“唯、
世界樹のためにあれ” それが
エリスタリアに生まれし者の生きる意味
ならば、今のエリスタリアはどうなのか?
世界樹は応えない では答えを出すのは誰なのか 果たして私は正常なのだろうか
武具を纏い剣を取りて戦い世界樹を護る。 と言えば聞こえは良いが…
決して頑強ではない肉体を武具で補い、元来は付かず離れて弓などで戦う術を捨てて肉薄して身を削る。
昔よりはなりを潜めたと言われるが、世界樹を狙い求め侵(せ)めてくる輩は後を絶たない。
今月に入ってからの襲撃で樹護騎士団も既に二割が交代要員に変わっている。
団員となる者は全て樹を護る使命を心に刻み、剣闘術に通じるように調整を受けている。
世界樹の樹上にて、ある一時期に急速に広まった“正しきエリスタリア”を体現する民と町。
世界樹の中でもその樹力を蓄える場所を次々と押さえたのは、王政内王派の息が色濃く見えるのにも起因しているのかも知れない。
噂では、“樹意思の体現者”なる者に王派でも保守の者達が擦り寄っているともあった。
樹人や樹獣を使役し怠惰に生きる
エルフの民はその意識を日々凝り固まらせているのが目に見て取れる。
彼らはエルフの原初である世界樹を、エルフの騎士が護る様を見て歓喜するのだ。
「戦えと命じられて生まれたのに剣も盾も関係無いだろう?馬鹿か?
持って生まれた“力”を最大限に使い戦い倒せば良いだろうに。俺の戦いに文句を言うのであれば世界樹に言え!」
双子として生命の実より出でた姉は、その戦いぶりを幾度と無く史正院から咎められたが一向に直さず、
北境界地よりも苛烈であると言われる未踏破域植栽地へと送られた。
「鎧と従精霊はお前にやる。 俺がいなくても、お前なら上手くやれるさ」
無頼の強さから“力を二人分持って生まれた姉”と呼ばれていた彼女がエリスタリアを離れる時、
私の心が少し躍ったのを今でも ──恥ずかしく思う。
「どうして貴様はそんなに戦うのが下手なのだ?姉はもっと上手くやっていたぞ?
“力”では貴様の方が上なのに、何だその体たらくは」
戦場で鎧に宿る嵐精霊に言われた私が隊舎に戻った後に、衣服に紛れていた誰からかの贈り物を見つける。
その琥珀の中に封じられた記録には、“力は妹に寄り、姉には不具合が見える”とあった。
私にはもう、二人分の戦果を、世界樹を護るしか道は無いと自戒した。
「団長!“美白樹の森”に侵入者です!」
「森に?!防衛網は一体何をしていたのだ!」
「そっそれが…監視樹人の目も翼樹の警戒網も何故か停止していたとの報告があり…
第三次防衛線のウッドエルフ弓射隊により撃墜したものの、依然その侵攻は止まずとのこと!」
森のすぐ上には町がある。 一刻の猶予も無い。
「相手が何者かは分かっているのか?」
「今報告が。 …細胞香と形状照合から、以前より何度か侵攻のあった“識の女王”の手の者とのこと!」
“識の女王”。
マセ・バズークの中でも地上を嫌い、石神の庇護薄い苛烈なる空へ領地ごと移した変異女王。
一度だけ、女王の侵略者が一部地域限定ではあるが、樹人の活動を完全停止させた事例がある。
「
ゲートが開き世界が繋がった今でもこうやって侵略は絶えず、遂には本腰を入れてくる始末か… 出るぞ!」
“世界樹のために何を成すべきなのか” 今は只、世界樹を護るために命を捧げよう。
世界の何処かで戦い続けているであろう、姉に負けない様に。
そして戦火がやってくる
- イレゲには珍しいハードで正統派のエルフ騎士。嵐の精霊を宿した甲冑がカッコいい。続編ありそうで期待 -- (名無しさん) 2013-10-18 22:21:18
- エリスタリアの政治部分って珍しい。思わせぶりな物言いも想像させる -- (名無しさん) 2013-10-18 23:18:01
- エルフ主義の町ってローマの貴族街みたいな欲望と堕落にまみれたようなもん? -- (としあき) 2013-10-21 23:00:23
- 人間だけでも向き不向きがあるんだし種族ごとに職業向き不向きがあっても自然だよね -- (名無しさん) 2014-02-06 23:27:30
- エルフに騎士は不向きかー。強い方の姉が不完全だったとか使命感も倍になるか -- (名無しさん) 2014-08-09 03:31:10
- 今現在のエリスタリアにおける侵攻や防衛事情はどういう風になっているんでしょうね。種をいくらでも生み出せる世界樹であればそういう面は如何様にもカバーできそうに思えますがそう簡単にはいかないのですね -- (名無しさん) 2017-09-17 19:00:24
最終更新:2013年10月18日 01:00