赤い機人の鉄拳がリリィへ振るわれる。
爆風の如く迫る大質量の一撃はリリィの胸元へと吸い込まれていく。
セイバー・リリィは躱せない。回避行動を取れば後ろにいるマスターに当たってしまうかもしれない。
だがこのまま受ければ致命的なダメージを負うことは間違いないと直感が告げていた。
故に受けない、避けない。迎え撃つ!
可能な限りの魔力放出を行い、拳に向かって剣を振るう。
正に鉄槌と鉄槌の衝突。凄まじい金属音が耳がつんざき、火花が咲き、衝撃で地面は割れ、土煙が舞う。
二人は即座に二撃目へと移行し、またぶつかって轟音を鳴らす。
剣と拳のラッシュは七撃目でマシンの拳に凹みが入ったことで終了した。
裏を返せばそれだけ撃ち込まなければ傷一つ付けられない事実を指している。
ましてや午前中に戦闘を行った自分達は消耗している。マスターは怪人を怖れて動けない。
絶対絶命の状況にリリィは苦い顔をする一方、マシンは再び仕掛けようと地を踏み。
「待ってマシン」
他ならぬマスターの命令で動きを止めた。
早く仕留めよと命令を下しておきながらどういうつもりなのだろうと二人のサーヴァントが訝かしむ中、止めた張本人はとんでもないことを口にした。
「あなた、もしかしてアーサー王?」
背筋が凍る。
何故セイバーの真名がわかったのか。
どこかで会った? いいや、リリィはこのK市で召喚されて以来、ほとんどマスターの傍で霊体化していたのだ。
一体どうしてと疑念が胸中に渦巻く中、イリヤスフィールはセイバーの様子から当たりだったと確信して笑みを浮かべた。
「そう、やっぱりそうなんだ」
瞬間、爆発するように少女から殺意が放出された。
◆
一人の少女の話をしよう。
少女の名は
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
かつて冬木市における五度目の聖杯戦争に参加するために鋳造された人造人間、つまりホムンクルスである。
彼女は通常のホムンクルスと異なり人とホムンクルスのハーフである。
母の名はアイリスフィール・フォン・アインツベルン。父の名は
衛宮切嗣。
四度目の聖杯戦争の前にフラスコではなく母の胎から生まれ、五度目の聖杯戦争の予備として生を許される。
聖杯戦争のマスターとして調整される故に失われていく寿命。
されど少女に不安は無い。なぜなら父と母が聖杯を取ってきてくれると信じていたから。
残りの生を大好きな二人と過ごせると信じているから。
しかし、第四次聖杯戦争はまたしても失敗に終わる。父が母を捨て、聖杯を破壊し儀式をめちゃくちゃにしたからだ。
────そうお爺様は言っていた。
許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。
キリツグ……切嗣…………衛宮切嗣!
芽生える殺意。
積もる憎悪。
私達を捨てた償いを絶対にさせて殺してやると少女は誓った。
その殺意は純粋無垢である故に純度が極まっている。
母の記憶も共有し、仇敵の顔を魂に刻み付ける。
その母の傍ら。一人のサーヴァントがいた。
クラスはセイバー。真名をアーサー王。
聖杯を破壊したサーヴァントだ。
◆
「マシン。絶対に逃がさないで」
「了解だ」
ハートから赤い光が周囲へと放たれる。
一瞬で広がったそれをリリィは警戒したが何も起きない。
もしや不発かと思ったその時、ようやくリリィは異常を感知した。
リリィとマシンが衝突した時の余波によって破壊された公民館の壁の塗装が一部剥がれ落ちた。
その落下が物理的にあり得ないほど遅い。スローモーション映像のようにゆっくりだ。
よく見ると巻き上げられた土煙の流れも遅い。
「気づいたか。これが俺の能力だ。あらゆる物理的速度を遅くさせる。
まぁ、少しでも対魔力があれば役には立たんし、サーヴァントにも通じんがな。
だから魔術師同士が殺し合う普通の聖杯戦争では役に立たん。だが」
セイバーには対魔力がある。イリヤスフィールも魔術師として最低限の対魔力は持ち合わせている。
故にここで動けなくなるのは一人だけだ。
「見たところ一人だけ引っかかっているな」
◆
(何、これ……!?)
体がゆっくりにしか動かせない。
まるでゼラチンの中をもがいているように体の動きが緩慢だ。
息は出来る。苦しくもない。ただどんよりと体が鈍い。
越谷小鞠に肉体だけではなく精神にも極めて強いストレスがかかっていた。
思うように動かせないことによるフラストレーション。敵前で不調をきたすのと合わさり生物としての本能がアラートを鳴らし、極度の緊張が襲う。
何とかもがこうとして、死体と目があった。
青木さんが殺した人。人だったモノ。その生気の失われた眼球が、小鞠を、見ていた。
(ひ……あ……いや)
お化けは怖い。だが死体はとても恐い。
肉塊から流れた血液が地面で赤黒く照り、鉄の臭いを発している。血の抜けた肌が白くなり、血の赤を強調するキャンバスとなる。
殺されればこうなるという分かりやすい死の標本だ。
音が遠くなり、頭のてっぺんから冷えていく。
麻痺していた──目を背けていた──恐怖が氾濫する。
恐怖、緊張、苛立ち、無力感。それらによって越谷小鞠の精神が蝕まれていく。
「マスターは私が守ります」
リリィさんが私の前に立ち、剣を構える。
その姿は正に騎士と呼ぶに相応しい。
「へぇ、腐っても騎士ね」
「腐っていません! 私まだ十五か十六歳です」
─────え?
目の前の騎士は今なんて言った。私と一歳しか変わらない?
なんで、なんでこんなに、大人なの。
なんで私はこんなに情けないの。
生まれた時代と地位の問題だと言ってしまえばそれまでだが、そう考えるにはリリィさんはあまりにも年頃の少女すぎた。
少女らしさと凛々しさが共存する少女の背中が眩しい。
「来るというなら来なさい。その挑戦、受けて立ちます」
「よく言ったッ!!」
抑えられない喜悦と闘争心を乗せて、マシンと呼ばれた怪人が踏み込んだ。
その踏み込みの強さや、アスファルトの地面に蜘蛛の巣状の罅が入ったほどだ。
機関銃の如く鉄拳の乱打(ラッシュ)が繰り出される。
素人目に見ても先ほどとは段違いの速度だと分かる。しかし────
「やるなぁ!」
「ッ!!」
リリィさんは目を瞑り、直感だけで拳を避け、あるいは受け止めている。
人間離れも甚だしい光景であるが、こうしなければリリィさんのステータスではまず受け止められない。
二騎の性能差はマスターである自分がよく分かっている。わかっているけど……!
「終わりね」
徐々に白黒がはっきりしてきた攻防。
白い子は戦いの終わりを告げた。
「終わりだな」
直接殴っている者として獲物の状態は手に取るようにわかる。
赤い機人は終幕を断言した。
「まだ、まだです!」
拳を剣で受けながら、彫刻のように削られながらも少女騎士は諦めないと叫んだ。
◆
「何だこれは」
ある地点を越えたあたりで重加速によって動きが鈍くなる
秋月凌駕。
まるで来るなとでも言うように結界が張られていた。
「まぁ、普通に考えれば人払いだろうな。どうやら動きを鈍くする結界みたいだぜ」
「アサシンには効いていないじゃないか」
「最低限の対魔力があればこんなもの効かねぇよ。
どうやら奴さん、マスターの少女を逃がさないために張ったんだろうな」
「マスターの少女?」
「ああ、魔術師にも兵隊にも見えねえ、ありゃあきっと一般人だな。身長は135センチ程度で小学校高学年程度の女子だ」
「そんな小さい子が戦争に来ているのか」
「兵隊に年齢も性別も関係ねぇだろ」
秋月凌駕の脳に一人の女子の顔が思い浮かぶ。
アサシンの言うことはもっともだと、その子に脳内で詫びておく。
「それで、正気なのか?」
「何がだ」
「敵にしかならねぇガキを本当に助けにいくのかってことだよ」
「この聖杯戦争に巻き込まれただけならば、助けたいとは思っている」
「あのな。相手はマジの化物で戦うのは俺なんだぞ! 付き合う方の身にもなれよ」
「確かにそれじゃあアサシンには申し訳ないな」
「だろ? ならば──」
「ならば俺が怪物とやる!」
◆
「何?」
近くで突然サーヴァントの気配が現れたと思えば重加速が解除された。
今までサーヴァントの気配が一向になかったことから恐らくアサシンだろう。
ふと今朝戦った男の顔が浮かぶが、ならばなぜ存在がバレるようなことをするのか皆目検討が付かない。
目の前の少女達を助けるという理由は考えられるが、どうしてもあのアサシンのイメージと結びつかない。
ならば別のアサシンがいて、少女達の仲間と考えるのが妥当か。
「お前達、どうやら仲間がいるようだな」
「仲間……?」
セイバーが分かりやすいほど戸惑う。明らかに仲間がいませんと顔に出ていた。
もしも演技であればとんだ女優だと褒めてやろうと思う。
拳を握りしめたハートロイミュードの前に、一人の男が姿を現す。
「何だお前は?」
「通りすがりのイマジネーターだ。覚えておく必要はないぞ」
「知っているか、マスター?」
「知らないわ。そんな魔術礼装も初めて見るわね。確かどっかの家で外部接続する機械の魔術礼装があったと思うけど」
魔術礼装(ミスティックコード)とは大半が魔術師の魔力を増幅したり、補充する補助の機能を持つ礼装だ。
無論、例外はある。魔術礼装の中でも限定機能と呼ばれる礼装単体で現象を引き起こすモノも存在する。
しかしどちらにも共通して発動に魔力が関わるものなのだ。
目の前の青年が纏う鋼鉄には魔力が欠片も感じられない。見たままの鋼鉄に過ぎない。
それでも。ハートロイミュードの勘はアレが見かけ倒しではないと言っていた。
「イマジネーターとやらが何用だ」
「その子を助けようと思う」
「聖杯戦争のマスターだと知ってていっているのか?」
「当然だ」
「面白い男だな」
拳を握りしめて、ハートロイミュードが突貫した。
まさにブルドーザーの全力疾走が如き爆走で、道端の小石やアスファルトの破片すら粉微塵に変えていく。
人間が受ければミンチになるのは明らかで、だからこそ青年の対応に注目が集まるのは当然だった。
青年が拳骨を地面につけ、そして次の瞬間、アッパーと共に融解したアスファルトが飛来する。
「な──マスター」
マスターを庇って固まった高熱のアスファルトを受ける。
魔力が全く籠められていない物理攻撃ではサーヴァントであるこの身が傷付くことはない。
故にイリヤと俺が両方とも呆気に取られる。
突然沸いた超高熱にではない。魔力を一切使わずにその現象を引き起こした事実にだ。
現代科学においてもアスファルトを瞬間的に溶解させる小型の機械などハートロイミュードの知識には存在しない。
神秘でも先端科学にも存在しない。ならば未来の技術に違いないと
ハートロイミュードは決定づけた。
しかし、やはり魔力なき攻撃ならばサーヴァントを打倒することなど不可能だ。
ハートロイミュードが再び突進を始めようとすると、今度は少女二人頃おかしな挙動を始めた。
◆
「おい、聴こえるか、」
どこからともなく男の人の声が越谷小鞠に聴こえてきた。
「今、お前達だけに聴こえるように指向性の声を飛ばしているから気付かないふりをしてくれ」
というが、結論だけ先に言うと無理だった。二人の少女はそういった腹芸が致命的なまでに下手くそだった。
挙動不審な態度は今から青年を捻り潰そうとしているマシンとその主の警戒を呼んでしまう。
謎の声は呆れの色を滲ませながらもういい逃げろと指示する。
(逃げていいの?)
助けに来た人を置いて。
(それは正しいの?)
果たして、立派な大人として正しい行為なのか。
答えの代わりに応えた者がいた。
「マスター! 行きましょう!」
華奢な腕からは信じられない腕力で小鞠を抱えて、セイバーリリィは戦場から離脱する。
◆
「行かせるか!」
赤い怪人が追跡せんと出たところを俺のマスターが遮る。
流石にマスターがサーヴァントを倒せるとは思っていない。
じゃあ助ければだって? 馬鹿を言え。何で俺があんな化け物とやりあわなきゃならない。真っ平御免だ。
俺は英雄じゃない。ただの負け犬、敗残者だ。だからやれるのはこんなことだけ。
ソナーで相手の位置を探知し、あの少女二人を逃がして注意を向かせ、レゾナンスで音を消し、後ろから相手マスターの首を刈るだけだ。
「はい、お疲れさん」
飛び出すと同時に気配遮断の効果が切れる。少女が振り向くがもう遅い。
〝創生せよ、天に描いた星辰を──我らは煌めく流れ星〟
だめ押しに宝具(アステリズム)を発動させ、更に速度と切断力を上げる。
な? こんな俺なんて英雄などとは呼べまいと自虐しながら振るわれた牙は────小さなマスターの首に届かなかった。
「何……だと……!」
アダマンタイトの刃は離れていたはずの赤い機人によって止められていた。
放った必殺の刃は赤い機人の腕を貫いていたが、少女の首まで届いていない。
不条理極まりない結果にゼファーは混乱する。
◆
これはとある錬金術師の大家の話だ。
その家名をアインツベルンといい、とある魔術儀式──つまり聖杯戦争と呼ばれる戦いを行う御三家の一角である。
彼等は長き歴史と妄執を持っていたが魔術師同士で殺し合う術は持っていなかった。
故に行われた三度の聖杯戦争に敗退する。そして四度目、今度は負けじと外部から魔術師専門の殺し屋「衛宮切嗣」を雇い、最優のクラスである剣士のサーヴァント、その中でも最上位にあたるアーサー王を召喚した。
そして景品である聖杯そのものをマスターとして振る舞えるように肉体を鋳造し、アイリスフィール・フォン・アインツベルンという名を与える。
自律する聖杯、最強の英霊、最凶のマスターを用意し万全の準備を整えて挑んだ四度目の聖杯戦争は殺し屋の裏切りにより聖杯が破壊され失敗に終わる。
なんたる愚昧、なんたる悲劇。ああ、やはり外部の人間などあてにするべきではなかったのだと彼等は嘆いた。
故に彼等は作り上げたのだ。最強の英霊を従え、性能であらゆる魔術師を駆逐し、自律する聖杯を。
その名をイリヤスフィール・フォン・アインツベルンという。
あらゆる方面から聖杯戦争を成功させるべく調整された彼女は魔術回路の本数も凄まじいが、特性もまた悍ましいものだった。
聖杯──すなわち願望器。魔術的に可能なことならば理論を無視して実現するという特性を有した。
この特性こそがアサシン……
ゼファー・コールレインの殺人手法(キリングレシピ)から逃れた出鱈目の正体である。
すなわち魔術的に可能だったから令呪が発動し、内容を決めなくてもサーヴァントが呼び寄せられ盾になったのだ。
◆
────何だこりゃあ。
必殺の手は間違いなく決まったはずだ。そう確信していたし、実際そうなる寸前だった。
この少女が振り向いた瞬間に、サーヴァントの腕がめり込むようにして出現した。
令呪? 馬鹿な、発動までの時間が早すぎる。
動揺を隠せないゼファーであるが、それは盾になったマシンも同様。
視界が急に変わり目の前にはイリヤとイリヤの首を刎ねようとしているアサシンの間にいた。反射的に腕を盾に刃を受けて事無きを得た。
しかしそれは状況だけを見れば、だ。令呪による強制転移は、発動が完了した後に理解した。
ハートは頑丈だ。アサシンはサーヴァントだ。故にこの選択は妥当であるが
「マスター……」
ハートロイミュードは一人の友を思い出す。
彼女は人間の悪意を知りすぎたあまり、同じ友(ロイミュード)を改造したり、盾にしていた。
しかし、イリヤスフィールは全くの真逆。
初めて会ったときに分かった。彼女は創られた者だと。
純粋であり生まれたてのロイミュードと同じく人の心を知らないのだ。
だからナチュラルに友達を盾に出来てしまう。
故に────
「大丈夫だったか」
ただ、頭を撫でた。
マスターは人の心を知らない。
今だって何をやっているのという顔をしている。
純粋に心配しただけなのだが、それをわかってくれない。
ならば教えてあげればいい。かつて俺の友達が俺にそうしたように。
だから────
「お前にマスターはやらせんぞ、アサシン。友(マスター)は俺が守る」
刺さった刃をするりと抜いて俺の裏拳を躱したアサシンと対峙した。
◆
マシンが征く。
アサシンが迎える
戦いの第二幕が開かれた。
(アサシン)
(なんだ……マスター。秘策があるなら早くやってくれ)
(逃げるぞ)
(遅えよ! さっさとお前だけ逃げて令呪で俺を呼べよ)
(その手で行きたかったんだが、俺の一存で令呪を使っていいのか?)
(良いに決まってんだろマスターなんだから! さっさと行け!!)
(一応、時間を稼いでいる間に倒してしまったら言ってくれ)
(ふざけるな馬鹿野郎!)
全速力で離脱するマスター。
しかしマシンは追わない。アサシンさえ残っていればいいのだろう。
クソッタレとゼファーは呟き、相方を呼ぶ。
◆
「ヴェンデッタ!」
「いるわよ」
朝に見た少女が虚空より現れた。
瞬間、マシンとイリヤがまず感じたのは恐怖。
馴染みの薄い、されど生命体として持っていて当然の感情がマシンとそのマスターの胸中に湧き上がる。
朝に彼女を見ても恐怖しなかったのは戦闘状態ではなかったからだろう。
今は分かる。あれはこの世にあってはならないもの。
楽園に怪物がいるような場違い感しか感じられない。
ホムンクルスやロイミュードの二人でさえそう感じるのだ。間違いなく人外魔性に違いないと。その証拠に──
〝天昇せよ、我が守護星──鋼の恒星を掲げるがため〟
ここに紡がれるは人外の詠唱(ランゲージ)。
ヴェンデッタとゼファーの織り成す逆襲劇の恋歌。
栄光の崩落を、光に影を、勝者の尊厳に敗者の慟哭を塗りたくり、踏み躙る極悪な異星法則が具現する。
〝あなたが迎えに来ない日に、私は醜く穢れてしまった。
ああ、悲しい。蒼褪めて血の通わぬ死人の躯よ、あなたに抱きしめられたとしても二度と熱は灯らぬでしょう〟
激化する悪寒。二人が感じていた恐怖の正体はこれだ。
死体が動き回っている。低俗な言い方をすればゾンビ映画のゾンビが牙を剥き出しにして徘徊しているような気色悪さと悍ましさを備えている。
サーヴァントも死者だが、あくまで霊の範囲を出ない。
月乙女(コレ)は違う。死体をベースに作られ徘徊する生者への冒涜そのもの。
例えそれがサーヴァントの宝具として現れたものだとしても、いいや、つまり宝具として現れたということは生前からこうであったということを示している。
〝だから朽ち果てぬ思い出に、せめて真実をくべるのです。
私たちは、私たちに、言い残した未練があるから
振り向いて、振り向いて。冥府を抜け出すその前に。
物言わぬ私の骸を連れ出して──眩い星の輝きへと。
他ならぬ愛しいあなたの慟哭で、嘆きの琴に触れていたい〟
怨念、慟哭、悲嘆。蜘蛛の糸に群がる亡者の如くその恋歌は相方のアサシンへと流れ込んで馴染んでいった。
気持ちが悪い。死んだあとに嘆いて生者を引きずり下そうとする敗亡者の呪いだ。
アサシンが言っていた通り、これは勝者を、前に進むものを捕まえて冥府へ引きずるためのモノ。
やはり、こいつは聖杯戦争にいてはならない。
Metalnova Silverio Vendetta
〝 超新星──冥界へ、響けよ我らの死想恋歌〟
異能(ほし)殺しが具現する。
その能力は逆襲劇(ヴェンデッタ)。弱者が都合よく勝つための能力。
簡潔にいえば魔力を通じて万象へと干渉する能力だ。いや、それだけにすむまい。
彼等の世界において魔力に当たるエネルギー……星辰体(アストラル)と呼ばれる素粒子が存在した。
星辰体は魔力よりも幅広い範囲で適応された粒子である。
次元の穴から世界中に降り注ぎ、あらゆる物理法則を書き換え、人や物質に原子単位で浸透したそれは人から文明の利器を奪うと同時に異能を授けた。
その異能こそが宝具となった星辰光と呼ばれるものなのだが、重要なのはむしろ物理法則を変えたということだろう。
金属の電気抵抗率を0に変え、燃料の瞬間火力を減らし……つまりどんなものにも星辰体が含まれていたのだ。
となればゼファー・コールレインとヴェンデッタの発動したコレが魔術や魔力への干渉だけにとどまらないことは容易に想像できる。
『冥界へ、響けよ我らの死想恋歌』。またの名を対星辰体兵器(アンチアストラルウェポン)。
魔力に干渉し、魔術回路を持つすべて、それどころか魔力を帯びただけのものすらも破壊可能な能力である。
魔力で構成されたものが絵画だとすれば彼等の宝具は絵の紙を丸ごと引き裂く反則技(
ルールブレイカー)に他ならない。
──英霊蹂躙者がここに具現する。
◆
超速度でアサシンが飛び出した。
マシンが魔力を込めた光弾を放つ。
着弾と同時に爆発し、破壊をまき散らすソレをアサシンは難なく斬り裂いた。
光弾に編まれた魔力が爆発することなく消滅する。分解ではなく消滅だ。それが何を意味するかなど明らかである。
刃を受けるのはまずい。人間であればマシンから冷や汗が流れていただろう。
光弾を絶えさせず撃ち続ける。
さらにイリヤスフィールも支援として鳥を飛ばした。
彼女の髪によって作られた鳥は涙(ツェーレ)と呼ばれる魔力の弾を撃ちだす移動砲台として機能する。
鳥型砲台とマシンの魔弾が入り混じり、面攻撃と化してアサシンへと迫った。
対ししアサシンの武器は刃一本。対抗する術はないように見えたが……瞬間、すべてが不可視の一撃で薙ぎ払われる。
何発かはそれでも残存していたが、アサシンに切り払われてしまう。
しかし止めた。そう思った時。
「増幅振(ハーモニクス)!」
アサシンの体が震えだし、血が噴き出すと同時、アサシンがさらに速度を上昇させ、マシンへと肉薄した。
激痛に絶叫しながらも迫るアサシンはまさに瀕死の猛獣を想起させた。
咄嗟に殴り飛ばそうとマシンが腕を振るうも光輝を帯びた刃が振るわれた瞬間、紙切れのように鋼の剛腕は切り飛ばされる。
返す刀でもう一振り、今度はマシンの心臓めがけて振るわれる。
回避は既に不可能。防御も不可能。故にマシンが死ぬのは確定事項で──
「下がりなさいマシン」
故にイリヤスフィールは二画目の令呪を使わさせられる。
空間の強制転移により数十歩分、マシンがイリヤスフィールの方へ引かれる。
そして、遂に反撃の拳が振るわれる
攻撃をした直後の硬直を狙った一撃。アサシンに避ける術はない。しかし。
「増幅振・全力発動ッ(ハーモニクス・フルドライブ)」
踏み下ろした震脚の振動を増幅させて地面に伝播。超局地的に地震を生じさせて大地を凸凹に揺らす。
片腕を失って重心がずれ、その状態で揺れ動く大地の上で拳などまともに振るえまい。だが、ハートロイミュードにはスキル「矜持」が存在する。
イリヤスフィールを、友を守ると誓い、そして誇りをかけた戦いである以上、このスキルによって十全に近い性能を発揮可能だ。
「が、はッ」
爆発の如き衝撃音と共に吹き飛ぶアサシン。公民館の近くに駐車されていた自動車にめり込み、自動車が見るも無残な形へ変わる。
しかし、倒せていない。拳を直撃させるつもりが肩へと命中した。十全な状態であっても流石に当てることが難しかったということだろう。
殺らなければ、次はこちらが殺られる。
規格外の二人は目の前の落伍者(ゼファー)を間違いなくそう認識した。
次に接近されたら恐らくマシンは殺される。
「おおおおおおおおおおッ!」
全力全開。ハートロイミュードが残りの魔力総てを残った右腕に込め、光弾を放つ。
竜が地面にのたうっているように軌道上の地面を粉砕しながら莫大な破壊力がアサシンへ迫る。
アサシンは動けない。血反吐を吐き、手足を弛緩させたまま。
アサシンが光に飲まれ、めり込んでいた自動車は粉々になってガソリンに引火、爆発した。
それだけに留まらず光弾は公民館の生垣をすべて吹き飛ばし、そのままガラス張りの公民館入口を粉砕して突き抜けていった。
光弾が突き抜けた先、アサシンの姿は消失していた。
「やったか?」
「いいえ、恐らく令呪を使って逃げられたわ。倒したのなら、聖杯(わたし)の中に入ってくるもの」
その声にはできれば倒したかったという願望がありありと出ていた。
それもそうだ。あれは───
「何よあの反則。魔力に対する対振動なんて」
「逆の波長の振動をぶつけて相殺・打ち消す能力か。確かにあれならばいかなる強者(サーヴァント)にも勝てるだろう。
反動さえなければな」
あの宝具は実行するのに代償が必要であることを二人は見抜いていた。
当然ながらマシンに供給され、使用された魔力とアサシンに供給される魔力量が同等のはずがない。
対振動を使用する度に相手と同じ量の魔力の供給と放出が必要だ。
恐らくはあの少女が魔力タンクの役割を果たしているのだろう。
だが魔力を限界以上の出力でほいほい出せるものではない。
限界を超える魔力の出力は一定レベルの魔術師ならば誰でも可能であるが相応の代償はある。
全身の血の沸騰、心肺の停止、電荷が走るが如く脳髄に激痛が走り、神経は末端から壊死する苦痛。
つまりは臨死体験そのもので、魔術刻印が蘇生させるから可能な荒業だ。
限界の突破とは何度もできる行為ではないのに激流の如く魔力を浴びて容量以上の出力を繰り返す。
仮に宝具だからこそ可能だとしても、そんなもの何分も持つはずがない。
生前はさぞかし地獄を味わっただろう。
「いかれているな。面白いが危険な男だ」
「マシン。腕は治りそう?」
「マスターの魔力供給も潤沢だし、俺はロイミュードだ。半日、いや数時間で回復する」
「そう、じゃあ早くここから離れましょう。時間を掛けすぎたわ」
「了解」
マシンは霊体化して消えた。
イリヤもまた、去る。夕暮れの静寂が再び支配し、公民館に残ったのは破壊の爪痕だけだった。
【C-5/住宅街/一日目・夕方】
【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】
[状態] 疲労(小)
[令呪] 残り一画
[装備] なし
[道具] なし
[所持金] 城に大量にある
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を取る
1:戦闘の成り行きを見守る
2:アサシン(ゼファー)は絶対に倒す
3:セイヴァーのマスター、あれ反則でしょ……
※アサシンの主従と宝具を確認しました。
※アーサー王(セイバー・リリィ)、
ニコラ・テスラ、越谷小鞠を確認しました。
【マシン(ハートロイミュード)@仮面ライダードライブ】
[状態] 疲労(大)、左腕損壊(イリヤの魔力とロイミュードの特性から数時間で回復)
[装備]『人類よ、この鼓動を聞け』
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:イリヤの為に戦う
0:イリヤをアサシンから守る
1:ニコラ・テスラ、セイヴァー(
柊四四八)への興味。
2:アサシン(ゼファー)への嫌悪。
※アサシンの主従と宝具を確認しました。
※アーサー王(セイバー・リリィ)、ニコラ・テスラ、越谷小鞠を確認しました。
◆
「大丈夫か」
「大丈夫に見えるか?」
アサシンは光弾が命中する直前で令呪で戻された。しかし戻るや否や、血を吐いてゴロゴロと転がり、のたうち回り、霊体化するも激痛で絶叫を上げていた。
凌駕の耳には糞が、畜生、ふざけるな、死ねなどの知りうる限りの悪態がテレパシー届いていた。
相方(ヴェンデッタ)いわく、彼の宝具による反動らしい。
(もう……二度と……あんなことはしないでくれマスター)
泣き声と殺意が入り混じった懇願の呻きが聞こえる。
聞く者全てにアサシンの情けなさを伝播させる声だった。
ヴェンデッタも目を瞑り、いい顔はしていない。無茶苦茶な事をした凌駕に対して怒っている。
何か声をかけるべきだろう。これから共に戦う仲間に形だけの労りや、言い訳はしない。
喩え少女が怪物に殺されるのを止めたかったとか、助けていたら同盟を結べたかもしれないだとか、正統性を押し付ける強者はもう卒業したのだ。
かといって大上段からの労りなど論外。迷惑をかけた者として一言、詫びる。
「知らないこととはいえ、済まなかった。次は気を付ける。今度はアサシンに被害が出ないようにする」
真摯に凌駕は謝罪する。
だが、アサシンから返ってきたのは怒りでも赦しでもなく、困惑だった。
何故困惑されるのか分からない。凌駕は首を傾げた。
◆
光の英雄と同類のはずだ。そうだと言う確信がゼファーにはあった。
なのに謝り、次は俺の被害に気を付ける、だと。
どういうことだこれは。
ここで来るのは正しさの追求や助けてくれてありがとうとか、欲しくもない言葉だろう。
(俺の目も曇ったか)
沸騰気味だった怒りが引いていく。
もう少しだけ、この秋月凌駕という人物を見定めようと思った。
【C-4/山中/一日目・夕方】
【秋月凌駕@Zero infinity-Devil of Maxwell-】
[状態] 健康、魔力消費(大)
[令呪] 残り二画
[装備] なし
[道具] 勉強道具一式
[所持金] 高校生程度
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争から脱し
オルフィレウスを倒す。
0:アサシンのダメージがひどい。
ヘドラは見送りか。
1:外部との連絡手段の確保、もしくはこの電脳世界の詳細について調べたい。
2:協力できる陣営がいたならば積極的に同盟を結んでいきたい。とはいえ過度の期待は持たない。
※イリヤスフィール、ハートロイミュード、セイバー・リリィ、越谷小鞠を目視しました。素性については知りません。
[備考]
D-2の一軒家に妹と二人暮らし。両親は海外出張という設定。
時刻はファルからの通達が始まるより以前です。学校にいるため、ファルが来訪するには周囲に人影がいなくなるのを待つ必要があるかもしれません。
【アサシン(ゼファー・コールレイン)@シルヴァリオ ヴェンデッタ】
[状態]反動でボロボロ
[装備]ゼファーの銀刃@シルヴァリオ ヴェンデッタ
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争を蹂躙する
1:?????
※イリヤスフィール、ハートロイミュード、セイバー・リリィ、越谷小鞠を目視しました。素性については知りません。
◆
おおよそ安全な距離まで移動したと確信したセイバー・リリィは抱えていた小鞠を下す。
アレは危なかった。声のしないアサシンからはとても嫌な感じがしたし、あのマシンとかいうサーヴァントには勝てる気がしなかった。
あの二騎とはもう会いたくないですね。素直にそう思う。
すると、下したマスターが神妙な顔をしてこちらへ質問してきた。
「ねえ、リリィさん」
「なんですか?」
「なんでリリィさんは一緒に戦おうとしなかったの?」
罰の悪そうに視線を地面に移し、そしてまた小鞠と目を合わせる。
「マスター。あの場にいて私達にできることは何もありませんでした。
マスターの同級生は逃がすことができましたし、私ではあの怪人を倒せません。
それに──あの声は何となく信用してはいけない気がしました」
「でもあの人、サーヴァントじゃないんだよ」
あの人。あの青年。
サーヴァントではない、だけど機械の怪人に立ちはだかった学生服の人。
あのままでは、間違いなくあの怪人に殺されてしまった。
「ええ。だからマスター。嘘偽りなくはっきり言いましょう。
私はそんなに強いサーヴァントではありません。精神的にも技量的にも未熟な騎士です。
だからあの場面、私は守るべきものを守るために守りたいものを捨てました」
「守りたいものって?」
「全員を救うことです」
「守るべきものって?」
「愛すべき友、コマリの生命です」
サーヴァントとしてマスターの命を守った、という事ではないのだろうことは雰囲気から分かった。
セイバーが申し訳なさと罪悪感を感じていることも表情でわかった。
ああ、やっぱりリリィさんは大人だ。
辛いこと、苦いことが率先してできる。
私はできない。できなかった。
「リリィさんはすごいね」
「はい? 何がでしょうか?」
「私は……私だったら選べないよ。戦うことも置いていくことも、青木さんを諦めることも」
もはや差が開きすぎて悔し涙さえ出やしない。
そんな私の自虐をリリィさんは否定した。
「それでいいんですよコマリ」
「え!」
「恩義に背くことに後ろめたさを感じることも、知己に手を差し伸べようとすることも人として正しい事ですとも。
だからコマリ。自虐は止めて下さい。貴方は善き心の持ち主です」
「本当? 私でいいの?」
「はい。選定の剣に選ばれた私が言うのだから間違いありません」
ぱぁと花咲く笑顔が小鞠を祝福した。
その時、小鞠は何とも表現し難い感情に襲われ……
あれ。どうしよう。悲しくもないのに涙が出てくる。
これじゃあリリィさんに誤解されちゃうよ。
ハンカチで涙を拭う。しかし、拭けども拭けども涙が溢れてくるのだ。
遂には鼻がグズり出した。
「ごめ゙ん゙。リ゙リ゙ィざん。がな゙じい゙。わげじゃないの」
「ええ。いいんですよ。
私もまだまだ未熟ですね。コマリを泣かしちゃいました」
てへへと照れ笑うリリィさんは可愛かった。
◆
それを手にしたら君は最後、人間ではいられなくなるとマーリンが言った。
構わないと少女は言った。
そしてその日、彼女は人ではなくなった。
だけど彼女に悔いはない。愛すべき人々を守れるのだから。
◆
「私は青木さんを止めたい」
「はい」
「ヘドラを倒して町を元に戻したい」
「そうですね」
「家にも帰りたい」
「ええ」
「私の我儘(ねがい)。叶えてくれる?」
「いいですとも」
戦うのが自分ではない。傷つくのはセイバーだ。彼女は戦う術も補助する術もなく、ただ命令してみているだけだ。
その傲慢さを彼女は理解して、それでも彼女は望みを言った。
だからこそリリィは応えたいと言った。
いつか王として生きる日がやってくる。
大を生かすために小を切り捨て、誰よりも民のために聖剣を振るい、政(まつりごと)を為す。
そして同時に失われていくのは幼き日々の記憶。馬小屋で馬の世話をし、剣の練習をしたあの日々。
警邏として町に行っては賑わいを観て帰り、養父エクターと義兄ケイの元でただの町娘のように生きた日常である。
困っている誰かのために戦うのは王者であっても、騎士見習いでも同じだ。
ただそのために何を犠牲にするかが違うだけで。
仮にアーサー王であれば、青木奈美の説得など無意味と切り捨て、聖杯によって彼女の望みを叶えればいいと答えただろう。
あるいはもっと別の──されど青木奈美を殺すという過程が変わらない──具体案を述べただろう。
だけどここにいるのは花の騎士。
ただ道行く先で困っている人を救う騎士である。
故にその答えに大局や効率は関係ない。
「行きましょうコマリ。で、どこに彼女はいるんですか?」
「…………」
固まる会話。
顔に笑顔を張り付けたままのリリィと小動物のような顔をした小鞠
ヒマワリの種を与えたらカリカリ食べそうだ。
「家に帰る方法は?」
「…………」
目が死んだ魚のような目になった。もしくはお魚くわえた猫のような。
顔芸が細(こま)い。
私のマスターは将来、一介の芸人で生きていけそうです。
「へ、ヘドラ! ヘドラ倒そう」
「そ、そうですね!」
彼女は歩き出した。
幸い、魔力の消費自体は少なくなるスキルがあるため、まだ余裕がある。
善き心を持つ二人は歩みゆく。
【D-5/路上/一日目・夕方】
【越谷小鞠@のんのんびより】
[状態] 健康、不安、善き心
[令呪] 残り三画
[装備] 制服
[道具] なし
[所持金] 数千円程度
[思考・状況]
基本行動方針:帰りたい
0:リリィさん、行きましょう!
1:青木さんを止めよう!
2:あの人、大丈夫かな……
3:これが終わったら帰宅して、ちゃんと夏海を安心させる
※イリヤスフィール、ハートロイミュード、秋月凌駕、
シャッフリンの姿を視認しました。名前や身分等は知りません。
※ゼファー・コールレインの声を聴きました。
※青木奈美(
プリンセス・デリュージ)が聖杯戦争参加者だと知りました。
【セイバー(
アルトリア・ペンドラゴン<リリィ>)@Fate/Unlimited cords】
[状態] 疲労(中)、善き心
[装備] 『勝利すべき黄金の剣』
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを元の世界へと帰す
0:コマリを守る
1:ヘドラの討伐。
2:青木奈美のサーヴァントを倒す
3:青木奈美本人にも警戒
4:バーサーカーのサーヴァント(ヒューナル)に強い警戒。
5:白衣のサーヴァント(死神)ともう一度接触する機会が欲しい
※イリヤスフィール、ハートロイミュード、秋月凌駕、シャッフリンの姿を視認しました。名前や身分等は知りません。
※ゼファー・コールレインの声を聴きました。
※青木奈美(プリンセス・デリュージ)が聖杯戦争参加者だと知りました。
最終更新:2017年04月15日 01:31