら、部屋に杖忘れて来てるじゃねェかァ」
 俺ァ何やってンだァァァ? と無造作に伸びた白髪を乱暴に掻き毟る。
 彼は過去に脳に重大な怪我を負って以来、能力の殆どを首につけたチョーカーで補っている。
 正確には、このチョーカーを介してミサカネットワークの加護を得ているのだ。
 そしてこれにはいくつかのモード設定がある。
 今のように能力使用モードなら、以前と変わらない状態で体を動かす事が可能だが、その時間は15分しかない。
 それが過ぎれば、歩く事はおろか、言葉を交わすことさえ出来なくなるのだ。
 その為、通常は能力使用モードはOFFにしてある。
 これなら48時間の稼動に耐えられる――しかし、その場合は超能力は使えなくなり、歩くには補助器具が必要になる。
 今回の件を15分で済ますとなると、かなり荒っぽいことになってしまうだろう。
 そうなれば、上嬢や、美琴達や、この病院の患者、医療スタッフ、そして施設を無傷でとは行かなくなってしまう。
 今の一方通行(アクセラレータ)にはそれらの犠牲を無視する事は出来ない。
 と言うか、そこまで派手にやる理由が思いつかない。
 大体自分は杖まで忘れるほど何を興奮してここに来たのだろうか?
 こうして今、ここにいるのが段々馬鹿らしくなって来たが、手ぶらで帰るのも癪なので、彼にしては珍しく少しポジティブに考える事にした。
「クソ、しかたがねェ、杖の代わりを借りてくるか――ついでに病室(いばしょ)も案内させりゃ世話ねェか」
 ひとりごちると、つかつかと病院の受付に向かって歩き出す。
 そして正面玄関を抜けた所で見知ったカエルに良く似た顔を見かけて立ち止まる。
 向こうもこちらの存在に気がついたようで、ひょこっと片眉を上げると声を掛けてきた。
「おや? 杖を使っていないと言う事は能力使用モードかな? という事はまた何か騒動が起こっているのかい?」
 一方通行(アクセラレータ)は、何時もの通りの疑問符混じりの言葉にうんざりしたような視線を返す。
「残念だがアンタの手を煩わせる様な事ァ起きてねェよ。ちょっとな、うっかり杖忘れたンで、こォして無駄にバッテリー消費してるだけだ――で、わりィンだけど杖貸してくれよ」
 一方通行(アクセラレータ)の図々しいとも言える言葉に嫌な顔一つせず、ああ、お安い御用だよ、と言ってカエル顔の医者は一方通行(アクセラレータ)に手招きするとすたすたと歩き出す。
 そして、すぐ側の扉を開けて中に入ると、後ろから着いてきた一方通行(アクセラレータ)に椅子を勧めて、ちょっと待っていてくれるかな? と言って部屋を出て行った。
 どうやら彼はチョーカーのバッテリーを気にして先に座れる場所を提供してくれた様だ。
 それに気付いた一方通行(アクセラレータ)も、無言で椅子に座るとチョーカーの能力使用モードをOFFにする。
 程なくしてカエル顔の医者は一本の松葉杖を持って帰って来た。
 普段一方通行(アクセラレータ)が使っているような、新しいデザインの物ではなく、従来からある古い形のものだった。
 このタイプは、バンドで腕に固定するようになっていて、手を離しても大丈夫なようになっている。
「長さが調節できるのはこのタイプの物しかなくてね」
「構わねェ」
 医者の言葉に一方通行(アクセラレータ)は短く答える。
 その返事を聞くと、カエル顔の医者は、こっちでいいね? と一声掛けると、一方通行(アクセラレータ)の右手に松葉杖を装着する。
 そして、脚の長さを調節すると一方通行(アクセラレータ)に、立ってみてくれるかね? と言った。
 その言葉に、一方通行(アクセラレータ)は杖をついて椅子から立ち上がる。
「どうかな? 重くは無いと思うんだ。普通に使う分には簡単に壊れたりしないと思うけどね?」

 そんな医者の言葉を聴きながら、体重をかけたり、床を突いたりして杖の感触を確かめる。
「悪くねェ」
 その言葉を聴いて、カエル顔の医者の口元が少し綻ぶ。
「それは良かった。ところで彼女――打ち止め(ラストオーダー)には最近会ったかい?」
 そんな質問を急に投げかけられても一方通行(アクセラレータ)は慌てなかった――そんな事を聞かれるだろうと言う予感があったからだ。
 ただ、一方通行(アクセラレータ)は自分を語るのはあまり得意では無い様子で、当然その質問に対してうんざりしたような視線を投げかけた。
「けっ――そんな事聞いてどォすンだよ?」
 一方通行(アクセラレータ)を知る者の認識として、彼にこう言われても食い下がれる人間はそう多くは無い。
 まして顔色一つ変えずにいられる人間など数える程しかいないだろう。
 そして、このカエル顔の医者はその数少ない一人だった。
「僕はね、治療のためには患者の事はどんな些細な事でも知っておきたいと思ってるんだ。特にまだ完治していない君のようなコはね」
 一方通行(アクセラレータ)は、深いため息を着くと、
「ああ、たまにな。あいつン所行くよ」
「それで、彼女はどうしてるんだい?」
「ああ? なンか妙にはしゃぎやがンだよなァ――俺なンかが来るのがそンなに楽しいもンかねェってくらいはしゃぎやがンだ、あいつはよォ。それで――」
 一方通行(アクセラレータ)の話を聞きながら、カエル顔の医者はふとある事に気がついた。
 あの一方通行(アクセラレータ)が笑顔を浮かべているのだ。
 それも全く険の無い、歳相応の――いやもっと幼い子供のような笑みを浮かべている。
 かつてカエル顔の医者はある人物に、彼の本質は黒だと言った事がある。
(誤診? いや彼が変わった? いやいやどちらにしろ僕の診断に間違いがあったという事か。やはり医学と言うものは一筋縄ではいかないね)
「ありがとう。もういいよ」
「――で俺が料理しィ……あン? もういいのか? そォか……、まァ……、あァ……判った」
 彼がちょっと残念そうにしたのは、きっと気のせいだろう。
 彼のキャラじゃないからね、とカエル顔の医者はそれ以上追求する事は止めておいた。
 そんな一方通行(アクセラレータ)も、自分らしくない一面に気がついたようで、不貞腐れたような顔をして頬を人差し指で掻いた。
 それから、カエル顔の医者の方を向くと、
「俺からも聞きてェ事があるンだけどよォ――妹達(シスターズ)が病室に女ァ連れ込ンでンだろ?」
 カエル顔の医者の質問が終った途端、今度は一方通行(アクセラレータ)から医者への質問と言うより尋問に近い響きの言葉が投げかけられた。
「連れ込んだって穏やかじゃないね? ああ、確かにお友達が一緒だったみたいだね? 珍しい事もあると思ったんだよ?」
 のんびりとした医者の返事に、特に何の感情も見せずに一方通行(アクセラレータ)は次の質問をする。
「部屋ァ教えてくンねェかなァ?」
 彼なりに丁重にお願いしたつもりのようだが、語気には脅迫的な力が込められている。
「聞くけど、院内で騒ぎを起こすつもりじゃないだろうね? いくら君でも――」
「うるせェンだよォ。こっちは急いでンだ。教えねェってンなら病室片っ端から見てくだけだ」
 そんな言葉にカエル顔の医者は、相変わらすだねぇ、と一言漏らすと、ポケットから紙片とペンを取り出してさらさらっと何かを書いた。
 そして、その紙片を一方通行(アクセラレータ)の方に差し出しながら、
「そう短気を起こすもんじゃないよ? ○○○○号室だ。これは簡単な見取り図。ただこれだけは了解して――」
 と説明がてら、医者は一方通行(アクセラレータ)に一言釘を刺そうと考えたのだが、
「騒ぎは起さねェし、死人も怪我人も出さねェ。これで満足か? あァ?」
 とはき捨てるようではあるが、何とか及第点とも呼べる回答を返してきたので、
「君を信じよう」
 と言葉を返すに留めた。
「ハ! ありがとうよ」
「礼を言われるような事じゃないんだけどね?」
 立ち上がって病室を出てゆく一方通行(アクセラレータ)を、カエル顔の医者は困ったような、少し楽しそうな、そんな顔で見送った。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

 病室のベッドに寝かされた上嬢の上半身は今、白いブラが一枚と鎖がついたチョーカーのみにされた。
 くすみ一つ無い上嬢の白い肌には、その美しさゆえに判る戦いの傷跡と思しき赤い線が、――この程度に留められたのは医者の腕の賜物だろう――うっすらだが見てとれた。
 首に輝くゴールドのチョーカーとかわいいブラとのアンバランスさと、チョーカーにつながれた細い鎖の存在、それらが交錯して、穏やかに眠る彼女の姿にそこはかとない背徳感を与えている。
 そして、そんな姿にしばし見とれていた美琴は顔を真っ赤にして上嬢を脱がせた張本人――白井にくってかかる。
「な、何でアンタ上脱がしたのよ!!」
「え? でもお姉様、服を脱がせませんと確認は出来ませんわ」
 こちらも上嬢に見とれていた白井は、美琴の方を向いて、さも当然と言わんばかりに返答を返した。
「な、なら下だけ、ぬが、脱がせばいい、いでしょ。よ、よよ、用があ、あああ、あるのは下ぁ……」
 そこまで言うのが限界だったかのか、美琴は俯いてしまった。
 そんなお姉様も可愛いですわ、と白井は悪戯心が湧いてきて、
「あらあら、『下』だけですの? 確かに、セーターの裾からチラリと見える生脚と言うのは……劣情を誘いますわね。その奥に何が隠れているのかとかぁ……」
 その言葉に美琴の体がビクッと跳ね上がった。
 そして、先程よりずっと真っ赤な顔をして、黒子に猛然と否定の開始した。
「アタ、アタシはそんな事ぜっ~んぜん考えてませんからぁ!!」
 そんな騒ぎに今の今まで無言で静観していた――正確には半裸の上嬢を前に色々とそれど頃ではなかった――妹達(シスターズ)は顔を上げると一斉に美琴と白井を見つめた。
 そしてその中から御坂妹が代表して、
「この後も控えていますからさっさと次に進んでください、とミサカ一〇〇三二号は期待を込めて作業の継続を促します」
「え? ぁ……ぁあ!?」
 と美琴は当初の予定を忘れ――ある意味美琴以外には予定通りなのだが――て流されていた自分に気がついて慌てたが既に遅し。
 美琴の体を押しのけて白井がベッドに身を乗り出すと、
「うっふぅふー♪ ではではぁ~、ここは……、そうですわねぇ……、ブラを残して下を……、一気に全部行きましょうか♪」
 と、上嬢のズボンのウエスト部分にするっと指を滑り込ませた。
 その動作に、妹達(シスターズ)が一斉にベッドに身を乗り出して、白井の手の動きを凝視した。
 そこでもやはり御坂妹が――珍しくぎこちなく白井の方を向くと真っ赤な顔で、
「ま、まま、全く、も、持って異存ありません!! とミ、ミサ、ミサカぁぁぁぁぁぁぁああああああ……」
 御坂妹の言語中枢が興奮で決壊したようだ。
 目つきもちょっと怪しい。
 いや気がつくと、他の妹達(シスターズ)もギラギラしている。
「こ、こらぁー!! いい加減にしなさいよ!! こんな事してどぉーすんのよぉー!!」
 無視すんなー!! 話を聞けぇー!! と言う美琴の叫びは彼女たちには届かないようだ。
 こんな所でもスルーキャラを見せる美琴だった。
 それはさて置き、期待も最高潮になった所で白井は、
「でわでわ皆様方ぁー、ご開ちょ――」
 と行く筈であった。
 しかし、その言葉は最後まで言う事は出来なかった。
 何故なら、突然に病室のドアがズバァーンとあるまじき音を立てて開くと、
「お楽しみの所失礼しまァァァァァァァァアアアアス」

 とこの場にもっとも不釣合いな声が響いた。
「「「「「「!? !!!!」」」」」」
 その部屋にいた上嬢以外の全員が一斉に入り口の方の向く。
 そして、そこに立つ杖を付いた白い少年を見てギョッとした。
「ア、アク、アク、アクセラレェタァー!?」
 美琴の言葉に、「あれが噂の学園最強の……」と白井が畏怖の念を込めた言葉を吐く。
 そんな皆を一方通行(アクセラレータ)ねめつける様に見回すと、
「テメェらァ、がん首そろえて略取誘拐たァどォ言う了見だ?」
 とはき捨てるかのように言った。
 その言葉にいち早く我に返った美琴が、
「あなたにとやかく言われる筋合――」
 と言い返そうしたが、
「うるせェンだよ。俺ァテメェらなんぞに構ってる暇はねェンだ! さっさとソイツをこっちに渡せ」
 美琴の言葉を遮るように言い放つと、左手を腰の辺りで水平にして掌を上にして『さっさと寄越せ』とアピールした。
 それを見た美琴たちは、
「なっ!? 誰がアンタなんかにっ」
「そのとおりですわ! いくら『学園最強』と言えど上嬢さんは譲れませんわ!」
「「「「あなたにうらみはありませんが我々にも引けない事があるのです!! とミサカは戦闘態勢に移行します!!」」」」
 とそれぞれが構えを見せる。
 しかし、そんな彼女たちを見て一方通行(アクセラレータ)の顔に浮かんだのはまさに『凶相』。
 なまじ正坦な顔ゆえ、それが崩れると凄まじい畏怖と嫌悪を相手に与えるのだ。
「黙ってろよ三下ァ――俺ァ少し気が立ってンだァァァアアアア」
 と言いながら左手を無造作に横に薙いだ。
「「「「「「!?」」」」」」
 ただそれだけの筈なのに、美琴、白井、妹達(シスターズ)の体を正面からありえない突風が襲い、彼女らを次々と病室の壁に叩き付けた。
 低いうめき声を上げて壁にもたれかかる彼女らに一瞥をくれると、
「テメェらは光(あっち)の側の人間だろォがよォ、土足で闇(こっち)の側の領分に入ってくンじゃねェよ」
 と面白くなさそうにぼそりと言う。
 そして一方通行(アクセラレータ)はカッカッと杖を鳴らせて上嬢のいるベッドに歩み寄り、眠る上嬢を覗き込んだ。
「こンだけ騒ぎになってンのにノン気なもンだァ……オイ、何だこの首輪は?」
 上嬢のチョーカーから伸びた鎖を手にとっていぶかしむ一方通行(アクセラレータ)に御坂妹が、
「ミサカたちからのプレゼントです、とミサカ一〇〇三二号はミサカを代表して言います」
「この首輪がかよ?」
 一方通行(アクセラレータ)は御坂妹と鎖を見比べると、
「ったく、これは何のプレイなンだよ! 何時から妹達(シスターズ)の間でSMごっこなンて流行り始めたンだ?」
 と呆れた声を上げた。
 そして更に、
「何だァ? やっぱこれはあれか? 乱交パーティーかなンかなンですか? って、オイオイ、マジ愉快な事してるじゃねェーかよ」
 と蔑みの眼差しを辺りに投げかけた。
 すると、それまで壁を背に床に座っていた美琴がゆっくりと立ち上がると、
「何にも知らないくせに」
「あァ?」
 一方通行(アクセラレータ)は何を言われたのか判らず聞き返した。
 そんな一方通行(アクセラレータ)に、美琴は猛然と、
「アンタなんか何にも知らないくせにって言ったんだよ! この白髪頭ぁ!!」
 と人差し指をビシッと突きつけて言い放った。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

 一方通行(アクセラレータ)はこの茶番劇にイライラしていた。
(何でこの俺がこンな所でコイツらの相手なンかしてなきゃいけねェンだ?)
 本来なら今頃、打ち止め(ラストオーダー)と生ぬるい『家族ごっこ』に興じていられただろうに。
 そんな鬱屈した状況だったところに放たれた美琴の言葉に、普段は挑発されない一方通行(アクセラレータ)がこの時ばかりはキレた。
「上等だァ……オモシレェじゃねェかよ各下ァ。ステキにぶちまけてやる前に遺言くらい聞いてやンよ」
 赤い瞳が爛々と輝く。
 そんな一方通行(アクセラレータ)を、睨みつける美琴。
 まるで操車場の再現の様に両者がにらみ合う。
「アイツをアンタなんかに渡さないんだからぁぁぁぁあああああああ!!」
「上等だァテメェ、あン時の決着を着けてやンよォ。各下がどォしても辿りつ――」
 一方通行(アクセラレータ)ははき捨てるように言うと、左手を鉤爪のように折り曲げて美琴に――向かおうとしたが出来なかった。
「ンにィ!?」
 左手をつかまれると目にも止まらぬ速さで引き寄せられ、気がつくとベッドの上に組み伏せられていた。
 その組み伏せている相手とは上嬢当子――本来彼が助けるべき相手であった。
「ンあ? おい、テメェ何しやが――」
 一方通行(アクセラレータ)はそれ以上の言葉を発することが出来なくなった。
 それもその筈、覆いかぶさっていた上嬢に口を塞がれたのだ――彼女自身の唇で……。
 一方通行(アクセラレータ)は必死に頑張った。
 元々体力勝負で上嬢に敵う筈も無い彼だったが、それでも必死に抵抗を試みる。
(クソッ! 助けに、来た、相手に、公開レイプされるたァ予想もしなかったぜェェェ!!)
 しかし、ぐぐもった叫びも徐々に弱くなっていき、それに変わって聞こえるのは唾液の合わさる水音と、荒い息遣いのみとなる。
 そして、暫くして一方通行(アクセラレータ)の体が小刻みに痙攣しだし、2、3度大きく痙攣した所で、上嬢が上体を起こして、一方通行(アクセラレータ)上から移動した。
 すると、支えのなくなった一方通行(アクセラレータ)の体はずるずるとベッドを滑り床に尻餅をついた。
 どうやら彼は意識が無い様子で、その瞳には生気は感じられず、白い肌は真っ赤に上気し、だらしなく開いた口からは少し舌がはみ出していて、顎を伝って唾液が滴り落ちていた。
 すっかり沈黙してしまった一方通行(アクセラレータ)を見て、上嬢は口元を拭うと満足げにため息を着いた。
「んふぅー。やっぱりこの方法で間違いなかった訳で、カミジョーさんはとっても満足しました」
 それまで唖然として事の成り行きを見守っていた中から、美琴が上嬢に声を掛ける。
「ア、アンタ何やってんの?」
「へ? おぉー、これはだな、錯乱した同性を落ち着かせる方法ってヤツで、効果てき面だろ?」
 本に書いてあったんだよーと自慢げに語る上嬢に、
「ど、同性ってアンタ、一方通行(アクセラレータ)は男――男なの?」
 と、美琴は思わず本筋とずれた所に突っ込みを入れたところで、その疑問を御坂妹にぶつけた。
「私は彼の性別までは知りません、とミサカ一〇〇三二号は驚きを隠しつつも情報を提供します」
 そんな御坂妹の役に立たない回答に上嬢は、
「本名? 鈴科百合子って言うくらいだから女でいいだろ?」
「な、何でアンタが一方通行(アクセラレータ)の本名知ってんのよ!?」
「こんなのでも女性なのですか!? とミサカ一〇〇三二号は驚愕します」
 上嬢の言葉に皆が一様に驚愕した!!

 一方通行(アクセラレータ)が女? ぐったりと床に座る彼に、そう言われれば女性に見えなくも、などと皆が思っていると、
「今、ミサカネットワークを通じて上位個体から『お風呂で胸までは確認したけどツルツルペッタンコだったよ! ってミサカはミサカは独占情報を公開したりっ!』と言っています、とミサカ一〇〇三二号は同居者の信憑性のある情報を提供します」
「ほら! やっぱり一方通行(コイツ)は男なのよ!!」
 美琴は御坂妹の言葉に相槌を入れる。
 それより一方通行(アクセラレータ)の同居人って誰なんですの!? と言う白井の言葉は皆には聞こえなかったようだ。
「さらに上位個体から『でもでも、下は見たこと無いなぁ~ってミサカはミサカは実はミサカって同性愛の危機!? って驚いてみたりっ!!』と言っています、とミサカ一〇〇三二号はなんかどうでもいい情報も提供します」
「え? 何? って事はホントはどっちなのよ」
 と美琴は混乱して頭を抱えてしまう。
 そんな美琴をベッドの上から眺めながら上嬢は、
「ま、どうでもいいんじゃないの? だってどうせ私の夢の中だし」
 上嬢を覗く全員が、「はぁ?」と言う顔をして上嬢を見つめた。
 そのまま、固まってしまった皆を見回して、上嬢が「何?」と小首を傾げると、
「「「「「「ユメぇぇぇぇえええええ!!!!? !!!!」」」」」」
 と一同の大合唱が帰って来た。
 それにビクッと体を竦めて上嬢は、
「ッウ……ウルッセーなぁー……そうだ!! お前らもあれだ、練習に付き合ってくれよ」
 その言葉に全員の顔――妹達(シスターズ)すらも――が引き攣った。
「1、2、3、4、5、6――ふっふっふ、これだけこなせば上嬢さんのスキルも激上がりっつー事ではありませんかぁ!!」
 妙にハイテンションな上嬢を前に、美琴以外の皆が一斉に取った行動は、
「ア、アンタらなんで私の後ろに隠れんのよぉぉぉぉおおおおお!!!!」
「「「「ここはお姉様(オリジナル)に先陣を切っていただきましょう、とミサカはお姉様(オリジナル)に優先権をを譲ります」」」」
「黒子!」
「わたくしはお姉様の『露払い』こんな時こそわたくしの見せ場と心得ておりますわ」
(ここで上嬢さんを撃破し、その勢いに乗ってお姉様も、くふふふ――その為にもぉ)
「この勝負負けられませんわ!!」
 両手を広げて、構えを見せる白井に、
「お、ヤル気満々じゃねーか。嬉しいぜ白井、そんなお前が好きだよ」
 とベッドから降りてきた上嬢が優しく白井の頬に指を滑らせながら言うものだから、
「か、かか、かみじょぉぉぉぉぉおおおお、おごっ!!」
 興奮した白井が上嬢に飛びかかろうとしたが、上嬢に上手く抱きとめられてしまうとそのまま唇を奪われる事になった。
 後は全く一方通行(アクセラレータ)と同じなので割愛する。
(そ、そんなのあんまりですわ!!?)
 ともかく後には、上嬢に抱きかかえられぐったりとする白井。
 その顔が微かに幸せそうだったのが、彼女の唯一の救いになったかどうか。
 上嬢はそんな白井をベットの上に寝かせると、
「さてと、お次は美坂さんですかね? お姉様のすごい所を私に見せてくれよな」
 と上嬢は笑顔でそんな事を美琴に言った。
「んな!? く……い、いいわよ。その代わりアンタが負けたら『罰ゲーム』なんだからね!」
(こんな形でアイツとなんてホントは嫌だけど、アイツから逃げるのはもっと嫌)
 と生来の負けん気が勝り、覚悟を決める美琴。
 そんな美琴に、
「おいおい、お前ってホント『罰ゲーム』とか『勝負』って好きだよなぁ。生粋のギャンブラーっすか?」
「そ、そんな事いいからさっさと来なさいよ!!」
 おどける上嬢に美琴が啖呵を切る。
「お、さっすが美琴タン。そんな元気な所が好きだぜ」
 と上嬢は美琴の両肩に手を置いてにっこりと微笑んだ。
「あ、ありが……んん!!?」
 急にそんな事を言われたものだから、今まで以上に顔を真っ赤にしてもじもじしてしまった。
 そして、そんな一瞬の隙を見逃す上嬢ではなく、素早く美琴の唇を奪う。
(あ!? もう、何よ!! ひ、卑怯じゃないのよぉぉぉおおお!!)
 しかし、そんな心の叫びも段々と口内の刺激に塗りつぶされていってしまうと、
(初めてがこんな形なんて、うう、でも――)
 美琴の心は霞の中に埋もれていってしまった。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

 その後どうなたのかは誰も知らない。
 ただ、それぞれの胸には何か残ったようである。

「クソッ、もォー二度とヤツとはかかわらねェ、クソ、クソ、クソォォォォオオオ!!」
(てか、次にヤツの顔をどォ見たらいいのか、ぜっぜン思いつかねェ……。大体なンだありゃ? 今思い出しても……、…………、思い出すンじゃ無かった)

「あれあれ? 何であなたは帰って来てから目を合わせてくれないの?ってミサカはミサカは疑問を投げかけてみたり。それからそれから何で急に真っ赤になっちゃったの? ってミサカはミサカは興味津々で聞いてみる!!」
(うふふ、暫くはこれで退屈しそうに無いねって、ミサカはミサカはあの人にグッジョブと言ってみたりっ!)

「はぁー……、はぁー……、…………、うわ、うわぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
(したのよね! 私アイツとしたのよね! ンフ、ンフフフフ……)

「はぁ……、上嬢さんを攻略するにはあの熱きベーゼを……ふふ、っふふふふ」
(でも新しいスキルを入手しましたわ。まずはこれでお姉様を……ほほほほ……)

「「「「今回の件に関しましてミサカはこれを個人情報として封印します!! とミサカは淡い気持ちを胸に次も期待します」」」」
(この経験は自分で確認してください! とミサカはミサカネットワークにその事だけ伝えておきます)

「な、何だよ皆で私を悪者にして!! カミジョーさんが何かしたって――あ、あ、スイマセン、スイマセン、マジスイマセンってもぉぉぉおお、不幸だぁぁぁあああああ!!」





END


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